トムとフラン   作:AC新作はよ

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閑話 激昂する大挙行

──とある日のアスコットポニースクール、第一練習場

 

「なんできさまがAクラスにおるのだ!!!!我のれんしゅうメニューをかんがえよ!!!!」

「あ~わりーなエクス~先生辞令でAクラス担任に変わったんだわ~エプソムとの交流戦がんばれよ~選抜戦は先生が引率してやっからな~」

 

先日まで自分達の担任だった、口は悪いし軽薄だが手腕は認めていた教師がAクラスに行ったのに対して、幼き王者は怒りの声を上げた。

 

「じれいとかむずかしいことをいうな!!!きさまがそっちにいったから、きょうのたいこうせんで、いっしあいまけたではないか!!!!」

「しょーがねーだろ辞令なんだから~。先生もエクスの担任じゃなくなったから査定下がるわ~まじつれ~わ」

「むぐぐぐぐ…ああいえばこういいおって!!!!」

 

地団太を踏む幼き王者。優秀な教師は自分にこそふさわしいはずだ。なぜAクラスの有象無象に優秀な教師がつくのだ。理解できない。

 

「こらエクスちゃん!先生にそんな事言っちゃいけません!」

「エクス~、そっちの先生も優秀なんだぞ~。てかアスコットに無能はいないぞ~。ちょっと前いたけど」

 

二人の教師に諭されて、王者はBクラスに新しく赴任した教師に向き直る。

 

「なに、きさまもゆうしゅうなのか?ならなぜまけたのだ?」

 

王者は、下々の声も聴いてやる度量が必要なのだ。怒られそうで怖くなったわけではないのだ。

 

「…Aクラスの子達は、色々あって落ち込んでいたのよ。今は気持ちも持ち直してきたから、こちらが弱くなった訳じゃないわ」

「なに?そうなのか?ではれんしゅうメニューのさではないのか?」

「ちゃんと引き継いでるから大丈夫よ。一緒に良いウマ娘を目指しましょうね」

「ふむ…よかろう!我はきさまをBクラスのきょうしにしめいしてやる!!!!」

「ふふふ…ありがとうね」

 

Bクラスの新教師は、問題児と聞いていたこの幼き王者が案外素直な事に気付いた。これならうまくやっていけそうだ。

 

「ふむ…あとは…おい!!!まけたきさまら!!!」

 

エクスは対抗戦で唯一負けたBクラスのメンバーに声をかける。王者としてするべきことがあるのだ。

 

「ひえっ」

「うわああおうさまこっちきた」

「ヤンスっ!?」

 

エクスは下々の前に立つと、

 

「きさまら!!!まけたからといってきをおとすな!!!!我がそのぶんかてばよいのだ!!!」

「みごとなしょうぶだった!!まけたからこそむねをはるのだ!!ウマむすめとはまえをむいてはしるものだ!!!おちこむひまがあればまえをみろ!!我もともにおなじものをみよう!!!」

 

全力で激励の言葉をかけた。王者だからこそ下々に目をやり、慈しむものだから。

 

「お、おうさま…」

「かっこいいでヤンス!いっしょうついていくでヤンス!」

「すてき…」

「そうであろう!!!そうであろう!!!わはははは!!!」

 

下々の大喝采を受け、王者はやはり自分こそが頂点の存在だと確信した。

そして王者はAクラスの有象無象にも目を向ける。

 

「わたしたち、かてた、いっかいだけど…」

「うん…」

「おい!きさまら!!」

 

エクスは有象無象の前に立つと、真剣な目をして語った。

 

「…なかなかにやるではないか。せんじつのことばはてっかいする」

「しょうじきにいおう。我もいいすぎたとおもっていた。せっさたくましあうおなじアスコットのせいとなのだ。あのようなことばは、はくべきでなかった。みずにながしてもらえるだろうか?」

 

Aクラスの生徒達がぽかんと見つめる。この王者、先日に調子に乗って言い過ぎて、泣かせてしまったのをかなり気にしていたのである。王者は自省できるものだ。

 

「Bのおうさま…」

「つぎはまけないから!」

「うむ!よいへんじだ!そうでなくてははりあいがない!」

 

エクスはちゃんと謝れて満足した。

そこに軽薄な教師が声をかける。

 

「よ~しお前ら~、一回勝ったのを自信にしろ~。エクスは無理だけど他は勝てるってわかったろ~?エクスも流石に全部は出れないからな~。出ない試合に集中して勝てばいいんだぞ~」

「いじめた子の事はしょうがね~から、その子の分まで頑張ると前向きに考えろ~」

 

「せんせい…」

「うん、フランちゃんのぶんまで…」

「あえたら、あやまりたいなあ…」

 

Aクラスの子達が、いなくなったあの子の事を思い返して後悔の表情を浮かべる。

幼き王者は、そんなAクラスの面々を見て触れてはいけない話題だと察した。王は空気を読めるものだ。

 

「…ふむ、我はBクラスにもどるぞ。これいじょうはやぼというやつだな」

「またね!おうさま!」

「うむ!またよいしょうぶをしよう!」

 

そう言い残すと王者は踵を返す。

 

「よしこっちも戻るぞ~、もうそのフランクちゃん?の事はいいだろ~、先生査定下がるだろ早くしろ~」

 

「はーい!」

 

「せんせい!フランちゃんだよ!」

 

「あーそうか?覚えとくわ~、フランちゃんな~」

 

 

 

 

 

 

この会話は聞いておくべきだった。名前を覚えておくべきだった。

幼き王者は、間違いを犯した。




エクスちゃん書く時のIQがゴリゴリ落ちていく感じだいすき
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