呪い、呪われ   作:ベリアロク

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大分間が空いてしまいました。
反応見て再投稿するか決めようと思います。


第6話 雄英高校『呪術科』

「ここが雄英高校……」

 

 

空を穿つかのように聳え立つ雄英高校校舎、そして校舎を守るように囲む壁。人を迎えるように開いている門は同時に威圧感すら感じさせる。それらを前に乙骨は思わず息を呑んだ。

 

 

「え……と、とりあえず中に入らないと」

 

 

周囲には学生はおろか人っ子一人居らず、視界の隅では小鳥たちが戯れている。

時計は持ち合わせていないため時間はわからないが学生が誰もいないこと、五条に渡された紙に『なる早で!』と書かれていることが乙骨に今の状況を知らせていた。

 

正門をくぐり下駄箱を抜けた先の廊下を乙骨は駆ける。先が見えないほど長い廊下にはちらほらと人がいるが乙骨と同じ制服の者は一人としておらず、乙骨の存在はひと際目立っていて不可思議なものを見るかのような視線を乙骨は集めていた。

 

 

(本当にこれ雄英の制服なのかなぁ……)

 

 

自らの装いに疑問を持ちつつも乙骨は今朝五条から渡された紙を取り出す。

『これを見てくれば大丈夫だから!』と言われたものの取り出されたそれはアバウトが過ぎて雄英高校のどこを目的地としているか最早読み取ることが困難なレベルのものだった。

 

 

「こっちの方……で良いんだよな? 詳しい教室とか書かれてないしどの教室に入ったら……うわぁ⁉」

 

「わぁっ⁉」

 

 

突然鈍い衝撃が身体に生じ、前へと向かっていた身体が尻もちを着く。視界が明滅をする中何が起きたのか確認しようと前を見ると乙骨よりもやや背の低い緑髪の少年が同じように尻もちを着き床に座っていた。

 

 

「いてて……」

 

「っつぅ……ごめんなさい! 怪我とか大丈夫ですか⁉ 本当にごめんなさい、僕前見てなくて……その……」

 

 

乙骨は謝罪の言葉を述べながらもじりじりと少年から遠ざかっていく。何かに気を取られて人にぶつかってしまうようなことはこれまでもよくあった。そうじてそれは相手の怒りを買い、トラブルになり乙骨に拳が向けられる。運が悪ければそこで里香が顕現する。そんなことがよくあったのだ。

 

もう誰も傷つけたくない……

そう思い自らの命すら断とうとした乙骨にとってこの状況は心臓を直に握られる程の恐怖と寒気を呼び起こすものだった。

 

少し、また少し。乙骨が後退りしていく。

しかし少年の顔が僅かに見えたその時、逃げ出そうとする乙骨の動きはピタリと止まった。

 

 

「は、はい。僕は大丈夫です。あなたの方こそ大丈夫ですか?」

 

 

緑髪の少年はぶつかった場所をさすりながらもすっと立ち上がり乙骨に手を差し伸べる。十中八九乙骨がぶつかったにもかかわらず少年の表情には怒りの欠片すらなかった。

 

 

「え……ええ。僕も大丈夫です。一年の教室に向かってたんですが迷ってしまって……」

 

「僕も新入生です! 雄英って白い制服もあるんだ……あ、折角だし1年の校舎まで一緒に行きませんか?」

 

「……いいんですか?」

 

「勿論です! あんまり余裕もないですし早いとこ向かいましょう!」

 

 

乙骨は頷くと二人は目的の校舎へ向かうため廊下を駆けていく。

乙骨は走りながらも隣の少年の顔をチラリと見る。そこには希望に溢れた笑みが浮かんでいた。その表情は乙骨にとって眩しく輝いて見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕の名前は緑谷出久。君の名前は?」

 

「乙骨憂太。よろしくね緑谷君」

 

 

 

側方がガラス張りの廊下が二人を陽の光で照らす。そんな中二人は駆けていた。

 

 

 

「こちらこそよろしく乙骨君! 僕はA組なんだけど乙骨君は何組なの?」

 

「えーっと僕はね……「おーい、そろそろ本鈴鳴っちゃうから教室入りなー」

 

 す、すみません……って五条さん⁉」

 

 

乙骨は本能的に掛けられた言葉に対し頭を下げる。

だがその聞き覚えのある声に視線を前に移すと「やぁ」と言った感じで手をひらひらさせる五条の姿がそこにあった。

 

 

 

「さっきぶりだね憂太。友達も早速出来たみたいで何よりだよ」

 

「まだそこで会ったばかりですけ――――――「五条悟⁉ 本物だ!!」

 

 

出久が突然大声を上げ会話に割って入る。 

五条を見つめる彼の眼差しは輝いていた。

 

 

「ヒーローチャートではオールマイトについで2位に位置するもその実力はオールマイトに勝るとも劣らないとも言われるあの五条悟さんですよね!? サイン貰わなくちゃ……!」

 

「おー良い反応だね。憂太もこれぐらい驚いてくれるかな~って思ってたんだけど」

 

「あんまりヒーローのこと詳しくなくて……というよりあの時はそれどころじゃなかったんですから」

 

 

……誰かさんが空から突き落としてくれましたからね……

乙骨はやや恨みが籠った眼差しを五条へと向ける。

 

 

「やだなー、そんな目で見ないでよ憂太。僕は憂太のことを思って色々やってるんだからさ」

 

「……いい加減なこと言ってる気がするなぁ」

 

「それよりも教室入らないと。特にA組の担任は時間に厳しいから即座に席に着くことをお勧めするよ」

 

「なら僕A組だから急がないと……またね乙骨君! 五条さんも今度サインお願いします!」

 

 

 

五条の言葉を受けた緑谷は一目散に駆けていく。勿論走り出す前に乙骨と五条にきちんと挨拶した上でだ。

優しく真面目、乙骨の中の緑谷の第一印象が決まった瞬間だった。

 

 

「真面目だねー彼。七海と気が合いそう……でもないか」

 

「それより五条さん! 僕って何組なんですか?」

 

「憂太もA組だよ。今走って行った彼と同じA組」

 

「な……なら早く言ってくださいよ! 予め教えてくれてたらこんな迷うこともなかったのに……」

 

「言ってなかったっけ? ゴメンゴメン」

 

 

謝辞の意など欠片も込められていない言葉を告げた後、五条は続ける。

 

 

「けど今日は違うから。A組に合流するのは明日……以降かなー」

 

「? 今日は違う……? 明日以降……?」

 

「そ。A組はヒーロー科のクラスで憂太もA組で授業を受けることになる。けど、君の所属は()()()()()()()()()()()。名簿上はA組だけどね」

 

 

五条の言葉を理解出来ないといった具合に首を傾げる乙骨を見て五条は笑いつつ、乙骨の肩に触れる。

次の瞬間視界が、否空間が歪み出し瞬き一つする内に乙骨の周りにあるのはガラス張りの壁でも綺麗に清掃された床の広がる廊下でもなくなった。木製の床に年期の入った壁とただ一つ用意された机、目の前には同じく筆跡を消し切れていない黒板と教卓。そしてそこに五条悟は立っていた。

 

 

「ようこそ。僕が教鞭を取る雄英高校『呪術科』へ」

 

 

「呪術科……?」

 

 

天下の雄英高校の校舎内にあるとは思えないほどの異様な空間、『呪術科』の教室で乙骨憂太の物語が始まろうとしていた。







お気に入りと評価は常に待ってます。モチベなんでね……
後はアンケート。2年組を出すか否か、その配分は的な。
ただ原作2年組全員出すとなると僕のスキル的に無理があるかもなのでアンケートの内容は参考にしようと思います。

USJ編の話構成(途中まで)

  • 1話1エリア分(今回の形式)
  • 1話2エリア分(例:乙骨+緑谷パート)
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