アサルトリリィ Thousand Flower   作:汐風波沙

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冬の寒空に散る花弁③

「さてと、これからどうしよう……」

美夢は、椅子の上で少しへばっているミリアムと百由を見てそう呟いた。

「どうするも何も、鶴紗ちゃんや梨璃ちゃんと合流するのが優先だと、私は思うわよ。だって、美夢ちゃんのマギも無限という訳じゃないでしょ?」

「そうじゃな、本来ラプラス持ちの梨璃の方がこういう場合は向いておるじゃろ」

「そういう訳にはいかないんですよ。私が2人から離れてしまうと、効果が無くなるので、2人がまた地獄のようにマギが空っぽ状態になるんですよ」

「「なっ、なんですって(なんじゃと)!?」」

2人は思わず立ち上がった。

「でも、それって私たち3人で行動すれば解決するんじゃないかしら?」

「百由様、マギ空っぽの儂に歩けと言うのか?」

「大丈夫よ、グロっぴは私がおんぶしてあげるから!」

「それじゃと、誰かに見られたら恥ずかしいじゃろが!!」

「大丈夫よ!だってみんなダウンしてるんでしょ?なら、誰にも見られないわよ!!」

「そういう問題じゃないじゃろが!!」

「別に誰も見てないから問題無いでしょ!!」

「お2人とも、擬似ラプラス使うのやめて差し上げましょうか?」

「「ごめんなさい……」」

美夢は、このシュッツエンゲルとシルトの喧嘩を一瞬にして止めてしまった。

「とにかく、ミリアムさんは百由様におんぶしてもらってください。百由様は、まあ、着いてきてください。あと、チャームは持って行きましょう。何かあった時の護身用ですが……」

こうして3人は、それぞれチャームを持ち、ミリアムは百由におぶられ、百由は美夢の後ろをついて行く形で梨璃と鶴紗に合流することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜管理棟 1階 保健室前

「次は姫歌ちゃんだね」

「アイツはしぶとく生きてるだろ?」

「あはは、そうだね……」

そう言うと、梨璃は保健室のドアを開けた。

「梨璃、危ない!」

保健室のドアが完全に開く一瞬のうちに、鶴紗は梨璃に覆いかぶさり、地面に押し倒した。

そして、鶴紗の背中の上をヒュージの腕が通り抜ける。

いや、正確にはヒュージ化しつつある姫歌の腕だった。

「うぐっ……、少し切れたか」

咄嗟の回避だったからか、鶴紗は左腕を負傷した。

「鶴紗ちゃん、大丈夫!?」

「ああ、私はすぐに治るから、大丈夫だけど……」

鶴紗は起き上がりながら、姫歌の方を向く。

「ダめ、来ちゃダメよ、鶴紗さン、梨璃サん」

「パラサイト型か、やはり()()が近くまで来ているのか!!」

「それよりも、今は姫歌さんを救うのが優先事項です」

「梨璃、あそこまでヒュージ化したら、流石に元に戻すなんて無理だ……」

「じゃあっ、どうするの!!」

「梨璃は何も見なくても、しなくてもいい。私が姫歌を切る。」

「それってどういう……」

「『アルケミートレース』、この罪は、私が背負ってこの先も生きていくよ……」

「鶴紗ちゃん!!」

鶴紗は姫歌に向かって飛び込んだ。

「姫歌、辛かったよな、痛いよな、苦しいよな!私が今、楽にしてや……」

その瞬間、鶴紗の前にナイフ型チャームが突き刺さった。

「鶴紗先生、私が今からやること、許してください!」

その声が聞こえたと同時に、天井から美夢が降ってきた。

「定盛先生、絶対に動いちゃダメですよ?」

「みユ!?」

美夢は、残りのナイフのうち4本でヒュージ化している腕を押さえつけ、残り1本で、姫歌の心臓を貫いた。

「くはっ……」

姫歌は、口から血を吐き出した。

しかし、その血は青かった。

「もう、姫歌先生の救える部分が、マギしかないんです。しょうがないので、先生の意思は私が引き継ぎます。だからもう休んでいいんですよ、姫歌先生……」

美夢は、リボルバーを姫歌の顬に突き付け、引き金を引いた。

その瞬間、姫歌の頭は跡形もなく吹き飛んだ。

「貴女の想いは、私が……」

美夢は、頭を撃ち抜いた弾丸を拾い上げ、焦げて黒く濁った色の弾丸を自分の胸に押し当てる。

「いつまでも、移り変わらない気持ちを私に……」

そう呟くと、弾丸の焦げて黒く濁った色は、美夢の服の隙間に入り込んで、弾丸は元の金属の色になった。

その色は、少しだけオレンジ色の光を帯びたあと、光が消えた。

「後は、お願いします……」

そう言うと、美夢はその場に倒れ込んだ。

「美夢!?」

「美夢ちゃん!!」

倒れ込んだ美夢を起き上がらせるために、梨璃と鶴紗は駆け寄った。

結局、この一件で約千人のリリィとまぎを操ることの出来るものが、身体を奪われ命を落とした。

そして、そのリリィ全員の命を奪ったのは、美夢だった。

戦場の悪魔という二つ名は二度と消えぬものとなった。

また、今回のヒュージは、パラサイト型という極めて稀のヒュージだが、このパラサイト型が出てくることは、その集落に命は残らないということが伝わっていた。

美夢は遠のいてく意識の中で、

「必ず、私はみんなを……、そして、ヒュージも一体残らずぶっ潰してやる」

そう言うと、地面に倒れ込んだ。

そして、梨璃と鶴紗はかろうじて頭を守ることは出来たようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________【続く】




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