ありふれた黒幕のありふれない日常   作:96 reito

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とある黒幕の日常の1幕。そこに新たな出会いが待ち受ける……


新しい朝来た♪希望の朝が♪

 Side 零斗

 

 黒幕の朝は早い──────午前5時には目を覚まし身支度を済ませる。それが終われば朝のトレーニングだ。ランニング5kmから始まり、片手倒立腕立て伏せを100回3セット、スパイダープランクを100回3セット、その後は真剣と同じ重さの木刀を使っての素振りを300回行う。

 

「ふぅ……」

 

 筋肉の剛性を高めた後は、筋肉の柔軟さを保つ為にヨガを応用した入念な柔軟運動を行って、筋肉の剛性と柔軟性を保持している。

 

「いい時間だな。今日の朝食のメニューは……トーストに、ベーコンエッグ、コンソメスープで。昼食はイカ墨パスタと卵と野菜のパンプキンキッシュ、デザートのラム漬けレーズンのバーンブラックだな」

 

 冷蔵庫や棚から必要な材料を取り出し、調理を始める。

 

 ──────────────────────

 

「ご馳走様でした。そろそろ時間だな」

 

 制服に着替え、作った昼食をバックに入れて家を出る。さて、なるかな。

 

「零斗、おはよう」

「おはようございます、刀華」

 

 家を出ると玄関の先で俺の最愛の人である、刀華が待っていた。うん、可愛い。

 

「……ハジメは?」

「まだ家に居るわ」

「起こしに行きましょう、今ならまだ遅刻はしませんし」

「ええ、そうね」

 

 刀華と共にハジメの家に向けて歩き始める……先程から視線が痛い。

 

「……」

「……?」

 

 どうしよ? 俺なんかしたかな? 

 

「どうしましたか?」

「……何でもないわ」

「そ、そうですか」

 

 モジモジとしている刀華……何をどうしたら良いのかな? 手でも繋いだ方が良いのかな? 

 

 スルッ……ニギ「……」

「!? ……」( *´꒳`* )

 

 ふわりと華が咲く……どうやらお気に召して頂けたようだ。少し頬を赤らめて破顔する刀華。可愛いな、おい。動悸がとまらねぇよ……

 

「「…………」」

『ママ。あのお兄ちゃんとお姉ちゃん顔真っ赤だよ?』

『あらあら、初々しいわねぇ』

『リア充かよ……朝からご馳走様です』

 

 付き合いたてのカップルかよ、俺らは……恥っず……周りの人はほっこりとした視線を注いでくるし、中には茶化すような言葉を掛けてくる奴もいるし……恥っず。

 

 ●○●

 

 Side 一花

 

 私の名前は東雲 一花(しののめ いちか)、お父さんの転勤で高校を転校する事になった。今日から新しい高校生活が始まる。ちょっとワクワクしながら振り分けられたクラスに入る。

 

 ガヤガヤ(なんでこんなに人が多いの?)

 

 私は教室に入り、辺りを見渡す。すると、黒板にはデカデカとこう書かれていた。

 

【転校生が来ます!】

 

 はぁ……こういうイベント好きそうだもんね、あのちっこい先生。ドアを開けて入ってきたのは三人組の男女だった。一人は髪が白くてオッドアイの男の子、もう一人は眠たげで気だるそうな男の子で最後の1人は背が高くて綺麗な女の子だ。

 

 コツコツ「……」

 

 二人は私の横を通り過ぎて行く……

 

 三人が通り過ぎる瞬間に男子の方を見たけど2人揃って美形だった。そして女子の方はモデルさんみたいにスタイルが良い。─── それからHRが始まり、自己紹介タイムが始まった。まず最初に自己紹介したのは白髪君だ。

 

「湊莉 零斗です。趣味はお菓子作りで、得意な事は料理です。よろしくお願いします」ペコリ

 

 うーん、普通の挨拶だけど、何か印象に残る感じがあるな。多分それは彼の纏っている雰囲気だろう。次に自己紹介するのは彼の隣にいた女の子だ。

 

 彼女は零斗君の肩に手を置きながら前に出る。彼女が歩く度に皆が目を奪われる。スラリと伸びた足、長い手足、均整の取れた体つき。それに腰まで伸びている艶のある黒いストレートヘア。まるでモデルのよう…… って本当にモデルなのかな? クラスのほとんどの人が見惚れている中、彼女だけは堂々としている。教壇の前に立ち、私達の方を向いた彼女の容姿は……一言で言えば女神だろうか? 透き通るような白い肌、整った鼻筋、ぷるりと潤った唇、切れ長で大きく開いた瞳孔の目は吸い込まれそうなほど美しい。

 

 そして何より、この世の物とは思えないほどの美貌を誇るその顔が、彼女を一層美しく見せていた。ゴクリ…… 誰かが唾を飲む音が聞こえる。それだけでは無い、クラス全員が彼女に釘付けになっているのだ。それほどまでに美しかった。

 

 しかし、そんな絶世とも言える美少女が、無表情のまま喋り出す。

 

「西園寺 刀華です。趣味は旅行で、特技は裁縫です」

 

 たったこれだけの短い挨拶なのに、何故か聞き入ってしまう魅力があった。西園寺さんは挨拶が終わるとスタスタと自分の席に戻って行った。すると今度は眠たげな男子が自己紹介を始める。

 

「南雲 ハジメです。趣味は……特にありません。好きな物はラノベです、よろしくお願いします」

 

 彼もまた平凡な自己紹介をした。すると、クラスの大半から嘲笑が上がる。

 

 ヒソヒソ(あぁ、また始まったよ)

 コソコソ(これだからオタク君は)

 

 クラスの大半が南雲君を馬鹿にする。でも彼は何も言い返さない。ただ黙々と席に戻る。

 

(可哀想に……)

 

 私は同情した。だってそうでしょ、ただ好きな物を言うだけでバカにされるなんて、私なら耐えられない。

 

 その後も何人かが自己紹介をして、ついに私の番が来た。

 

 私が立ち上がると、さっきまでのざわめきが嘘のように静まり返り、全員の視線が集まる。なんか緊張するな……えっと次は何を話せばいいんだっけ? 確か名前だけ言って座ればいいんだよね? よし! 頑張れ私! 私は一度咳払いして口を開く。

 

「東雲 一花です。趣味は園芸と料理で、特技は生け花です。よろしくお願いします」ペコリ

 

 私は自分の席に戻るとふぅ……と一息つく。なんとか乗り切った〜。

 

 ──────────────────────────

 

 あの後は普通に授業が始まって、お昼休みになった。チャイムが鳴ると、担任の先生が教室から出て行く。それを見て生徒たちもそれぞれ行動を始めた。ちなみに私の今日の昼食はサンドイッチだ。パンを半分に切って中にハムやらチーズやらを詰め込んだ簡単なお手軽メニューである。

 

「モグモグ」

 

 うん、美味しい。やっぱり自分で作って食べる方が好きだな。

 

 その時だった。 突然周りが騒がしくなる。一体何事かと思い周りを見渡すと、そこには数人の女子に囲まれて質問攻めにあっている湊莉君がいた。

 

 すると、おもむろに西園寺さんが湊莉君に近寄り……唇を奪った。

 

 キャーーー! 「!?」ポロッ

 

 周りに居た女子達は黄色い悲鳴を上げる。湊莉君達のキスは軽く唇同士が触れるフレンチキスでは無く、しっかりディープキスだ。しかも二郎系くらいど濃厚のヤツだ。

 

「プハァ……いきなりですね、嫉妬ですか?」

「そうだけど?」

「フフ……可愛いですね」

 

 ァ、そう言う御関係でしたか……甘ったる。

 

「はいはい、ごちそうさまでした。周りの子達が置いてけぼりだよ零斗」

「「「いえ、大丈夫です! ありがとうございました!」」」

 

 それで良いのかあんた達は……にしても美男美女カップルだなぁ、南雲君は呆れてるみたいだけど。

 

 ガララッ「零斗ー! 遊びに来たよー!」

「まったく……何時まで経っても子供っぽいんですから」

「まぁ、いいじゃない。見ていて楽しいでしょう?」

「その割には顔がニヤけている様ですが?」

「……スルーでお願いします」

 

 教室のドアが勢い良く開き4人の美男美女が入ってきた。

 

「零斗! 今日のご飯は!?」

「はいはい、今渡しますから」ゴソゴソ

 

 湊莉君はカバンから7人分のお弁当箱を取り出し、配った。

 

「ちなみに今日のメニューは?」

「イカ墨パスタと卵と野菜のパンプキンキッシュです。デザートにレーズンのバーンブラックもありますよ」

 

 すっご……しかも7人分も……私じゃ出来そうにないなぁ。その後、仲良く食事を楽しんでいた。

 

 ──────────────────────────

 

 放課後になり、私は部活見学に行くことにした。本当は帰宅部でも良かったんだけど、せっかくだし何かやってみようかなと思ってね。まず最初に来たのは料理研究部の見学だ。中に入ってみるとそこはお菓子作りに精を出す女の子達がいた。調理室では部員の人達が作ったであろうスイーツが大量に並んでいた。どれもこれも凄く美味しそうだ。

 

「おや? 貴方は……」

「ふひゅう!?」

「驚かせてしまったみたいですね」

「み、湊莉君……」

 

 いつの間に後ろにいたんだろう? 全然気づかなかった。

 

「部活動の見学ですか?」

「はい、一応」

「……体験していきますか?」

「え? でも……って、わ!」

 

 湊莉君に手を引かれて調理室に入る。

 

「零斗! 5分遅刻だよ!」

「すみませんね、委員会の仕事が長引いてしまいましてね」

 

 奥の方では昼間に教室に来た4人組と西園寺さんが居た。

 

「構いません。ちょうど試食していただいていますから」

 

 机の上には所狭しと色々な種類のスイーツが置かれている。その数ゆうに多くても十種類ぐらいある。それでも全部手がつけられていないのは丁寧にデコレーションされているからだろう。その中で一番シンプルなショートケーキを手に取る。フォークを入れるだけでサクッと切れ、中には真っ赤に熟れたイチゴが入っていた。口に運ぶとクリームの甘さとスポンジ生地のほのかな酸味を感じる。

 

「んぅ〜! おいしい!」

「フフフ……」

「あ゛! すみません!」

 

 しまった、つい癖で。そんな私の姿を見て笑っていたのは西園寺さんだった。湊莉君もその隣で微笑んでいる。この二人本当に仲が良いねぇ。すると一人の男子が話しかけてきた。背が高いなぁ。180センチはあるんじゃないの?

 

「君、転校生かい?」

「は、はい!」

「そんなに畏まらくていいさ……私は佐野 恭弥と言います。どうぞよろしくお願いします」スッ

 ニギ「東雲 一花と言います! よろしくお願いしましゅ……」

 

 あぅ……緊張して噛んじゃったよぉ……恥ずかしい……

 

「どうでしたか? 料理研究部は?」

 

 しばらくして落ち着いた後、湊莉君は私に問いかけた。あんな凄いもの食べさせてもらったのだから感想を言ってあげないと失礼にあたるよね。私は感じたことをありのまま伝えた。とてもおいしかったこと。見た目も綺麗だったこと。そして何よりも皆楽しそうにしていたことを伝えた。それを聞いていた部員の人達も嬉しそうな表情を浮かべていた。少しだけ胸のつかえが取れた気がする。最後に西園寺さんから入部届を手渡され、記入欄を埋めていった。書き終わると今度は皆の前に連れられた。そして、そこで先程言えなかった分も含めた感想を全て言った。それがかなり恥ずかしかったのか、顔を赤くしていたが湊莉君は笑顔で受け入れてくれた。

 

 ────────────────────────

 

 入部を決め家に帰る途中私は今日一日のことを思い出してみた。あの後も色々あったなぁ。美男美女カップルが3組でしょ? 無駄にキラキラした人から『零斗には近ずかない方が良い』とか言われたでしょ? 雑誌にも載っていた現代の美少女侍が同級生……勿論面白かったことは嬉しいんだよ? ただ、我ままになるとしたらどうかと思うだけどね? 学校生活はまだ始まったばかりなんだもん。これからきっと面白いことがたくさん有るはずだから楽しみだね。ワクワクしながら帰っていく。




はいはい、クロです。何時ぞやに言っていた、日常編です。まぁ、完全な自己満で設定を盛り込みました。え?ユエさん達はどうするって?無理やりねじ込みます()

東雲ちゃんのスペックはこんな感じです。

東雲 一花 (しののめ いちか) 16歳 女性

親の転勤で零斗達のいる高校に編入する事になった子、自信家で何事もそつ無くこなすが抜けている所もあるため失敗する事もたった有る。

容姿は美人系で初対面だとキツく見られる事もある。桜のブローチを常に付け、髪を纏めている。
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