狐憑きて畏れを纏う   作:チキン南蛮

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書いたならば投稿せねば勿体ないの精神





覚醒

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたら檻の中だった。

 

混乱した頭で周囲を見渡すと、暗く湿ったこの部屋の四方八方に夥しいほど札が貼られている。どうやら四肢も拘束されているようで身動き出来ない。

 

「…………?」

 

 

 

 

ギギギギィ_

 

 

そんな時、遠くから音がした。まるで錆びた鉄を擦り合わせた様な不快な音が。もしや扉を開けた音だろうか?そうだとすれば、こんな不気味な部屋から出れるものならば早く出たかった。

 

 

 

 

しかしそんな期待は呆気なく崩れ去る。

 

 

こちらへナニカが近付いてきている。聞くに絶えない金切り声を上げながら私の方へ向かって来ていた、今すぐ逃げろと本能が恐怖するが動くことは叶う筈も無く。

 

逃げたい、逃げたいのに、ガシャガシャと金属音を発するだけで拘束は私が逃げるのを許してはくれない。むしろその音はナニカを誘うだけだった。

 

 

 

___どうしよう

 

どうしたら、怖い、逃げなければ。

 

焦ってもがいても解決策は出ない。

 

 

 

_______ガシャ、ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ血が出たガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャこわいガシャガシャ手首の肉が削げたガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ痛いよガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャナニカはもうすぐそこまで来てるガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ誰か助けて。

 

 

 

 

ギィィ…ァアアアソソア?ソソソソソソボネエエェ!

 

 

目の前まで迫る異形と目が合った。

考えるまでも無く理解する、私はここで終わるんだ、と。

 

大口を開いたソレに頭を掴まれた。きっと私の事を頭から食べるんだなとぼんやり思う、これが現実逃避か。

そういえば、どうして自分がこんな目にあっているのだろう?意識があるまま食い殺される程の事でもしただろうか。

 

 

ぐるぐる同じことを考える。考えてもどうしようも無い事を、解決策なんて出ないけれど考え続ける。

だって私、まだ死にたくないんだから。

 

 

 

最後に浮かんだ感情は強い怒りだった。

 

 

 

 

殺してやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰に向かってものを言うておる、この塵屑

 

ズプリと一突き。たったそれだけでべシャリとその場に崩れた異形は大穴が空いて随分と風通しが良さそうになった。

 

貴様なぞ余興にもならぬわ

 

呆気なく崩れ落ちたモノを見つめた。さっきまでとても恐ろしかった筈のナニカに対して、もはや微塵の恐怖も湧いてこない。

この程度、尾で一突きしてしまえば塵と化すのだからなんとも呆気ない雑魚である。

 

 

一拍、思考がぶれる。

 

 

「動物の…尻尾…?」

 

はたと気付く。目の前の尾…何だ、これ…??

吸い込まれるように視線が釘付けになり、何処から伸びているのかとそのまま目で追うと、その尾は自分から生えていた。

 

 

「は!?」

 

思わずくらりとした、アッ無理キャパが…

そこで私は気を失った。

 

 

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは何処ぞ」

 

知らない天井だ………定番を言う筈が、口から出たのはやや古風な話し方。あれれ、おかしいぞ〜〜〜!!!?他にも色んな言葉を話そうとするが口調は一向に変わらず。も、もしやこれは噂に聞く自動翻訳機能では〜〜??まずい、何がどう不味いのかはよく分からないがとにかくオタクの感がこれはまずいと訴えていた。どういうことだってばよ・・・

 

 

 

 

私の名前は□□□□□□。

花の女子大生である。

趣味はアニメや漫画を楽しみ、支部や笛吹を徘徊しあれやこれやに手を出すやや腐ったどこにでもいる普通のオタク!だったはずだが、、記憶を探ると最後に見たのは迫り来る光と地面との熱いベーゼ。

記憶はここで途切れている。

 

 

 

…なるほどね。はいはいはい……完璧に理解。

まず間違いなく私はトラ転した。履修済みのオタクは理解が早い。

それはいい、いや良くないけど。頭の中を整理したいので取り敢えず話を進めよう。

 

 

実は先程から、身に覚えの無い記憶が流れ込んできているのだが……それによると、どうやらこの体は先祖代々狐憑き、というものらしい。倒れる前に見たものと言い、この口調。嫌な予感はしっぱなしだが、恐る恐る部屋に置かれた鏡台へと向かう。

映った姿を確認すると____蝋のように白く艶めかしさをかんじる肌。墨を溶かしたかのような深い漆黒の髪と瞳。そこには、やや幼さの残る美少女がそこに居た。と、いうかこれはやはり。

 

 

 

 

 

もろ羽衣狐やないかい!!!!

 

 

 

 

 

 

ジーザス、あるいはくそったれ。

私は天を仰いだ。

 

 

 

 

私が今置かれている状況を整理するとこうだ。

この体は山吹家長女である山吹 八重であり、呪術師の家系である我が山吹家はそれはもう大昔にすっごいつよい(恐らく特級だろうな)化け狐に呪われたらしく、先祖代々狐憑きが生まれる時があるらしい。

そのせいで、同じ呪術師には遠巻きにされ煙たがられているとの事。

 

そして、狐憑きが転生を繰り返す毎に力が増すことに気付き、器次第では乗っ取りも有り得るかもしれないと恐れた連中が、早めに殺しておこうと山吹八重を攫い拘束したと言う事だった。

これは私の予測に過ぎないが、狐憑きの膨大な呪力に器として耐えるのを無理していたであろう八重は、あの部屋の呪力に後押しされ遂に耐えきれず壊れてしまったのだろう。そうして、空っぽの器に何故か私が入り込んだと考える。

こんな美少女に対して余りにむごい仕打ちだ。実行犯共は人権を学び直してきた方がいい。

 

 

 

「(っていうかさ…)やはりとも言うべきか」

 

一度思考を止め私はフ、と笑を零した。

 

 

 

 

ここ、呪術廻戦の世界かよオオオォ…!!

 

どうしてなんだよ!!よりにもよって右を見ても左を見ても地獄絵図!!さらには生まれも最悪!!!

状況は絶望的であった。こんな所で生きてかなきゃならんのか…

 

 

 

 

たすけて京妖怪……!

 

やっぱり呪術師はクソだった……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▷▶︎▷▷▶︎▷▷▶︎▷▷▶︎▷(次回)

 

 

 

 

 

 

青い空、白い雲。手入れの行き届いた中庭。

桜吹雪が舞う心地良い季節、春。

 

 

「まあまあ動けんじゃん。雑魚には変わんねーけど」

 

 

そして鳴り響く戦闘音。

私は今、呪術高専東京校に居た____

 

 

 

 

 

(どうしてこうなった)

 

 

 

 






次回!高専編!
ハートフル青春ストーリーをお楽しみに!

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