アサルトリリィ Thousand Flower   作:汐風波沙

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力の真実と美夢のマギ②

「……なんだ、また保健室か」

天井を見上げ、ここが保健室であること、自分が戦闘中に倒れたことを理解したが、自分が倒れた理由がわかっていないようだ。

「こんな所で寝てる暇なんてない、早くあのチャームを……」

「まだ動いちゃダメよ!」

美夢がベッドを出ようとしていると、保健室の先生がその動作を制止した。

「定盛先生、また私を無理やり休ませるんですね……」

「ヒメヒメ先生でしょ!まあ、貴方はすぐ無理をするので、ゆっくり休んで、1度回復してください!」

姫歌は、頬を膨らませながら言う。

「流石に30の大人がそんな事したら、恥ずかしいと思います」

「失礼な!まだこれでも27だから、あと3年は猶予があるわよ!」

「今年で28ですよね?何が3年猶予あるですって?」

「も〜!またそうやって姫歌を苛めて!姫歌だって、怒る時は怒るんだからね!」

顔を真っ赤にしながら、姫歌は美夢に言い放つ。

「でも、事実ですよね?」

「うぐっ……」

美夢の的確すぎる指摘により、姫歌は何も言い返すことが出来なくなった。

「まあ、冗談はこの辺にしておいて……」

「その歳でまだアイドルの振る舞いをされるのは、冗談でもキツイです」

「も〜!!!また私をバカにして……、ほら、貴女の大尊敬している百由様ですよ!」

そう言うと、カーテンを思い切り開く。

ベッドの前の机の後ろに座っていたのは、もちろん百由だった。

「やあやあやあやあ、2人とも仲が良さそうで何よりだよ!」

「「どこがですか!」」

「そういう所よ……」

百由は、少し引き気味に言った。

「じゃあ、少し美夢と2人で話をしたいから、姫歌さんは、少しだけ外に出ていてくれる?」

「は、はい。分かりました……」

姫歌は、保健室の外に出た。

「さてと、美夢ちゃん。私と少し話をしましょうか?」

「改まって、何でしょうか、百由様……」

「貴女、私に隠していることあるでしょ?」

「ッ!?」

美夢は、核心を突かれたのか、無言になった。

「いや、貴女のレアスキルについてはもう知っているのだけど、それよりも、()()()()()()()()()()()()()()使()()()()?」

百由は、目を真っ直ぐ見て、美夢に迫る。

「ちょっ、近いっ……」

美夢は、後ろへたじろいだが、もう既に壁であった。

「ちょ、百由様?一度話し合いましょう?」

「何を言ってるの?私は()()()()をもっと調べないといけないの!さあ、早く、早く見せて、貴女のマギを全て!」

百由は、美夢をベッドに押し倒し服を脱がす。

「本当にスベスベな肌で、いい肉付きしてるわね……」

「ひゃぁっ!?」

美夢は、少し色っぽい声を出した。

「でも、マギの色は、濁っているわね。たくさんの色が混ざって、混沌のような色をしているわ……」

「え……」

美夢は、言葉を失った。

そしてそのまま両腕で百由の首を掴んだ。

「アンタに!アンタに何がわかるってんだ!」

百由は、美夢に首を掴まれながら、押し倒された。

その表情は、憎しみ、悲しみが混ざり、そこに怒りという負の感情が、目の奥にあった。

「何もかも失って、挙句の果てには、目の前で仲間を失う!そして呪いのようにまとわりつく!こんな力、好きで身につけたわけないでしょ!」

そう言った瞬間、

パチンッ!

という鈍い音と、

バタンッ!

という美夢がベッドから落ちる音がした。

「甘ったれるなよ、クソガキ」

その一言で、美夢が豆鉄砲を食らった鳩のようにキョトンとしていた。

「誰かの優しさに甘えるのは辞めなさい。何事も自分だけが苦しいなんて思うな!貴女は、リリィであり、アーセナルなのよ!誰かを守り、誰かを救うためのチャームを開発する。苦しくないわけが無いの!それを何も見えてないのに、苦しいと勘違いするとは、本当に子供じゃないの!」

美夢は、目を大きく見開いたまま、唖然としていた。

そして、一筋の雫が頬を落ちた。

「あれ、何でだろう……」

美夢は涙を拭くが、その度に何度も溢れかえっていた。

「うっ、ぐぅっ……」

止まらなくなった涙が、想いが、何もかもが溢れ出した。

「え、あ、ちょっと!?ごめんなさい、そんなに強く言っていたつもりは無かったんだけど……」

百由は、あわあわしながらそう言った。

「ずっと、ずっとそうだったんです!いつも同情されるか、蔑まれて、嫌われるかのどちらかでしか無かった!そのせいで、自分の中にも負の感情が溜まっていって、いつの間にか、そんなじぶんがきらいだった……、でも、百由様は、そんな私を叱ってくれた。私を、私の甘えてた部分をちゃんと叱ってくれた!」

美夢は、「ありがとう、ございます」と涙を流しながら言った。

「迷っていた旅路は、やっと道が見えたようね」

百由は、嬉しそうに言った。

それに同調するように、

「はい!」

と笑顔で答える美夢だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________続く




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