アサルトリリィ Thousand Flower   作:汐風波沙

37 / 43
更新しました。
感想、評価、ブックマークよろしくお願い致します!!


第17話冬の寒空に散る花弁

ずっと夢を見ていた。

「美夢、貴女には運命を呪う権利があるわ。ゲヘナの策略だとしても、本来であれば、貴女の力は覚醒することは無かったの……」

幼い日の私を、夢結は優しくも力強く抱き締める。

「お母さん、私は今の生活を捨てたくないよ?鶴紗ちゃんだけじゃなくて、梨璃ちゃんも優しいし……」

「そうね、貴女だけはこの世界の暗い部分の色に染まらないでいなさい。だから、私も、私も貴女に……」

夢結は、更に強い力で私を強く抱きしめる。

「あとね、お母さん。私、もう迷わないよ!みんなが、私に歩かなくては行けない道、絶対に進んだらダメな道を本気で教えてくれた。みんなが好きだし、今の居場所が大好きだから、私は運命を呪う事なんてしないよ!」

「そう、なのね……」

夢結は私から離れる。

「貴女は、私と違って強いのね。そこはお姉様に似ているのね……」

夢結は、私の肩に手を置いた。

「美夢、貴女は、貴女は必ず生きなさい。死んでもいいとか、死にそうになっても逃げなさい。仲間が必ず助けてくれる。悩んでも辛くても、必ずしも向き合う事だけが正しいことじゃないのよ」

そして、私の額に夢結は額を合わせる。

「だから、辛くて苦しくて向き合ってももう無理だって思ったら、逃げなさい。逃げて、泣いて、寝て、起きて、また向き合いなさい。最終的には、1人になっても、必ず貴女を信じてくれる人が、切っても切れない仲間との絆が、貴女を導いてくれるのだから」

それだけ言うと、夢結は私から離れて、歩き始めた。

「待って!行かないで!私をひとりにしないで!」

私は走り出していた。

けれども、夢結との距離は縮まらないどころか、どんどん離れていく。

もう追いつけないと思い、私は足を止めた。

その時、夢結が振り返り、

「美夢!!貴女、いい仲間に巡り会えたのね。大切にするのよ」

そう言うと、夢結は光の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッは!?」

美夢が目を覚ますと、そこは保健室だった。

「あれ、私……」

身体を起こし、左手に伝わる温もりに目を向けると、秋那が美夢の手を握っていた。

「どうして保健室に……」

そんなことを呟いた時、カーテンが開いた。

「あっ、起きたのね。全くもう、あれだけ無理はするなって言ったのに……、仕方ない子ね」

そこには、保健室の担当である定盛姫歌が居た。

「で、体調の方はどうなの?」

「どうもこうも普通ですよ、定盛先生」

「おい、ヒメヒメ先生と呼びなさい!」

「いや、もう30代中盤で結婚歴もない先生が、自分の事をヒメヒメ先生とか言うの、痛いですよ?」

「うぐっ……、それ中々刺さるから本当に困るのよ……」

「でしょうね」

そう言いながら、美夢は少し笑った。

「ところで、私は何故ここに運ばれてきたのですか?」

「そうね、工房でいきなり倒れたらしいのよ。そこで寝ているアンタの元お姉様曰く」

「ヒグッ!?」

そう言うと姫歌は秋那の脇腹を思い切り掴んだ。

「眠っていて完全に油断してるなんて、リリィとしてどうなのよ?」

「休息も大事なことくらい、定盛先生も分かるでしょ?」

「だ・か・ら!ヒメヒメ先生と呼びなさいって言ってるでしょうが!!!」

姫歌は、さらに強く秋那の脇腹を掴んだ。

「痛い、痛いって!!大体、アラサーがヒメヒメと呼んでとか、痛々しいだけだろ!!!」

姫歌の手が止まり、その場に膝から崩れ落ちた。

「また、生徒に30代の事を……」

姫歌の心が折れてしまった。

やはり、年齢を突かれるのはアイドルリリィにとって致命傷なのだろう。

「とにかく、もう大丈夫ですので、もう行きますね、姫歌先生!」

「う、うん……、わかったから、早く、いやもう二度と来ないで」

そう言いながら、涙ながらに姫歌は言った。

「それじゃあ、美夢。行くよ!」

「はい、秋那様!!」

秋那は、美夢の手を引きながら保健室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________【続く】




ご拝読ありがとうございました。
もしよろしければ、ブックマーク、作品の感想、小説の評価をよろしくお願いします。
また、今後も本作品をよろしくお願いします。
また、アンケートの方も投票していただけますと、今後の励みになりますので、よろしくお願いします。

本作品について

  • 面白かった
  • 面白そう
  • まぁまぁかな
  • クソ
  • もう書くな
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。