原子力戦艦アドルフ・ヒトラー。先進11ヶ国会議に出撃す。 作:イブ_ib
「当初に想定していたよりもドイツの戦力が大きい為、フォーク海峡における作戦の見直しをして頂きたい」
グレートアトラスターからの暗号通信に東征艦隊司令アルカイドは首を捻る。
「ドイツか……あの国は小さな砲しか積んでない戦闘艦が殆どだと聞いたが?」
「……もしかしたら前々から言われていた【ビック・バン】*1なのでは?」
「いやまさか、あんなデカブツが存在するのか? 物には限度があって戦艦でもGAがまともに運用できる最大サイズだろう。
写真にあったような大きさの戦艦を運用するものではない、よほど狂った国でもない限りな」
「ではこのまま作戦は続行しますか?」
「ああ、問題ないだろう。航空隊には念の為警戒するよう言っておいたほうがいいかもな」
◇◆◇◆◇◆◇◆
【作戦に変更なし、予定通り宣戦布告し戦闘を行う」
「そ……そんな」
シエリアは頭を抱え込む、しかし国がやれと言われればやらねばならない。
「ラクスタル艦長、作戦に変更はありません」
「そうか」
ラクスタルは一言呟くとアドルフ・ヒトラーのほうに目を向けた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
冒頭モーリアルより魔帝復活の予言について報告され、周囲がざわつく中ミリシアルから声が上がる。
「そのラヴァーナル帝国についてもそうだが、ドイツは即刻第三文明圏に対しての侵略行動を停止したまえ! 旧パーパルディア領および属領での虐殺行為についても目に余る物がある!」
「左様! それどころかミリシアル領海域にもドイツ軍が領海侵犯しているという!」
「偵察機と思しき飛行機械も報告であった、君たちはミリシアルと戦争がしたいのか!」
しかしドイツ大使は意に介さない様子で
「ほう! それが何だというのか。ミリシアルもムーもパーパルディアもかつては領土拡大の為に他国に矛を抜けただろうに! 何故我々だけ非難されなくてはならぬのか? そもそも我々はこの世界に来て日が浅い、故に偵察機を飛ばし情報を集めている、それを非難するなら地図の一つでも提供したらどうだね!」
啖呵を切ると同時に机を勢い良くたたく。
「……くッ」
「だいたいその態度はなんだ! グラ・バルカスの大使を見てみたまえ落ち着き払っている! 君達もドイツに転移国家としてアドバイスの一つでも言うといいぞ」
「ェッアアア、ハイ! ソウデスネ……スナオニナッタホウガ……」
いきなりのご指名にシエリアは片言気味に声が漏れ、それを見たドイツ大使は高笑いをする。
「フロイライン、同じ転移国家のアドバイスだが……仮面を被らない事だ。貴国の艦隊は既にここフォーク海峡に迫っている事は、偵察衛星で既に確認済だ」
「! なッ……何の事だ!」
「それと……貴国の乗って来たヤマト級、あぁいや、グレートアトラスターだったな。それがフォーク海峡に蓋をする事も知っている。貴国が取ろうとしている作戦は我が諜報部によって全部筒抜けなのだよ」
そう言うと大使は勝ち誇った様子で葉巻に火を付ける。
「フォーク海峡に艦隊が迫っているだと⁉グラ・バルカス代表どういう事か説明したまえ!」
「一瞬でも理性的な国家だと思っていた私が馬鹿だった!」
今度はグラ・バルカスに対して非難が集中するが、たまらずシエリアが発言する。
「まって頂きたい! 先ほど言っていたようにドイツは第三文明圏で乱暴狼藉を働いております! そのような国家の出任せを信じるのですか!」
「お前らだってレイフォル攻撃してたじゃねぇか」
ドイツ大使は柄悪く吐き捨てる様に言った。
「聞捨てなりませんね!レイフォルの件についてはパガンダ含め向こうに非があります!先ほどの言葉、我が帝国の侮辱として今ここで謝罪してもらいたい!」
それを聞いたドイツ大使はまるで悪質なクレーマーの言葉など聞く耳もたんと言わんばかりに、葉巻をテーブルに押し付け席を立った。
「ドイツ大使、無許可の離席はいけません、今すぐご着席を」
議長はスピーカーで注意するが大使は聞こえないふりして会議上から出て行ってしまった。
「あ、あの、えっと、皆さん……」
会場はドイツに対する憎悪とグラ・バルカスの説明を求める空気で充満しており、シエリアはただ心の中で泣く事しか出来なかった。
なんだあの大使の態度!?