ちょい短いけど許し亭ゆるして。次は火曜には投稿するやで。
いつもみたく日付変わるかもだけど……。
『アファームド・ファミリー印の糖度満点!スイーツニンジン!!無農薬であなたの食卓にお届けします!生で食べても甘くておやつにぴったり!もちろんお菓子の材料にもどうぞ!子供に大人気のスイーツニンジン、あなたの食のゴッドマザー、アファームドファミリーです!』
『オラのニンジンすっげえうめえぞ!?おめえも食わねえか?』
「……なあ、姉貴、これマフィアのフロント企業のCMだよな?アファームド映ってたけど、普通に健康的な農家の人にしか見えねえ……」
「アファームドファミリーって確かオーナーの元ライバルで、ニューヨークのドンとか言われてるマフィアのボスの組織よね……このニンジンすっごくおいしいのよ…」
マフィアがかっこいいからという理由で名乗っているだけのクリーンな農業法人のCMに、姉弟が困惑しながら感想を述べる。
このニューヨークを根城に勢力を伸ばす自称泣く子も黙るマフィア、アファームド・ファミリーはその名の通りかつての名ウマ娘、アファームドがボスを務める農業法人である。
アファームド──29戦22勝。うちG1競走14勝、エクリプス賞年度代表ウマ娘に二度輝いた伝説のウマ娘である。
智哉と姉の所属するチーム・カルメットのオーナーであるアリス・ダーウィンことアリダーの現役時代のライバルであり、彼女の怪我とほぼ同時期に競走バを引退、現在は実家の大農場を継いでその商才で規模を大きく広げている。
良質な農産物の卸売からそれらを活用した執事喫茶、競バ観戦バー等の運営まで手広くこなし、かつて栄華を誇ったマフィアのアジトを改築した施設をニューヨーク市内に複数所有している。
農産物の卸に関しては、闇取引と称して夜間に行われていた。何も悪いことはしていない。
彼女はマフィア被れであった。
「そうだ、あんた今日はオーナーと会うんだっけ?」
「ああ、こっち来てるらしくてな…ファーディさんから来るように言われたよ」
「ふーん、あとさ、話変わるけど…」
「何だよ姉貴」
智哉と姉は現在、サラトガカレッジ内のトレーナー寮で暮らしている。
ここは智哉の部屋である。姉はとある理由でここに転がり込んでいた。
ここのウマ娘寮に今、会いたくない人物がいるからである。
姉は、智哉に聞きたい事があった。以前から思っていた事だった。
弟の地雷を踏む気がして遠慮していたが、最近の弟の行動を見るに聞かずにいられなくなったのだ。
「あんたさあ、彼女欲しいとか思わないの?」
「へ?急に何だよそれ……」
弟は多感な時期に婦女暴行の冤罪で補導歴があり、この過去に起因して女性を敬遠している節がある。男が好きな訳ではない。
容姿に優れ、頭が良く、ウマ娘並の身体能力に性格もヘタレな所に目を瞑れば優しい好青年。おまけにレースの賞金や各メディアからの取材依頼で稼ぎもいい。弟のスペックは高く自慢の弟と自負している。
そんな弟が平地トレーナーになり、ろくな青春も送れずに仕事漬けなのは姉として不憫に思うこともあるのだ。
なおアメリカに連れてきて仕事漬けにしたのは姉である。
智哉はこの姉の唐突な恋バナに困惑した。
姉は交際していたトレーナーと破局している。
その原因が自分にあると薄々気付いている智哉は申し訳なく思い、そういう話は振ったことがなかった。
「あんたのせいでしょ」と焼きを入れられる事にビビっていたのもあった。
「うーん……なんつったらいいんだろうな」
「なんかあんの?」
「いや、あるっつうか…まず出会いがねえしな…それに今もしそういう子がいたとしてもさ、俺忙しすぎてまともに相手できねえよ。流石に相手に失礼だろ」
姉はぽかん、と口を開けた。
弟は意外と真面目に考えていた。
そして出会いなんていくらでもしている。
「あんたさ、自分がモテるとか考えた事ある?」
「俺が?いやねえだろ」
「何で即答すんのよ…あんたホント自分の事わかってないわ」
過去の一件に同年代の友人がいない境遇、自分が人の中にいられない怪物という自覚。
そこは姉も理解している部分である。しかし腑に落ちない。
弟は、トレーナーである。担当に手を出すのはともかくとしてもサブトレーナーにウマ娘、出会いは探せばあるはずである。
弟の女性の好みが謎すぎるのだ。
「今までの担当の子とか、どうなの?」
「は?そもそもあんな恰好してるんだぜ?相手にすらされねえだろ」
「一年目の子達は?あとネルとか」
「み、みんな名バじゃねえか、高嶺の花にも程があるぜ。ネルさんとか移住してきた英国貴族の家柄だろ。住む世界が違いすぎねえ?」
智哉は嫌な汗をかいた。
ウマ娘が嫌いな訳ではないが、そういう対象としては苦手に思っているのだ。
原因は目の前にいる。
「二年目の子達は?あの二人」
「あー……片方にはちょっかい出されてたけど、ありゃからかってるだけだろ」
「ああ、あんたの方、にね。あれはまあそうね」
二年目に担当した二人のうちの一人に、智哉はよくサブトレーナーの作業中にちょっかいをかけられていた。
この手の対応が苦手な智哉でも、からかわれているのがわかる程だったために、姉が追い払う事がよくあったのだ。
ここで智哉はこのからかってきた方とは違う、もう一人に姉がいない時に変な頼み事をされたのを思い出した。
「そういや、一つ思い出したわ。変な頼み事されたんだよな。ハンカチを渡されてさ、一日懐に入れとけって」
「何それ?誰に?」
「もう一人の方だよ、ネイティブの子」
腕を組んで、その時言われた言葉を智哉が思い返す。
今思い返しても、よくわからない頼み事であった。
「匂いを覚えるって言ってたな」
「……あんた、あたしがいない時にその子と会ったら逃げるのよ」
「…?お、おう」
姉はネイティブウマ娘の風習についてある程度調べている。
狙った男を捕らえ、故郷に連れ帰り伴侶とする部族もいると知った姉は開いた口が塞がらなかった。
しかも伝統ある文化的行動としてアメリカ政府に承認されていた。
つまり、男を誘拐しても罪にならないのだ。そこまでの過程で起きた事も賠償すれば問題にならない。
姉は契約終了と共に弟を連れて英国に逃げた。今の担当を英国に弟が連れてきた誤算はあったが、それでもあの行動は間違っていなかったと思っている。
担当に好みがいないとわかった姉は、念のためもう一つ確認する事にした。
もしそうなら弟の性癖を叩きなおす必要がある。
「一応聞くけど、フランちゃんやダンちゃんは?」
「姉貴、俺ロリコンじゃねえけど……」
「それ聞いて安心したわ。でもさ、十年後とかは?二人ともきっと美人になるわよ~?」
にやにやとからかうつもりの姉に呆れつつも、智哉が即答で返す。
「いや、二人とも妹みたいに思ってるし……それにフランなんて俺と十歳も離れてるだろ」
「ふーん、まあいいわ。あんたはまず同い年の友達作るとこからね」
「いや、友達ならいるぜ」
姉はまたぽかんと口を開けた。
驚愕の事実である。
「は!?あんた友達いたの!?言っとくけどライエンさんとルークくんは同い年じゃないわよ!?」
「ひどくねえか!!?ライエンさんとルーク以外に決まってんだろ!!!!」
オーストラリアでデビューした弟分と、オーナーから唐突に日本の短期免許を取りたまえと無理強いされ、目下審査の準備中の苦労人以外に姉は弟の友人を知らない。
智哉は確かに同い年の友人と言える相手がいる自負があったが、考え直して自信がなくなってきた。
「で、誰よ?」
「いや、悪い、やっぱ違うかも……」
「何それ?誰かだけでも言いな」
その人物とは研修で仲良くなったと思っていたが、思い返せば謝ったら変な笑いで返されていたのだ。
なお当のもやしはこれを聞いたら否定する。
「えっとな、オブリーエンの娘なんだけど……」
「えっ、それってジェシカ・オブリーエン?知り合いだったの?」
「おう、研修でちょっとな……でも多分違うわ。連絡先知らねえし……」
姉も現在英国で名を上げている、競バの王の長女の事は当然知っている。
レース映像を見て、テレビでしっかりと受け答えしている姿に関心したものだった。
「ふーん?なるほどねえ……なるほど、うん、その子は友達じゃなくていいわよ」
「ひどくねえか!!?いや確かに違うけど……」
何故か嬉しそうにする姉がそのまま練習に行くのを見送り、智哉は姉に言い忘れていた事があったのを思い出した。
急な短期契約の打診が来て、受けていたのだ。
先程話題に出たネイティブウマ娘である。
(ああ、契約したら姉貴に言わねえと駄目だっけか……後で言えばいいか)
この時言わなかった事を3カ月後、智哉は後悔する事になる。
亀進行だけど次回オーナー出たら一気に時間進ませていくやで。
アメリカ編は残り一年はダイジェストで…ええやろか…。
1.5部終わったらキャラ紹介必要ですか?アメリカの後にもう一本あるからまだ終わらんけど…
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いる
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いらない
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まだ二部行かないんすか…こいつクソっスね
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キャラ紹介やりたいならレース上等っすよ