いやぁ、セカンドシーズンは強敵でしたね!! 作:ミストさんだよ!
スクールアイドルの練習を一時休止をし、生徒会の職務にあたっていたところ、戸が大きな音を立てて開き、貴様らは完全に包囲されている! と、しずくさんがステージの上に立つように声を張り上げ、手にはエアガンのようなものが握られています。
さらに続くは手に巨大な棍棒のようなものを握り、さも私は巨大なふ菓子を握っていますが何か、と言わんばかりの姿でいるのはエマさん。
しずく「さあ! 選びなさい! 会長を差し出すか、それとも、この水鉄砲の中に入っているイカ臭いザ……水を浴びせられるか!」
右月「会長を差し出すくらいならば! この右月! 盾となりイカ臭くなったほうがマシです! 生徒の間から……あ、監視委員会やってた双子の片割れだ! 行こ! 私たちも監視されて部活動できなくなっちゃう! って後ろ指を指されています! 会長を差し出して、アイツら会長まで裏切ったよとか言われたら、もう学校にいられません!!!」
私の前で孫悟飯の前に立ちふさがるピッコロのような姿をしたまま、コチラが後ろめたくなるような台詞を吐かれます。
実は恨みを買われていて、嫌味をここぞで解消されていると判断しても問題がなさそうな気がします。
エマ「うんうん、美しい師弟愛だね、バーダックとラディッツくらいの仲の良さだよ……でも、わたしの棍棒さばきを見ても、同じことが言えるかな?」
るろうに剣心の相楽左之助みたいにエマさんが巨大な棍棒を振り回すと、ボコンと壁に当たり、威力を物語る大穴が開きました。
ヒェ!? という声を上げて右月さんは「会長に指示をされて、私は仕方なく監視委員会をしていたんですぅ!!!!」と叫びながら、床を這いつつ逃げ出した。
私も恐れおののいて逃げ出したい気持ちは充分でしたが、そんな自分の前に左月さんが立ちふさがります。
左月「私達は同好会の皆様から磔にされたり、罪状を論われて市中引き回しの上で袋叩きにされても仕方がないかも知れません、皆様が恨みを解消しようという気持ちは良く分かります――ですが聞いてください、私達はネットでバリバリ顔が出ているので、見知らぬ人から、あ、監視委員会だ! 何の罪もない部活動の邪魔しているやつだ! と後ろ指さされてますよ……ええ、未だにそうです、会長は指示役なので顔が出てないからセーフですが」
しずくさんとエマさんが本当に悲しそうな表情を浮かべたまま「辛かったんですね……」「これからは仕送りするからね……」と言い、左月さんは「はい……ありがとうございます」と言いながら生徒会室から何気なく抜け出し、生徒会室には自分ひとりが残されました。
栞子「……とりあえずエマさん、破壊した壁の修繕費用の申請を」
エマ「ランジュちゃんが壊したって言えばいいよ」
栞子「いえ、さすがに目視したものをごまかすことなど出来ません、責任はとっていただかなくては」
冷静に指摘をしたつもりですが、二人は呆れたようにため息を吐き、
エマ「ランジュちゃんがさ、ミアちゃんの部屋のドアを壊したけど、どうしたの? その費用はどこから出したの?」
栞子「……理事長のポケットマネーからの支出ですが」
エマ「生徒が学校の物品をぶっ壊して、理事長がポケットマネーで解決……なに? 鐘嵐珠ってのは上級国民なの? ブレーキとアクセルの踏み間違え事故を起こしても理事長がポケットマネーで解決してくれるの?」
エマさんがにじり寄ってきます――あの棍棒が私に叩きつけられればまず間違いなくミンチです、ミンチ栞子になります、R-18Gになるのは間違いありません。
エマ「ねえ、スクールアイドル部はどうして豪華な施設を用意できたの? 他の部活から特別扱いだって不平不満って漏れなかったの? ……まさか全部、お金で握りつぶしたんじゃないよね?」
栞子「……情報処理科や音楽科でも利用できるようにされているもので、スクールアイドル部が専用で使っているものではありません」
エマ「へえ……じゃあ、だったら、なんでわたしたちは追い出されるように音ノ木坂学院で練習をして、部室を没収されて、ライブも許可性になっちゃったのかな?」
冷や汗がダラダラと背中を流れ落ちます――だってあの時のランジュのキャラクターは、三船栞子の忠告などには耳を貸さない、身勝手の極意を身に着けた人物でした。
が、大人の都合で素直さが極まり、挙句の果てに私が未だにしてない謝罪までを執り行いました。なんで私ばかりがちゃんと謝罪活動をさせてもらえないのか解せません。シナリオライターの適性は間違いなくない。
エマ「ねえ、ランジュちゃんってスクールアイドルが好きなんだよね?」
栞子「え? あ、ハイ、それは間違いありません。紆余曲折……ええと、一件落着」
しずく「なってねえだろ」
栞子「まあ、アレで一件落着だと思っている人間がいたら、SAN値を測ったほうがいいと思いますが」
サードシーズンが始まってからというもの、何度となくセカンドシーズンはハッピーエンドを迎えたみたいな扱いをされてますが、頭にハッピーセットでも詰まってない限り、アレを一件落着、無事に一つにまとまったと判断できる人間は正気の沙汰でない。
エマ「あのさ、ランジュちゃんがスクールアイドルが好きだったらさ、そんな好きなスクールアイドルの活動を禁止にしたら怒るんじゃないの?」
栞子「20章時点ではランジュは驚異的な実力者で、自身の背中を見せつけることで同好会の実力を向上させようとしてたんですよ!」
エマ「スクールアイドルフェスティバルを観て感動して、ミアちゃんを連れてきて、そこから部員数も足りないスクールアイドル部を結成して、監視委員会がきっかけで宮下ってのが転部して、バックダンサー止まりでかすみちゃんにもしずくちゃんにも負けた朝香が裏切って」
しずく「そしてこの桜坂しずくが最悪のタイミングで転部をして、ミアさんとランジュさんの脳みそを破壊しました!!! もっと褒めてください!!! って褒められるかい!!!」
しずくさんが見事に落ちをつけてくれなければ、エマさんの持った棍棒が私の脳天を直撃し、哀れにも潰れたトマトのようになっていたことでしょう、後処理は理事長のポケットマネーで解決してくれるはずです、ランジュは上級国民でスクールアイドルが大好きですからね、エマさんの犯罪も笑って許してくれるはずです、監視委員会も許してますからね(遠い目)
栞子「し、しずくさんだって人として最低ではないですか! まごうなりとも、世話になったランジュや、作曲をしてくれたミアさんの前で、でもテメーらより先輩の方が素晴らしいです、ハラショー! とばかりに歌ったじゃないですか、正気を疑いますよ!」
しずく「裏切ってからちょっとで復帰したし、ミアさん加入フラグも立てたからいいんだよ! 裏切ってる期間のほうが仲間でいた期間より長い女に何を言われる筋合いはねえ! 移管されてシナリオの更新が止まったら、お前の印象はずっと裏切り者じゃ!」
栞子「何があなたの理想のヒロインじゃ、とっかえひっかえ男を変えるみたいに演劇部やらスクールアイドル部やらスクールアイドル同好会の間を行き来しやがって、クソビッチもいいところじゃねえか、あなたの理想のヒロインになんかなれるわけねえだろ、桜坂しずくを選ぶくらいなら、スエッソン・ステロをヒロインにしたほうがマシじゃ!」
しずく「あーあー、言いやがったな! 言いやがったな三船栞子! お前の適性を見る能力ってなんだよ、自分の適性が見抜けてねえじゃねえか、鏡も観たことねえのかよ、お前が生徒会長に就任してからトンデモイベントばっかり起こって少しも平穏じゃねえよ、なんだよスクールアイドルエキシビジョンって、なんだよ、Aqours3年生組が優勝したスクールアイドル大会って、朝香はスクールアイドル大会に出場して、スクールアイドル部に来てからずっと負けっぱなしだった戦績を何とかしろや!!!」
ボコン!!!!!!!!!! と、生徒会室の……私が少し前まで活用していた机がエマさんの持っていた棍棒で粉砕されました。
私達は罵り合っていたのも忘れて直立不動となり、リアル金剛力士像と表現しても良い。
スイスからいらっしゃってから、ずーっとまともにスクールアイドル活動を出来てない先輩に敬意を称します。
エマ「おい三船、スクールアイドルエキシビジョンっていう、オマエの姉の匙加減でルールが変わる行事があんだろ、アレで虹ヶ咲学園を優勝させろや」
栞子「い、いえ……その、アレにはAqoursやμ'sと言った皆様が参加もしておりますし、いくら姉が責任者と言っても、実力で劣るものを優勝とするほどの権力は……」
エマ「テメーの姉の匙加減一つでスクールアイドル活動をしてないヤツまでステージに上げて、学校の代表とかほざいてんだろ、優勝させるくらいなんでもねえ……おい、桜坂」
しずく「ハイィ!!!」
エマ「次は朝香を拉致ってお礼参りするから付き合えや、できんだろ? スクールアイドル部で同じ釜の飯を食ってるんだから」
しずく「ハイ! 負けず嫌いのくせにスクールアイドル同好会を裏切ってから負けっぱなしの人生を歩んでいるとでも言えば、簡単に罠に引っかかってくれると思います!!!!!」
ふう、と息を吐いたエマさんの表情が緩やかになっていき、私もしずくさんも粉砕された机を目視しながら――逆らったらああなる! と恐怖を抱きました。
あ、生徒会室での破壊活動の補填は理事長のポケットマネーから費やすことにしました――それと、ついでではありますが、監視委員会の双子の悪評も金で解決しました――やはり金、金はすべてを解決する……!
思い付いたら続きます。