豫州・汝南
一刀「ここ、本当に豫州なんだよな・・・。」
秋蘭「うむ。前回あれ程苦労したのが嘘のようだな。」
陳珪の根回しが本当に効いたお陰で、豫州の州境は驚くくらいあっさりと越える事が出来た。
秋蘭「北郷、大丈夫か?」
一刀「何とかね。行軍速度もゆっくりだし・・・香風に特訓して貰った甲斐があったよ。」
香風「お兄ちゃん、頑張ってた。」
今回の遠征は、一刀も馬に乗って移動する事になっており、騎馬戦レベルまではいかなかったが、香風との特訓で最低限のバランスを取れるようになっていたのだった。
一刀「けど、こんな調子で大丈夫なのかな?俺はありがたいけど、遅くない?」
秋蘭「別に北郷を気遣っての事ではないだろうし、気にする必要は無いと思うがな。」
一刀「それなら良いんだけど・・・。でも、何か凄い事になったなぁ。」
秋蘭「うむ・・・。」
すると、桂花を見つけたので、
一刀「噂をすれば・・・。おーい、桂花。」
と呼んだ。
桂花「な・・・っ!アンタ、何で・・・っ!」
しかし、真名を呼ばれた桂花は驚いてしまった。
一刀「華琳と純から聞いただろう。俺や秋蘭達は、お前の事真名で呼ぶって。」
桂花「聞いたけど覚える気にもならなかったわ!」
一刀「何だそりゃ・・・。」
桂花「それに、古参の夏侯淵様はともかくとして、何でアンタ何かに真名で呼ばれなきゃならないのよ!訂正なさい!」
香風「シャンも訂正する・・・?」
香風の言葉に、
桂花「・・・あなたは別に良いわ。」
と言った。
一刀「古参新参で言うなら、俺と香風は同期だぞ?」
桂花「なら訂正するわ。役に立つ立たないの話よ。」
一刀「ぐぬぬ・・・。」
一刀(その基準を持って来られると、正直痛い・・・!)
一刀「そ・・・そんなことよりさ。あんな無茶な事言って・・・本当に大丈夫なのか?」
桂花「そんなことじゃないわよ。誤魔化されませんからね!」
すると、
秋蘭「華琳様と純様の命だ。諦めて受け入れるのだな。」
と秋蘭が横からフォローしたのだった。
桂花「・・・しょうが無いわね。で、何が無茶ですって?」
一刀「いや、糧食を半分で済ますとかさ・・・」
桂花「別に無茶でも何でも無いわよ。今の我が軍の実力なら、これくらい出来て当たり前なんだから。何より、曹彰様が鍛えた兵なんだもの。」
一刀「・・・そうなのか?」
と一刀は秋蘭に尋ねた。
秋蘭「純様は我が軍で最も武に優れているお方だ。しかし、それを頼んで無茶な攻めを強いる事は基本ないからな。正直、こういう強行を実戦で試すのは初めてだ。それは華琳様も同じ事だがな。」
桂花「ここ暫くの訓練や討伐の報告書と、今回の兵数を把握した上での計算よ。これでも余裕を持たせてあるのだから、安心なさいな。」
一刀「・・・でも、食料が半分なんだろ?この行軍速度で大丈夫なのか?」
桂花「うるさいわね。軍師の私が大丈夫って言ってるんだから大丈夫なの。何か文句でもある?」
一刀「いや・・・ないけど。」
秋蘭「その辺りの手並みはおいおい見せてもらうとしよう。・・・しかしあのやり取りは肝が冷えたぞ。」
一刀「全くだ。何であんな無茶なやり方をしたんだ?能力に自信があるなら、軍師として志願すれば良かったじゃないか。」
この疑問に
秋蘭「ああ・・・それはだな」
桂花「軍師として志願出来たなら、していたわよ。」
桂花は秋蘭の代わりにそう答えた。
一刀「してなかったの?」
桂花「・・・ふん。」
秋蘭「うむ。軍師の募集はしていなかった。」
一刀「そうだったんだ・・・。」
秋蘭「経歴を偽って申告する輩も多いのでな。個の武勇なら純様か姉者辺りが揉んでやれば大体分かるのだが・・・」
秋蘭「香風のように既に名が知れているならまだしも、大概の文官は使ってみんと判断がつかんのだ。稟と風は、まさに偶然としか言いようがない。」
一刀「そうか。やっぱり凄いんだな、香風。」
香風「えへへー。」
秋蘭「後は・・・栄華に付けるにはちょうど良さそうだったしな。」
一刀「あー。それなー。」
その言葉に、ある意味察した一刀。
桂花「そんなわけで、一刻も早く曹操様と曹彰様の目に留まる働きをして、召し上げていただこうと思ったのだけれど・・・思ってたよりその機が早く来て、良かったわ。」
一刀「早く、ねぇ・・・。」
秋蘭「それで、お二人はどうだったのだ?」
秋蘭の問いに、
桂花「思った通り、素晴らしいお二方だったわ・・・。あのお二方こそ、私が命を懸けてお仕えするに相応しいお二方だわ!」
桂花「とは言え、曹彰様には既に軍師が二人いるようだけどね。」
と桂花は答えた。
一刀「そんなに良かったの?」
桂花「・・・ふっ。あなたのような木偶の坊には分からないのでしょうね。可哀相に。」
一刀「・・・何か俺に、恨みでもあるのかよ。」
桂花「別に無いわよ。単に嫌いなだけ。」
一刀「・・・。」
秋蘭「・・・。」
これには、一刀と秋蘭は黙るしか無かったのだった。
その時、
春蘭「おお、貴様ら、こんな所にいたか。」
春蘭がやって来た。
秋蘭「どうした姉者。急ぎか?」
春蘭「うむ。前方に何やら大人数の集団がいるらしい。純様がお呼びだ。すぐに来い。」
そう言われ、一刀達は本陣に向かったのだった。
本陣
秋蘭「・・・遅くなりました。」
純「ちょうど偵察が帰ってきた所だ。報告を頼む。」
柳琳「はい。行軍中の前方集団は、数十人ほど。旗がないため所属は分かりませんが、格好もまちまちですし、どこかの野盗か山賊だと思われます。」
華琳「・・・そう。さて、どうするべきかしら?桂花。」
桂花「はっ!もう一度偵察隊を出し、状況次第で迅速に撃破すべきかと。」
桂花「将の選抜までお任せいただけるなら・・・曹彰様、夏侯惇、徐晃、北郷。この四名を中心に据えるのが良いでしょう。」
春蘭「おう。」
香風「まかせて。」
純「・・・成程。」
この人選には、純は何となく察した。ただ、
一刀「・・・俺ぇ!?」
まさか呼ばれるとは思わなかった一刀は、驚いてしまった。
一刀(純と春蘭、そして香風は分かるけど、何で俺・・・。)
桂花「曹操様を偵察に行かせる気?」
一刀「いや、そうじゃなくて、俺で戦力になるのかなって・・・。」
桂花「ついでに戦闘に巻き込まれて死んでくれれば言うことなしでしょう?」
一刀「いやちょっと待って!言うことしかないよ!?」
桂花「半分は冗談よ。」
桂花「曹純様はお戻りになったばかりだし、夏侯淵様と曹洪様は本隊の指揮があるでしょう。」
すると、
華侖「なら、あたしが行きたいっすー!」
そう華侖が答えたが、
桂花「・・・せめて夏侯惇様の抑え役くらい、してちょうだい。」
と桂花は答えた。
純「やはり、そういうことか。分かった、引き受けよう。」
一刀「つまり、俺は保険か・・・。」
春蘭「あの、何を納得しているのですか!それではまるで、私が敵と見ればすぐ突撃するようではないですか!」
桂花「違うの?」
一刀「違うの?」
純「違うのか?」
華琳「違わないでしょう?」
春蘭「うう、華琳様と純様まで・・・。」
純「はは、冗談だ。ならその策で行こう。」
華琳「純、任せたわよ。」
純「はっ、お任せ下さい。」
香風「なら華琳様、行ってきまーす。」
すると、
秋蘭「・・・姉者、香風、北郷。純様にもしもの事があったら、分かっているな。」
栄華「・・・春蘭さん、北郷さん。お兄様に何かありましたら、分かっていますわね。」
稟「・・・私もお二人に同感です。分かっていますね。」
秋蘭と栄華、そして稟が、禍々しい殺気を出しながら一刀と春蘭、そして香風に対して、そう言った。それに対して、
一刀「は、はい!!了解しました!!」
春蘭「う、うむ。分かっているぞ、秋蘭、栄華、稟。」
香風「コクコクコク」
三人は青ざめながらそう言った。それを見た
純「やめろ、秋蘭、栄華、稟。」
風「秋蘭様、栄華様、稟ちゃん、ちょっと抑えるのですよ。」
柳琳「秋蘭様、栄華ちゃん、稟さん、抑えよう。ねっ?」
純、風、そして柳琳が抑えたお陰で、
秋蘭「・・・はっ。」
稟「・・・分かってますよ、純様、風、柳琳様。一応念を押しただけです。」
栄華「・・・お兄様、風さん、柳琳、分かっていますわ。」
何とか殺気を収めたのだった。
偵察隊
純「春蘭、今回は偵察が第一だ。通りすがりの商人とかその護衛とかだったら、後が面倒だからな。」
春蘭「分かっております純様!そこまで私も迂闊ではありません。」
一刀(いや、その迂闊がありえるから俺と純が付けられたんだよ・・・。)
すると、
香風「春蘭様、あそこー。」
と香風が指を指して言った。
春蘭「よし!と」
純「突撃禁止だぞ!」
春蘭「わ、分かっております・・・!と、とりあえず、とりあえず・・・、私は何を言おうとしたのでしょうか、純様!」
純「知らねーよ・・・!」
一刀「でも・・・何だ?なんか連中、行軍してる感じじゃないぞ?」
純「何かと戦っているようだな。」
春蘭「そうですね。」
そうして見ていると
香風「あ、何か飛んだー。」
純「ありゃ、人だな。」
人が飛んでいた。
一刀「・・・って、人ぉ!?」
一刀(人って、あんな高く上がるものなのか!?)
春蘭「何だ、あれは!」
兵士A「誰かが戦っているようです!・・・その数、一人!それも子供の様子!」
その報告を聞いた春蘭は
春蘭「何だと!?」
馬に鞭を当てて、一気に加速させてその集団へと向かっていった。
純「おい、春蘭!」
一刀「春蘭、待てってば!」
すると、
香風「純様とお兄ちゃんは、後で来て下さい。」
一刀「香風までーっ!」
そう言った香風も、春蘭が向かった方向へ馬を走らせたのだった。
兵士A「曹彰様・・・。北郷殿・・・。」
純(ったくあいつら、何しに来たんだよ・・・。)
一刀「純、どうする?」
純「しょーがねー。一刀は二十騎程率いて春蘭達の援護に行け。ただし、全滅させるな。一部は逃がし、そいつらを残りの俺が追跡する。恐らく敵の本陣かもしくは本隊に逃げ込むはずだ。」
一刀「わ、分かった!!」
そう言って、一刀は二十騎程率いて、春蘭達に向かったのだった。
一方
??「でえええええいっ!」
野盗A「ぐはぁっ!」
??「まだまだぁっ!でやあああああああっ!」
野盗B「がは・・・っ!」
野盗C「ええい、テメェら、ガキ1人に何を手こずって!数で行け、数で!」
野盗D「おおぉぉ!」
??「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。もぅ、こんなにたくさん・・・多すぎるよぅ・・・!」
その時、
野盗E「ぐふぅっ!」
1人の野盗が倒れた。
??「・・・え?」
春蘭「だらぁぁぁぁっ!」
野盗F「げふぅっ!」
香風「はぁぁぁぁぁっ!」
野盗G「ぐはぁあっ!」
春蘭「大丈夫か!勇敢な少女よ!」
??「え・・・?あ・・・はいっ!」
春蘭「貴様らぁっ!子供1人によってたかって・・・卑怯というにも生温いわ!てやああああああっ!」
野盗C「うわぁ・・・っ!退却!退却ーっ!」
春蘭「逃がすか!全員、叩き斬ってくれるわ!香風、回り込め!」
香風「了解。」
するとそこへ、
一刀「おい、春蘭、香風!ちょっと待てっつの!」
一刀が止めに入った。
春蘭「ばっ・・・!北郷、何故止める!」
一刀「俺達の仕事は偵察だぞ。その子を助けるために戦うのは良いけど、敵を全滅させるのが目的じゃないだろう!」
香風「桂花、流れ次第で全滅させて良いって・・・。」
春蘭「そうだぞ。敵の戦力を削って何が悪い!」
一刀「それは最もだけど、もっと良い作戦があるだろ。」
春蘭「・・・例えば何だ?」
一刀「逃がした敵をこっそり追跡して、敵の本拠地を掴むとかそういうのだよ。」
春蘭「・・・おお、それは良い考えだな。誰か、おおい、誰かおらんか!」
一刀「・・・純が既に偵察に向かったよ。」
香風「さっすがー、純様。」
春蘭「うむ、そうだな。」
一刀「はぁ・・・。」
一方純達は、
純「よし、一部を逃がすことは出来たようだな。あの集団を追うぞ!」
兵「「「はっ!!」」」
そう言って、純達は逃げた敵を追い、盗賊団の本拠地を見つけ、華琳の本隊に戻ったのであった。
??「あ、あの・・・。」
春蘭「おお、怪我は無いか?少女よ。」
??「はいっ。ありがとうございます!お陰で助かりました!」
春蘭「それは何よりだ。しかし、何故こんな所で一人で戦っていたのだ?」
??「それは・・・」
その時、後方から華琳達本隊がやって来た。
一刀「来た来た。おーい!華琳ーっ!」
??「・・・っ!」
華琳「一刀。謎の集団とやらはどうしたの?戦闘があったという報告は聞いたけど?」
一刀「春蘭と香風の一当てで総崩れだよ。一部は逃がし、追跡させているから、本拠地はすぐに見つかると思う。」
華琳「あら、なかなか気が利くわね。恐らく純の指示でしょう?」
一刀「ああ、そうだよ。」
するとそこへ、
秋蘭「ところで姉者、香風、北郷。純様と一部の騎馬兵はどうした?」
栄華「そう言えば、見当たりませんわね。」
稟「どこに行ったのですか?」
秋蘭達が一刀らに尋ねた。
春・香「「・・・。」」
春蘭と香風は沈黙の後、しまった!と言う顔をし、少し青ざめた顔をした。
秋蘭「姉者、香風・・・。」
栄華「春蘭さん、北郷さん・・・。」
稟「皆さん・・・。」
すると、秋蘭、栄華、稟が禍々しいオーラを出したので、
一刀「じ、純は自ら一部の兵を率いて本拠地を探っているよ!」
と一刀がそう答えたのだった。
秋蘭「姉者!香風!純様にもしもの事があったらどうするつもりだ!」
栄華「秋蘭さんの言う通りですわ!お兄様にもしもの事があったらどうするつもりですの!」
稟「皆さん・・・何かあったら私が許しませんよっ!」
すると、秋蘭達は語気を荒げ春蘭達にそう言った。
春蘭「秋蘭、栄華、稟!純様は黄鬚と呼ばれし我が軍最強の武人だぞ!この程度の連中に遅れを取るものか!」
秋蘭「しかし・・・。」
栄華「そうですわ・・・。」
稟「純様・・・。」
華琳「貴女達、純の事を慕っているのなら、信じなさい。春蘭の言う通り、そう簡単にはやられないわよ。」
華琳がそう答えたので、
秋蘭「・・・御意。」
栄華「・・・分かりましたわ。」
稟「・・・はっ。」
秋蘭達は怒りを静めたのであった。
??「・・・!」
華琳「この子は?」
??「お姉さん、もしかして、国の軍隊・・・っ!」
春蘭「まあ、そうなるが・・・ぐっ!」
一刀「え・・・っ!?」
その時、春蘭と一緒に戦っていた少女は、鉄球をなぎ払い、春蘭に攻撃した。もし春蘭じゃなかったら、そして春蘭の剣が彼女の攻撃を打ち返してなかったら、間違いなくその場にいた全員が吹き飛ばされてしまっただろう一撃だった。
春蘭「き、貴様、何をっ!?」
??「国の軍隊なんか信用できるもんか!僕達を守ってもくれないクセに、税金ばっかりどんどん重くして・・・ッ!」
??「てやあああああああっ!」
春蘭「・・・くぅっ!」
一刀「だから君は一人で戦ってたのか・・・?」
??「そうだよ!僕が村で一番強いから、僕がみんなを守らなきゃいけないんだっ!盗人からも、お前達・・・役人からもっ!」
香風「・・・。」
春蘭「くっ!こ、こやつ・・・なかなか・・・っ!」
一刀(嘘だろ・・・?いくら状況が状況で本気になれないからって・・・あの春蘭が、押されてる!?)
一刀「桂花。この辺りの郡や国って、そんなひどい政治をやってるのか?」
桂花「だからたかが千の賊も退治出来ずに、州さえ違う曹操様に泣き付く羽目になるのよ。」
一刀「・・・なんか、希望が無いな。」
香風「でも・・・この辺りが、多分普通。華琳様の所が、特別。」
一刀の言葉に、香風はそう言った。
華琳「・・・。」
柳琳「・・・お姉様。」
??「でえええええええええええええいっ!」
春蘭「ぐぅ・・・!仕方ないか・・・いや、しかし・・・」
するとそこへ、一人の影が二人の間に立った。
数分前、
純「よし、敵の本拠地も割り出せたし、姉上の本隊に合流すっか。」
そして、
純「ん?あの少女、さっき野盗の集団と戦ってた子だな。本気が出せないとは言え、あの春蘭を押すとは・・・。とは言え、止めなきゃな。」
そして後ろを振り返り、
純「俺、あいつらを止めるから、お前らは後で来い。」
そう言って、純は二人に向かって行ったのであった。
現在
純「お前ら、そこまでだ。」
純は、春蘭と少女の間に立った。それぞれ大小の刀を向けながら。
??「え・・・っ?」
春蘭「純様!」
一刀「純!?」
純「剣を引け!そこのお前も、春蘭も!」
??「は・・・はいっ!」
純の覇気に当てられて、少女は軽々と振り回していた鉄球を、その場に取り落としたのだった。
純「・・・。」
その様子を見た純は、刀を鞘に収め、華琳の傍に立った。
華琳「・・・春蘭。この子の名は?」
春蘭「え、あ・・・。」
季衣「き・・・許褚と言います。」
華琳「そう・・・。」
そして華琳が取った行動は、
華琳「許褚、ごめんなさい。」
季衣「・・・え?」
許褚に頭を下げたのだった。
桂花「曹操、様・・・?」
春蘭「何と・・・。」
一刀「お、おい、華琳・・・!」
すると、
純「・・・。」
一刀「純!」
純が手をかざして止めた。
季衣「あ、あの・・・っ!」
華琳「名乗るのが遅れたわね。私は曹操。あなたを止めたのは、弟の曹彰。山向こうの陳留の地で太守をしている者よ。」
季衣「山向こうの・・・?あ・・・それじゃっ!?こ、こちらこそごめんなさいっ!」
春蘭「な・・・?」
季衣「山向こうの噂は聞いてます!向こうの太守様は凄く立派な人で、悪いことはしないし、税金も安くなったし、後、その太守様の弟様のおかげで、盗賊も凄く少なくなったって!」
季衣「・・・あ!もしかして行商のおじさんが言ってた、陳留の太守様がこっちの悪い賊を討伐に来るっていうのが・・・!!」
華琳「・・・。」
許褚の言葉を聞いた華琳は、黙って頷いた。
季衣「そんな・・・。そんな人達に、僕・・・僕・・・!ごめんなさい!僕達を助けに来てくれた人に・・・本当にごめんなさい!!」
華琳「・・・構わないわ。今の政事が腐敗しているのは、太守の私が一番よく知っているもの。官と聞いて許緒が憤るのも、無理のない話だわ。」
季衣「で、でも・・・」
華琳「だから許褚。あなたの勇気と憤り、この曹孟徳に貸してくれないかしら?」
季衣「え・・・?僕の・・・?」
華琳「私はいずれこの大陸の王となるわ。けれど、今の私の力はあまりに小さすぎる。」
華琳「だから・・・村の皆を守るために振るったあなたの力と勇気。この私に貸して欲しい。」
季衣「曹操様が、王に・・・?」
華琳「ええ。」
季衣「あ・・・あの・・・。だったら。曹操様が王様になったら、僕達の村も、治めてくれますか?盗賊も、やっつけてくれますか?」
華琳「約束するわ。陳留だけでなく、あなた達の村だけでもなく・・・この大陸の皆がそうして暮らせるようになるために、私はこの大陸の王になるの。」
季衣「この大陸の・・・みんなが・・・」
桂花「ああ、曹操様・・・。」
華琳「ねぇ、許褚。」
季衣「は、はいっ!」
華琳「これから、あなたの村を脅かす盗賊団を根絶やしにするわ。まずそこだけでいい、あなたの力を貸してくれるかしら?」
季衣「はい、それならいくらでも!じゃない、僕の方こそお手伝いさせて下さい!!」
華琳「ふふっ、ありがとう。純。」
純「はっ。春蘭、香風。許褚はひとまず、お前達の下に付ける。分からないことは教えてあげろ。」
香風「はーい。」
春蘭「了解です!」
季衣「あ、あの・・・ええっと・・・」
春蘭「既に華琳様には謝ったのだろう。ならば、それで良い。」
香風「それより・・・ごめんなさい。」
季衣「ほぇ・・・?どうして君が僕に謝るの?」
香風「シャンも、前は都の役人だった。・・・何も出来なかった。」
季衣「あはは。僕は悪い役人は大嫌いだけど、曹操様みたいに良いお役人様は大好きだよ。それより、さっきは助けてくれてありがとう。これからよろしくね!」
香風「うん。シャンは、香風だよ。」
春蘭「ならば、私の事も春蘭でいい。」
季衣「えええっ!?でもそれって、真名じゃ・・・僕なんかが、畏れ多いです!」
春蘭「あれ程の使い手なら、名を預ける価値もあると言うものだ。先程の猛攻、恐れ入ったぞ。」
香風「うん。今度、シャンともやろう。」
季衣「は・・・はいっ!なら、僕のことも季衣って呼んで下さい!春蘭様、香風、よろしくお願いします!」
春蘭「うむ。季衣、その力、華琳様のためにしっかり役立ててくれよ。」
季衣「はいっ!もちろんです!」
純「姉上、偵察した結果、盗賊団の本拠地はすぐそこです。」
華琳「そう。分かったわ。・・・では総員、行軍を再開するわ!騎乗!」
純「総員!騎乗!騎乗っ!」
そして、盗賊団の根絶やしに向かったのであった。
投稿できました。
結構長くなってしまいました・・・お許し下さい(土下座)
次回は、盗賊団の殲滅です。
それでは、また。