朝5時、俺はいつも通り起床した。隣にいる山吹さんはまだ気持ちよさそうに寝ている。俺も寝顔を撮られたんだ、仕返しに撮っといてやろう。
俺は山吹さんのことを起こさないようにそ〜っとベットから出て1階へと降りた。
カーテンの隙間から入り込んでくる日差しが眩しい。台風が過ぎ去り、今日は雲一つない快晴だ。自分の心も自然と清々しくなる。
今日の朝食はご飯と目玉焼き、サラダといういかにも朝食というものににした。シンプルイズザベストだ。
俺が朝食を食べていると山吹さんが起きてきた。
「お、おはよう山吹さん……」
昨日のことを思い出してしまい上手く声が出なかった。もしかしたら寝ているふりをしていただけかもしれないと考えてしまったからだ。
「おはよう〜」
彼女に視線を移す。その瞬間俺は山吹さんのある部分に釘付けになってしまった。
「山吹さん!? ちょっと、その〜……」
「石田君どうかした〜」
山吹さん本人は気づいてないみたいだ。寝起きでぼ〜っとしている。
「ふ、服!! 服がはだけてる!!」
俺はそう言って彼女から視線を逸らした。山吹さんの服は寝起きだからかはだけていた。肩丸出し、白い下着も見えてしまっていた。男子ならわかると思うがこういう時、目を逸らさなきゃってわかっていても釘付けになってしまう。
「……! み……見た?」
山吹さんは顔を朝食にあるトマトのように赤くしてすぐさま身だしなみを整えた。
「見、見てないから! 神に誓う!」
本当はガッツリ見てしまっている。はっきり見たよ、なんて言ったら今後そんなことが待ち受けているかがわからない。取り乱しながらも平然を装うように努めた。
「朝ごはんは用意できてるから」
「おいしそうだね! いただきます」
「どうぞ〜」
「うん! おいしい、やっぱり石田君料理系男子だね」
「料理はできて損ないからね」
「そういえば今日朝練するの?」
「いいや、今日はしないかな昨日の雨だったら地面がぐちゃぐちゃで練習にならないと思うから」
「りょーかい」
その後俺と山吹さんは少しまったりした。そろそろ弟達が心配するから帰るねと山吹さんが言った。山吹さんは身支度を整えて
「石田君ありがとう、お泊まり会楽しかったよ!」
「うん、じゃあね」
そう言って山吹さんと別れた。別れの瞬間は少し寂しかった。
山吹さんが帰った後俺はNBAを見ながら昨日の余韻に浸っていた。昨日の告白が聞こえていたらどうなったのだろうか。想いがちゃんと伝わっていたら……そんなことを考えているとNBAの試合に全く集中することが出来なかった。
山吹さんと一緒に寝たんだ。俺は恥ずかしさに思わず身悶えしてしまう。山吹さんの匂いが俺の理性を刺激したっけ。正直にあの時は気がきがじゃなかった。いつ理性が宇宙へぶっ飛んで行ってもおかしくなかった。
もっと一緒にいたかった。出来ればまだ帰って欲しくなかった。学校で会えるのを楽しみにして俺はもう一眠りした。
~学校~
今俺らは3週間後に迫っている文化祭についての話し合いをしていた。
俺らのクラスはどうやら執事&メイド喫茶をやるようだ。山吹さんは以前やまぶきべーカリーを花咲川支店として出店したそうだ。それに近い感じになるんじゃないかと山吹さんが言っていた。
「じゃあ文化祭の実行委員やってくれる人いませんか〜」
心穏がみんなに投げかけた。
「私去年もやってるし、やるよ」
1人は去年やった経験があるという山吹さんに決まった。
「じゃああと1人はせっかくだし転校してきた石田君にしちゃおっかな〜」
「は!? 俺?」
心穏はニヤニヤにしながらこっちを見てきた。それに合わせてクラスメイト全員が俺に集中した。
「わ、わかった。やるよ……」
「じゃあ実行委員は山吹さんと石田君で決定でーす」
という感じで実行委員になってしまった。心穏のやつ絶対に覚えてろ。
そして今回の文化祭は『羽丘学園』と合同でやるらしい。羽丘学園も花咲川と同様以前は女子学園だったそうだが、少子高齢化もあり共同にすることを余儀なくされてしまったらしい。
文化祭の内容としては、1日目に部活動対抗スポーツ大会、2日目に縁日やバンドなどの発表となっている。
スポーツ大会は両校のサッカー部、野球部、バレー部、バスケ部が試合形式でガチバトルするものだ。
羽丘のバスケは速攻が主体のアップテンポのバスケだ。オフェンスに定評があるがディフェンスに少し難のあるRUN&GUN(速攻でシュートを決める攻撃を得意とするチームスタイル)が持ち味のチームだ。
今日は早速その部活動対抗戦の順番を決めるために羽丘まで行かなければならない。何故かは知らないが俺がバスケ部の代表として羽丘へ出向くこととなった。山吹さんと市ヶ谷さんもバンドの発表順を決めるということで一緒に行っている。
羽丘に来ることがあまりなかったから緊張している。だが山吹さんと市ヶ谷さんは慣れた様子で羽丘の校門をくぐり抜けた。俺らは待ち合わせ場所に指定されている生徒会室まで向かう。
~羽丘~
「やっほー! みんな! あれ君は?」
「僕は花咲川のバスケ部代表、石田明優です」
「明優君か〜るんっ♪ ってくる名前だね! 私は氷川日菜だよーよろしくね!」
生徒会室を開けると水色の髪色が特徴の元気いっぱいな子が飛び出てきた。あれ? 氷川ってもしかして
「もしかして氷川紗夜先輩と姉妹だったりしますか?」
「うん、そうだよ! 私達双子なんだ〜」
髪色が似ているからもしかしてと思ったらビンゴだった。双子でこんなに性格が違うものなのだろうか。
「それでそれで〜今から君たちにはくじを引いてもらいますっ!」
そう言って日菜先輩は箱を取り出した。余談だが氷川先輩って呼ぶと紗夜先輩と区別がつかなくなるから日菜先輩って呼ぶことにした。
くじの結果は4番、部活動対抗戦のトリを飾るのはバスケとなった。
ポピパのみんなは3番だった。
「3番か〜。まあ普通だな」
「日菜先輩、パスパレもバンドの発表出るんですか?」
「うん、出る予定だよ! あとはね〜ロゼリアとかアフターグロウとかハロハピも出るよ!」
「勢揃いですね」
ロゼリアとアフターグロウは以前聞いたことあるし、パスパレもメディア露出で知っている。ハロハピはクラスに弦巻さんがいるから知っている。
「ちなみに私達は1番最初! 次にアフターグロウで、4番目にハロハピ、最後はロゼリアだよ!」
「最後はロゼリアか〜」
なんかロゼリアは最後が似合ってる気がする。なんとなくだが。
「日菜先輩〜ってみんな来たんだ!」
そんな会話をしていると羽沢さん達が生徒会室に入ってきた。
「ああ、羽沢さん」
「石田君もいるんだね、バスケ部代表なの?」
「そうなんだ、なんでかはよく分からないけど」
羽沢珈琲店には勉強会のあとも度々訪れている、あの落ち着いた雰囲気がとても好きだからだ。おかげで読書も勉強も捗る。そして羽沢さんとの関係も良好だ。
「お〜さーやに有咲、そしてあーくんもいる〜」
今喋ったのが青葉さん、羽沢さんの店にいる時に何度かアフターグロウのみんなとも話していて面識があった。
「石田君! 久しぶりだね!」
この人が上原さん、スイーツが大好きなんだとか。
そして後ろには宇田川さんと美竹さんがいた。
「バスケ部は何番になったんだ?」
宇田川さんが興味津々に聞いてくる。
「4番目、最後だよ」
「最後か〜石田君のプレー、楽しみにしてるね!」
と羽沢さんにの期待の眼差しを浴びた。
「じゃあ私達は失礼するかな、それじゃあまた」
そうして俺らは羽丘学園から出た。
それから文化祭の準備を着々と進めていった。今日はメイド&執事喫茶の衣装合わせ。男子はスーツを、女子はメイド服を借りる。
「石田君似合ってるね〜、スタイル抜群で羨ましいよ」
クラスの衣装担当の子に言われた。
「ありがとう、でもなんか恥ずかしいな」
似合っていると言われると照れてしまう。褒められればなんだって嬉しいものだ。
「夢生と心穏も似合ってるぞ」
夢生と心穏も言わずもがな似合っていた。初見の人だったら惚れてしまいそうなくらいに。
「心穏君め〜っちゃ似合ってるよ!」
「ありがとね〜りみちゃん、りみちゃんも似合ってるよ〜」
そう言われた牛込さんは顔を真っ赤に染めた。
「おいちょっと待て心穏」
イチャついてるところ悪いが、俺は窓際へ心穏を連れて行った。
「いつから牛込さんと名前で呼びあってた?」
「さあ〜いつからだろうね〜」
答えを言わずにみんなの方へ戻って行った。いつの間にあんなに親密に、付き合ってるんじゃねーかあれは。牛込さんも心穏もとても幸せそうな顔をしていた。
「沙綾の着付け終わったよ〜」
山吹さんはヴィクトリアンタイプのメイド服を完璧に着こなしていた。普通に豪邸とかでメイドやっていそうな雰囲気さえ出ていた。
「石田君似合ってるかな?」
「バッチリだよ」
「石田君も着こなせてるよ」
「ありがとう」
あの後も俺と山吹さんの関係は非常に良好だった。でもあのお泊まりを機に山吹さんの距離がだんだんと近くなっている気がする。ボディータッチの回数はそれを物語っている。
俺はこの服が動きにくかったのですぐに脱いだ。その後も着々と準備が進んで行った。
俺は実行委員の仕事を全うするべく調理班の元へ向かった。出すものはやまぶきベーカリーのパンはもちろん、パンに合うであろうパスタやスクランブルエッグを出す予定だ。
「みんな大丈夫そう?」
「全然大丈夫! パスタ作ってみたから味見してみてよ!」
「うん、めちゃめちゃおいしい! バッチリだよ! 後はパンだけだね」
パスタはめっちゃ美味しかった。このクラスは文化祭ガチ勢か? タレント揃いじゃないか。あの後スクランブルエッグも食べたがとても美味しかった。
「じゃあ明日はお店の装飾、明日も気合いを入れて頑張ろう!」
『おー!!』
俺の号令に合わせてみんなも元気よくのってくれた。このクラスのみんなはとても優しい。一人一人の距離が近くて孤立を生んでいない。男子と女子の壁も全くなく和気あいあいとしている。とても居心地が良い。
そして一夜明けた後装飾へと取り掛かった。思っていたよりもスムーズに進んだ。内装は派手な感じではなく落ち着いた雰囲気を醸し出されるような、そんな内装にしてくれた。
その後も各々が準備をしていき、遂に万全な状態になった。
「みんなお疲れ様! 明日からいよいよ文化祭、楽しんでいこう!」
『おー!!』
そういって解散となった。そしてその後俺は山吹さんと教室に残っていた。
「山吹さんお疲れ様、実行委員大変だったね」
「石田君もお疲れ様、でも石田君クラスのみんなと仲良くなれたんじゃない?」
「そうだねやって良かったと思ってるよ」
心穏のあの発言があったおかげで俺はクラスのみんなと仲良くなることが出来た。最初は嫌だったが今は感謝をすることしかできない。
「最初はてんてこ舞いだったけどね。このままだったらやばいと思ったよ」
あの時を思い出して思わず苦笑してしまう。クラスのみんなと接するだけでテンパってしまった俺。うまくみんなのことまわすのに手間取ってしまったけど山吹さんはがサポートしてくれた。
「山吹さんがいて頼もしかったよ。ありがとう」
「こちらこそ」
2人で笑い合う。山吹さんの笑顔がいつもより輝いているように見えた。
ここ教室には今、俺と山吹さんしかいない。……これはいくしかないんじゃないか。俺は決意を固めてあの夜、伝えそびれたことを伝えようとする。
「あの、山吹さん。明日の部活動対抗戦……」
緊張で手が震える。
「もし羽丘に勝てたらさ……」
もうここまで言ったんだ。もうひと踏ん張りだ! 俺!
「俺と付k「明優ー練習行くぞー!」
俺の決死の告白(2回目)が夢生の声によって遮られた。山吹さんはキョトンとしている。
「あ、あ〜俺練習行かなくちゃ! 明日頑張るから応援してて! それじゃ!」
俺は逃げるようにして部活へと行った。俺のこの想い、届くことはあるんだろうか……。
~体育館~
「おい明優ヘルプ!」
「おう! 心穏リバウンド!」
「はいよ〜」
俺らは絶賛明日に向けて調整中だ。文化祭の催し物だといっても負けるつもりは無い。そして俺にとってこの学校に来て初めての試合だ。自然と気が引き締まる。
夢生と心穏も気合十分のようだ。いつもより熱の篭ったプレーが見える。
「集合!」
『おう!』
「セットの確認はここまでだ、ここからは各自フリーシュートを打って調整してくれ」
監督の合図で俺たちは散り、各々フリーシュートを打ち始めた。
俺は夢生のドライブからのキックアウト(ゴールにアタックしたプレーの後にインサイドからアウトサイドへ出すパス)の流れが多くなると思い、スリーポイントを主体にシュートを打った。シュートタッチは実に良い。外れる気が全くしなかった。
そして練習が終わった。練習後、夢生と心穏にあることを聞かれた。
「なあ明優、山吹さんのこと好きなのか?」
「うぇ!? 何言ってんの?!」
そう山吹さんのことだ。バスケのことだと思ってた分余計に焦ってしまう。もう正直に言ってしまおうか。
そして俺はこれまであったことを夢生と心穏に洗いざらい話した。
「そうか、もう2回も告ろうとしたのに全部失敗したのか。マジでごめん!」
ごめんと言いつつもその顔は笑っていた。
「それで〜試合に勝ったら告るの〜?」
「そのつもりでいる」
俺はこの機会を逃したら当分言えないような気がして、やっぱり試合に勝ったら言うことに決めた。
「それじゃあ明日は絶対に勝とうぜ!」
「「おう!」」
~石田家~
明日は俺にとってのデビュー戦の日でもある。その緊張と山吹さんへの緊張。それも相まって全然寝ることができない。いやむりにでも寝よう。夜更かしはパフォーマンスの低下にも繋がる。俺は明日のことは楽しみにしつつも無理矢理眠りについた。
文化祭準備編をたったの1話で書いてしまいました。もっと引き延ばそうとも考えたんですけどネタが))))
そして心穏とりみちゃんの関係はどうなんですかね〜( ¯▽¯ )
それではまた次回!
新たな作品でヒロインにするなら?
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Poppin’Partyの誰か
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Afterglowの誰か
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Pastel*Paletteの誰か
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ハローハッピーワールドの誰か
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Roseliaの誰か
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Morfonicaの誰か
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RAISE A SUILENの誰か