トムとフラン   作:AC新作はよ

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短いけどライバル登場回だし分けるやで。
最初からキャラ決めてたけどやっと出せてよかった…。


閑話 北欧から来た男

「ダンちゃん、あたしはね、あいつの事止めたのよ?ダンちゃん置いて英国に帰るのか~~って…でもね、あいつの意志がすんごく固いのよ。そ、そう、あいつが全部悪いのよ!だからね、あたしはその、ダンちゃんの味方って言うか……ひどいわよねあいつ!今晩にでもあいつはあたしがとっちめて……」

 

「トモ兄が、帰る理由は?」

 

「え、え~~っと……何だったかなあ、あたしも詳しく知らないけどね、きっと大した用事じゃないわよ!あはは!あはははは……」

 

「ふうん……」

 

外の喧騒から隔離されたキーンランドレース場の待機所は、現在尋問室と化していた。

調子に乗りすぎて言ってはならない一言を漏らした姉が、正座でしどろもどろにダンに弁明する。

目が据わり、明らかにヤバい空気を纏ったダンの圧は、気性難で鳴らした姉から見ても異様であった。

姉は自分が助かる事だけを考えている。弟はとっくに売った。

帰る理由を伏せたのは保身のためである。

このタイミングでこのやらかし、将来に禍根を残すと姉はその勘の良さで確信していた。

数年後か更にその後かはわからないが、成長し、この事を知ったフランは必ず姉を詰問するであろう。それを弟に押し付けるつもりである。肝心な時は逃げる女であった。

 

「ミディ姉、ボクの味方って言ってくれたよね?」

「そ、そうよ!あたしはダンちゃんの味方!!何でも……は困るけどダンちゃんの力になるわよ?」

「じゃあ、早速お願いがあるんだ。聞いて?」

 

ダンが姉の耳をつまみ、小声で耳打ちを始める。

 

「えっ、うーん?まあそれくらいならいいかな……」

「約束だよ、ミディ姉?」

 

突然レース前よりも明らかに危うい雰囲気を纏い出した友人、そして友人の折檻を受けて半泣きで正座して言い訳を始めた尊敬する名ウマ娘、この二人をアニマルキングダムとドリームアヘッドは顔を引きつらせながら眺めていた。

 

「ダン、無茶苦茶こえぇ……こいつ怒らせるのやめとこ……」

「同感だね……」

「ところでドリー、お前の抽選結果ってもうわかってんのか?」

 

アニキが今度はドリームアヘッドに向き直り、気になっていた事を確認する。

レースは中断しているが彼女の交渉権の抽選は既に行われていた。

その結果について、本人に聞いておきたかったのだ。

 

「うーん……実はね、さっき連絡があって、ここに……」

 

「──ドリームアヘッド君!遅なってすんません!」

 

ドリームアヘッドが結果について語ろうとしたその時、後ろからキツい北欧訛りの男の声がかけられる。

二人が振り向いたその先にいたのは、銀髪の北欧系の青年であった。

細長くひょろっとした、師匠に似てどこか胡散臭そうな体躯。

その体躯とは裏腹に、糸のように細いその目と常に困っているように下がった目尻の、人の好さそうな青年である。

 

「あっ、取り込み中やった?ごめんなぁ、外がえらいことなっとるから、君ら迎えに来なあかんって思ったんやけど……あっ、そっちにおるのミッドデイの姐さんやんか。あのボケもおるんかいな?」

「……あれっ、ウィル君?あいつはここにはいないわよ」

「ホンマですか?なんや、アメリカでろくにトレーナーやってへんから煽ったろ思とったのに」

 

突然現れたこの青年を見て、姉が目をぱちくりとさせた。この二人、そして智哉は知り合いである。

それもそのはず、この青年はチーム・クレアヘイブン所属のトレーナーであり、一年程の付き合いだが智哉とはサブトレとして下積み期間を共にした仲である。

しかし彼と智哉は友人というには程遠い関係だった。犬猿の仲である。

 

「あんた達、相変わらず仲悪いわねー」

「あのボケが人並みとか舐めた事抜かしよるからですわ。姐さんもわかってはりますやろ?おっと、それよりも……」

 

糸目の青年が懐から名刺を取り出し、ドリームアヘッドに差し出す。

 

「ドリームアヘッド君、僕とイギリスでレースやらへん?センセがどっか行ってもうて、僕個人で来とるからチーム選びはこれからになるけど、どうやろか?」

 

名刺を受け取ったドリームアヘッドの口元が弧を描く。

希望通りの相手である。しかも、名前を競バ雑誌で見た覚えもある、有能なトレーナーだった。

これ以上に無い相手だ。

だが気になることがあった。

目の前の糸目の青年は、競バ雑誌で見た姿とはまるで別人である。訛りもキツくないし目も開いていた。

 

「へえ……当たりを引いたかな?よろしくね、お兄さん。でも、雑誌で見た姿と違わない?」

 

「おっ、こら丁寧におおきに。名刺見せたとこやけど、そういう事ならしっかり自己紹介させてもらおかな」

 

青年が髪をかき上げ、目を見開く。

胡散臭さがなりを潜め、眉目秀麗で人気を集める若手トレーナーへと青年が姿を変えた。

彼は普段の姿と外面を切り替えている。

師匠にあたる人物、マスコミ嫌いでよくいなくなるちゃらんぽらんオヤジのせいである。

ナンバーツーまで胡散臭いのは不味いのではないか?という苦渋から生まれたものだった。

 

 

 

 

「──僕の名前は、ウィル・ベック。これからよろしく頼むよ」

1.5部終わったらキャラ紹介必要ですか?アメリカの後にもう一本あるからまだ終わらんけど…

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  • いらない
  • まだ二部行かないんすか…こいつクソっスね
  • キャラ紹介やりたいならレース上等っすよ
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