Fate/night moon   作:dot com

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弓道とかは良くわからないので適当に書きました。
弓道詳しい方、ツッコまないでください。


プロローグ

中学3年生の春。

この学校はエレベーター式なので進路とか考える必要がそこまで無く中等部最高学年となり調子づき部活とかサボり始めるこのごろ。

衛宮士郎は放課後弓道の練習をしていた。

本日は学年始まっての初のテストがあった事もあり部活は休み。それでいつもとは違い静かに一人で弓を射っていた。

 

 

一本、また一本と撃つ。それらの矢はいつも通り狙った所を寸分違わず撃ち抜いていた。そして、ひとまず休憩にするかという所で後ろから声をかけられた。

 

 

「相変わらずいい腕してるね衛宮」

 

 

そう言ったのは同じ弓道部の同級生、美綴綾子だ。

 

 

「ん?美綴か。どうかしたのか?」

 

「勿論。そのついでに後ろのほうで衛宮の弓を見てたんだ。しかし、恐ろしいね。あんたの弓は」

 

「…前にも言ってたな、それ。」

 

 

確かそれは2年の頃だったかな?

あの時無心に撃ち続けていた俺に話しかけてきたのは美綴だった。その時は外れない俺の弓を参考にするために見にきていた。そしてさっきの言葉を言われたのだ。

 

 

「ああ、やっぱり、あんたの弓は全く自分がないね。もう、弓が邪魔になっている」

 

「弓が邪魔って弓がないと打てないだろそれ」

 

「私が言ってるはそういうことじゃない。あんたは弓道の目標の自分と向き合ってそして常に平常心でいられるようにする。その心構えに至っているだから弓はいらないって言ったんだよ」

 

「…そうか?俺は別に自分と向き合ってなんか」

 

 

いない…

そこで俺の言葉は止まった。

自分と向き合おうすると必ずあの火災の出来事が頭をよぎる。

だから、向き合ってはいた。だが、向き合いきれてはいない。

あの火災出来事は衛宮士郎いや、士郎としての原初の記憶だ。 

熱く、痛く、悲鳴や泣き叫ぶ人々、それらをオレは見捨てて

だから、オレは…

そこで美綴の声に我にかえる。

 

 

「心構えの事だよ。向き合っているかはともかく、あんたは至っている。弓道じゃなく弓術の方があんたはいいと思うよ」

 

「弓術か……それってどうやって学べるんだ?」

 

「私が知るわけないじゃん。私はどちらかと言うと槍術だし正確に言うと薙刀だけど…って私は弓道について話しかけたんじゃなかった」

 

「ん?なんか用か?」

 

「ああ、遠坂がさ、中学卒業するとイギリスに行くんだ。そこでだ、衛宮、間桐兄妹、柳洞、私、そして遠坂で旅行に行かないかって話。」

 

 

そう言えば生徒会の手伝いをしていた時、一成が遠坂がイギリスに行くとか言っていた。…そうか、来年イギリスに行くのか。

遠坂は自分の将来の事を考えていて偉いなと思う。俺はまだ何も、何をすれば良いかわからないのに。

 

 

「本当は三枝達三人衆も呼びたかったんだけど、来月のゴールデンウィークが開けれなくてね、まぁ、蒔寺と氷室のほうは空いていたけど三枝が行かないならわたしいかなーい。と言う事でその日はみんなでワクワクざぶーんに変更なって言ってたけど…」

 

 

冬木の黒豹が変なポーズを決めながらそのセリフを言っている姿が頭に浮かんだ。…容易に想像できる。きっとそうなんだろう。

しかし残念だ。穂群原三人娘が来れないのか。

 

 

「けど?」

 

「実はね、この前ね、言峰教会支援の商店街くじでグループ旅行券が当たってね。9人まで行けるんだ。そして使用期限は来月末まで」

 

「なるほどな…しかし美綴、家族と行かなくていいのか?俺達同級生とじゃなく」

 

「ああ、引いたのは私だけど券は間桐のものなんだよ。実はね商店街をぶらぶら歩いているとお米を持った間桐がいてね、『はっ、貧乏人には夢を見るだけがお似合いさ』なんて言いながら券をくれたんだよ。あれは桜にこき使われてるね。で、話は戻すけどガラガラを回したら当たったってわけ。当たったのを間桐に渡そうと思ったら、桜がみんなで旅行に行きましょうよってなってね。どう?衛宮来月のゴールデンウィーク空いてるか?」

 

「そりゃ、空いてるさ。ここが改修工事行われて、部活が休みになるわけだし。それに、家にずっといたらセラに小言を言われそうだ」

 

 

それに部活が無ければ家の家事を手伝うくらいだ。

だが、手伝うとセラが手伝うなと言うし丁度いい。

 

 

「あぁ、あの家政婦さんか。家政婦さん無駄な休日とか嫌いそうだしな」

 

「正解。もう一人の家政婦のリズに小言を言っているよ」

 

 

そうこの前だってイリヤとアニメを見ていたリズに

『アインツベルンの従者がこの様な俗に塗れて…』

なんて言ってたっけ。やっぱり、薄々思っていたがアイリさんの実家って貴族とかそんなのではないだろうか。

 

 

「という事で、衛宮は旅行に参加決定ね。桜に伝えておくよ。じゃ、気をつけて帰れよ。私は今から習い事があるから片付けは手伝えないけどね」

 

「ああ、美綴こそ気をつけろよ。昔から冬木の夜は治安が悪いらしいし」

 

「確かに。じゃ、明日」

 

 

美綴が帰り俺は一人になっても弓を撃ち続けていた。

 

 

「ふぅ。今日は、これくらいにしておくか」

 

 

自主練も満足がいくほど行い片付けを始める。

その掃除を行なっている最中に先程の旅行の件を思い出す。

 

 

「旅行か…。そういえばどこに行くか聞いてなかったな」

 

 

東京…京都…大阪…

どちらにせよ冬木から出たことの無い俺からすればどこも行ったことがないから楽しみだ。

この旅行から帰ってきたらイリヤともどこかに遊びに行きたいなと思いながら片付けを終えた。

 

 

後日、美綴から旅行の行き先を聞いた。まさか場所が海外で中国だとは思いもしなかった。しかし、何故中国なんだ?言峰教会よ。

だが、まずい。

俺、パスポートなんて使っていないぞ間に合うか?と思っていたが、パスポートは何故かもう作られており手続きは簡単に済んでよかったのだが…誰が作ったんだ?爺さんか?

爺さんならあり得る。アイリさんと一緒にずっと海外で働いているし…何をしているのかは不明だが。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

「さぁ!着いたわよ。北京!!」

 

 

ゴールデンウィーク、中国旅行初日。

飛行場から移動を終えたいつもより元気な遠坂。

学校ではミス・パーフェクトとしてクールな人間だと思っていたのだが…

 

 

「遠坂先輩!楽しみましょう!!」

 

「ええ!桜と旅行って事でしっかりと調べてきたわ」

 

 

パンフレットを開き楽しそうに話す遠坂と桜。

なんか、いつもより桜が元気に見える。それに桜と遠坂ってあんなに仲がよかったんだ。

 

 

「お、遠坂の癖に調べ物が出来たんだ。勿論インターネットで調べたんだよな」

 

「うっ、うるさーい!!綾子!図書館で調べてきたわ!何?悪い?!」

 

「はっはっは!古典的だねー」

 

遠坂達3人がきゃぴきゃぴしながら仲良くしている姿を俺達男三人衆は後ろから眺めていた。初めて遠坂達を見る人なら美形の3人が戯れている姿を見てほっこりしているのだが、俺はそんな事よりも驚きに満ち溢れていた。

 

初めて見たのだ、遠坂があんな感じで話しているのを。

いつもならある優雅がなかったのだ。

…遠坂ってあんな性格だったのか?し、信じられない。

遠坂の様子を見て狼狽える俺を見ながら慎二はにやけながら言った。

 

 

「ふ、なんだよ衛宮。もしかして知らなかったのか?遠坂は実は猫を被っていたって」

 

「ね、猫…確かに知らなかったけど…こっちの方が親しみがあっていいな」

 

 

考えてみればこちらの方がいいと思う。そして桜も遠坂と一緒で元気だし何故か俺も嬉しくなる。知らない一面が見れてよかったと思えた。

 

 

「…気をつけろよ。僕は痛い目をたくさん見たんだ」

 

「その通りだ。衛宮。あの女狐には私も煮湯を飲まされている」

 

「はっ、珍しいね。生徒会長様と意見が合うなんて」

 

「ふっ、この旅では衛宮をあの女狐から守ろうでは無いか」

 

「な、何をされたんだ…」

 

 

一成と慎二が手を握り合って友情を確かめあっている姿を見て疑問に思う。俺の知らない所で遠坂に何かやられたのか?と訝しむ。

 

 

ーーーーーー

 

 

遠坂主導の元まずはお昼ご飯を食べに中華街に来ていた。

果たしてここは中華街と呼ぶのかは不明だが、ザ・中華街って感じなので中華街と呼んでもいいだろう。

 

 

「へー、ここが中華街ですかー。いかにもって感じですね」

 

「ああ、なんかいい匂いがたくさんするな」

 

 

中華の匂いを嗅ぎ、これは家に帰って中華料理の練習でもやり始めるかと思った。やっぱり、餃子か?いや、麻婆豆腐?うーん、回鍋肉にしよう。カロリーは高くなりそうだが大丈夫だろう。リズは日頃ぐーたらしているのに体型を維持できているのだから。

 

 

「先輩は何が食べたいですか?やっぱり餃子ですか?」

 

「そうだな、餃子もだけど麻婆豆腐も食べたいな」

 

「わかります!中国と日本では餃子の調理法が違いますし麻婆豆腐も流派によって味が違いますから凄く楽しみです!」

 

 

そういえば、この旅行券についていた言峰メモによると住所が書かれておりその場所の麻婆豆腐が絶品なのだとか

 

 

「なぁ、遠坂。ここの麻婆豆腐はどうだ?」

 

「やめておきなさい、衛宮くん。言峰メモっていうのは信用ならないわ。そんな事忘れなさい」

 

「だけど遠坂。絶品!絶対に食べておきたいベスト3って書いてあるぞ」

 

「いーい。こういう他人のメモを信用するのは愚かな人がする事だわ。ましてや言峰メモだなんて悪意ありまくり情報だなんて。忠告するわ、このメモ通り移動するとこの旅行でみんなの笑顔がなくなるわよ」

 

「お、おう。わかった。このメモの事は忘れることにするよ」

 

 

遠坂の圧力で俺は引っ込む。

あの圧力は尋常じゃなかった。遠坂の目が光っていたし焦っていた。

言峰っていう人そこまで悪い人なのか?結構いい評判の筈なんだけど。

 

 

遠坂主導の元行った中華料理店はとても美味しかったです。

 

 

 

 

※言峰綺礼は善意でこのメモを入れています。

ーーーーーー

 

 

 

どうやらメモの事はみんな知っていたらしく遠坂あんなにも凄い剣幕で否定していたので興味が出たので一品だけ頼んでみようと言うことになり「泰山々獄獄」という店に足を運んだ。

 

 

1番人気の麻婆豆腐を頼んだのだがきたのは赤いものだった。

この世全ての赤と言ってもいいほどの赤だった。というか、赤黒い。これで1番辛くない物を頼んだのだが最大はどんなのだろう。逆に興味が湧いてくる。

 

いざ一口。

 

 

「か、辛い!!!な、なんだこの麻婆豆腐は!?この世全ての辛を詰め込んだ麻婆豆腐は…」

 

「衛宮くん。このお店はね冬木市にある「泰山」の店長がアルバイトしていたお店なのよ。辛いのは当たり前じゃ無い」

 

「し、知るかー!ていうか遠坂!あの「泰山」に行ったことがあるのか?!」

 

 

あの店長が働いていたなんて聞いたことがない。聞いていたのなら来ていなかったのに。

 

 

「当たり前じゃ無い。…あー嫌なこと思い出した。連れて行かされたのよ」

 

 

と、言い苦虫を噛み潰したような顔をする。

あの遠坂そのような顔するのだ一体何があったのだろう。

 

 

「なんというか凄いな。親父くらいだと思ってたぞあの店に行くの」

 

「へー。あんたのお父さんあそこに行くんだ。私もあのクソ神父くらいだと思ってたのに世界っていうのは狭いわねー」

 

 

クソ神父…ってもしかしてこの言峰メモの持ち主。やっぱり言峰神父のことじゃあ…

 

他にも何か書いていないか見てみるともう一枚糊で貼られておりそこには絶対に行きたいカレーベスト3と書かれていた。

 

…何故カレーなんだと呆れながら下の方を見てみるとbyエレイシアと書かれていた。一体誰なんだ。紙にはカレーの匂いが染み付いておりカレー依存性だという事がわかる。おそらくこれ書いた人はスパゲティを食べないだろう。

 

 

ーーーーー

 

 

かなり有名な博物館に着き個人個人で見たい所回っている中、俺は入った時から何故か気になっていた物に近づいていった。

それは夜の街灯に集まる蛾のように。

 

 

無意識にその目当ての物の前に立ちじっくりと眺めた。

そこには干将・莫耶通称夫婦剣と呼ばれるものがあった。

 

 

それを見た瞬間何故か運命的な物にあったかのように目が離さなかった。

構成された材質、制作に及ぶ技術、 成長に至る経験、蓄積された年月それらはまだ俺には理解出来ないものだった。だが、確かに蓄積された。心の中に確実に。

それはどのようなものか質問されれば大雑把には答えられるほど。

 

 

俺はその剣を理解するため、ずっとその場から離れなかった。

それは無意識にだ。

何故、これを見続けているのかわからない。だが、あえていうのであればオレ、衛宮士郎の起源がコレクターとしてこれを見続けている。

 

 

その様子を不思議に思ったのか遠坂が話しかけてきた。

 

 

「随分熱心に見ているけど何見てるの衛宮くん?」

 

「ん?あぁ、遠坂か。この夫婦剣ってやつを見てるんだ。せっかく博物館に来たんだじっくりと見ないとな」

 

「まぁ、そうね。でも、ここにあるのは殆どがレプリカでしょう?それに、じっくりのレベルじゃないわよ。もう、20分はここにいるわよ」

 

「まじか。まぁ、でもこの夫婦剣の干将・莫耶には見る価値はあると思うぞ」

 

「そう?」

 

 

やけに自信があるじゃないと遠坂は思った。だがここまで熱心に見ていて断言している。少しばかり話を聞いてみてもいいだろう。

 

 

「ああ、見た瞬間にこれは凄いなって。何人の子供が手伝い、妻の髪と爪を燃料に鉄を溶かし打ち上げる。それが見て伝わった」

 

「…あんた、呉越春秋でもよんだの?」

 

 

呉越春秋でも読んで自信満々に説明するまさか慎二の真似かしら?何て遠坂は思った。

 

 

「ご…なんて?」

 

「知らないの?」

 

 

衛宮士郎の答え方は惚けている様子はなかった。よくよく考えてみればそうだ、衛宮士郎はその様な事はしない。

衛宮士郎の説明に疑問が浮かびまさか本当にと夫婦剣に目をやると

 

…っ!

 

遠坂は目を大きく開いた。あり得ない物をみたようなそんな感じだ。

 

…この神秘まさか、ごく僅かだけど神秘が感じられる。まさか衛宮くんはこれを感知して…

まさか…ありえないわね。」

 

遠坂がボソボソと顎に手をやり何か考えていた。あの遠坂あんなにもびっくりしていたのだ少し疑問に思ったがまぁ、そこまで深く考える必要はないだろう。だが、一応聞いておく。

 

 

「どうしたんだ?遠坂?」

 

「何にもないわよ」

 

 

遠坂はスイッチを切り替えたかのように素に戻りいつも通りに優雅な遠坂だった。

 

 

 

 

 

ーーーーー

ーーーーー

ーーーーー

 

 

 

帰りの飛行機。

みんな疲れたのか遠坂と美綴以外はみんな寝ている。

いやー旅行楽しかったなーと美綴が言う。

 

 

「で、どうだった遠坂?今回の旅は」

 

 

初めてみんなと行った旅行。もしかしたらもうこのメンバーでは行けないかも知れない。できれば三枝達も来てほしかった。そう美綴は思いながら遠坂に質問した。

 

 

「まぁ、よかったわ。桜とも旅行ができて」

 

 

素気ない答えに素直じゃないなぁーと思いクスッと笑う美綴。そして今回の旅行で異常なほど仲が良かった桜と遠坂。まぁ、部活の様子をみれば仲良くしたいと思っているのは明らかにわかる。

だがなぁー、それだけじゃない気がする。と勘がする。

 

 

「ま、遠坂はいつも桜の事を見ているからねぇー。てっきし衛宮の事を見てるんだと思ってた」

 

「な、なんで衛宮くんが出てくる訳ぇ?!」

 

 

お、優雅がないぞと言いたくなるが心を私に許してくれているんだし悪い気がしないしむしろ親友として嬉しいと思う。

が、揶揄いたくなってくる。

 

「だって好きなんでしょ?衛宮の事」

 

「ち、違うわよ。ただ……私にはできない事をしていたのを見ていたのよ」

 

 

遠坂には出来ない事。遠坂は文武両道で非がない。あるとすればうっかりというところ。その遠坂が衛宮に負けを認めているとは…少し気になる。が、それはまたの機会にしておこう。

 

 

「へー。ま、何をしていたのかは聞かないでおくよ。で、もう一度聞くよ遠坂。今回の旅はどうだった?」

 

 

揶揄ったので拗ねていた遠坂にもう一度同じ質問をする。

 

 

「最高だったわ。いい思い出ができた」

「そう、それはよかった」

 

その時の遠坂は女の私でも惚れそうなほど綺麗に笑った。

 




最後の方は適当に描写なしで済ませました。
すみませんでした。
海外とか良く知らないので。

ーーー
追記
全体的に加筆しました。おそらく1500文字くらい。
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