アサルトリリィ Thousand Flower   作:汐風波沙

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お待たせいたしました、今週の更新分です。
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第15話 灰色の約束

「とりあえず、錆は落ちたわね……」

百由は、背伸びをしながら美夢に言う。

「そうですね、やっぱり()()()()だったんだ……」

美夢は、チャームの刀身を撫でながら一言呟いた。

「マギが入ってないと、やっぱり灰色の刀身になるんだ……、先生との、約束の色。少しくすんだけど、絶対に色褪せないオリジナルカラーのグレー、こんな所で再会出来た、いや、ようやく反逆の狼煙を上げる条件が揃ったってところか!」

そう言いながら、刀身と柄の接合部分に目を向けると、1つのロゴが描かれていることがわかった。

朱、蒼、翠の剣が交わり、中心が白く輝いている。

これは、この世界においてのアーセナルならば、知らない者のいない昔から伝わるチャームの、日本のとある場所でしか作れなかった、世界に3本、しかもそれぞれ違う性質を持つ幻のチャームに付いている紋章だった。

「これは、まさか()()()()()()……」

「何その厨二全開の加護名?」

百由は、初めて聞く単語に困惑の色を示していた。

「世界に3本、いや、正確には三振りの刀型のチャームを製造したとされているチャーム工房の名前です。マギを吸い、呪いのチャームとしても、そして、人類を救うための救済のチャームでもあるとされています。1本は西洋に外征している鬼切丸(おにきりまる)(たずな)の所持している、翠刀『大地』。次が東南アジアへ外征している千賀崎(ちがさき)(みつ)の所有する蒼剣『海原』。最後に、花火(はなひ)未夢叶(みゆか)の私有している朱印刀『朝日』の3本になりますが、いずれも日本に帰ってくることも無く、そして、使用していたリリィも最後を知る人がいないという……」

美夢は、そう言いながら紋章に触れる。

そして、その違和感に気付いた。

「そんな国の重要文化財になりそうなチャームをよく振れるものよね、その子たち……」

「ええ、そうですね。でも、アレだけは他のリリィが使えない代物ですので、多分彼女たちと共に消えたことによって、ほとんどのリリィが救われたと言っても過言では無いですが……」

「何か隠してない?」

百由は美夢の顔を覗き込む。

「何も隠してないですよ、でも、まだ言ってないだけです」

「なるほど、そういう事ね!」

そう言うと、百由は灰色のチャームを持ち上げる。

が、持ち上げた瞬間にその場に落としてしまった。

「何なの、このチャーム……。あと、なんか、身体に怠けがしてきた」

「どうやら、空腹だったコイツに思いきりマギを持っていかれてしまったみたいですね!」

美夢は、嬉しそうに言う。

「このチャーム、起動してないのに自我があるんです!これが日本の封印の技術です!実は、ここには、日本に落ちてきた最初のヒュージの4体の一体が封されているんです!本来は必要ないのですが、封印して、ヤツらにマギを与えてチャームとして使うことにより、通常のチャームでは絶対に出せないような火力を出せたり、ギガント級ヒュージのレーザーすらも跳ね返す程のマギリフレクターを使用出来たりと、いいことが多いんです。但し、欠点があります。それは、膨大のマギが必要になることです。なんと!その量は、スキラー数値が90以上のリリィでも、4日分は必要なくらいなのですよ!」

美夢は、ドヤ顔でそう言うが、百由は半分は寝ている様子である。

「お〜い、美夢と百由様おるか〜?」

そこに工房のドアを開いてミリアムが入室してきた。

「およ!?百由様、寝ておるな、調度良いし久しぶりに、膝枕をしてやろう……」

ミリアムは、そう言うと百由の頭を上げ、頭の位置に太腿が来るように座った。

「相変わらずお2人は仲がいいですね」

「そうか?」

「そうですよ!見てて微笑ましい光景です」

「儂からするとあまりにも親子と煽られるから少し嬉しいのじゃ」

ここぞとばかりに、百由様の頬を啄くミリアム。

少し百由の表情が曇ったが、その後頭を撫でると、ご機嫌になった。

「さてと、そのチャーム、少し嫌な感じがするな。ヒュージを見ているような感覚じゃ……」

「ええ、でもこのチャームには、ヒュージ化した()()が入っているんです。」

「なんじゃと!?」

「普通のアーセナルならわかりませんが、私には分かります。このマギとこの懐かしい感覚は先生なんです。きっと、ここに、梨璃ちゃんの元に戻ってきて、最後に力を貸したいって思いがきっと……」

「それ少し違うよ!」

工房のドアが開くと同時に、梨璃が部屋に入ってきた。

「美夢ちゃん、私だってそこまで鈍感じゃないんだよ!確かに、蒼伊が帰ってきてくれたことは嬉しいよ。でもね、蒼伊は私のためじゃなくて、美夢ちゃんの為に帰ってきたんだよ!だって、貴女は、たった1人の弟子なんだから……」

そう言うと、チャームを拾い上げ、梨璃の髪がピンク色から紫に変わった。

「ラプラスで、マギを吸収されるのを防いでいるんですね……」

「そうね、でも、そんなに長くは続かないけど……」

そう言いながら、チャームを抱き締めたい。

「やっと、やっと会えた。もう二度と会えないと思っていたから!あの日から、もう何年経ったのか覚えていないけど、やっと、やっと……」

そう言うと、大粒の涙をチャームの核部分、そして、刀身に落ちる。

涙内のマギを感知してか、チャームが一瞬起動したが、チャームを抱きしめていた梨璃以外は気が付いていなかった。

「じゃあ、私はもう行くから、貴方も無理しないようにね……」

梨璃は、台座の上にチャームを乗せ、ラプラスを解除した。

「もう、いいんですか?」

「うん、言いたいことも聞きたいことも全部聞けた。だから、貴女も頑張ってね。私の大事な妹兼生徒なんだから!」

「梨璃ちゃんは、魔道力学の教員じゃ無いでしょ!」

笑いながら美夢は答える。

「うん、やっぱり百由様と貴女が出会ったことはいい事だったのかもしれない……」

「どうして?」

「だって、貴女今までよりも笑うようになったから」

「そう、かな?」

「うん、その笑顔を忘れないでね!」

そう言うと、梨璃は部屋から出て行った。

「そんじゃ、儂も行くとするかの〜!」

そう言うと、ミリアムは百由を揺さぶって、

「百由様〜、行くぞい!」

と言い、百由を起こした。

「あれ、私寝てた?」

「おう、よう寝ておったぞ!」

「そっか……、それじゃあ、後のことは美夢に任せて、理事長代行に会いに行くわ、グロっぴもついてきなさい」

「言われなくとも、そんなフラフラしている百由様を1人では行かせぬ。そんじゃ、美夢。あとは任せたぞい!」

そう言うと、百由を連れてミリアムは部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜美夢の内心〜

一人きりの部屋が寂しいと思ったのは、今が初めてだ。

百由様に出会って、レギオンを組んで、レギオン対抗戦をやって、それから、みんなでご飯食べたり、百由様に叱って貰えたりとたくさんの事があった。

1人でもできることは沢山あるかもしれないけど、いつか必ず限界が来て、潰れちゃうかもしれない。

なら、頼れる、支えてくれる仲間と一緒に前に進むことも、

 

「少しくらい、頼ってもいいよね」

 

 

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この日、少女は仲間の大切さ、自分の弱さに気が付く事ができ、仲間を頼ることの大切さを知り、仲間の捉え方を変え、少しだけ、前に進むことが出来たのであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________続く




ご拝読ありがとうございました。
そして、更新が遅くなってしまいまして、申し訳ありません。
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