アサルトリリィ Thousand Flower 作:汐風波沙
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勝利の剣を手に入れてから数週間後、美夢は、工房にて最後の仕上げ、術式の書き込みを始めた。
キッ、キキッという金属同士の引き裂く音だけが朝の工房内に響き渡る。
『皆の思い出と戦った記憶、そして、今日までのたくさんの出来事、それを護るためにも、書き上げるんだ!私が、私を忘れないため。そして、先生が愛したこの世界を護るためにも……』
少しだけ術式を書き込む手の力が強くなるが、マギを注ぐ量が一層増える。
「これで、完成だな……」
数時間後、術式を書き込み終えた美夢が小さく呟く。
チャームの刀身をひと撫でし、チャームの鞘を手に取る。
カチンッ……
静かな工房に納刀する音が響き、消えていく。
「この刀にはまだ名前はないけど、いつの日にか必ずこの刃がみんなの行く手を照らす優しい朝日のように輝いてくれることを祈るばかりだな……」
ここで、美夢は部屋の入口付近に添え付けてある時計を見る。
06:37
を表示していた。
「マズイ、食堂がそろそろ開く時間だ!一昨日みたいに遅刻して怒られないようにしないと……」
そう言いながら、エプロンを脱ぎ、制服のワイシャツを手に取る。
袖を通し、ボタンを下から留めていく。
胸のところで少し時間がかかるが、モノの数十秒で、ボタンを留め終える。
その後、スカートを手に取り、ハーフパンツの上から着る。
スカートのホック留め、ファスナーを1番上まで上げる。
そして、中に着ているハーフパンツを脱ぐ。
「さてと、少し改良した、こいつを付けるとするか……」
そう言うと、いつも腰に付けているチャームケースを、腰に回し付ける。
そして、左にリボルバー型、右に6本のナイフ、そして、1番上の面にもう1つチャームを差込口があった。
「少し、重量が増えるけど、まあ、仕方ないわね」
そう言うと、最後の差込口に刀型チャームを差し込み、少し不安定そうにした。
「少し、不安定だな……、やっぱり付けるか」
制服の上着であるブレザーを着用し、刀型チャームの鞘の下部分に付いている紐を括り付ける部分に肩ベルトの端の紐を通す。そして、鞘の上部分にも同じような部分があるため、そこにも、紐を通す。
肩ベルトを上着の内側に通るように付ける。
そして、ブレザーのボタンを上だけ留める。
髪の毛を軽く櫛で整え、
「これで良し!」
そう言うと工房を出て食堂へ向かう。
美夢が食堂に到着すると、ミリアムが周りを見て自分が座れる席を探していた。
「ミリアムさん、おはようございます!」
「おう、おはようなのじゃ、美夢。なんか、今日は大荷物じゃのう?」
「そう、ですかね?いつもよりも1本多いですが、それ以外は何も……」
そう言うと、ミリアムは美夢の周りをぐるりと回った。
「ついに完成したんじゃな、
「それって?」
「そのチャームの名じゃ。名前の無いチャームなど、チャームでは無いのじゃからな、今見て付けてみたんじゃが、何か気に食わなかったか?」
「いえ、このチャームを見て、その名前をつけてくださったお陰で、私としては、悩みが一つなくなりました」
「そりゃあ、良かったのう。ところで、百由様を見ておらんか?昨日の夜からどこにもおらんのじゃ……」
「いえ、私は見ていませんが……」
「おやおやグロっぴ、私が居なくて寂しかったの?」
美夢の後ろから、百由がミリアムに問いかける。
「わっ!?百由様、驚かさないでくださいよ」
「ごめん、ごめんっ!ところで、今日は大荷物ね、美夢」
「百由様、それ、さっき儂も言ったぞ……」
「えっ!?そうなの?ならグロっぴ、説明よろしくね!」
「仕方ないのぅ……」
ミリアムは、事の経緯を全て話した。
チャームの名前も。
「なるほどね、理解したわ。ところで、そんな大荷物でごはん食べずらいんじゃないの?」
「いえ、今日はお弁当を取りに来ただけなので、何も心配はいりませんよ!」
「と言うと?」
百由は、少し首を傾げる。
「つまり、飯を食う時間すら勿体ないくらい早くそのチャームを試したいということかな?」
コツン、コツンと聞こえのいい足音をたてながら1人のリリィが近付いて来た。
「あ、貴女は!?誰だっけ?」
「おや、百由様とミリアムさんには初めましてだったかな?私の名前は
「オーケー、あきなちゃんね、今覚えたわ、まあ、忘れそうだけど」
「百由様は、忘れっぽいからのう。秋那様、よろしく頼むぞ。儂も、ミリアムでもグロピウスでも好きなように呼ぶと良いのじゃ」
「じゃあ、ミリリンとでも呼ぼう。ちなみに、由来はミリアムとちんちくりんの足し合わせだ」
「百由様、こやつシバいても構わぬか?」
「グロっぴ、やめておきなさい。返り討ちにされてしまうだけよ」
「儂に我慢しろということか!」
「そうに決まってるじゃない、事実を言われたからってムキにならないの、だいたい、牛乳飲めば大きくなるなんて信じてるから、いつまでたってもちんちくりんなのよ!」
「百由様の方こそ、睡眠もろくにとらないでずっと作業してるのに、どうしてそんなにナイスバディ〜なのじゃ!少しくらい儂にもわけてくれてもいいんじゃぞ!」
「あらあら、やっぱり自分でちんちくりんって認めてるじゃない。偉いわね、グロっぴ!」
「くぅ〜っ!いつか覚えておれよ、見返してみせるわい!」
「あら奇遇ね、私はいつまでたってもグロっぴはちんちくりん……」
百由とミリアムは、言い争いを始めてしまった。
「美夢、私も今日は弁当なんだ、一緒にどうだ?」
「その後の訓練にも付き合ってくださることが条件ですよ、秋那様」
「お手柔らかに……」
少し不安そうな笑みを浮かべながら、秋那は言った。
2人は弁当を受け取り、
「さてと、喧嘩してるふたりは置いて、行こうか、美夢」
「そうですね、秋那様!」
「やっぱり私達シュッツエンゲ……」
「お断りします!」
「ありゃりゃ〜、また振られちった!」
「懲りませんね、秋那様も」
2人は雑談をしながら訓練場に向かうのであった。
________________続く
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