原子力戦艦アドルフ・ヒトラー。先進11ヶ国会議に出撃す。   作:イブ_ib

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原子力戦艦アドルフ・ヒトラー。先進11ヶ国会議に出撃す。

 80㎝主砲2連装8門4基を携え、追尾式対艦ミサイル、対潜ミサイル、対空ミサイル、迎撃機銃が針鼠の如く空を睨み、機関部はまるでヒットラー総統の心臓如く熱く激る原子炉が、我がドイツに仇なす者たちに対しての怒りの炎をあげているのだ。

 

 時は1970年代、我らがヒットラー総統率いる大ドイツは世界を蝕んとするアングロサクソンの帝国主義者と寂れた寒地の共産主義者を征伐した民族生存戦争から20年。

 

 偉大なる総統の友人にして英雄であるアルベルト・シュペアーが

 創造したこの世界首都ゲルマニアの幅120メートル全長5キロの大通りを抜け、欧州大戦の犠牲者180万人の名が刻まれた凱旋門をくぐり抜け、2万人収容可能な映画館「ゲッベルス・ホール」(党員なら意思の勝利とオリンピアが無料で見られます)を通りぬけた先にある21階建の「ホテル・ゲルマニア」を眺め先の「アドルフ・ヒトラー広場」に入ると(アドルフ・ヒトラーと言う名は勝利と同じ意味である)という文字が彫られた台座に総統の像が立っている。

 その先にある巨大な15万人収容可能な大ドーム「フォルクスハレ」にて満場一致で世界に誇る未曾有の巨大戦艦の建造が決められたのだ。

 

 1985年

 日本のかぐや10号による人類初の月面着陸が科学万博つくば'85のジャンボトロンにて放送されている正にその時、その巨体に科学の火が灯ったのだ、その情報が発表され世界は驚愕した。

 

 しかし翌年の4月の終わりにドイツの巨大な国土は忽然と消えてしまったのであった。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「第1文明圏トルキア王国軍、到着しました! 戦列艦7、使節船1、計8隻!」

『了解、第1文明圏エリアへ誘導せよ』

 

 港に着いた船を港湾作業員が適切に誘導していく。

 

「トルキア王国……アガルタ法国……ここら辺は代わり映えせんなぁ……」

 この港の責任者であるブロントは管理局の窓から港湾を眺めながら呟く。

 

 列強国レイフォルの首都レイフォリアを艦砲射撃粉砕し、降伏せしめ第二文明圏を侵略し版図を広げるグラ・バルカス帝国。

 

 もう一方で同じく艦砲射撃でパーパルディアの首都エストシラントを吹き飛ばし、フィルアデス大陸、グラメウス大陸、ロデニウス大陸の三大陸を併呑した大ゲルマン帝国ことドイツ。

 

 一体どんな艦隊を連れて来るのか、彼は楽しみでしょうが無かった。

 

 するとブロントはあまりにも城のような船が水平線から現れるのを見た。

 その姿は船が近づくにつれ、さらに大きくなりやがて神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦を見慣れた彼でさえ絶句し、その雄々しさに見とれてしまうほど美しく、力強い艦が近づいてくる。

 

「グラ・バルカス帝国到着、戦艦1隻のみ」

 

「おおッ!!」

 

 それを見た者すべてが感嘆する。

 グラ・バルカス帝国の誇る、全世界最大最強の戦艦。

 

「なんて……デカい砲を積んでいやがるッ!」

 

 グレートアトラスターの46センチ砲に驚愕の声を漏らすが、彼等は直ぐに更なる恐怖を覚えることとなる。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「……ドイツ国……到着……戦艦1隻のみ……」

 

 報告係は震える声で向こうからやって来る島を

 皆にそう伝えることしか出来なかった。

 

 原子力戦艦アドルフ・ヒトラー

 

 全長600m 幅100m

 80㎝連装砲4基8門搭載

 SAM8連装VLS8基

 SSM3連装発射基6門

 30mmCIWS6基

 対潜ロケット砲4基

 

 もう砲なんかいらないんじゃ無いのかと思いたくなるぐらいの針鼠である。

 

 兎も角して、これはグレートアトラスターのスペックだ。

 

 全長263.4m

 全幅38.9m

 基準排水量64,000t

 出力153.553馬力

 

 一方、アドルフ・ヒトラーは

 

 全長609.6m

 全幅91.44m

 基準排水量 492,702t

 出力498,735馬力

 

 大きさで言えばグレートアトラスターよりも一回りデカいのだ。

 こんなバケモンが入れる港などなく、入り口近くに投錨して外交官は

 用意されていた小型客船に移って港内に入って行くのであった。

 

「はははは……はは……」

 

 ブロントは猛烈なショックを受けた、こんなのに比べたら零式魔導艦隊など浮かぶ鉄屑の様なものではないか、先程衝撃を受けたグラ・バルカスすら霞む……。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 グレートアトラスター艦内

 

 シエリアも含めラクスタル艦長以下の士官達はお通夜状態であった。

 

 この会議で高らかに宣戦布告をするのだ。この日の為にシエリアは嘘くさい笑いを練習して来たのだ。何度職員にその様子を見られたか分からない、しかし恥を忍んで練習して来たのだ。

 

「それがなんでこうなったの……」

 

 異世界という藪に近づいたら棒じゃなくて解体用の鉄球が飛び込んできた様な感じだ。

 

「というか諜報員は何を……やっていた!」

 

 シエリアは激怒したが、情報が来ないのも無理はなかった。

 なんせ最初に情報を送った諜報員は「こんなあからさまなプロパガンダ情報を送ってくんな」と相手にされず、次の諜報員は潜水艦で接近中に沈められ、3人目はゲシュタポにお縄である。それどころか潜水艦を拿捕され暗号機を奪われた事を彼らは知らない。

 

「ラクスタル艦長、このグレートアトラスターはあの怪物を沈めることは可能か?」

 

「赤子が屈強な兵士に勝てるとでも?」

 

「そうだよな……うん、私は東征艦隊に指示を仰ぐ、それまで刺激する様な事は取らない様にしよう」

 

 シエリアは降って沸いた最悪の事態を回避すべく行動を起こした。

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