呪い、呪われ   作:ベリアロク

17 / 21
第17話 センスの塊

 

 

「なぁ、人様踏んづけた気分はどうだ? さぞ良い気分だろうなァ!」

 

「ホントにごめん! まさか爆豪君が寝そべってるなんて思いもしなくて……」

 

「もういいわ、うざったい! 余計なこと喋ってるうちに敵が寄ってきたわクソが!」

 

 

教室程の大きさもない室内には爆豪と乙骨、そして敵。その数10人。

黒霧の個性によりA組の面々がちりじりになる中、乙骨と爆豪は二人は倒壊地区ゾーンの廃墟にて多数の敵との戦闘に突入しようとしていた。

 

 

「へへ……ガキ二人にこの人数。余裕だな」

 

「あっという間に終わっちまうかもなぁ!」

 

 

乙骨らを囲む敵は薄気味悪い笑みを浮かべている。

 

 

「この人たちも敵……なんだよね」

 

「雄英にいる不審者なんて敵しかいねェよ。さっさと刀抜けよモヤシ。まさか今更ビビってんじゃねェだろうな」

 

「モ、モヤシって……敵とこうやって向かい合うの初めてだし、刀を向けるのだって……」

 

「チッ、温室育ちのクソ野郎かお前。邪魔だけはすンじゃねェぞ」

 

 

「あー、なぁガキンチョ共よ」

 

「「!」」

 

 

敵の一人が不意に乙骨らに言葉を向ける。

 

 

「質問なんだけどさ、雄英って女子もいるよな? 俺可愛い子来るの期待してたんだよ」

 

「は、はぁ……」

 

「特にボンキュッボンの眼鏡の子! あの子が来てくれてたらいうこと無かったよな!」

 

「ガキ共は好きにして良いって言う話だし、さっさとあの子のとこ行こうぜ!」

 

 

「……へぇ、その話僕にも詳しく聞かせてくださいよ」

 

「ひっ……」

 

 

乙骨は躊躇いもなく刀をすらりと抜き構える。

その姿は浮足立っていた敵たちを現実へと引き戻させた。

 

 

「ケッ、なんだあの野郎やる気あンじゃねェか。1人で10人相手したって良かったンだけどなァ」

 

「な、何だよ。まさかこの人数とまともにやり合えるなんて思ってないよな⁉」

 

「思ってなきゃヒーローになんかなれねェよッ‼」

 

想いをぶつけると同時に爆豪、乙骨は敵に向け飛び出す。

片や爆発を、片や呪いを込めた一撃を振るい、その一撃は敵数人を一瞬にして地に伏させた。

 

 

「なんだ、思ってたよりも弱ェな」

 

「まさか一振りで倒せるなんて……やっぱりこの人たち敵じゃないんじゃないかな。侵入者ではあるけど」

 

「雄英の侵入者なんて敵しかいねェってさっきも言っただろうが」

 

 

「い、一瞬で半分やられた……⁉」

 

「聞いてた話と違うぞ⁉ 何が『力の使い方もなってないガキだから余裕』だ! バケモンじゃねぇかよ!」

 

「ビビってんじゃねぇよ! 雄英だろうが何だろうがガキはガキだろうが!」

 

 

残った敵も負けじと個性を発動し、矛先を二人へと向ける。

ある者は個性で生み出した銃弾を、ある者を個性で拳を剣へと変化させたモノを突き出す。

 

 

「はっ!」

 

「甘っちょろいンだよォ!」

 

 

そんな敵の攻撃を乙骨は銃弾を躱し一太刀を、爆豪は拳をいなし爆破を叩き込む。

乙骨らを囲んでいた敵は全てその場に倒れ伏した。

 

 

「これで全部か。個性使ってもやっぱ弱ェな」

 

「ふぅ……やっぱりまだ刀使うの慣れないなぁ。身体がしんどいや」

 

「この程度で根ェ上げてンじゃねェぞモヤシ。雑魚しかいなかったンだしよ」

 

「はは、爆豪くんは流石だね。僕なんかとは全然違うや」

 

「ンなこと当たり前だろ。殺すぞ」

 

(理不尽⁉)

 

 

そんなこんなでやり取りをしていると2人以外気絶しているであろう屋内で、足音が2人の耳に届く。

遠いのか小さな音だったが間違いなくこちらへと近づいてきている。

 

 

「……爆豪くん」

 

「あァ、わかってる。まだ雑魚が残ってンのか」

 

 

近づいてくる足音に爆豪と乙骨は身構える。

やや緊迫した空気の中、扉を開けて入ってきたのは見慣れた赤髪だった。

 

 

「オラオラ敵‼ 俺が相手に……って爆豪! それに乙骨も!」

 

「切島くん!」

 

「無事で良かったぜお前ら! 他の奴らは?」

 

「知らん」

 

「僕たちこの部屋に飛ばされてから外出てないんだ。この部屋にいるのは僕と爆豪くんだけ。切島くんは他の人とは?」

 

 

乙骨の問いに切島は首を横に振る。

 

 

「会えたのはお前らだけだ。建物中にはお前ら以外いなかったし、他の奴らはたぶん別のエリアに飛ばされたんだと思うわ」

 

(ってことは倒れてる奴らは2人がやったってことだが……汗一つかかずにこれかよ。2人ともクソ強ぇ、センスの塊かよ……)

 

 

切島は乙骨と爆豪の存在が同じクラスにいるということを目の前の事実と合わせて嬉しく思いつつも身を震わせる。

正しく友であり強者(ライバル)と言える存在が目の前にいるのだから。

 

 

「だろうな。敵の強さから考えて数で俺らを潰そうって魂胆だろうよ」

 

「……ってなると皆はUSJの中でちりじり。僕たちみたいに各自敵と戦ってる状況って考えるのが妥当かな」

 

 

乙骨の言葉に切島と爆豪は頷く。

 

 

「なら次にすることははっきりしてるな。助けに行こう! 攻撃手段の少ねェ奴らが心配だしよ!」

 

「確かに皆が皆戦闘が得意なわけじゃないもんね」

 

「だろ? 手が空いた以上俺らが助けに行かねぇと……」

 

「ごめん、切島くん」

 

 

乙骨の断りに切島はぽかんとする。切島の言葉を待たず乙骨は続ける。

 

 

「僕は入り口のところに戻ろうと思う。皆が心配な気持ちもあるんだけど……パンダ君と狗巻君も心配なんだ」

 

「そういうことか……確かにあの二人は黒い変な奴にフッ飛ばされてたし心配だな。わかったぜ!」

 

「ありがとう切島くん」

 

「で、爆豪はどうするよ。俺と一緒に行くか?」

 

「ワープゲートの奴をぶっ殺してくる。敵の出入り口締めときゃ逃げらんねェだろ」

 

「はぁ⁉ 今は敵より他の奴ら助けに行った方が良いだろ! 安全確保のためによ!」

 

「そもそも安全確保って言うけどよ……」

 

 

地べたに伏している敵らを爆豪が見下ろす。

 

 

「生徒に充てられたのがこんな奴らなら大概大丈夫だろ。仮にも雄英生ならな」

 

「な、成程。冷静だな爆豪!」

 

「いつでも冷静だわクソ髪。俺とモヤシは同じ方面、違う方面行くのはお前一人だ。さっさと行っちまえ」

 

「待て待て。ダチを信じる……男らしいぜ爆豪! 俺もお前の考えにノったぜ!」

 

「ケ、勝手にしろ」

 

 

目をギラギラとさせる切島に爆豪はぶっきらぼうに言い捨てる。

男の友情とも言うべき何かが結ばれた瞬間だと、何故か一歩引いて見ていた乙骨は感じていた。

 

 

(ああいうのちょっと憧れるよなぁ……っていけないいけない……)

 

「えーと……しばらくは2人と一緒ってことだよね?」

 

「そういうことだ。パンダたちも心配だし急ごう!」

 

「なんでお前らと一緒に行かなくちゃいけねェんだよ! 一人で行かせろ!」

 

「待て待て待て! 複数人で移動した方が絶対安全だし、あのワープゲートと戦うにしても一人でやるより複数の方がいいだろ?」

 

「うっせ! あんな野郎一人で十分だわ!」

 

「あははは……」

 

 

軽口を飛ばし合いながらも乙骨はパンダと狗巻を助けるべく、爆豪と切島はこの状況を引き起こした黒霧を倒すべく3人は入り口の高台へと向かっていった。






アンケートがあると思うので今後の参考に投票していただければ幸いです。

USJ編の話構成(途中まで)

  • 1話1エリア分(今回の形式)
  • 1話2エリア分(例:乙骨+緑谷パート)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。