華琳に罷免された純はその日、酒を飲んでいた。
秋蘭「純様!そのような深酒はお止め下さい!」
稟「純様!お止め下さい!」
それを見た秋蘭と稟はそう諫めたが
純「うるせー。今は飲みてー気分なんだよ、下がれ。」
純は耳を貸さなかった。
秋蘭「純様、お止め下さい!」
稟「純様!」
これに秋蘭と稟は、純の手を押さえたが
純「どけ!」
と押されてしまった。しかし
秋蘭「純様!どれだけ暴力を振るわれようとも、私はあなたをお止めします!」
稟「私も同様です!例え斬られても、あなたをお止めします!」
とまた純の手を押さえた。
純「何?」
そう言って純は秋蘭と稟を見ると、頭が冷えたのか
純「・・・悪かった。」
と言い、酒を止め、秋蘭と稟の頬を撫でた。
秋蘭「いえ、お気になさらず。」
稟「純様・・・。」
それに秋蘭と稟は、純の手に自分の手を合わせた。
すると、純は秋蘭と稟の頬から手を離して
純「水火をも辞さず姉上の為民の為に多くの戦に出て、命を懸けて戦ってきた。まさか、こんな末路が待っていたとはな・・・。」
と純はそう言った。
秋蘭「純様。華琳様は、悪気があって純様を罷免したわけではありませぬ。お恨みなきよう。」
それを聞いて
純「フンッ!」
純は机をひっくり返し
純「俺が恨んでいるのは俺自身だ!姉上の気持ちを悟らず、戦に明け暮れてしまった!何故、姉上の気持ちや想いに気付けなかったのか!」
と怒りの表情でそう言った。
稟「曹操殿は決断なさいました。それを覆そうとしても、容易ではありません。今は耐えて下さい。純様あっての曹魏なのです!」
それに純は
純「・・・もう曹魏に俺は必要ねー。」
と深く傷ついた表情を浮かべながらそう言ったのだった。
春蘭「華琳様!純様から兵権を取り上げたのは本当ですか!?」
華琳と純との一件があったその翌日、春蘭は華琳の元に来て、そう尋ねた。
華琳「ええ。したわ。」
春蘭「何故ですか!?」
華琳「純は蜀平定の準備の為に我が国の四十万の兵に出陣の支度を勝手にやった。その為に、兵権を取り上げたのよ。」
春蘭「しかし華琳様!曹魏の全軍が従うのは純様です!もし純様を罷免したと知れば、将兵は皆動揺し、最悪離れてしまいます!」
この言葉に
華琳「では春蘭、あなたも、私から離れるのかしら?」
華琳はそう尋ねた。
春蘭「そ、それは・・・その・・・」
これには、春蘭はどもってしまった。
華琳「・・・下がりなさい。」
春蘭「華琳様!」
華琳「春蘭!」
春蘭「・・・御意。」
そして、春蘭はその場を後にした。
すると今度は
栄華「お姉様・・・。」
栄華が華侖と柳琳を連れてやって来た。
華琳「栄華・・・何の用かしら?」
これに
栄華「お兄様の事ですわ。」
栄華はハッキリとそう言った。
華琳「・・・言いなさい。」
栄華「お姉様。今我ら曹魏は、呉を滅ぼし、蜀との決戦に挑もうとする所です。それに関わらず、曹魏の全軍を纏めているお兄様を罷免するというのはどういう事ですの?」
華琳「・・・華侖と柳琳も、同じ意見かしら?」
華侖「あたしも、栄華と同じ意見っす。純兄と仲直りして欲しいっす・・・。」
柳琳「お姉様も、お兄様の独断に思う所があるのかもしれません。けれど、お兄様の行動は、全てお姉様のために動いているのです。お気持ちは分かりますが、どうかお兄様の罷免を撤回して下さい。」
これに
華琳「じゃあ、これからもあの子の独断を許せと言うのかしら?」
と華琳はそう言った。
柳琳「そ、それは・・・」
華琳「もう良いわ。下がりなさい。」
栄華「しかしお姉様!」
華琳「下がりなさい!」
栄華「・・・はい。」
そして、栄華達もその場を後にした。
そして次は
桂花「華琳様・・・。」
桂花がやって来た。
華琳「桂花。あなたも説教するつもり?」
桂花「か、華琳様・・・。」
華琳「何も聞きたくないわ。下がりなさい。」
桂花「・・・御意。」
しかし、桂花は何も言えずその場を後にしたのだった。
そして、華琳はまた顔を手で覆い隠したのだった。
一刀「・・・はぁ。」
この状況を憂い、一刀は溜息をついた。
真桜「隊長、どないしたん?」
沙和「隊長、大丈夫なの?」
凪「隊長、お加減が?」
一刀「いや、体調は大丈夫だよ。ただ・・・」
凪「華琳様と純様の事ですか?」
一刀「そう。あの二人、俺から見てもとても仲良しの姉弟なのに、華琳が突然純から兵権を取り上げたんだよな・・・。」
真桜「せやなー。ウチも驚いた。ウチだけやない、凪も沙和もやろ?」
凪「そうだな。いくら何でも違和感を感じる・・・。」
沙和「沙和もびっくりしたのー。」
真桜「秋蘭様も姐さんも翠も稟もや。他にも、兵達も動揺しとるんやないかな?」
一刀「そうだよなー。」
一刀(何で突然・・・?)
すると
凪「・・・これは私の憶測にすぎないのですが・・・」
一刀「ん?」
真桜「凪?」
沙和「凪ちゃん?」
凪「華琳様は、純様の事が恐ろしくなったのではないでしょうか?」
凪がそう切り出した。
一刀「華琳が?何で?」
凪「これは私も先の呉との戦で共に戦っていたので感じた事ですが、最近の純様は、一段と覇気が強くなった気がするのです。」
一刀「ああ・・・成程。」
真桜「言われてみればそうやなー。」
沙和「そうなのー。最近の純様、風格が出て来た気がするのー。」
凪「武勇も統率力も、以前より更に強くなりましたし、それに一段と強くなった覇気が加わるので、華琳様は純様を上手く扱えるか不安になったのではないでしょうか?」
真桜「それに曹魏の将兵全てを従え、人望もあるからなー。やったら尚更か・・・。」
一刀「そうか・・・。」
一刀(確かに、臣下が主君以上の人望を持ってしまったら、脅威に感じるよな・・・。歴史がそれを証明してるし・・・。)
一刀(けど・・・あの二人には、そんな道を歩ませたくないな・・・。仲直りして、これからもずっと仲の良い姉弟になって欲しい・・・。)
そう思った一刀は
一刀「ちょっと用があるから。」
と言い、その場を後にしたのだった。
凪「隊長?」
真桜「どないしたんやろ?」
沙和「分かんないのー?」
一刀「華琳、ちょっと良いか?」
そう言い、一刀は華琳の部屋の扉をノックした。
華琳「・・・良いわ。入りなさい。」
そう言われ、一刀は部屋に入った。
一刀「華琳、話があるんだが・・・」
華琳「純の事でしょ?何も聞きたくないわ。」
一刀「華琳・・・。」
すると
華琳「・・・恐いのよ。」
一刀「・・・え?」
華琳「純が恐いのよ。先日、玉座の間で久し振りに見た時、更に強くなった覇気を見て、どこか心の臓を掴まれ、雰囲気に飲まれる感覚に陥ったわ。まるで、純が純じゃなくなってる気がしたわ。」
華琳「私では、あの子を御する事が出来ない気がしたのよ。」
一刀「だから、純から兵権を取り上げ、罷免したのか?」
華琳「ええ。あの子の人望は、私より遙かに凌ぐ。もし謀反を企んだら、私は押さえれないわ。この曹魏全ての文武百官は、皆純に味方する。それが恐いのよ。」
そう華琳は弱々しく言った。それはいつも一刀や他の臣下が見てる王の姿の華琳ではなく、一人の弱々しい少女のように震えていたのだった。
それを見た一刀は
パシン
華琳「・・・っ!」
華琳の頬を平手打ちした。
華琳「かず・・・と・・・?」
一刀「そんな事、誰が言ったんだ!桂花が言ったのか!それとも他の人がそう言ったのか!」
一刀「誰も言ってないだろ!・・・それに、純はそんな事何一つも考えてない!純は以前こんな事を言っていた!」
一刀「『これから先大陸全ての人間が敵になったとしても、俺は姉上の味方でい続ける。そして、共に死ぬ。』と言っていたんだぞ!」
華琳「・・・っ!」
一刀「これから何があっても、華琳と純はいつまでも仲良しの姉弟でいて欲しいんだ!」
華琳「じゃあ、どうしろって言うのよ!?」
一刀「仲直りしろ!華琳は、純の事が嫌いなのか!顔も見たくないのか!」
それを聞いて
華琳「嫌いなわけ無いでしょう!純は、私にとってたった一人の大切で可愛い弟なのよ!もしもの事があったら、私は生きていけないわよ!」
と怒鳴ったのだった。
一刀「だったら、仲直りしな。」
それを聞いて、一刀は優しく華琳に言った。
華琳「けど、私に為す術がないわ。」
一刀「それは簡単だ。兵符をすぐに純に返して、兵権を戻すんだよ。」
華琳「・・・純は、許してくれるかしら?」
一刀「大丈夫。純は、きっと華琳を許してくれるよ。」
そう言われ、華琳はその日のうちに準備をしたのだった。
兵舎
その日の夜、華琳は純が兵舎にいると聞き、兵符を持ってそこに行った。
曹魏兵士A「曹操様!すぐ曹彰様にお伝えします!」
そう兵士が言うと
華琳「私と純は姉弟よ。その必要は無いわ。」
華琳はそう言って兵士の取り次ぎを断り、華琳は中に入った。
そして、暫く待っていると後ろから誰か来る気配がしたので振り返ると純が歩いて来て
純「拝謁致します。」
と拱手して言った。その様子を見た華琳は
華琳「純。どうやら、まだ怒っているようね。」
と言った。
華琳「受け取りなさい。兵符よ、届けに来たの。今回の事、全て私が間違っていたわ。」
そう華琳は言ったが
純「・・・。」
純は何も答えなかった。
華琳「私とあなたは、腹違いとはいえ、同い年の姉弟。あなたは、私のお母様を実の母の様に大事にしてくれたわね。」
華琳「かつてお父様が亡くなった時、あなたは率先して臣下の礼を取って皆を纏めてくれて、多くの戦にも勝利してくれた。あなたがいなければ、魏は建国できず、私は志半ばで命を落としていたわ。」
純「・・・っ。」
華琳「亡きお父様は、今際の際にこう言い遺したの。『戦の事は全て純に任せ、お前は国の事を考えて互いに力を合わせ、助け合い、大業を成せ』ってね。」
純「・・・っ!」
華琳「あなたはこの曹魏にとって、私にとってもかけがえのない存在よ。今回の事は、本当にごめんなさい。」
華琳「お父様の遺言に背いてしまったわ。あなたに謝罪するわ。」
そう言い、華琳は拱手して頭を下げようとしたが
純「姉上!俺こそお許し下さい!」
純はすぐに止め、跪いて拱手し謝罪した。
華琳「純・・・。」
それを見た華琳は、純を立ち上がらせ
華琳「主君と臣下といえど、それ以前に私達は血の繋がった姉弟よ。私は人間だから、過ちも犯してしまうわ。けど弟として、私を許してくれないかしら?」
そう言った。それを聞いた純は
純「姉上、それ以上・・・仰いますな!」
と華琳に言った。
華琳「では兵符は?」
純「お受け取り致します。蜀の事は、どうなさいますか?」
華琳「あなたに全て任せるわ。」
純「さすれば、ただちに建業に滞在している十万の兵と、本国四十万の兵に出撃の準備をさせて下さい!」
と純は拱手して言った。
華琳「分かったわ。なら、全て任せるわ。そして、この乱世に終止符を打ちなさい!」
純「御意!」
そして、二人の仲は改善され、曹魏の動揺は収まり、蜀平定の準備を進めたのだった。
投稿できました。
上手く書けたか分かりませんが、何とか書けました(汗)
文才が欲しいです・・・(泣)
そ、それでは、また。