アサルトリリィ Thousand Flower 作:汐風波沙
申し訳ありません。
結婚式から数週間後、2人はそれぞれ忙しい日々を過ごしていた。
梨璃は、戦場にて一柳隊改めて、白井隊となり夢結が隊長という形で落ち着き、副隊長となり後方支援となった。
蒼伊は、今まで通りの戦場医師としてリリィ達の怪我を診療すると同時に、自身の専門分野であるリリィ支援のアイテム開発も行っている。
結婚指輪は、お互いのリリィの指輪を交換し、互いのチャームの使用が可能となる形となった。
また、それとは別に梨璃の指輪には蒼伊が開発した
だが、戦況は決していいものではなかった。
むしろとても悪い状況であった。
今まで押していたが、ここに来てヒュージのケイブの数が今までの倍になってしまったのである。
だが、1つのケイブから出てくるヒュージの数はかなり少なくなったものの、大半が変異種と呼ばれるマギを使って攻撃してくるヒュージであった。
________________救護拠点
「まったく、今日もかなりの負傷者だな。」
「前線では戦闘が激化しているみたいですよ。」
「どこ情報だ?」
「いつも通り一葉司令官からです。」
「やっぱりか、流石元エレンスゲのリリィだな。」
「これでも、結構仲は良かった方ですよ。」
「そうなのか……」
「そうなのです。それよりも、どうなんですか、新婚生活」
看護師は目をキラキラさせながら問いかける。
「ふ、普通だよ。帰ってきた梨璃を膝枕しながら頭を撫でて癒されてる」
「癒してるのではなく?」
「ああ、梨璃はめちゃくちゃ甘えん坊なんだよ。まあ、そこがとても可愛いんだけど。」
「うわぁ〜、お惚気けご馳走様です。」
とても満足そうな顔をしている。
「話は変わるが、ここにいる看護師で戦えるリリィって何人いる?」
「私を含めて20人です。ああ、そう言えば
「ああ、男では珍しくリリィなんだよな。」
「かなり珍しいですよね。第1世代以来の男のリリィですもんね。」
「まあ、正直なところゲヘナに実験されてたから、チャームを握っていないから、今は起動出来るか分からないけどね。」
「そうなんですか……、失礼な事聞いてしまって申し訳ありません。」
「いや、大丈夫だよ。いつかは話すつもりだったし。」
「でも!それでも、思い出したくない記憶のはずですよね?」
「優しいんだな、定盛くんは……」
蒼伊は看護師の頭を撫でた。
サラサラの髪を優しく。
「なっ……、はわぁ……」
少し照れているようだ。
顔を真っ赤にしながら、でも、満更でもなさそうな表情をしている。
「……そんなんだから、勘違いする子が多いんです。」
「ん?何か言ったか?」
「もういいでしょ、そろそろ離してください!梨璃さんに言いますよ!」
「それは困るから、止めます。」
蒼伊は、定盛の頭から手を離した。
「あと、私を呼ぶ時は姫歌かヒメヒメっていつも言ってますよね?」
「わかった、わかったから落ち着いてよ、定盛くん。」
「だ〜か〜ら〜!」
その言葉を遮るように警報音がなる。
『エマージェーシー、エマージェーシー!只今、救護区域内でケイブの発生を確認。動けるリリィ、待機中のリリィは直ぐに戦闘態勢に入ってください。繰り返します…………』
その瞬間、定盛の目の色が変わった。
「先生、逃げてください。生き残って、救える命を救ってください。」
「ダメだ、僕も戦う。」
「いえ、先生は逃げるべきです!」
定盛は、強く言う。
「死亡フラグ回避してるんですよ、今。だからこそ、逃げるべきなんです!先生は生きて、梨璃さんと幸せな家庭を築いて、幸せになる権利と義務があるんです!だから、今は逃げてください……」
定盛の言葉は本気だった。そのせいで、喉を通りかけた言葉が、消え失せた。
「……わかった、でも、研究データは持って行かせてくれ。アレは絶対に必要なものだから!」
「分かりました、私はヒュージがここに来たら、倒します。」
「わかった。任せるよ、姫歌」
「了解しました、蒼伊先生!」
2人はそれぞれの役割を理解している。
姫歌は、ヒュージから蒼伊を守り、蒼伊はリリィのために研究中の武器を実用段階まで持っていく。
『各リリィに通達!今回のケイブから現れたヒュージは一体。だが、何かが……』
その瞬間、2人のインカムが通信を切断した。
いや、正確には
「ヒュージが、通信施設を壊しやがった。通信は不可能だな……、姫歌!5分でいい、5分でいいから持たせてくれ!ヒュージ一体にこの研究を邪魔させてたまるか!あの子が、成長して、この武器を使えるようになるまで、生きているつもりだったが、仕方が無いか。」
蒼伊は、1本の鉄の塊らしき物に術式を書き入れていく。
そのスピードは、通常のスピードではありえない速度である。
ほぼ終わりに近づいた瞬間、壁を突き破り、ヒュージが診察室に入ってきた。
「ギュイィィィィィイン」
「コイツ、まさか変異種!?」
通常のヒュージと変異種の違いは、多いが、判別方法は戦うか、鳴き声を聞くしかない。
ただし、変異種は鳴き声を変えられる。
だから、被害に遭うリリィが多いのだ。
「だけど、私にとってはリハビリ相手にも……」
「よし、これで完了だ。姫歌、ここを脱出す……
姫歌、危ない!」
「え……」
姫歌が立っていた足元が崩れて、地下に落ちていった。
蒼伊は手を伸ばすが、届かない。
「姫歌ぁぁぁぁあ!」
そんな事も気にせず、ヒュージは蒼伊に襲いかかる。
振り下ろした斧状の腕が、蒼伊の首元に当たろうとした時、ヒュージの腕が、弾かれた。
「マギ……シールド、まさか!?」
「蒼伊くん!」
「梨璃!?」
インカムに俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「良かった、間に合ってよかった!今からそっちに……」
「いや、来るな!地下に姫歌が落ちた。そっちの救助を頼む。」
「でも!」
「梨璃っ!」
「はいっ!?」
「今回だけは、俺のお願いを聞いてくれよ。コイツだけは、今ここで狩らないとダメなんだよ。だから、姫歌を頼む」
「……わかった。でも、地下に降りたら、私のシールドは使えないよ。」
「大丈夫、僕だってチャームを使えるよ。任せておいてよ。2人が出てきたら、撤退する。」
「了解!お互い健闘を祈ります!」
蒼伊は、インカムを捨てた。
「待たせたな、本気でお前を狩る!
蒼伊は、術式を書き込んでいたチャームを引き寄せる。
「頼むぞ、
チャームが起動する。但し、通常のチャームとは違い銃部分が存在しない。
切断に特化しているチャームだ。
「ぐあっ!!マギの侵食が激しいな。戦闘の終わりまで身体、持ってくれよ!」
_____________少し昔の話④ [完]
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