時空を超えた英雄   作:深紅の瞳

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 今回は戦闘シーンが少しあります。初めて書くので、出来が悪くても文句は言わないで戴けると……( ´△`)。


第5話 【福音(ゴスペル)

 僕とお義母さんは教会を出て少し歩いた場所にいた。

 周りに建物が見えるが、その中で誰かが暮らしているわけではなさそうだ。全て廃墟になっている。

 今歩いている場所もだけど、あの教会周辺は人が誰も住んでいないのはこの時代も同じらしい。

 そんなことを考えながら歩いていると、僕の前を歩いていたお義母さんが立ち止まった。

 

「あの~、ここに何しにきたんですか?」

 

「お前と別れるためだ、ベル」

 

「えっ?」

 

「そのままの意味だ。私はここでお前と別れ、闇派閥(イヴィルス)の拠点に戻る」

 

 僕の疑問にお義母さんは淡々と答える。

 

「ど、どうして!?」

 

「冒険者達に『洗礼』を与えるためだ。ベル、お前は黒竜を倒すのは無理だと言ったな?あのモンスターを倒せる『可能性』を持つお前が黒竜を倒すことを拒んだんだ。ならば他の奴があの『怪物』を倒せるように、私はそいつらの『壁』にならねばなるまい」

 

「……」

 

 お義母さんの言葉に僕は言い返せない。

 僕の発言が原因でこのような結果になったからだ。

 お義母さんは僕に背を向け歩いていく。

 このままでは僕の居た時代と同じ様に彼女を『大罪人』にしてしまう。

 そんなの、嫌だ!

 そんな『未来』を知っているのに、みすみす行かせるのは嫌だ!

 何より、『持病』で死期が迫っているとはいえ、彼女の寿命を縮めて早死にさせたくない!

 ギリギリまでちゃんと生きてほしい!

 両親が居ないこの時代の僕と最期まで一緒に暮らしてほしい!

 そんな想いを糧に僕は足を前へ踏み出し、お義母さんを止めようとする。

 

「待ってください!」

 

「そういえば、ここまでわざわざ出てきてお前に別れを告げた理由を言ってなかったな」

 

「へ?」

 

「それは、引き留めようとするであろうお前を叩き潰す際に妹の愛した教会まで破壊してしまわないためだ────────【福音(ゴスペル)】。」

 

「ッッ!!」

 

 最後に彼女が発した『詠唱』を耳にした瞬間、僕は自身が立っている位置から急いで飛び退いた。

 理由は無い。ただ感覚的に、ここ居てはまずい、と思ったからだ。

 結果、その判断は正しかった。

 証拠に僕がさっきまで立っていた場所は、いや、そこを含むお義母さんの周り(・・・・・・・・)は地面が抉れている。

 もしあのまま立っていたら、僕は魔法を受けていただろう。

 僕が冒険者生活で身に付けた危機察知能力は伊達ではなかったようだ。

 しかし気になることがある。

 

(魔法の行使速度が僕とほぼ同じ!)

 

 やりにくい……。

 実際に速攻魔法を受ける側に立ち、身を持って自身の魔法の厄介さを実感する。

 その上彼女の魔法は不可視だ。

 僕の魔法は速度重視なので、ベクトルは違えど厄介さという点ではここでも一緒だ。

 こんな状況でなければ喜べたんだろうけど。少し複雑な気分だ。

 

「驚いたな。私の魔法を初見で避けられる奴はそうそう居ないぞ」

 

「……嫌な予感がしたので何となくで避けただけです。別に凄くはありません。運が良かっただけで」

 

 お義母さんは驚いているようだが、僕は謙遜して答える。

 実際にあんなの毎回やられたら避けられるわけがない。

 

「そんなに自分を卑下しなくても良いだろうに。十分凄いぞ。しかし、これなら少しは楽しめそうだな。少しギアを上げるぞ……フッ!」

 

「──っ!!」

 

 お義母さんが高速で近づき手刀を放ってくる。

 僕は何とか避け、そして反撃しようと今唯一装備している《神様のナイフ》を腰から抜こうとして止まった。

 お義母さん、肉親に刃を向けるのをためらったからだ。

 

「甘いな、お前は」

 

「──ぐほぉ!」

 

 お義母さんは当然そんな僕を待つわけがなく、腹に蹴りを入れてきた。

 

「お前の考えていることは手に取るように分かるぞ、ベル。大方、肉親(わたし)には刃を向けられない、とでも思っているのだろう?それが私に対する一番の侮辱だとも知らずに」

 

「っっ!?」

 

「お前は未だに自分の気持ち(・・・・・・)にすら気付けていないようだな。何故お前がこの時代に来たのか、考えてみろ」

 

「……何を、言って?」

 

「私はこれ以上何も言わん。自分で考えろ。それと軟弱なお前にはもう手加減はしない。」

 

「ッ!!」

 

 そう言った瞬間、彼女から僕の方に『風』が流れてくる。

 そして同時に彼女の周りの『魔力』が増幅した。

 今までの魔法は本気ではなかった(・・・・・・・・)のか……!?

 

「一つ忠告しておく。……死ぬなよ?」

 

「まずい!!」

 

「遅い。【福音(ゴスペル)】────────【サタナス・ヴェーリオン】」

 

「ぐぅううううううう!?」

 

 回避が遅れたベルはアルフィアの本気の魔法をもろに食らった。

 今ベルはまともな装備をしていない。この時代に転送された装備は教会の地下室に置いてきたからだ。ゆえに普段街中を歩く際に着る服しか身に付けていない。唯一《ヘスティア・ナイフ》があるが、これではアルフィアの魔法は防げない。

 よって、魔法の攻撃が止んだ時にはベルはボロボロになっていた。

 服は破れ、頬、肩、脇腹などの様々な箇所には酷い裂傷が出来ていた。

 しかし、それだけだった(・・・・・・・)

 普通は対アルフィアの魔法専用の魔道具や防護の魔法無しの生身でアルフィアの魔法をもろに食らうとLv.5でも重傷どころではすまない。最悪死ぬ。

 しかし、ベルはその場で倒れるわけでもなく、踏みとどまっていた。それだけではなく、これくらいの傷は全く問題ないとばかりにアルフィアの方へと足を進めている。

 これはベルのLvに不相応な尋常ではない『耐久』の能力値(アビリティ)の恩恵でもあるが、少し違う。今のベルの傷を負えば、普通は誰でもその場で倒れ戦闘不能に陥る。【ロキ・ファミリア】のガレスでさえ例には漏れず、そうなるだろう。

 だが、ベルはこれまでこれくらいの重傷を負いながらも何度も格上相手に挑み、その上打破している。

 その経験がベルに膝をつくことを決して許さない。

 他ならないベル自身もこれくらいで倒れることを許さない。

 

「……お前は私をどこまで驚かせる。Lv.5でありながらここまで耐えるとはな。もう立つことすら難しいだろうに」

 

「はは、これくらいの傷、僕にとっては大したことないですよ」

 

 アルフィアも今まで以上に驚嘆している。

 そんな彼女にベルが自慢気に答えた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

「────あー、俺も流石に驚いたぜ。まさかアルフィアの本気の魔法を浴びて、Lv.5でありながらここまで耐えるとはな」

 

 と、目元に傷を負った全身鎧の大男がベルに向かって楽しそうに声をかけてきたのは。

 

 




 アルフィアの本気の魔法を食らった時のベルの状態はあれであながち間違ってないと思います。
 ベルはLv.1の時から(精神的にも肉体的にも)ボコボコにされたあとで、最終的にはその理不尽すぎる『壁』を乗り越えてきましたからね。Lv.4の時は【フレイヤ・ファミリア】のあの洗礼ですよ。皆さんも17巻読んで知ってると思いますけど、あんな極限状態に落とされて最後まで屈しないって結構凄いんですよね。
 だからこそ、それを乗り越えたベル君ならアルフィアの本気の魔法を食らって重傷負っても、決して倒れることはないと思いました。流石に何度も食らったら無理だと思いますけど、一発程度では絶対倒れないと思います。
 ガレスでもベルと同じ傷を負ったら倒れるとした理由は簡単です。ダンメモ三周年の一章のアルフィアvsガレス&リヴェリアで、威力を押さえたアルフィアの魔法を前にあっさり破れたからです。条件はベルと一緒で、アルフィアの魔法の対策無しの生身で受けて、ですよ。
 僕が思うに、ガレスは『打たれ強さ』はちゃんと人一倍あるんですよ。ドワーフですし。でも、ベルやオッタルのように、理不尽をたった1人で乗り越えるって経験が少ないから、『理不尽』を前には弱いんだと思います。これはほとんどのダンまちキャラに言えるんですけどね。ダンまちの世界では、レベルは絶対で、自分を越えるレベルの相手を倒すときって共闘することが当たり前ですから。ベルやオッタルさんが少し異常なだけで。あとは彼等ほどではないけど、アイズとか【フレイヤ・ファミリア】の幹部も含まれるのかな?まあ、そんな所です。
 最後に補足ですが、ダンメモ三周年の三章の最後の方、ホントに終盤の方で対アルフィアの魔法専用の魔道具とかリヴェリアの防護魔法も全て無くなったあとに、アルフィアの本気の魔法をリューさん達が受ける シーンがあるのに、リューさん達が大丈夫だったのは、単純にアルフィアの方に限界が来ていて魔法の威力が著しく落ちていたからです。もし序盤から受けてたらリューさん達は即死してました。
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