詳しくは「ダイヤモンドジュビリー 馬」とかでググってみてほしいやで。親もそのまた親もヤバいやで…。
ラスボスちゃんのキャラ固まったからどっかで顔出しさせたい…。
立ち塞がるもやしを一瞬で置き去りにし、インディが智哉の眼前に立つ。
その顔は、喜びに満ちていた。
やはり、獲物はここにいたのだ。
「トモヤ、できれば、穏便に済ませたい」
ネイティブウマ娘の狩人である前に、競走バであるインディはここで狩りを行うことにわずかな躊躇いがあった。
狩場に選んだここキーンランドレース場では、現在アマチュアウマ娘達がプロ入りを目指す為の大切なレースが行われている。
プロの競走バである彼女は、そんな大切なレースが行われる会場で大立ち回りを行うという意味を当然わかっていた。
だからじっくりと入念に、介添人達と何処に、どのように追い込むかを打ち合わせてここにいるのだ。
そうした理由はもう一つある。
「ワタシ、ここで暴れたくない。トモヤも、わかってほしい」
インディが、悲しそうな表情で智哉に訴えかける。
演技である。彼女はいざとなれば強硬手段も辞さない。
これがその理由で、獲物を穏便に狩るための彼女の狙いだった。
目の前の青年は、口は悪いが人の良い好青年だとインディは知っている。
直接仕留めるだけが狩りではない。言いくるめ、自発的に抵抗させなくするのもまた狩りである。
婿狩りの武勇伝を聞かせてくれた母祖達のアドバイスだった。
なお彼女達は知らないが全て出来レースである。
「インディ……」
実際に、この言葉で智哉は悩んだ。
インディには悪いが結婚はできない。
しかし、この場では言う通りにして後で逃げれば良いのではないか?と考えたのだ。
甘い考えである。狩人ウマ娘の恐ろしさをこの男はまだ知らない。
悩む智哉が、ふと目の端にフランを捉える。
不安そうに、首をふるふると振るフランを。
この顔を見て、智哉は悩みを捨てた。
「悪いインディ、どうしてもそれはできない。ってかインディ、諦めて…」
「ムリ」
「ば、場所変えるのは…?」
「ムリ」
「ひ、日を変えようぜ…?」
「ムリ」
なしのつぶてである。インディは退く気も譲歩する気もない。獲物の命乞いに譲歩する狩人などいないのだ。
インディが腰の狩り道具の一つ、吹き矢に手をかける。矢には昏睡を促す植物由来の即効性の毒が塗られていた。毒への抵抗力が強いウマ娘には効かないが、人間にはこれで十分である。
「トモヤ、これが最後通告」
吹き矢を構え、インディが告げる。
「ワタシと、結婚して」
智哉は、ゆっくりと首を振った。
瞬間、その肩に毒を注入する事に特化した細い吹き矢が突き刺さる。
狩人ウマ娘の優れた肺活量により吹き矢は速射が可能である。至近距離では拳銃の抜き撃ちよりも速い。智哉は反応できたが敢えてそれを受けたのだ。
また肩かよ、と微かに漏らした智哉がうつ伏せに崩れ落ち、フランが叫びながら駆け寄る。
「トム!やだあ!トム!!」
「あっ!フランケル!行くな!!」
エクスの制止も、耳に入らなかった。
必死で、フランが倒れる智哉に縋る。
その体を、涙を目に貯めながら揺さぶる。
三年前のあの日、肩に銃弾を受けた智哉を思い出しているのだ。
「トム!起きて!起きてちょうだい!!にゃ!?」
揺さぶるフランの尻尾の毛の一本が軽く引っ張られ、フランが驚いて猫のような声を上げた。
後ろを振り向く。こちらを首を傾げて伺うインディと、その後ろに心配そうなもやしがいた。しかし引っ張れそうな者がいない。
倒れた智哉の
フランが、うつ伏せに倒れる智哉の後頭部を見つめる。
(トム……?)
インディは智哉に縋りつくフランを眺め、この美貌の少女が例の約束の相手だろうと確信した。
きっと智哉に会いに来たのだろう。こんな健気な少女の前で青年を攫う事に一抹の罪悪感が生まれる。
しかし獲物はもう手に落ちたのだ。そもそもこういう時は早い者勝ちだと肉食系ウマ娘の彼女は認識していた。
「お嬢さん、すまない、トモヤはもらっていく」
「やめてちょうだい!トムを連れて行かないで!!」
「……じゃあ、ワタシ、子供産んだら貸してもいい」
「……えっ?」
突然のインディの申し出に、フランが思わず聞き返す。
肉食系ウマ娘の多いアメリカは、別名重バ場大国である。
かつては刃傷沙汰や集団逆うまぴょい、更には一人の男を取り合い大乱闘等が多発している。
ウマ娘の執着心は恐ろしく強い。運命の相手と信じる者を文字通り地の果てまで追いかけるのだ。
その結果、とある制度が生まれている。
「……アメリカ、審査厳しいけど、重婚可能。本当は独り占めしたいけど、お嬢さんかわいそうだから」
「えっ、ええぇ~~~~!!!?」
この申し出にフランの顔が真っ赤に染まる。
アメリカ政府は苦渋の決断としてしっかり結婚相手を養える経済力を持ち、人品共に問題無しと審査された場合のみ重婚を許可する判断を下したのだ。この制度があったからこそ過去に寿引退する競走バが多発したのである。
アメリカで主流のエクリプス教の教義でも重婚は厳しく禁止されていない。
なるべくならやらない方がいいわね、と神は仰ったと聖書には書かれている。
現在は当時より厳しい審査になったが、智哉が怪人だと明かせば実績経済力共に審査を通るとインディは思っている。本人の意思は考えていない。
当然だがまだ幼く、自分の気持ちを知らないフランは想像した事も無かった。しかしちょっといいな、とは思ってしまった。
「トムと結婚……どうしたらいいのかしら、わたしどうしたらいいのかしら!?」
わたわたと、フランが智哉の上で取り乱す。
興奮して尻尾がこれでもかと倒れた智哉にぶち当たった。かなり痛い。
「あっ!でもわたし、トムと契約するのよ!やっぱり連れて行かないでちょうだい」
「……お嬢さん、見るにまだまだ先の話。その時には貸す」
「…………あっ、困ったわ!何も言い返せないわ!」
フランは論破された。言い返せる事はまだあるはずだが、ここで生来の天然ぶりを発揮したのである。
本人の意思は考えていない。
「話、まとまった。トモヤ、連れて行く」
獲物の運搬の為に、インディがウマ笛を二度短く鳴らす。廊下で待機している介添人への集合の合図である。
ここまでの様子を日本からスカウトの為に来たフランス系の美少年、クリスは息を潜めて眺めていた。
「……今日は、事件ばかりデスネ」
錯乱して役に立たない同僚に、突然起きた発砲事件、それが終わったと思ったら乱入してきた青年が吹き矢で撃たれている。
訳がわからなかった。未来の名バの発掘どころではない。
そう考えていたクリスだったが、突然隣の同僚に肩を掴まれる。
「うわっ!ケン!何を……どうしマシタ?ケン?」
「騒ぐな、クリス」
同僚は、正気に戻っていた。
その表情はいつに無く真剣である。
お調子者で、呑気な同僚らしくない表情であった。
こんな顔はレースの日くらいしかクリスは見たことがない。
「いいかクリス?ゆっくりと騒がずにこの部屋の隅に行くぞ」
「え、エエ…でもどうしてデスカ、ケン?」
同僚、本名川添謙二、
「ここが酷くざわつくんだよ。こういう時はウマ娘絡みで何か起きるぞ」
彼、川添トレーナーは若くして日本国内のG1を幾度も勝利している実力者である。
特記すべきは大一番での彼の管理バ達の勝負強さと、彼自身が持つ特異体質──気性難への第六感の如き察知力である。
気性難が近付けばすぐにわかり、更には気性難へトレーニングを課す際に的確なメニューを組めるのだ。
彼はこれを隠していたが実家からの申告により発覚して以来、学園の気性難当番となっている。彼は泣いた。
今回の渡米も死ぬからやめてと懇願したが、本来行く予定の先輩が逃げた為行く事になった。彼は泣いた。
「……トヨさんこれ知ってたのかもなあ、勘弁してよ……」
「トヨサン、シスターがこっち来てるかららしいデスヨ」
「ああ、うちの娘貰えやって追いかけ回されてたっけ……ってあの人いるの?」
「今ここに来てるらしいデス」
「それだよきっと……あの人いると何か起きるじゃん」
うんざりとした様子で語りながら、二人がトレーナー席の隅に動く。
そこから間を置かず、状況は動いた。
「あーっと、被疑者がつっかえちまった!!」
「おっ、大変だな!大丈夫か!?」
「これは困ったぞ~。ダスティ、無理矢理押し出すんだ~」
「ぶひいいいい!!!?つっかえてるんじゃなくてお前等が抑えてぐわあああああ」
まず入り口で警察トリオが巨漢を肉の壁にし、介添人の狩人ウマ娘達を中に入れないように三人がかりでブロックする。巨漢が両方から押し込まれ豚のような叫びを上げた。
「このハゲ、じゃま!」
「姫様、通れない!」
もやしが手を挙げ、智哉を逃がす作戦を即興で練った時からこうする事は決まっていた。
今ブロックしている中の一人、マジェ捜査官はこう言った。
『いいか若人!本官達は婿狩りの当事者自身には法律上できる事は少ない!できて足止めかちょっとした妨害くらいだ!!』
『しかしだ!婿狩りには必ず数人から数十人規模の介添人が付く!そちらは本来は当事者ではない!屁理屈になるが……そちらは止めても問題ない!!』
『当事者は君次第だ!!がんばりたまえ!!』
この伝統ある文化的行動において、本来の当事者は結婚する二人のみである。
介添人は伝統としては含まれるが、婚姻届には当然記載されない。そこを突いたのだ。
インディが入り口に気をとられた瞬間、昏睡しているはずの智哉が素早くフランを横抱きに抱えて起き上がり──
「恩に着ます!フラン、しっかり掴まってろよ!!」
「──ッ!!しまった!!!」
──もやしが開いた窓から、飛び降りた。
「クッ……何故、毒が効かない!?」
インディが飛び降りた智哉に向け、背中の弓を構えようと動く。
そこへ、小さな何かが通り過ぎ、弓の弦を切り裂いた。
「おっと、我としたことが~!転んでしまった~!」
「あらエクス、大丈夫?」
弦を切ったのは、飛び込んだエクスだった。本来はフランと二人でこけた振りをしてインディの足に纏わりつく予定であった。
しかしフランがいなくなった為、咄嗟に幼き王者は狙いを変えたのだ。
切れ味鋭い末脚を持つ王者の脚は、文字通り強靭な弓の弦を切って見せた。
(……やられた!全員グル!!)
弓が使えなくなったインディが、舌打ちをしながら迷わずに飛び降り、獲物を追い駆けながらウマ笛を鳴らす。
介添人30人のうち20人を追い込みに使い、10人はレース場の周囲に配置してある。その彼女達に合図を送ったのである。
二人が逃げ、インディが追いかけるのを見届けた後、アファームドとアリダーは拳を打ち合わせた。
伝説のウマ娘であり、荒事などお手の物の彼女達は主戦力の足止め要員である。
ブロックを破った介添人達をここで食い止めるのだ。
「上手く行ったな。一人足りとも行かせるなよ?」
「あったりめえだろ!!」
*****
「よし、人の少ないとこに降りられて……誰もいねえ」
トレーナー席から下の観客席へ飛び降りた智哉は目を疑っていた。
観客席に誰もいないのである。避難は既に終わっていた。
迅速に避難が終わった理由は、貴婦人の雇った傭兵ウマ娘達である。
せめてもう一仕事していこうと避難に協力したのだ。幸いこの協力により群衆が揉みあう事無く避難が終わり、怪我人は出なかった。
智哉は観客席側のラチに二人がかりで一人のウマ娘を抑え込んでいるのも確認したが、それよりも今は自分が逃げる必要があるので見ない振りをした。
「ねえ、トム」
「どうしたフラン?あっ、いや、もうわかったわ」
横抱きにされたフランが、智哉に語り掛ける。
その顔を見て智哉は全てを察した。
「こしがぬけて、つらいわ」
「ばあちゃんみたいな事言うなよ……」
トレーナー席から観客席はそれなりに高い。
上にいるだけならフランは大丈夫だったが、そこから飛び降りた事で腰が抜けたのだ。
「ごめんなさいトム、置いて行ってちょうだい、つらいわ」
「……フラン一人くらい重りにもならねえよ。このまま連れてくけどいいか?」
智哉はなぜ観客がいないのかを想定し、恐らく何かが起きて避難しているのだろう、と考えた。
正解である。ちなみに犯人は目の前にいた。
そしてそんな場所にフランは置いて行けない。そう判断したのだ。
「レースも中断してるな……コースを抜けるぞ。掴まってろよ!!」
「ええ、トム。つらいわ」
一方、そんな二人の目の前、観客席沿いのラチで揉み合っている三人は言い争っていた。
「取り合えずコースから出るんだよ!!言う事聞けよこのアホ!!お前のせいだからな!!俺様は悪くねえ!!!俺様は悪くねえ!!」
「アホですって!!此方を捨てた其方がそんな事を言う資格があって!!?」
「わ、私は正当防衛だからな!!私は関係ないからな!!!」
「シーちゃんレース観たいよう」
責任を擦り付け合う、醜い言い争いである。アホの子はまだ愚図っている。
実際、日本の大財閥やトレセン学園とも関係深く、
そんな三人の前を、智哉とフランが通り過ぎた。
「ん?あの二人は、三年前の……」
「おい英国の!コイツ力つえーから手伝え!!」
「あ、ああ、そうだ先輩も……先輩?」
からん、と音を立てて足枷が地面に落ちた。
シーザスターズの背中にぶらさがっているはずの、アホの子の感触が無くなっていた。
「……何、だと?」
シスターのヘアピンで分けていた髪の一房が、顔に落ちる。
「わぷっ……ンだよ、俺様のヘアピン……嘘だろ」
ヘアピンは、落ちた足枷に刺さっていた。
瞬時に、アホの子は足枷を外していた。
コースを横切る人影は、二つになっていた。
「……時間にでも干渉しているのか?先輩は……私が察知すらできなかった」
「……おもしれーな、ライト嬢ちゃん。おい!追ってみようぜ!!」
「待ちなさいな!!逃がしませんわよ!!!」
新しい面白い物を見つけたシスターがすぐさま二人を追い駆ける。
それを、それぞれ違う目的で貴婦人とシーザスターズが追った。
「ねえねえ!キミ達前に選抜戦出てたよね?」
「ん?あれ、もしかしてファンタスティックライトさんすか?」
「うん!逃げてるなら手伝うよ!!」
1.5部終わったらキャラ紹介必要ですか?アメリカの後にもう一本あるからまだ終わらんけど…
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いる
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いらない
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まだ二部行かないんすか…こいつクソっスね
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キャラ紹介やりたいならレース上等っすよ