こと強くなるにはどうすれば良いか、という問に対する答えは古今東西あるが、呪術師はめっぽう才能が物を言う世界だ。
才能に関しては自画自賛になるが申し分ない。これは異世界特典のチートがあるから当たり前なんだけど。
「まぁ、公式チートさんに勝とうと思ったら、それ相応の努力が必要なわけで」
今の俺って、有り余る呪力量に身を任せてぶん殴ってるだけだからな。それだけで特級倒せるんだから呪力量ってマジ大事。それを扱える技量が無いと無駄遣いしてしまうけど、俺は呪力操作もチートだから問題無し。
ならば目下、俺が強くなるために必要なこと。
それは──術式の強化である。
「使い物にならない技が多すぎる。でも、それに意味があるはず」
時計型の領域展開。一刻から十二刻までの術式順転に、十三刻から二十四刻までの術式反転。
強力で使い勝手の良い技もあれば、封印確定のエグい技。使い物にならない弱い技。
きっと何かヒントがある。
術式の幅広さで言えば俺に分がある。だけど、一つ一つの操作がお粗末では利点を全く活かすことができずに終わってしまう。
「やはり実戦しかないな」
幸い、呪術師は万年人手不足。任務なら腐るほどある。
ただし今回の任務は面倒なことに合同なのだ。
しかも──
「やあ、久しぶりだね。君に会うのは」
「げっ、冥冥パイセン……」
「随分と酷い反応じゃないか。何か君に嫌われるようなことはしたかい?」
水色がかった白髪ポニーテールの先輩。
最早存在を忘れかけていた一級術師の冥冥パイセンだ。
「自己紹介の時に金を請求してきたのは忘れてませんよ……」
「いや、なに。やけに私に食いつく君が悪いね。興味を持った対象からは金を絞り尽くす。世の中コレだからね」
笑いながら親指と親指をすり合わせるポーズを取る。
金って言いたいんだろう。
「銭ゲバ……」
「失礼だね。私はあくまで正規の手段で収入を得てるんだ。非合法に手に入れた黒い金でなく、安心安全、クリーンで真っ白な金だよ」
「呪術師自体が非合法みたいなもんでしょうに良く言いますね……」
原作キャラであるものの、実際に接した冥冥という人物は結構苦手な部類にあった。
買う物があんまりねぇ、と任務で得たお金を貯蓄している俺だが、どこからそれを嗅ぎつけたかところ構わず毟りとろうとしてくる。
最近は任務と自己鍛錬で忙しいようで、しばらく会わなかったがまさか任務で一緒になるとは……。
「フフフ……まあ、一級同士仲良くしようじゃないか」
「俺は準一級ですけどね。パイセン、純粋な一級じゃないですか。敬いますよ」
「一目見て分かる嘘をつかなくても良いよ。……力を隠してるくせによく言うよ……」
「? 何か言いました?」
「何も。さあ、行こうか」
ボソッと呟くパイセンを訝りながら、俺は任務先の地へと足を進めた。
☆☆☆
「やれやれ。実入りが良いから受けたけど、そうでもないとこんな任務は受けたくないね」
「地道な捜索任務からスタートですしね。だからこそパイセンに白羽の矢が立ったんじゃないですか?」
冥冥パイセンの術式【黒烏操術】はバードストライクとかいう頭おかしい発想が無ければ、単体の戦闘力は皆無に等しい。
その分発想も何かもおかしいパイセンが鍛えて生身でも強くなったんだがな。
それも加味しての一級術師であるが、パイセンの術式は捜索任務に紛れもなく適している。
手がかりが無くとも、烏を使った人海ならぬ烏海戦術で広範囲を少ない時間で探索することができるのだ。
「視界共有もそこそこ疲れるけどね……。それに今回の任務は何やらきな臭い。単なる呪具の捜索じゃ終わらないよ」
「元々特級任務ですけどね。五条と夏油、何してんすか」
「五条君は関西の特級任務。夏油君は別任務で外しているよ。手頃にこの任務を任せられるのが私達以外いなかった、というのが寸法かな?」
「うへぇ」
かなり長時間任務になりそうな予感がする。
今回の任務の概要だが、祀られている神具の回収となっているが、その理由として、近年その近くで強力な呪霊が発生していることから、神具が呪具と化して呪霊を引き寄せている可能性がある、とのこと。
調べもついているから、呪具になってるのは間違いない。
ただそれが特級呪具の可能性も高いそう。
「……烏に探させているけど反応はないようだよ。石楠花君の方からも探してみてくれないかな? なにやら広範囲の探知術式があるらしいじゃないか」
【四刻】のことか……。
なんで知ってんの、って思ったけど夜蛾先生に言ったなそういえば。
そこ経由でバレたか。
「一応使ってみますけど、範囲内の五感情報を拾うだけで呪力探知はできませんよ? あれ、対人間捜索用なんで」
「それでも、視覚で呪具を発見することはできるんじゃないかな?」
「まあ、確かに。……やってみます。【四刻】」
今回は集中するため、視覚以外の五感情報は切る。
術式に呪力を流し込むと、脳内で一気に視覚情報が舞い込んでくる。
「ここじゃない……ここでもない……んー、コレっぽい?」
色々漁っていると、生い茂る木々の隙間に小さな祠を発見した。
「パイセン、呪具の形ってなんでしたっけ?」
「剣だよ。祠に守られているらしい」
「あー、じゃあ発見しました」
術式を切ってパイセンに伝えると、少し驚いた表情の後、フッと自嘲げに笑う。
「立つ瀬が無くなるとはこういうことだね」
「いや、あんた最早術式を自爆特攻技としてしか活用してないじゃないですか。立つ瀬とかパイセンの発想のエグさに敵うやついませんからね??」
「おや、慰めてくれるのかい?」
「言っておきますけど褒めてないっす」
「フフフ……家入君とは違って塩対応だねぇ」
「貢献度ってやつですよ。あと性格」
容赦なく貶したつもりだったが、パイセンは楽しそうに笑うだけだった。
なんか人生楽しそうだな、この人。
金に糸目をつけないことを除けば好ましい人なんだけど、パイセンから金を取ったら残るものなんてダークマターだろ。
②に続く……
家入ちゃん好きだよね。ヒロインにしちゃって…良い?
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良いよ
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ダメだよ
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別の人がいいな。歌姫ちゃんとか
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ここは冥冥様!?