アサルトリリィ Thousand Flower 作:汐風波沙
遅くなってしまい、申し訳ありません!!
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〜何処かの山中
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……、んっはぁっ、はぁ、はぁ……」
美夢は約100kmほど走って、とある木の下で休憩していた。
「だいぶ近付いて来ている気はする……、この辺もかなり負のマギに侵食されてる、早く解放してあげなくちゃ……」
美夢は立ち上がり、再び走り始めた。
〜何処かの戦場
「これは……」
戦場には、ヒュージが一体もおらず、リリィ達が各々の傷の手当をおこなっていた。
「ヒュージが真っ二つか……、こんな事出来るのは美夢くらいだろう……」
「やっぱり強いのは、正義だな!1度お手合わせ願いたい!」
「燐華、落ち着きなさい。貴女はすぐに熱くなるんだから!!」
「あたっ……」
緋色は、燐華の頭を叩いた。
「奇妙ですね、でも……」
「そうね、あの子にしてはおかしい点が多すぎる。マギがどんどん溢れて止まらない状態みたいね」
「マギの暴走か……」
「いえ、それは無いはずよ。あの子は、あの子のレアスキルは、そんな事しなくても……」
秋那は、気が付いた。
何故美夢が、マギを放出しながら走っているのかを。
「これは、道標でもあり、リリィ達を護るためのマギリフレクターになってるわ!!」
「何ですって!?」
黒羽はびっくりしすぎて、思わず叫んでいた。
「黒羽、1度深呼吸して。はい吸って〜、吸って〜、もっと吸って〜!!!」
「私を殺す気ですか!!」
黒羽は、秋那に対してツッコミを入れる。
しかし、これは何かを護るためにと言うよりも、なるべく被害が出ないように広げているように感じられる。
「とりあえず、マギが濃い方へ行きましょう。そこに美夢がいるはずでしょう……」
「そうですね、このままマギを放出していれば、必ず暴走してしまいますわ」
「現状で暴走すれば、確実に力尽きて殺られるわ」
「それじゃあ、私達も急ぎましょう!!」
そして4人は、美夢を追って走り始めた。
〜何処かの旧神社
「ここ、負のマギが満ちている……。でも、それ以上にアイツの気配が強く感じる」
美夢は右手にリボルバー、左手にナイフ、
『何だ、進化する事を恐れる愚かな生物が何故ここにいる』
美夢の脳内に直接問い掛けてくる、カタストローフェは、美夢の使えない
「あなたは、一体何者なんですか?どうして、この世界を壊そうとしているんですか!」
美夢は、社だったらしい残骸に向かって叫んだ。
『そうだな、一言で表すと、この星の侵略者で、元々住んでいたお前達地球上の生物が、邪魔と言うだけの話だ』
社の下から現れたのは、かつての戦いで戦死したはずの双葉蒼伊だった。
「せ、先生……」
『おや、お前はコイツを知っているのか。この身体はとても良い。何よりも、マギをコレを介するだけで増幅させることが出来るからな!』
そう言うと、自身の身体からチャームらしき武器を生成した。
『さあ、始めましょうか。人類とヒュージの最終決戦を!!』
カタストローフェは、美夢目掛けて突進し、斬りかかった。
カーンッ!!!
美夢は、左手のナイフと電脳状態のナイフ数本で斬撃を受け止める。
その攻撃は重たく、かつての蒼伊を彷彿とさせる何かがあった。
「やはり、この力は人間とは思えませんね。舐めてはいませんでしたが、計算違いかもしれません」
『所詮は人間、脆いお前達がどう足掻こうと、我には勝つことが出来まい』
「それは、どうなんでしょうね!!」
その瞬間、カタストローフェの背後から数本のナイフが飛んできて、武器を握っている腕を引き裂き、カタストローフェの腕を切り落とした。
「武器は奪いました、いい加減本来の姿になったらどうなんですか?」
『ほお、我の腕を切り落とすか。中々やるみたいだな……、しかし、お前は何か勘違いしてはおらんか?我はヒュージ、そんな一撃で勝ったつもりか!!!!!!』
カタストローフェは、本来の姿に変化した。
「ギュイイイイイイイイイイイイイィィィィイ!!」
本来のヒュージの姿になったカタストローフェは、禍々しくも、何処か苦しんでいるようなオーラを放っている。
『腕など、すぐに回復させられる。お前では、我に勝つことなど、出来ん!!』
そう言うと切り落とされた腕を吸収し、切り落としたはずの腕は元に戻った。
「やはり、一筋縄では行けないわよね……」
美夢は、再度チャームを構える。
が、気が付いた時には既にカタストローフェの斧状の腕が寸前まで飛んで来ていた。
カンッ!!!!
美夢は構えていたチャームと、
「痛っ……、防いだと思ったけど、深くは無いけど切られたか……」
『おやおや、流石に人間というのは脆いなぁ、早く逃げなければ、死んで……、何!?』
「
美夢は立ち上がり、軽くジャンプしステップを踏む。
「出し惜しみなんて、している暇なさそうだな……」
美夢は自身のマギを全身に巡らせる。
(全神経を研ぎ澄ませ、私に、みんなから引き継いだマギを、願いと祈りの力を貸して!!)
その瞬間、美夢の髪の色がマギの具現化により、蒼くなった。
「進化していない訳じゃない、進化の形がヒュージと違っただけだ!」
その瞬間、美夢は数千本のナイフを
そして、その千本を盾のように集約させ、一方向限定のマギリフレクターにした。
「私は、私の限界を超える度に強くなり進化し続ける!前に進む事をもうやめない、誰にも止めさせない!!」
美夢はナイフ型チャームのオリジナルを全て
「今まで、お前の通った後には涙と後悔だけが残っていた。そんな涙は、もう流させたりしない。私が全部跡形もなく吹き飛ばしてあげるか!」
ナイフのオリジナルは、6本でマギスフィアが通るサイズのゲートに変形した。
美夢は、リボルバーにズィーべンヴェルトの弾を装填した。
『させてたまるか!!』
カタストローフェは、蔦のような形状に腕を変形させ、美夢のリボルバーを握る腕に絡ませ、ナイフリングの無い頭上に向けるように縛り上げた。
「クソっ、これじゃ撃っても私に帰ってくるじゃない……」
『それは昔1度だけくらったことがあるが、実に危険だった。まさか身体の大半を吹き飛ばされるとは思ってもいなかったさ』
「なら尚更跡形もなく吹き飛ばして差し上げますので、この腕離してくださいよ」
『貴様は馬鹿か?跡形もなく吹き飛ぶ可能性を考慮した上で……』
カタストローフェは、更に蔦を伸ばし美夢の全身を縛る。
縛ったことにより、美夢の太腿に蔦が食い込む。
「苦しっ……」
『そうだな、このまま絞め殺してやろう。残念だが、貴様1人では私に勝つことなど……』
そう言おうとしたのと同時に、美夢はニヤリと笑った。
そして、頭上で5本で作ったナイフリングに向かってマギスフィアを撃ち込んだ。
まっすぐ上に打ち上げたと同時に、美夢を縛っていた蔦が切り落とされた。
「全く、本当にアンタはいつも心配ばっかりかけさせて……」
声の先には、黒羽が居た。
「いや、来てくれるって信じてたから背中を任せたんだよ」
「御都合主義者め!!まあ、私以外にも来てるのが、その証拠ね……」
その瞬間、カタストローフェの両サイドに強烈な斬撃が叩き込まれた。
「燐華、油断したらダメよ。コイツ、内側にあるパワーを一切使ってないどころか、まだ蓄積させてるわ!」
「緋色様、なら私が一気にぶった斬ります!!《円環の御手》!!!」
「仕方ない子ね、私も付き合うわ!《ゼノンパラドキサ》!!!」
2人は同時にレアスキルを使用し、カタストローフェにたたみかける。
「「はぁぁぁぁぁあ!!」」
2人の斬撃がカタストローフェに直撃する。
一瞬怯んだ隙に、
「美夢、貴女の思い受け取ったわ!この一撃に、私の想いも乗せるわ!!」
秋那は、美夢の打ち上げていたマギスフィアを受け取り、自身のチャームと一体化させていた。
「ここで決める!!!」
秋那は、怯んでいるカタストローフェに最後の一撃を叩き込んだ。
その瞬間、カタストローフェの金属音のような叫び声が周辺の木々と美夢達を吹き飛ばした。
『マダダ……、マダ、マダシヌワケニハイカナイ』
カタストローフェは、周囲に満ち溢れる負のマギを一気に吸収し、更に大きくなった。
「マズイわね、みんな、1度下がっ……」
「私が盾で受けるので、皆さん、私の後ろへ!!」
美夢は、
『ホロボス……、コノヨノスベテノモノヲ……』
カタストローフェの内側にあったマギと吸ったマギを圧縮し、一直線に放つ。
美夢は、生成したチャームを空中で円形に配置し、盾の形を成した状態の上から、マギリフレクターを重ねた。
「みんなの重いと願いが、私に力を与えてくれる。何が何でも、守りきってみせる!
マギリフレクターとレーザーが衝突し、レーザーがリフレクターを破る。
「美夢、貴女なら、いや、貴女だからきっと出来るわ!」
1枚目の盾が突破される。それと同時に燐華が声をかける。
「自分を信じてるのと同じくらい、仲間も信じて!」
2、3、4枚目が破られると、緋色は、もう一度気合いを入れ直すように言った。
「例え貴女が悪魔と呼ばれても、英雄と呼ばれても、私が、私達が傍で支えるわ!!」
5、6、7枚目の盾が破られ、もう無理だと思っていた美夢に、黒羽はそう声をかけた。
「だから、私達を、私達が信じている貴女を、貴女自信が信じなさい!」
8、9枚目が破られ、もう後がない状況になった時、秋那がそう言いながら、背中に手を当てる。
「私は、もう諦めたりしない。それでも、時には間違えたり、迷ったり、落ち込んだりするかもしれないけど、もう、逃げたりなんてしない!」
最後の1枚になって、美夢の髪の色が灰色から銀色に変わった。
「擬似レアスキル
その瞬間、一時的に周囲の負のマギが浄化された。
「この攻撃、そっくりそのままお返しします!」
そう言うと、ナイフは反時計回りに回り始めて、カタストローフェにレーザーを反射した。
『ナ、ナンダト!?』
反射されたレーザーは、カタストローフェの身体に風穴を開けた。
「さあ、反撃の狼煙を上げろ」
美夢は、自身のリボルバーを空に向け、1発の弾丸を打ち上げた。
それは、白い狼煙であった
〉学園
「百由様、美夢のやつ狼煙を上げよったぞ!」
「それじゃ、帰る前にもうひと仕事やるわよ、グロっぴ!」
百由は、試作チャーム改良版にノインヴェルト弾を装填した。
「お2人も帰ってしまうのですね……」
梨璃は、後ろから声をかけた。
「仕方ないだろ、2人はほんらいこの世界に来ては行けないのだから」
鶴紗も、梨璃の隣に立っていた。
「2人とも危険だから、離れててね!!」
百由は、2人に後ろに下がるように言った。
「百由様の実験に失敗と爆発とヒュージ脱走は付き物だからな」
鶴紗は、嫌味ったらしく言った。
「じゃあ、向こうでも頑張れよ、ミリアム」
「ああ、じゃがお主はすぐ無理をするから、無理するんじゃないぞ!」
「わかってるって……」
「あと、鶴紗ちゃんが無理しそうになったら私が止めます」
梨璃が鶴紗に、抱きついた。
「まあ、お主らは大丈夫そうじゃな!」
「グロっぴ、そろそろよ!」
百由様に呼ばれ、ミリアムは、試作チャームの引き金に手をかける。
「じゃあ、撃ちなさい!」
「アイアイサー!
ミリアムがレアスキルを使用し、マギを全てノインヴェルト弾に注ぎ込んで射出した。
'バリンっ!!'
射出されたマギスフィアが、次元に穴を空けた。
「じゃあ、あとは頼んだわよ!!」
「またこの感覚なのじゃぁぁぁぁあ!!!」
百由とミリアムは、そのまま次元の穴に吸い込まれ、そのまま次元の穴は閉じた。
決戦の地
「ぎゃふぅ……」
美夢はマギが空になったのか、その場に倒れてしまった。
「美夢、あとはそこで私達の連携を見てなさい……」
秋那は、美夢を大木の傍まで運び、座らせた。
『お前ら如きに、我が倒されると思われているとは、舐められたものだ……。全員吹き飛ばしてやるわ!!』
そう言うと、周囲のマギが掻き乱され、リリィが取得可能なマギが消えた。
「これじゃあ、私達のチャームが起動しない……」
それぞれの使用していたチャームが停止し、ただの金属の塊となってしまった。
『やはり、その程度のヤツらだ!!自分達の愚かさをその身に刻みながら滅んでしまえ!!』
そう言うと、カタストローフェは自身の腕を振り、4人を吹き飛ばした。
「なんで、なんでこんな時にガス欠になってんだよ、私!動けよ!負のマギだろうと関係ないだろ!早くマギを回復させて戦えよ!!浄化出来ないとしても、早く!早く!動けよ!!」
美夢は動かない自分の身体を無理やりにでも動かそうとする。
〈どうして滅びを受け入れない〉
背中から声が聞こえる。
「抗うことが人間の本質なんだ。だから、私は私が最後まで私である為に抗い続ける!!」
〈例えそれが無駄な抵抗だとしてもか?〉
「この世界に無駄なことなんて無いと私は思ってるから、無駄になんてならない!」
〈やはり、私の所持者は皆何かのためではなく、自分自身の存在のために戦う戦士だな。よかろう、私の吸収しているマギを半分くれてやる。その代わり、絶対に
白銀刀〈日導〉のマギが美夢の身体に流れ込む。
美夢の髪が、再度銀色に輝きはじめたが、それは先程までのラプラス使用時の色ではなく、白金に近い銀色。
「マギスフィアが、あと30秒後にアイツの頭上に飛んでくる。狙うなら、そのタイミングね」
秋那は、美夢の背中に手を当てる。
「貴女は私達にとっての最後の希望。だから、私の、私達生きとし生けるものの思いを貴女に託す。
そう言うと、美夢の吸っていた負のマギが全て浄化された。
「あとは、頼んだ……、わよ……」
秋那はマギ切れで、その場に倒れ込んだ。
『はっ、ははっ、はははははははっ!!まだお前はそんな力を持っていたのか、まだまだ楽しむことが出来そうだ!!』
「ここで貴方には死んでもらいます。私は皆の願いを、思いを受けながら、自分の存在の為に戦う戦士だ。この悲しみを、負の連鎖をここでぶった斬ってやる!!」
美夢は日導を鞘から抜き、進み始める。
自分の今までの思い出が、走馬灯のように流れる。
1歩ずつ確実な足取りで前に進む。
そして、加速する。
加速しだした瞬間から、カタストローフェの腕が飛んできたが、それも全て切りながら溶かしていく。
「このチャームは、他と違うのは一点だけ。切った部分が特殊な力で焼かれると言うところよ!」
溢れ出すマギは圧縮された斬撃としてカタストローフェにぶつかる。
「そろそろ、来る!!」
『小賢しい!!』
カタストローフェは、美夢に斧状の腕を4本叩きつけるが、美夢はその場で回避した。
そして、空中に飛び上がる美夢。
その背中にはマギが翼のようになっていた。
そして、日導を上に向けると丁度先端にマギスフィアが飛んできた。
「この一撃に全てを賭ける、少し痛いかもだけど我慢してね日導!!」
更に飛翔する美夢。
それは、夕暮れに浮かぶ一等星のように煌びやかに輝いていた。
「とても、綺麗だ……」
緋色は、一言零した。
そして、美夢は靴底に設計されている窪みに日導の持ち手の端を空中で足に付ける。
「これが、私のレアスキル。
美夢の背中のマギは、更に輝きを放った。
『そんな見せかけの姿で、我を倒せると思うなよ!!!!!!』
カタストローフェは、美夢に向かって腕を伸ばす。
「もう誰も、失いたくないす!!喰らえ、リリィ・キック!!!!!!!」
カタストローフェの腕を貫通して更に加速して脳天付近まで来た。
「今まで辛かったよね。もう、楽になっていいんだよ」
そして、カタストローフェにマギスフィアが直撃した。
〈やっぱり、私たちを使う人達はチャームの扱いが雑だね。でも、君のおかげで更に良い最後を迎えることが出来たよ。黒刀のことは、心配しなくても大丈夫だよ!アレは、扱いが可能な子を別の世界に見つけたから、その子に託した。それじゃあ、いつかまた転生した時に会おう我がマスター、川添美夢〉
カタストローフェを貫き終わる時、そう言い残し、白銀刀〈日導〉は跡形すら残らず消えた。
『アリガ……トウ……』
そう言うとカタストローフェは、爆散して消滅した。
「ありがとう、先生。先生のおかげで、勝てたよ」
カタストローフェを貫く時、身体の中心部で見つけたものを無意識に掴んでいた。
握りしめた拳の中から、1つの指輪が出てきた。
指輪には『RIRI&AOI』と刻印されており、2人の結婚した日が刻まれていた。
指輪をポケットにしまい、仲間の元へ駆け寄る美夢。
「あ、あれ?」
その瞬間、足元はおぼつかず、そして、視界が揺れるように地面が近付く。
美夢は、そのまま倒れてしまった。
「美夢っ!!」
途切れゆく意識の中で誰かが叫んでいた。
「おや、君とここで話すのは初めてだね」
何も無い、でも、そこはかつての学校の廃墟で、机や椅子がそのままにされている。
外は真っ暗だけど、月と星が輝いていた。
「貴女は?」
美夢は、目の前にいる1人の美少女に問いかける。
「僕かい?僕はかつて川添美鈴と呼ばれていたもの、まあ、君の母親とでも言うのが正確なのかもしれないね……」
美鈴がそう言った瞬間、美夢は美鈴に抱き着いた。
「おやおや、僕としては自分の娘から熱烈な愛情を受けるのは大歓迎だけど、こういうのは、慣れてなくて困る……」
「ずっと会いたかった……」
「そうか、僕も会いたかったよ」
「私、頑張ったよ」
「そうだね、見てたから知ってる」
「でも、それ以上にここまでだってのが、心残り……」
「美夢、君の今いるここは、決して死んだあとの世界では無い。言うなれば、ここは君の夢の世界なんだ」
「え?」
「だから、ここは、君の世界であり、君はまだ生きてる」
「そう……、なんだ……」
「君は限界を超えたことくらいで人が死ぬとでも思ってるのかい?」
「まだ、生きていたいって、この呼吸が完全に止まるまでは、私はリリィだって、そう信じています」
「なら、そろそろ目を覚ます時間だよ」
「うん、ありがとうお母さん」
「また、夢で会えることがあったら、また甘えてくれ」
「うん、じゃあまたね」
美夢が、美鈴の胸から離れた。
目が覚めると、美夢は学園内にある病室のベッドの上に寝かされていた。
「ここは……、秋那様、おはようございます」
「美夢、目を……覚ましたのね!!」
秋那は、急いで病室から出て、医師を呼びに行った。
「ここは、第2保健室なのかな?」
「そうだね、ここは第2保健室……、と言うよりは緊急時用の学園内の病院ね」
そう言うと、梨璃が部屋に入ってきた。
「ちゃんと帰って来てくれたね、美夢ちゃん」
「約束しただろ、ちゃんと生きて帰って来るって!ところで、
「うん、あの人の形見だもん。もう手放したりしない」
「あっ……、形見で思い出したんだけど、日導、壊しちゃった……」
「ううん、いいんだよ。元々、あのチャームは最強の一撃を繰り出す代わりに、自身とチャームの限界を超えるから、耐えきれなければ自身の身を滅ぼすことになっていたはずなのに……、私は美夢ちゃんが生きて戻ってきてくれたことに、感謝しないと……」
梨璃は、無理やりだろうが、笑顔を作って見せた。
「とりあえず、カタストローフェは打ち倒したから、一時はアルトラ級も動きは無いと思う。でも、美夢ちゃんの能力の1つがゼロに戻っちゃったんだよね?」
「あぁ、別に祈手のスキル自体は、みんなのマギを保管する能力じゃないし、ある程度食べて寝て、適度に訓練すれば、またマギも戻って、1人でまた6人分の仕事が出来るようになるよ」
「そうだね、じゃあ、私は行くね?」
「はい、また授業してくださいね!」
会話が終わると梨璃は病室を出て、自身も現場を見る為に戦闘の行われた場所へ向かった。
その後医師が入って来て、美夢を軽く診察した。
「そう言えば、お腹が空きました。ご飯が食べたいです」
「そうですか、でも、時間が時間ですし……」
時刻は23:30を示しており、病室に沈黙が訪れた。
「そんな事もあると思って、ちゃんと作ってきたわよ」
緋色は、そう言いながら部屋に入ってきた。
「流石緋色様!そこにいる私のお姉様気取りの先輩とは違いますね!!」
「まあ、秋那は料理出来ないし、仕方ないね。」
「悪かったわね、不器用で……」
緋色は持参した3つのタッパーを美夢の前に出す。
「す、すごい量ですね……」
医師は思わず呟いた。
「でも、こんなの明日の朝までの繋ですよ、ほら、見ててくださいね、美夢食べていいよ」
「いただきますっ!!!!」
そう言うと美夢は、野球部男子が昼ご飯で食べてそうなサイズのタッパーを1つ、また1つ、そして、最後のひとつをあっさりと食べきった。
「はふぅ〜、ご馳走様でした!!緋色様、とても美味しかったです」
「3分ってところね……、どうだった、今日のは自信作なのよ!」
「そうですね、ハンバーグは言わずもがな最高の出来で、焼き鮭は皮までパリッとしてましたし、唐揚げも私好みの竜田揚げ風でしたし、ご飯も絶妙なバランスの炊き方で固すぎず柔らかすぎず、でも、決定打は、やはりトンカツとチキンカツですね、流石と言わざるおえない最高の味でした」
「あの速度で食べて、何を食べたかまで理解してるのは……、最早凄いですね……」
「美夢はいつも美味しそうに食べてくれるから、作りがいがあるのよ。燐華もそのくらい食べてくれたら……」
「燐華は3杯しかご飯食べませんもんね……」
「「お前らの感覚はどうなってんだよ!!」」
思わず医師と秋那はツッコミを入れた。
それもそうだ、彼女達は今おかしい量の飯を食っているのに、全く太らないのである。
「そのうち病気になりそうだわ、美夢は……」
「私は死ぬまでリリィなので、例え80になってもこの量をペロリと完食します」
「何もカッコイイこと言ってないんだから、誇らしくドヤ顔するな!!」
かくして、美夢は目を覚まし、この世界は再生へと向かうのであった。
翌日
日が昇ると同時に、美夢は病院を抜け出しとある場所へ向かった。
昨日、カタストローフェと戦った廃神社。
石段を上がっていくと、先客がいた。
「梨璃ちゃん、こんなところで何してるの?」
「あ、美夢。もう起き上がって大丈夫なの?」
「見ての通りバッチリよ!!」
美夢は、その場でマッスルポーズをとる。
「そう、良かったね……」
「梨璃ちゃん、マギが乱れてるよ」
「やっぱり、バレちゃうよね。あの人にもう一度会えないかなって思って、この場所に来たけど、もういないみたいね……」
「やっぱり……、来て正解だった」
「どうして?」
「今回の1件、仕組んだのは貴女ですよね、一柳梨璃」
「どうしてわかったの?」
「百由様とミリアムさんを見た時に見えた戸惑いと動揺、あとは、マギの濁りです」
「やっぱり、始めから見破られていたんだね……」
「でも、一つだけ分かりません。どうして報われている貴女がこんな事をやってくれたの……」
「強いて言うなら、愛した人に会うためかな?」
「そんなものですよね、動悸なんて……」
「我儘だったことくらい理解してる。でも、人類滅亡よりも、私はあの人に会いたかった……」
梨璃は俯いたまま言った。
「まあ、人間ですから、そんなの当たり前ですよ」
美夢は、昨日回収出来ていなかった7本目のナイフ型チャームを神社の片隅で見つけた。
くしくもその場所は、昨日美夢が、日導を砕き、着地した地点であった。
「梨璃、貴女の罪を私が背負います。その罰も私が受けます。だから、このことは2人だけのナイショの話にしてしまいます。誓いはここに、ズィーベンナイフ [日導]をたてます」
その時、梨璃の中にあったラプラスの覚醒を日導に封印した。
「ラプラスを封印しました。だから、貴女はもう何も出来ない。そして、私は擬似的にもラプラスを使用出来る。だから、今回は私の力の覚醒によるヒュージの襲来として片付けられるでしょう……」
美夢は、日導にマギを通し、
「だから、もう二度と悪さしたらダメですよ!」
そう言うと、美夢は神社を後にした。
「全く、誰かさんと同じでとても優しくて、でも、強くてカッコよくて、誰よりも美しい……」
梨璃は、神社の鳥居の下に行く。
「あの子なら、きっとこの世界を守ってくれるでしょう、次会えるのは、いつになるかは分からないけど、また、会いに来るね!」
そう言うと、梨璃も鳥居をくぐり、神社を後にしたのだった。
こうして、天災級のヒュージを迎え撃ち、一時的な平和を手にした美夢達。
だが、これからも彼女達の戦いは続くのだが、それはまた、別のお話だ。
________________【続】
ご拝読ありがとうございました。
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本作品について
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