曹彰軍
秋蘭「純様。全軍、集結致しました。」
純「・・・分かった。」
先日愛紗率いる別動隊と合流した純は、ある地にて、全軍を集結させた。純の目の前には、出陣の時に見た、銀色の荒野そのものだった。そしてその兵士達は、皆純の言葉を待っていた。
純「皆聞け!」
その声と同時に、兵達は己の武器を構え直す。
純「生きて我が国へ、帰れると思うな!」
純「相次ぐ戦乱によって、何度苦難に遭ったか。自分の近くの身内や身の回りの知人が、巻き込まれていったか!」
純「どれ程・・・乱世を憎んだ事か!」
そして、周りを指差し
純「ここにいるお前達は、数々の死線をくぐり抜け、地獄の底から這いあがってきた者達だ!」
と言った。
純「成都は、すぐそこだ。我々が今まで戦ってきた中で、最も手強い敵が、我らを待ち構えている。」
純「戦うのが怖い者は前に出ろ。離脱を認める。」
そう言った純だが、誰一人離脱しなかった。
それを見た純は
純「・・・良し!」
満足した表情でそう言った。
純「誰かが言っていた。今回の敵は、強いと。」
純「では俺達は?」
純「俺達はもっと強い!確かに、奴らには趙雲、張飛、孫策を筆頭に名将、知将がいる!」
純「だが戦で肝心なのは、それは信念と勇気なのだ!恐れる事はねー!」
純「今まで生きてきたのは、この時のためだ!蜀を吞み込み、我が姉曹孟徳が王として君臨している曹魏の大陸統一を果たし、民が望む泰平の世を築く!その礎として、誇り高き曹魏の兵らしく、命を懸けて戦い、死のうではないか!」
愛紗「純様と共に、勝つまで戻らぬ!」
「「「勝つまで戻らぬ!勝つまで戻らぬ!勝つまで戻らぬ!勝つまで戻らぬ!勝つまで戻らぬ!」」」
そして
純「我々は、負けて戻るつもりはねー!ここから成都まで、三日を要する。食料は三日分のみ支給する。無論俺もだ!」
そう言った純は、薪をとって火をつけ、兵糧に投げた。
それを見た兵士達も
曹彰軍兵士「「「うおーっ!」」」
ガシャーン!
釜を壊したり、兵糧を燃やしたりした。そして、純率いる五十万の兵は、成都に向かって怒涛の進撃を始め、そして遂に、成都に到着したのだった。
成都
稟「純様。全軍の展開、完了致しました。」
純「伏兵の気配はどうだ?」
稟「今のところありません。しかし、相手は鳳雛鳳統と周公謹。警戒を怠らないよう、徹底させています。」
純「うむ・・・。」
翠「なあ・・・純殿?」
純「ん?どうした、翠?」
翠「劉備達は・・・籠城戦を挑んでくると思うか?」
この問いに
純「ねーな。」
純はあっさり即答した。
純「籠城戦は本来、時間稼ぎのために行うものだ。それは応援を待つためや、こちらの兵糧が尽きるのを狙うなど様々だがな。とはいえ、我らも兵糧はあと一日だけだがな。」
稟「けれどそれは、向こうも同じ。むしろ状況は城内の方が過酷でしょう。」
翠「成程・・・。」
純「それにあの劉備の事だ。成都の民まで巻き込む事はしねーだろう。」
風「そうですねー。」
稟「各地でこの動きに乗じた反乱があるという情報もありませんし、対応出来る兵も各地に配備済みです。黄巾規模の反乱なら、十分に制圧可能です。」
純「それに、そんな指揮が出来る人材は、もう三国のどこかに加わってるさ。」
翠「・・・確かにそうだな。」
その時
愛紗「純様。成都の城門が開きました!敵部隊、各方向から展開していきます!」
呉蜀連合軍が、陣を展開したとの報告が入ってきた。
純「そうか。劉備達は?」
愛紗「まだ・・・いえ、出て来ました!趙雲、張飛達も付いているようです!」
純「・・・そうか。・・・なら、何人か付いてこい。」
これに
愛紗「はっ!」
秋蘭「ならば、私も。」
翠「あたしも行くぜ!」
愛紗と秋蘭、そして翠が反応した。
純「分かった。残るお前達は敵の陣形に応じて配置を調整しておいてくれ。楼杏、稟、風、指揮は任せたぞ。」
楼杏「はい。」
稟「御意。」
風「御意。」
そして、純は馬に乗って行き、劉備と向かい合った。
純「・・・ようやく出てきたな、劉備。」
劉備「曹彰さん・・・。」
劉備「やっぱり戦うんですか・・・?」
純「ああ、そのためにここまで来たんだからな。」
劉備「あなたのやり方は間違っています!そうやって、力で国を制圧して、人を沢山殺して・・・それでは、この大陸に平和が来るとは思えません!」
劉備「だから・・・やめませんか?」
純「前にも言ったと思うが、その言葉を言って良いのは、我が軍より多い兵力を連れてきて、俺達を打ち倒した後だけだ。」
劉備「・・・。」
純「それに、俺は一日も早くこの大陸に国境をなくし、あるべき姿を取り戻したいだけ。それだけだ。」
純(それで例え、俺がこの大陸に住む全ての民に恨まれても構わねー・・・。姉上の理想が叶うなら・・・。)
劉備「・・・これでやっと分かりました。あなたは正義じゃない。自分の欲望のためにお姉さんの曹操さんを利用して人を殺す・・・」
その時
秋蘭「黙れ劉備!言わせておけば・・・!」
純の傍にいた秋蘭が、劉備にそう怒鳴った。
純「秋蘭。」
愛紗「止めろ秋蘭!お前らしくないぞ!」
翠「おい、秋蘭!」
それを純は勿論、愛紗と翠も止めたが
秋蘭「いいえ!私達の純様を・・・絶対に許せぬ!どのような罰も受けます!言わせて下さい!」
と秋蘭はそう言った。
純「・・・分かった。」
愛紗「純様!」
翠「純殿!」
それを聞いた純は、秋蘭を許した。
秋蘭「ありがとうございます。」
そして、秋蘭は劉備に向き直った。瞳には涙を溜めたまま。
秋蘭「お主に純様の何が分かる!何を知っている!お主が言うように話し合いで解決出来る事は確かにある。だが、それだけでは無理な場合もある。人の数だけ真実があり、其々に譲れぬ信念があるからだ!それを知った風に言うな!」
劉備「それは・・・」
秋蘭「よく聞け!人は善し悪しもそうかもしれないが、力のある人間に付いてくる。だから身体を張って戦い、互いに命という代償を払い勝利し、力を示すのだ!これが現実なのだ!」
秋蘭「劉備、現実を知らぬ、この大馬鹿者がっ!理想だけで世の中が変わるのなら・・・人々が救えるのなら、誰が戦など起こすのだ!お主が理想だけを夢見て自分の周りだけで楽しく暮らしている間、純様は華琳様のため、民のために自らの手を血に染めていたのだ!」
秋蘭「お主など、純様と対等に戦う資格などないっ!己の無知で正義を振りかざすな!」
秋蘭は、涙を流しながらそう劉備に言った。
愛紗「秋蘭・・・。」
翠「お前は・・・。」
この姿に、愛紗と翠は何とも言えない表情で見ていた。
劉備「・・・そんなの正義なんかじゃない!曹彰さん・・・私が倒れてもあなただけは倒してみせる!私はあなたを、あなたのお姉さんの曹操さんを認めない!亡くなった朱里ちゃんのためにも!そして、無力な人達の居場所のためにも!」
しかし、劉備はそう言い、純達に敵意の目を向けたままそう言った。
純「・・・そうか。ならば、話は終わりだ。これより先は、戦にて決着をつけよう。」
純「愛紗!」
愛紗「御意!」
愛紗「全軍戦闘態勢!我が曹魏の行く末、この一戦にあり!命を惜しむな!名誉を・・・そして、我らの歴史に刻まれぬ事を惜しめ!」
翠「共に戦い、誇りと共に、命を懸けて戦おう!」
秋蘭「この戦い、遥か千年の彼方まで語り継がれるであろう!」
純「曹魏の牙門旗の下、最後の戦いを行う!各員奮励努力せよ!」
劉備「星ちゃん、お願い!」
趙雲「御意!」
趙雲「曹魏の野望を食い止められる者は、最早我ら蜀しかおらぬ!敵は強大!されど我らの団結をもってすれば、打ち破れぬ物は何もない!」
趙雲「全軍戦闘準備!我らが子孫に永久の平安をもたらすために!」
劉備「劉旗の下、私達は私達の理想のために戦う!皆、力を貸して!」
鳳統「桃香様!すでに準備は出来ています!」
劉備「うん!第一陣は、桔梗さん、焔耶ちゃん・・・お願いするね。」
厳顔「うむ。先陣は任せておけ。」
魏延「この戦いが最後の戦いなら、今まで奴らに受けた借りと屈辱の全て、この一戦で晴らしてみせます!」
甘寧「蓮華様、行って参ります。」
孫権「ええ。思春も明命も、気を付けて。」
周泰「はいっ!任せて下さい!」
麋竺「穏、指揮はお願いねー!」
陸遜「はーい!任せて下さい!」
秋蘭「純様、敵陣が動き出しました!第一陣の先陣は・・・魏延!」
純「分かった!翠、攻撃しろ!」
翠「了解したぜ!」
孫策「桃香!巻き込まれるわよ!」
劉備「うん!」
魏延「なら、行くぞ!」
翠「さあ、来な!あたしが相手してやるぜ!」
「「総員、突撃ーっ!」」
そして、最終決戦が始まったのであった。
投稿できました。
少しおかしな点もありますが、お許し下さい(土下座)
それでは、また。