僕と日菜さんが付き合い初めて初めての平日。
現在は昼休みであり僕と日菜さんは食堂でお昼を食べていた。
日菜さんは、花を眺める様に僕の顔を暫く見つめてからこう言った。
「そう言えば双子の他に仲のいい人いない?」
「どうしたの、急に。」
「いや、もしかしたら浮気とかの警戒をしないといけないから」
「僕はそんなプレイボーイじゃないよ、クラスの人とは話すけど特に自分からは必要な時以外は進んで話さない、きっと僕は世間一般的にははぐれ者って言われる。」
「確かに、双子と私とか以外に一緒にいるのはあんまり見ないね」
「友達がいないからね」
「普通は焦るように作るものだと思うけど?」
「そんな事をしても悲しいだけだよ」
「あの二人で十分だった、ということかしら?」
「確かにそれもある」と僕は返した。
「ならしばらくの敵はあの双子ね」
「敵?」
敵?なんの敵だろうか。話の流れ的には恋敵的なものなのだろうけれど。
「ハルくんは二人に今まで恋心を抱かなかったの?」
「いや、無いね1度も」
「あんなに近くにいたのに?」
「近くにいたからだよ、例えばお父さんとかお母さんには恋心は抱く人はいないだろう?そんなものだよ」
彼女は「でも何処かあの二人はおかしい」と言って、食べ終わったオムライスの皿に残ったグリンピースを二粒暫く眺めてから、スプーンで掬って苦虫を噛み潰したような顔をして食べた。
「嫌いなの?グリーピース」
僕がこう聞くと彼女は少し呆れた顔をして
「あまり好きじゃないわね、見た目は華やかだけど、食べると苦味しか与えないから」と言った。
「僕は好きだよ、グリンピース」と答えた。
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家に帰るといつも通り萌が夕食を作っていた。
葵は、僕が来るのを知っていたようにすぐにこちらを見た。
「どうしたの?」
と僕が尋ねると、葵はふんと鼻を鳴らして僕を睨んだ。
「あのクラス委員長となんかあったのね、多分最近遊びに行った時に。いつもは私達とお昼ご飯を食べてるのに」
気が付くと包丁がまな板をたたく音がなくなって、萌も見ていた。
「あると言われればあるかもしれない」
僕は恋人と口に出して説明するのが少し恥ずかしくて二人には暈した。
そして、萌は再び包丁の音を立て始めた。
「大丈夫ですよ、私は陽さんの味方ですから」
「味方?」
僕は萌の言ったことに首を傾げた。
「そうね、私も陽の味方よ」
葵もそう続けた。僕は二人の言うことがあまりに不可解で何回も考えても答えは出なかった。
「それってどういう事?」
僕は不透明な空気の固まりみたいなものが喉につっかえている様な息苦しさの中必死に言葉を紡いだ。
その空気の固まりが、どこか僕を引き留めているように感じた。
異世界に押し出される事塞ぐ栓みたいに。
「だって陽、貴方は日菜に騙されたのでしょう?脅されたりしたから付き合ってるのよね」
それが当たり前かの様な顔をして、僕を見た。
ファミレスで友達に話すかの様に。
「そんな事ない、これは僕の意志で」
二人は軽く息を吐いて、その吐息に少しあざ笑うかの様な響きを乗せた。
「だってそんな事あるはずがないじゃないですか。私達は陽さんのことを全て知ってます。好きな食べ物、嫌いな食べ物、趣味嗜好、それこそ身体の黒子の数だって。生まれた時から一緒なんですから。私達の今までの、そしてこれからの人生は陽さんの為にあるんです。陽さんは私達の為だけにあるんです。」
「そして、そこには他の女はいらない。私と萌と陽だけで十分。日菜なんて入る隙間すらない。それなのに虫みたいにちょっとした綻びみたいな所に入って私達を引き裂こうとする。騙そうとする。」
「あの人に陽さんの何が分かるでしょう、」
淡々とただ研究結果を発表するみたいに言っている二人の表情とは反対に目は日菜さんに対する強い憎悪と僕に対する執着心がドロドロに混ぜられて世界中の黒を集めてそれを煮詰めたような色に満ちていた。
「今すぐ日菜さんと別れてください、あの人は私達にはいりません。もし言うことを聞いてくれないならば私達は何するか分かりませんよ……?」
「ひとまず私達の貴方への愛が分かるまでは太陽の光は拝めないでしょうね?」
怪しく二人は口を三日月のように歪ませ微笑んだ。
僕は自分を鳥籠に閉じ込められた鳥の様に思えた。
「言ってあげなさい、君より私達双子の方が愛してるって」
「陽さん、前姉さんが昔から何も変わってないと言いましたよね。いいえ、私も姉さんもとっくの昔から変わってるんですよ。ずっとイルカのキーホルダーと共に貴方への思いを持ち続けてたんですから」
双子ヤンデレ幼馴染っていいなって話でした。