〔ソシャゲ〕スキルで少女たちを飼い慣らす   作:ash.w

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新年一発目がこれです。



[契約の儀式]

少女の背中が見える、白磁のような肌だ。

白魚のような手が、金色の髪を束ね手折れそうなほど細い首がさらけ出されている。

健康的でしかし華奢な少女は自らの背を見せていた。

生まれたままの姿で、しかし脱いだ服で前だけ隠し俺に無防備の背を見せていた。

場所は宿屋の一室、たった一つのベットに腰掛け少女は俺に背中を見せる。

何をどう取り繕ってもこの汚れなき純白を今から汚すのだという事実に躊躇していると。

 

「どうしたのですか、主様?」

 

肩越しに、青空のような/大海のような蒼い瞳で、朱に染まった頬とともに顔を覗かせる。

柔らかな唇が優しい声を紡ぐ、

 

「契約……して、ください」

 

促すように、願うように言葉囁かれる。

覚悟を決めて、その背に触れる。

 

「んっ」

 

冷たかったのか、それとも触れられた歓喜か、少女から艶のある声が漏れる。

背中の中央に手のひらを当て、

 

契約(コントラクト)

 

掌から光があふれる。

その光は掌を介して背中へと移り、一つの文様へと変わっていく。

少女の耳の上の髪の毛が跳ね新たな耳が生える。

さらに尾てい骨からふさふさの尻尾が生える。

そして少女の吐息に少しずつ、艶が混じってゆく。

文様が完全に定着したのを確認したのち、終わったよと声をかける。

次の瞬間、振り向きながら右手で左肩を掴みそのままベットに押し倒される。

獣の吐息を漏らしながら、俺の上に馬乗りになる。

自分のものだと誇示するように首筋に噛みつく。

噛み付かれた痛みにうめく声に、少女が正気に戻る。

 

「あ、あの!!こんなこと…するつもり…なくて…っ?!」

 

先ほどまで押しつけていた体を跳ねるように起き上がり、意図せず自らの裸をさらす、そして自分が何の上に乗っているのか、気がついたとき少女の羞恥が限界を超えた。

 

「ッ~~~~~~!!」

 

声にならない悲鳴を上げながら獣のように飛び上がり、降りるとともに自分が放り投げた服を掴みながらこの部屋から扉を蹴破るように開き出て行った。

噛み付かれた痛みを感じながら小さく呟く、

 

「はぁ、どうしてこうなった」

 

再現を終了したようでさらさらと崩れていく部屋(仮想空間)を眺めながら、

 

「〔ソシャゲ〕ってなんだよ」

 

自身に授けられたスキルに悪態をつき左手で顔を隠す。

『ソシャゲ』が何なのかはわかってる、

オンラインゲームの一種だ。

それはわかってる。

だが、スキルとして見たとき、どのような効果があるのか、わかっていない。

その検証のために名乗りでたのが、先ほど逃げ出した少女である。

逃げ出した、では語弊がある。

恥ずかしさに耐えられなかっただけである。

 

【獣性】

 

今自分がいる世界では、そう呼ばれる何が巻き起こっていた。

発現者は決まって女性である。

しかし、潜在的に全ての存在がこの【獣性】を秘めている。

男性、無性の存在はスキルという形で発現する。

外見まで変化が起きるのは女性だけである。

変化した直後は、本能が勝る傾向にあり先ほども本能からくる行動であり彼女のしたかったことか?

と考えると疑問が残る。

〔ソシャゲ〕のスキルによって彼女の持つ【獣性】が強制的に発現させられたから、あのような行動をするに至り、故に一線を越えることか無かったのではないかとも考えられる。

まして俺は、彼女と知り合って間もない。

好感度的なものが足りなかったと言える。

では、足りていたら、越えたのか?

己の疑問に頬が赤くなるのを自覚した。

首を数度ふり肩の痛みがなくなっているのに気がつき行動を開始しようと起き上がって、周囲を見渡す。

先ほどまでの木造の安宿の部屋は姿をなくし、無機質な白で構築された部屋に戻っていた。

人工的な照明に照らされた、その白い部屋はまるで病室、いや研究員の一室と言った方が正しいだろう。

窓はなく、外との連絡は自動ドアの反対側の壁に埋まった画面だけである。

インテリアすらなく、部屋の中央より画面よりにあるベットがその存在を主張している。

 

『ヤッホー、通信聞こえてる?』

 

画面がついたかと思うと、軽いノリの声が聞こえてくる。

見れば、白衣の女性がいた。

本名は聞いていない、ただ博士と呼ばれている人だ。

 

「ああ、博士。騒がしくなかったですか?」

 

『彼女のことかい?問題ないよ、むしろあの子の可愛らしい姿が見れて嬉しいくらいだよ』

 

と、画面の向こうが騒がしくなる。

どうやら件の彼女が、また何かやらかしていたようだ。

 

『君がこの世界にやってきてから早ひと月、君の処遇について今の今まで話し合われていたんだが、彼女の【獣性】の覚醒によって君に一つの役割が与えられたんだ』

 

「役割ですか?」

 

『そう彼女達を飼いならすというね』

 

「達?一人ではなく複数人を相手にしろと」

 

『ああ、君のスキルは複数人を強化することのできる複合スキルだ。そういうものだろう〔ソシャゲ〕というものは』

 

いる場所も時間軸も無視して、複数人と交流できる。

他の人では不可能だろう。

やる以外に、俺が生きて行ける道があるのか?

 

『残念だけどないね、君の能力は特異過ぎる』

 

ならば仕方ないだろう。

 

「わかりました、その役割受け入れます」

 

『そうか、ありがたい。資料、あの子も落ち着いたようだしあの子に持っていかせよう』

 

なにやら向こうで抗議の声が聞こえたが博士は無視した。

 

『じゃあ、頑張りたまえ』

 

そう言って通信が途切れ画面が自分の顔を写す。

何ら特徴の無い、黒目黒髪のTHE日本人という感じである。

 

 

 

ここまで特徴のない人間ではなかったはずなのだが、スキル発現とともにこのような姿になってしまった。

そも事の起こりからして、

自分の部屋をでたら外にいた。

その事態に驚いて

さらにガラスに写った自分の姿に更に驚き、

〔ソシャゲ〕なるものを見て周囲を警戒した。

突然、オサナナジミを名乗る赤の他人とか

姉を名乗る不審者とか

自称妹とか

十一歳のママとか

貴方の前世の恋人とか

画面の向こう側にしかいない存在が現れるのか?

と焦ったが、そもそもスキルなんていうものが一般的な日常にはないものだと気がついたとき、俺は既に異世界人に成り果てていた。

その後、すぐに保護されて今に至る。

今現在この世界で起きている【獣性】について教えて貰ったが、それ以外は君に教えるか協議しなければならないとのことで、あれやこれやと話し合っていたが、実際にスキルを検証する必要があるだろうと。

そこで立候補したのが彼女である。

あんなことになるまで、正しく機械のような対応だったのだが、〔ソシャゲ〕の派生スキル[契約の儀式]を使用した。

結果、衆人環視の中でかなりやばい状況になったのだが、まあいいだろう。

[契約の儀式]とは、あの文様を刻むことこそ重要でそれ以外はおまけである。

おまけの内容がかなり濃いが、ソシャゲ故致し方なしとしておこう。

かくして、俺の飼い主人生が始まった訳である。

それは同時に停滞していた世界が動き出すということでもあるのだ。

その渦中におれもほうりこまれたと自覚するのにさほど時間はいらなかった。




こちらは、物語ではなくキャラストーリーやイベントを中心に据えたいと思います。
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