アサルトリリィ Thousand Flower 作:汐風波沙
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ずっと夢を見ていた。
「美夢、貴女には運命を呪う権利があるわ。ゲヘナの策略だとしても、本来であれば、貴女の力は覚醒することは無かったの……」
幼い日の私を、夢結は優しくも力強く抱き締める。
「お母さん、私は今の生活を捨てたくないよ?鶴紗ちゃんだけじゃなくて、梨璃ちゃんも優しいし……」
「そうね、貴女だけはこの世界の暗い部分の色に染まらないでいなさい。だから、私も、私も貴女に……」
夢結は、更に強い力で私を強く抱きしめる。
「あとね、お母さん。私、もう迷わないよ!みんなが、私に歩かなくては行けない道、絶対に進んだらダメな道を本気で教えてくれた。みんなが好きだし、今の居場所が大好きだから、私は運命を呪う事なんてしないよ!」
「そう、なのね……」
夢結は私から離れる。
「貴女は、私と違って強いのね。そこはお姉様に似ているのね……」
夢結は、私の肩に手を置いた。
「美夢、貴女は、貴女は必ず生きなさい。死んでもいいとか、死にそうになっても逃げなさい。仲間が必ず助けてくれる。悩んでも辛くても、必ずしも向き合う事だけが正しいことじゃないのよ」
そして、私の額に夢結は額を合わせる。
「だから、辛くて苦しくて向き合ってももう無理だって思ったら、逃げなさい。逃げて、泣いて、寝て、起きて、また向き合いなさい。最終的には、1人になっても、必ず貴女を信じてくれる人が、切っても切れない仲間との絆が、貴女を導いてくれるのだから」
それだけ言うと、夢結は私から離れて、歩き始めた。
「待って!行かないで!私をひとりにしないで!」
私は走り出していた。
けれども、夢結との距離は縮まらないどころか、どんどん離れていく。
もう追いつけないと思い、私は足を止めた。
その時、夢結が振り返り、
「美夢!!貴女、いい仲間に巡り会えたのね。大切にするのよ」
そう言うと、夢結は光の中に消えていった。
「ッは!?」
美夢が目を覚ますと、そこは保健室だった。
「あれ、私……」
身体を起こし、左手に伝わる温もりに目を向けると、秋那が美夢の手を握っていた。
「どうして保健室に……」
そんなことを呟いた時、カーテンが開いた。
「あっ、起きたのね。全くもう、あれだけ無理はするなって言ったのに……、仕方ない子ね」
そこには、保健室の担当である定盛姫歌が居た。
「で、体調の方はどうなの?」
「どうもこうも普通ですよ、定盛先生」
「おい、ヒメヒメ先生と呼びなさい!」
「いや、もう30代中盤で結婚歴もない先生が、自分の事をヒメヒメ先生とか言うの、痛いですよ?」
「うぐっ……、それ中々刺さるから本当に困るのよ……」
「でしょうね」
そう言いながら、美夢は少し笑った。
「ところで、私は何故ここに運ばれてきたのですか?」
「そうね、工房でいきなり倒れたらしいのよ。そこで寝ているアンタの元お姉様曰く」
「ヒグッ!?」
そう言うと姫歌は秋那の脇腹を思い切り掴んだ。
「眠っていて完全に油断してるなんて、リリィとしてどうなのよ?」
「休息も大事なことくらい、定盛先生も分かるでしょ?」
「だ・か・ら!ヒメヒメ先生と呼びなさいって言ってるでしょうが!!!」
姫歌は、さらに強く秋那の脇腹を掴んだ。
「痛い、痛いって!!大体、アラサーがヒメヒメと呼んでとか、痛々しいだけだろ!!!」
姫歌の手が止まり、その場に膝から崩れ落ちた。
「また、生徒に30代の事を……」
姫歌の心が折れてしまった。
やはり、年齢を突かれるのはアイドルリリィにとって致命傷なのだろう。
「とにかく、もう大丈夫ですので、もう行きますね、姫歌先生!」
「う、うん……、わかったから、早く、いやもう二度と来ないで」
そう言いながら、涙ながらに姫歌は言った。
「それじゃあ、美夢。行くよ!」
「はい、秋那様!!」
秋那は、美夢の手を引きながら保健室を出た。
________________【続く】
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