すごく強い魔術師がホグワーツにやってくるので、『ハリーポッター』は賢者の石で完結します。 作:味なしコンフレーク
人気のない廊下を駆ける辰水は見慣れた顔を見つけた。
「ハリー!?ロン!?お前らなんでここに!?」
「辰水!」
「辰水、大変だ!ハーミーが!!」
「晴海がどうかしたのか?」
「グレンジャーはトロールのこと知らないんだ!クラスにも出てこなかったし、ハロウィーンのご馳走を食べにも来なかった!」
「・・・まさか、あいつ」
「辰水?」
「・・・ハリー、ロン。お前らは寮に戻れ。晴海は俺が探しに行ってくる」
「そ、そんなことできるわけ・・・」
「・・・いや、ロン。辰水に任せよう」
「ハリー!」
「辰水なら信頼できる。絶対にグr・・・ハルミを助けてくれるよ。それに、僕は決めたんだ。母さんが助けてくれたこの命を無駄にしないように。生き残った男の子じゃなくて『ただのハリー』として良い魔法使いになるって」
「ハリー・・・そうだな。勇気と無謀は違うっていうもんな。僕らは魔法を学びはじめたひよっこで、辰水は大人からも信頼されるすごい魔法使い。なら、答えは決まったようなものだな、ウン」
ロンは辰水に手を差し出した。辰水はそれを握り返した。
「頼んだよ、辰水。僕たちの友達を助けてくれ」
「任せろ」
「まさか、こんなにも早く、復讐の機会が訪れるとは思わなかったわ」
トロールにとどめを刺し、血溜まりの中に佇む晴海が憎悪の目線を向けた先にいたのは・・・クィレルだった。
「私も聞かされた時は驚いたわ。まさか、あなたが」
「そうだ」落ち着き払った声「私がご主人様の忠実なる下僕だ」
「そう、なら殺して良いわね」
「それはこちらのセリフだ。君たち魔術師はあの方を怒らせた。生かしてはおけない」
「そうはさせn・・・・!?」
杖を構えようとしたクィレルを殺そうと魔術を使おうとした晴海は・・・力が抜けたように地面に倒れこんだ。
「な・・・ん、で・・・!?」
『愚かな』クィレルとは違う声が聞こえた『復讐で我を忘れて、魔力切れに気付かんとはな』
「ご主人様!」
『クィレル、この女を殺せ』
「分かりました・・・『
緑の光線が奔り、晴海に迫った。そこで晴海は初めて・・・恐怖を覚え、目を瞑った。
「・・・・・・・・・?」
だが、いつまでたっても死は訪れない・・・目を開けた。
「無事か?」
「たつ、み・・・!?」
「これで俺は魔法処を退学だな・・・ま、友達を見殺しにしてまで魔術師になりたいわけでもないけれど」
倒れていたのはクィレルだった。
「これ・・・死んだの?」
「クィレルはな。俺が跳ね返した呪文が命中したんだ・・・でも、奴は違う」
ピクリ・・・とクィレルの体が動き、起き上がった・・・晴海は思わず息を呑んだ。クィレルの顔は蝋のように白く、ギラギラと目が血走り、鼻腔はヘビのような裂け目になっていた。
「ヴォルデ・・・モート・・・!」
「これは愉快だ」とヴォルデモートは笑った「不思議なことが起こったぞ。クィレルが死んだ瞬間、これまで借りていただけのやつの体が俺様のものとなった・・・闇の帝王はここに復活した!!」
「ッ・・・なんてこと・・・」
「問題ない」と辰水が刀を構えた「ここでお前を殺せば全てが丸く収まる」
「大きく出たな、小僧。だが俺様は寛大だから許そう。それに、俺様はお前の魔術師としての実力を買っている。どうだ、俺様の部下n」
ズッギャアアアアアアンッ!!!!!!!!!!
女子トイレの壁に大きな・・・巨人がつけたようなとても大きな裂け目ができていた。
「確かに」と辰水「俺も一度は力に溺れた。でも今は魔術師として、人を助けることを誇りに思っている。だから俺はお前を倒して・・・世界を救う」
「胸を打たれるねぇ・・・」ヴォルデモートが押し殺したような声を出した。
「ならばこれからも救ってみせろ・・・俺を殺せればの話だがな!!!!」
瞬間、杖から巨大な蛇の形の火が襲いかかった。
「はッ!」
だが、それも鞘に収めた刀を構えた辰水の掛け声と共にかき消えた。
「これならどうだァ!!」
追撃するように死の呪文を放ってくる。クィレルと同じように弾き返そうとしたが・・・。
「ッ!?」
バキンッ!という音が響いた・・・半分に折れた刀を振り切った辰水は驚愕の表情を浮かべていた。
「太刀が折れた…なんて魔力だ!」
「ほうら、死ねええええええ!」
ショットガンのように呪文を放ってくるヴォルデモート。辰水は防戦一方だ。
「動きが鈍い・・・」と晴海「どうして⁉︎」
「大太刀による広範囲の居合・・・それが貴様の得意技だな?」
「!」
「当たりか。くくく」邪悪な笑みを浮かべるヴォルデモート「鞘にかけられてある検知不可能拡大呪文はそれを悟られないようにするためのカモフラージュといったところか?だが、その折れた刀では普段とは違う間合い。もうまともに動けまい」
「(不味い・・・辰水は底なしの魔力の持ち主だけど、無限に沸いて出てくるわけじゃない。いつかは限界が来る。油断して勝てるような相手ではない。常に魔力を全開で流しているに違いない。このままじゃ)辰水!ここは一度退いて体勢を・・・」
「いや、いい」
「もう慣れた」
「は?」
呆けた表情を見せるヴォルデモートに・・・跳ね返された呪文が直撃した。
「な・・・ぜだ・・・!?」
「魔力を刀に込めて放出する事でリーチを伸ばすくらい朝飯前さ」
辰水の大太刀は折れた部分を補うように光の刃が伸びていた。
「手強かったよ、ヴォルデモート。アンタは確かに、真に闇の帝王だった」
「・・・・・・・・俺様でも分かる。今のは、心からの賛辞だ・・・」
「やり方は間違っていたが、どんな形であれ、信念を持ち、それに向かって、ただ進み続ける・・・なかなか出来ることじゃないって思うよ。だから俺は、お前の生き方に敬意を表する」
「・・・不思議な気分だ」
ヴォルデモートの体が少しずつひび割れ、塵にかえろうとしている。
「貴様だけだ。俺様の信念を理解してくれたのは・・・顔色をみてヘコヘコする部下共や、恐怖の色を浮かべて嫌悪するマグルや裏切り者とは違う。真に俺様を見て、理解してくれた。こんなにも穏やかな気持ちになったのは、はじめてだ」
「・・・ヴォルデモート卿。お前はきっと、くだらないっていうのかもしれないけれど」と辰水「きっと・・・お前は愛が欲しかったんだよ」
「そう、か・・・」
「ぼくは、誰かに愛してほしかったんだ」