ゴロゴロ海軍少女   作:トルネード川近

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分厚いゴーグルは師匠を参考にしてます。スキーゴーグルみたいな感じです。


師弟対決

マリンフォード訓練広場にてユリヤと黄猿は相対していた。

 

ユリヤは入念な準備体操しているのに対し黄猿は懐から取り出した懐中時計を見る。

 

 

「いつも通り制限時間は五分、範囲はこの広場のみ。建物を破壊したら失格、君があっしに一撃入れたら勝ち。準備はいいかい~?」

 

「いつでもどうぞ!」

 

 

そう言いつつユリヤは体操をやめて首元のぶ厚いゴーグルを着ける。

 

黄猿はそのまま懐中時計を見続けカウントダウンを始めた。

 

 

「三」

 

 

ユリヤは乾いた唇を舌で湿らせ、脚に力を入れる。

 

 

「二」

 

 

ユリヤの身体が発光しバチリ、バチリと炸裂音が鳴り始めた。

 

 

「一」

 

 

目標は黄猿の周囲三カ所、まずは囲うようにして移動を封じる。

 

 

「零」

 

「〝ヤマユリ″!!」

 

 

黄猿のカウントが終了したと同時に三つの雷の柱が黄猿の周囲に立つ。

 

柱が立つとほぼ同時にユリヤは攻撃を重ねる。

 

 

「〝テッポウユリ″!!」

 

 

黄猿の方に伸ばしていた腕の開いた五つの指先から雷撃が生まれ無秩序に炸裂した。閃光と共に轟音が鳴り響く。黄猿がいた場所は砂煙と静電気がはじけ目視で確認できない。

 

ユリヤはすぐさま見聞色の覇気で黄猿を捉えようとする。しかし発動できないまま真横に移動していた彼の蹴りで宙へと吹き飛ぶ。

 

やはりほぼ同時の攻撃ではだめか、とユリヤはそのまま勢いに身を任せ、開いた手の指を閉じ自身の両腕を二本の槍に見立てる。ほぼ同時が無理なら攻撃の前後、二段構え。

 

 

「"八尺瓊ーー」

 

「〝ササユリ″!!」

 

 

見聞色の覇気で反撃することを読み、逆らわずそのまま一撃目を放つ。

 

予想通り、黄猿は攻撃を変え右足の蹴りで放ったレーザービームで相殺した。

 

 

「〝二輪挿し″!!」

 

 

黄猿は蹴りを放った。同時にもう一度蹴りは使えない。これ以上の大技は訓練広場では使えない。もう一発の〝ササユリ″はもう防げない。光よりも雷はエネルギーの保有量が段違い。並の攻撃で黄猿の能力による攻撃は搔き消せる。

 

見聞色の覇気で黄猿が動かないのは分かってる。この一撃は確実に当たる。当ててみせる。

 

しかし、本来当たるはずの攻撃を黄猿は右手を翳し逸らした。

 

 

「はぁ!?な、なんで?!なんで感電しないの?!」

 

「武装色の覇気にはこういう使い方もあるんだよォ〜。覚えておくといいよォ〜」

 

「嫌味ですか!武装色の覇気が苦手な私への嫌味ですか!?」

 

「苦手は克服しないとねェ〜」

 

「"テッポーー」

 

「隙あり」

 

 

黄猿が放った光線がユリヤの上下の身体を別れさせた。

 

 

「ちっ!」

 

 

黄猿の不意の一撃を見逃した。集中が乱れて覇気の精度が落ちてしまった。一度体勢を立て直すために本来ブーストに使う技を防御にまわす。

 

 

「"オニユリ"!!」

 

 

ユリヤの長い髪は逆立ち、雷は身体に纏わり十二単のようになる。並の武装色の覇気使いは触れただけで感電死するほどのエネルギー量。

 

全方向全ての攻撃に対応できる。防御は最大の攻撃とでも体現するような大技。

 

 

「さっきのを見てなかったのかい?ユリヤ准将〜」

 

 

身体の接続しようとする部分、防御が一番薄い層に、能力者の実体を捉える武装色の覇気を纏った蹴りが上から叩き込まれる。肉を叩く鈍い音が響く。

 

しかし振り飛ばされることはなかった。

 

 

「おや〜?」

 

 

黄猿は感嘆の声をあげる。

 

ユリヤは口から血を流しながら、自身を痛めつけた右足を両手で捕えていた。弱い武装色の覇気で振り落とされないようギリギリと爪を立てながらも強く握りしめる。

 

 

「ハハァ、一撃だけだなんてもったいないですよー。何発も当てますよぉー」

 

「これはまずいねェ〜」

 

 

バチバチとユリヤの体表を纏う雷が明滅し始める。このチャンスを逃さない。今までのやられた分を十倍返しするつもりだ。

 

 

「"オニヤマユリ カサネザキ"!!」

 

 

何発もの範囲攻撃を一点集中零距離で放つ。ドドドドッと滝が流れる様な腹の底を響かせる重低音とともに二人を雷光が包んだ。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、流石にこれで勝ったでしょ」

 

 

能力を使いすぎて体力がバテたのかユリヤは地面に大の字に転がっていた。指先一つ動かせないほど弱っている。

 

 

「最後の方、訓練だと忘れてたでしょう〜。ユリヤ准将」

 

 

ぎょっと顔を驚かせギリギリと声のする方へ顔を動かす。

 

そこには無傷の黄猿が懐中時計片手に立っていた。

 

 

「なんで傷一つないんですか?!」

 

「ん〜〜、これかい?」

 

 

黄猿の胸の中心部分がぽっかりと穴が開いた。

 

 

「それって……」

 

「君の部下から面白い報告がきててねェ〜。試してみると便利だねェ〜。君の見聞色の覇気を掻い潜ることも出来たしねェ〜」

 

 

つまり黄猿は見聞色の覇気でユリヤの攻撃を全て読み切り、攻撃が当たる場所だけを流動させ避けきったのだった。

 

黄猿は懐中時計を注視した。

 

 

「時間切れだねェ。要訓練ってことだァ〜。あっしはこれから任務があるからきちんと身体を休めるんだよォ〜」

 

 

そういうと黄猿は発光しその場から去った。ボロボロのユリヤだけが訓練所に残された。

 

 

「今日も勝てなかった〜。はぁぁぁぁ、ムカつくぅぅぅぅ」

 

 

捨て台詞を吐くも文字通り覇気がない。ユリアは仰向けのまま空を見る。

 

ボロボロの自分なんてお構い無しに今日も雲が空を泳いでいた。

 

 

「お疲れ様です。准将」

 

 

そんなユリヤをビレー大佐が腰を屈ませ顔を覗き込む。

 

じーっと見てるビレーにユリヤは顔を背けた。

 

 

「情けないとこ見せちゃったね」

 

「いえいえ、お互いピカピカしていて自分には何が何だか」

 

「そっか。もうすぐ昼だね。お腹空いた」

 

「それじゃ食堂に行きましょう」

 

「動けないや。起こして」

 

「じゃ背負って行きます」

 

 

ビレーがユリヤの腕を引き背負う。確かな足取りで海軍食堂へ足を動かす。

 

 

「いつも背負ってもらってる気がする」

 

「いつも負けてますから」

 

「次は勝てそう。つか絶対勝つ」

 

「今のままだと無理ですよ」

 

「分かるってことは見えないって嘘じゃん!見えてるじゃん!」

 

「暴れると危ないですよ」

 

 

いつまでこれが続くのかなとビレーは思った。





思った以上の人に読まれていてびっくりしています。しかも感想もいただけていいんですかね?
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