超気性難ゴッド超気性難の登場も控えてるからほんとは巻いてかなあかんけど…。
「今日は何するの、トモ兄?」
「そうだなあ、まずは軽く姉貴と併走、それからゆっくりと流すか。走るの楽しいのはわかるけどペース配分も覚えないとな」
「りょーかい。それじゃ準備体操しよっかダンちゃん」
ダンが走る事の楽しさに目覚めてから三日後の昼下がり。
二日ほど家を空けていた智哉は、その間姉に指導を任せていたダンの練習に合流していた。
ダンの走法の矯正に、智哉は現在試行錯誤中である。
小さな足に対して圧倒的な天性の脚力。軽自動車にジェットエンジンを積んでいるようなものだった。
智哉はこの脚力故にダンの怪我を考慮していたが、初日に脚を触った際にその心配は霧散している。
ダンの脚は、生来この脚力に十分に耐えきれる頑丈な脚であり、正に三女神の寵愛を受けているかのような天性の競走バだった。
フランに匹敵し得る才能を見つけて、智哉は内心舞い上がっていた。
そして当日から暇を見つけては、夢中になってダンの走法と育成方針を考えに考えている。
当日から既に手配していた物も今日届く。
そんな智哉に、姉に背中を押され準備体操中のダンが声をかけた。
「トモ兄、そういえば二日いなかったのは何してたの?」
「ん?ああ、仕事行ってたんだよ」
「えっ……?」
この智哉の答えにダンが口をぽかんと開けた。
衝撃の事実であった。隣のお兄さんが勤め人だった。
「トモ兄働いてたの!!!?」
「お前俺の事何だと思ってたんだよ!!?」
この言葉は智哉に堪えるものがあった。
ただでさえ、ある条件のせいでチームで肩身の狭い身である。
そして姉は爆笑した。確かにダンの視点ではそう思われても仕方ない。
何せこちらに来てから、智哉はダンの事以外でほとんど家から出ていなかった。
「あっははははは!!トム、そう思われても仕方ないでしょ」
「笑ってんじゃねえよ姉貴……」
傷付いた様子の智哉に、ダンが耳を垂れさせて申し訳なさそうにする。
「ご、ごめんねトモ兄」
「怒ってはいねえよ。確かにほとんど家にいたしなあ……」
そんな一幕がありつつも、本日の指導は平和裏に終わった。
*****
その日の夜である。
智哉と姉は、自宅から離れた場所にあるナイター施設の芝コースに来ていた。
今日から、ダンの為にやるべき事があった。
「よし、姉貴、誰か来ないか見ててくれよ」
「……わかった」
現在コースには姉と智哉しかいない、ほぼ貸し切りの状態である。
智哉は現在、その超人の力をある条件下以外では禁じられている。
今回は姉の監視下で人目の付かない場所でなら、という限定的な許可の為にわざわざ夜も更けた時間にここまで足を運んでいた。
そんな智哉を、姉が呆れた目で見つめる。
「あんたさあ、そんなもんまで用意して……そこまでやる?」
「…姉貴もわかってるだろ?ダンはとんでもない才能だ。ここまでやるべきなんだよ」
智哉がそう言いながら、この為に用意した蹄鉄シューズを装着する。
チームの備品担当に無理を言ってすぐに用意させた、特注の異形のシューズであった。
その特徴はただ一つ、接地面が従来より少ないという代物である。
つまり、人工的にダンの足の小ささを再現したものだった。
「よし、走るぜっとぶええ!?」
超人の能力を発揮し、走り出した智哉は数歩で地面を転がった。
当然の結果である。
「ほら、言わんこっちゃない……」
「いや!今のは初回だから……ぐべえ!?」
そう言いながらまた智哉が地面を転がり回る。今度は顔面から行った。
走る事に特化したウマ娘のダンですらその脚力でこけていたのだ。
ウマ娘に匹敵するとはいえ、ベースが人間の智哉では更に厳しい状態であった。
ようやくまともに転がらずに走れるようになったのは、両手の指で足りなくなる程転がってからだった。
しかしここで問題に気付いた。
「普通に走ると減速ができねえなこれ」
一度加速したら、接地面積の少なさ故に減速が困難な事に智哉は気づいた。
一度末脚を切ったら、片道切符である。走法自体を一から考える必要があった。
「そうね、やっぱり差し?」
「まずは差しだろうけど、それだけだと勿体ねえんだよなあ。姉貴みたいに先行で末脚を切る作戦もやらせてえんだよ」
姉の脚質は先行で、その持ち味は切れ味鋭い末脚である。
それ以外の作戦を姉は知らない。だが不器用な訳ではない。
自らの持つ最強の手札にまで昇華された、完成度の高いワンパターンと言うべきであろう。
早めの仕掛けで逃げ切り、最後の直線での仕掛けで差し切りとレースプラン次第で柔軟に使い分け、グローリーカップでも三勝を挙げている。
ついでにラフなプレーにも慣れており得意である。試合巧者なのだ。
抜けてきそうな相手をさりげなくブロック、場合によっては腕を大きく振り、横の相手を流させて抜けるコースを作る事までやってのける。肘は反則である。
姉の走る姿を思い浮かべながら、智哉は思考を巡らせた。
ダンの走法についてである。
(できるだけ接地面を増やすか、それとも接地回数自体を減らすか。あの脚力ならストライドも行けるだろうが……レース中に着地失敗してあいつが怪我する危険がある……しっかり地面を踏ませる形が理想だな)
ストライド走法とは、歩幅を出来るだけ大きく取り、なるべく接地回数を少なくするウマ娘の走法である。
この走法の理想形と言われる日本の英雄と呼ばれるとある名バ、そしてアメリカの飲んだくれは正に飛ぶように走るのだ。両者とも最終直線で最高8m接地無しで飛んだことがある。
(地面にしっかり足を付けて、あの脚力と地面との反発で一歩一歩確実に推進力を得させる。踏むというよりは地面を適度に蹴り潰すのが理想か。これだな……なら決まりだ)
「決まった?」
「ああ、ミッドフットに手を加える」
ミッドフット走法とは、足の中央で着地する走法である。
本来はステイヤーウマ娘の走法だが、智哉はこれに手を加えてダンの走法を編み出す事に思い至ったのだ。
「よし、んじゃもう一回走るわ」
「……その前にさ、聞いてもいい?」
姉が、真剣な表情で弟へ疑問を投げる。
最初から気になっていた事であった。
「どうしてダンちゃんにここまでするの?あんたがここまでするの、あの子の才能だけじゃないでしょ?」
姉の気掛かりは、智哉のダンへのこの献身であった。
弟は確かに優しい青年だと姉は思っている。絶対に言わないが自慢の弟である。
だが、ここまではしないはずなのだ。
わざわざ、たまたま隣にいた不憫な少女の為に夜に自らターフを転がる事はしない。
走法に関しても身を以て試す必要は無いはずである。ダン本人にやらせればいいのだ。
姉の危惧はただ一つであった。
「……フランの時、さ。俺、最後の最後で逃げようとしたろ。姉貴が連れ出してくれなかったら」
「…やっぱりフランちゃんと重ねて見てたのね。あんたさあ、ダンちゃんはフランちゃんじゃ無いのよ?」
「んな事わかってるよ。でもあの時と違ってダンの悩みは俺が何とかできる。だから何とかしてやりてえってのはおかしいか?」
智哉はあの日、自分では何もできない、何も知らない内に快復して走っていたフランとダンを重ねて見ていた。
結局ヘンリー理事が相マ眼の事を伝えていないせいである。
研修でメイドに折檻されてあのジジイはド忘れしているのだ。
フランの力にはなれなかった、ただ側にいただけだったと智哉は思っている。
だが、ダンは自分の力で助けられるのだ。今度こそという強い思いを持っている。
この弟を見て、姉はため息をついた。
きっと、この弟には必要な事だと諦めのついたような、深いため息であった。
「ああもう……わかったわよ、好きにやりな」
「姉貴、悪いな。何か知らねえけど最近苦労かけてるっぽいし……」
「そっちは貸し。あんたのそのクソボケが直ったらね」
「クソボケってひでえなおい」
智哉はそのままダンの走法の検証を続けた。
何度も転びながら、ダンの為に走ったのだ。
そうして智哉は、答えを得た。
三女神「知らん……何この子……怖……」
肘の殺し屋(金レアスキル):並んだ相手のスピードを落とす(効果大)確率で発覚して失格。イベントに登場する弟を助ける選択肢を選ぶと得られる金スキル「怪物の???」と二者択一
サポートカード:SSRパワーカード「暴君姉ちゃん」ミッドデイより獲得。
1.5部終わったらキャラ紹介必要ですか?アメリカの後にもう一本あるからまだ終わらんけど…
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いる
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いらない
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まだ二部行かないんすか…こいつクソっスね
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キャラ紹介やりたいならレース上等っすよ