トムとフラン   作:AC新作はよ

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トッムのチート回。主人公だしチートあってもええやろ!な!


第十一話 いかにして彼は自らを示すか

「おい坊主!5番の子とかどうじゃ!」

「んースタミナがあるのは良いと思うぜ。けどラチ回る時の癖が気になるなあ。あれ直したら1200なら入着は狙えそうだけど、もっと上狙うのはあの子の努力次第だな」

「そういう話は聞いとらんわ!ウマ娘を見てかわいいとか思わんのか!」

「そっちかよ。俺ロリコンじゃねえし…」

 

智哉の隣に座る老紳士は、ひたすらにウマ娘愛を語る人物であった。

彼はレースなどそっちのけで、ジュニアチームの幼いウマ娘達の可憐さを試合毎に熱く語っている。

 

「ロリコンとかそういう話ではないわ。坊主にはまだわからんかのー」

「わかんねえなあ…」

 

老紳士のウマ娘愛に辟易しつつも、智哉には懸念があった。

 

(このじいさん、姉貴がどうしても俺をレースに連れてきたかった理由だよなあ)

 

昨夜から不可解だった。姉がここぞの「お願い」を出してきてまで連れ出す理由がレースだけではあまりにも弱い。

最初はメイドと対面させる為と思っていたが、それなら久居留邸で会っても問題ないのだ。

そして、そこから考察すると、この老紳士がわざわざサングラスとマスクで顔を隠しているのも予測がつく。

 

(…顔見せたら俺が逃げる相手って事か。姉貴の例の情報源かその関係者だろうな)

 

顔を見せないのは、こちらに危害を加える気は無いという意思表示でもあるだろう。

しかし、謎は残る。智哉はただの16歳のトレーナーの卵なのだ。社会的に何の影響力もない人間だ。

天上人、もしくはその関係者がわざわざ対面しに来る相手ではない。

 

「坊主、次は儂は3番の子がええのー。あの芦毛と長い耳がかわいらしいのー」

「じいさん、レースの方も観ようぜ…」

「…ふむ、レースか。そうじゃの。それなら儂とちょっとした遊びをしよう」

 

老紳士が、智哉の眼前に指を3本立てる。

 

「次のレース、3連対の子を当ててみんか?儂と坊主、お互い3人ずつ挙げてな」

 

3連対とは、競走バが3着以内に入着する事である。

 

「…いいけどよ、外れても何も無しだよな?」

「当たり前じゃ、遊びじゃからな。ただの…」

 

老紳士は、言葉を切ってから、サングラス越しでもわかるほどの真摯な目付きで告げる。

 

「──遊びでも、ウマ娘に関わる事じゃ。本気でやるべきじゃな」

 

(!!)

 

ここで智哉は、この老紳士の目的、何を見に来たかを察した。

この老紳士は自らの隠しているものを知っている。智哉の力を聞いている。

 

(こりゃ親父も噛んでるな…マジで何者だよこのじいさん。知りたくねえけど)

 

家族しか知らない秘密のはずである。姉はむやみに言うはずがない。

ならば、この秘密を開示するのは父しかいない。久居留家当主の父だけがこの秘密を開示する権利を持っているのだ。

 

「…わかったよ。本気でやる。ただしじいさん、俺が勝ったら見たもの全部他言禁止で頼むぜ」

「約束しよう。儂は1、3、4じゃ。3番の子に勝ってほしいのう」

 

智哉が準備中の次走のウマ娘達に目をやり、深く息を吐く。

 

(啖呵切っちまったけど、使うの久しぶりなんだよなあ…まあ何とかなるだろ)

 

意識を体の、心の奥に集中させる。そこにわずかにあるウマ娘との混血の証拠、名も無きウマソウルへ──遠い世界の、誰かの意識を引き出す。

そしてそれを掬い上げ──目に宿すのだ。

 

智哉の目が、青き光を帯びる。

 

その様子を、老紳士は、羨望するような、懐古するような目で見つめていた。

 

(相マ眼…この年になってまたお目にかかるとはの。長生きはするもんじゃな…)

 

智哉は、ウマ娘の母の血と、祖先のウマ娘達の血を色濃く継ぐ混血の男である。

強い血は、男であろうとわずかにウマソウルのような何かをその身に宿す。

その何かが、遠きどこかの世界と繋がり、力を貸してくれるのだ。

 

智哉の力は相マ眼と呼ばれるものだ。その力は──

 

「一着1番、二着4番、三着7番だ」

 

──ウマ娘の実力(ステータス)を、完璧に把握する力だ。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

「負けるとはのー、しかも着差まで当てられたら完敗じゃん、儂…」

「じいさん、3番の子は贔屓したかっただけだろ…」

「なんのことじゃ?儂は3番の子推したいぞ」

「はいはい…じゃあちょっと行ってくるわ」

 

智哉は立ち上がり、競走を終えたウマ娘達の方に向かう。

 

「まて、どこに行くのじゃ?」

「…その3番の子、多分足首悪くしてるぜ。ほっとくと故障する」

 

相マ眼は実力を把握すると共に、故障個所が赤く光って見えるのだ。

智哉は父と共にいた頃、これを使って父の管理バ達の怪我を知らせていた。

 

「待て、坊主」

「じいさん、俺急いでんだけど…」

「坊主、見たところクラブ関係者じゃろう。対戦するかもしれないチームの子をなぜ助ける?」

 

智哉を、試すような問いかけであった。

 

 

「──敵だろうが、怪我しそうなウマ娘を見捨てる奴なんてトレーナーじゃねえだろ」

 

 

当然のように、智哉はそう答えた。

 

「そうか、そうじゃな」

「門前払いされるかもしれねえけど、言わずに後悔したくねえからな」

「坊主」

「なんだよじいさん。もう行きてえんだけど…」

 

振り向いた智哉に、何かが投げつけられた。それを思わず手で受け止める。

 

「持ってけ、スタッフパスじゃ。それなら控室まで行けるぞ」

「…ちょ、じいさん、それ隠す意味…」

「いいもん見れたからの、見物料じゃな」

 

そう言うと老紳士は、呵々と笑う。

智哉はもう振り向かず、控室に走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「どうでした?」

「欲しいのう、あの坊主…」




チート使用時はアプリトレと同じ+怪我を感知できると思ってクレメンス
他の客「なんか目光ってる奴いるんだけど…」
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