恋姫無双〜黄鬚伝〜   作:ホークス馬鹿

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22話です。


22話

本陣

 

 

 

 

華琳「さて。これからどうするかだけど・・・。新しく参入した凪達もいることだし、一度状況をまとめましょう。・・・純。」

 

純「はっ。俺達の敵は黃巾党と呼ばれる暴徒の集団だ。構成員は若者が中心で散発的に暴力活動を行っているが・・・特に主張らしい主張はなく、現状で連中の目的は分かっちゃいねー。」

 

純「また首領の張角も、旅芸人の女らしいという点までは突き止めたが、それ以外は不明だ。どこにいるかも分かんねー。」

 

真桜「・・・ぶっちゃけ何も分かってへんのやな。」

 

栄華「本当に張角が指揮を執っているかも怪しいものですわ。張角が扇動だけして、煽られた者達が好き勝手に暴れている可能性もありますわね。」

 

春蘭「誰も口を割らん以上、本人を捕まえて聞くしかなかろうな。」

 

真桜「それ、口を割らんのやのうて、ホンマに知らんだけとちゃうん?」

 

桂花「その可能性も否定出来ないのが面倒なところね・・・。」

 

稟「はい、そうですね。」

 

風「ぐぅ~。」

 

稟「寝るな!」

 

風「おお!面倒な事だと思いつい・・・。」

 

稟「全く・・・。」

 

凪「目的とは違うかもしれませんが・・・我々の街では、地元の盗賊団と合流して暴れていました。陳留のあたりではいかがでしたか?」

 

華琳「似たようなものよ。ただ、この街の例もあるように、事態はより悪い段階に移りつつある。」

 

春蘭「悪い段階・・・?どういう意味ですか?」

 

桂花「ここの大部隊を見たでしょう?無為に暴れるだけの烏合の衆や、地の盗賊と組むだけじゃない。それなりの指揮官を戴いて、組織としてまとまりつつあるのよ。」

 

春蘭「・・・ふむ?」

 

しかし、イマイチ良く分かってなかったので、

 

桂花「要するに・・・今までのように、春蘭が大声で咆えたら終わるような敵じゃなくなるってこと。」

 

と説明した。

 

春蘭「なるほど。」

 

桂花「・・・ホントに分かってるのかしら。」

 

香風「前より強くて、面倒になってる。」

 

春蘭「・・・うむ。それだ。」

 

一刀「それ、どう見ても香風に乗っかっただけだろ、春蘭。」

 

華琳「ともかく、一筋縄ではいかなくなった事だけは間違いないわ。ここでこちらにも味方が増えたのは幸いだったけれど・・・これからの案、誰かある?」

 

一刀「結局、張角を捕まえるしかないんだよな・・・。」

 

桂花「相手も組織化しつつあるなら、それこそ張角が首領として据えられてる可能性も高いわ。そこを一網打尽にするしかないわね。」

 

秋蘭「本拠地を潰せば一番良いのだが・・・旅芸人という出自故、我々のように特定の拠点を持たず、各地を転々としている可能性も高い。そもそも潰す本拠地がないなら、痛いな。」

 

一刀「本拠地があるかどうかも分かんなくて、どこからでも湧いて出る、微妙に組織だった敵か・・・。タチが悪すぎる。」

 

一刀(完全にモグラ叩きだ。ただ一つ違うのは、モグラの側から率先して襲いかかるって事か。)

 

桂花「だからこそ、都から直々に討伐命令が出たのでしょ。ただ、それを討伐出来れば、華琳様の名がさらに大陸に轟くのは間違いないわ。」

 

稟「はい。私も桂花の意見に同感です。それが出来れば曹操殿だけじゃなく純様の武名が広がります。」

 

その時

 

沙和「・・・すいませーん。軍議中、失礼しますなのー。」

 

柳琳や華侖と一緒に炊き出しを手伝っていた沙和が顔を出したのだった。

 

華琳「どうかした、沙和。また黃巾党が出たの?」

 

沙和「ううん、そうじゃなくってー。」

 

春蘭「何だ。早く言え。」

 

沙和「村の人に配ってた食糧が足りなくなっちゃったの。代わりに行軍用の糧食を配ってもいいですかー?」

 

華琳「・・・栄華、糧食の余裕は?」

 

栄華「数日分はありますけれど・・・義勇軍が加わった分の影響もありますし、ここで使い切ってしまっては身動きが取れなくなってしまいますわ。」

 

桂花「・・・とはいえ、ここで出し渋れば騒ぎになりかねないわよ。」

 

栄華「分かっています。既に補充の手配はしてありますから、それがこちらに着くのが・・・そうですわね。三日分なら、出しても構いませんわ。」

 

沙和「三日分ね。わかりましたなのー。」

 

凪「すみません。我々の持ってきた糧食があれば良かったのですが、先程の戦闘であらかた焼かれてしまいまして・・・」

 

栄華「焼けてしまったものは仕方ありませんわ。悔やめば灰が食べられるようになるわけでもなし、あるもので何とかしましょう。」

 

一刀「・・・なあ。」

 

桂花「何よ。」

 

一刀「ちょっと思ったんだけど、部隊の規模が増えると、糧食や装備もその分必要になるよな?」

 

春蘭「何を当たり前の事を言っているのだ?」

 

すると、

 

純「・・・そういう事か。」

 

香風「・・・あー。」

 

秋蘭「・・・成程。」

 

純「流石秋蘭。分かったようだな。香風も。」

 

稟「成程。」

 

風「その手がありましたか~。」

 

一刀の発言に、皆が理解した。

 

季衣「にゃ?」

 

・・・一部を除いて。

 

栄華「ああ、その手がありましたわね。桂花さん。」

 

桂花「分かってるわよ。・・・今どうすれば良いか考えてるんだから、声を掛けないで。」

 

春蘭「どういう意味だ?」

 

華琳「良い所に気付いたわね、一刀。」

 

真桜「隊長、中々やるやないの。」

 

春蘭「お、おい・・・!華侖がいないと、分かっていないのは私だけのようではないか!」

 

季衣「春蘭様、大丈夫です。僕も分かりません!」

 

純「あいつら黃巾党は、今や大部隊まで発展している。現地調達だけでは武器、食糧を賄いきるのは不可能だ。どこかに、連中の物資の集積地があるはず。」

 

一刀「そこを叩けば、連中に大きな打撃が与えられるよな?」

 

純「ああ。もっと運が良ければ、拠点に張角達がいるかもしれねーしな。」

 

華琳「ええ。桂花。」

 

桂花「はい。周辺の地図から物資を集積出来そうな場所の候補を絞り、それぞれに偵察部隊を向かわせます。」

 

華琳「任せるわ。物資の集積場所だけでなく、搬入と搬出に使えそうな道や痕跡も見逃さないようにしなさい。いいわね?」

 

桂花「もちろんです!」

 

純「稟と風も頼めるか?」

 

稟「お任せ下さい。」

 

風「お任せなのですよ~。」

 

純「他の者は、桂花達の偵察経路が定まり次第、出発しろ。それまでに準備を済ませておくこと!」

 

春蘭「はいっ!」

 

季衣「分かりました!」

 

一刀「・・・ホントに分かってる?」

 

春蘭「偵察任務だろう?」

 

一刀「それだけかよ!」

 

春蘭「それだけ分かれば十分だ!」

 

純「相手の動きは極めて流動的だ。仕留めるには、こちらも情報収集の早さが勝負。皆、可能な限り迅速に行動しろ!」

 

凪「はっ!」

 

純「沙和達も偵察に出す。一刀は配給に出ている三人に作戦の詳細を伝えておいてくれ。」

 

一刀「了解。配給は俺の方で引き継げば良いんだな。」

 

そして、それぞれ即座に行動を移したのであった。

 

 

 

 

それから数日後

 

 

 

 

純「既に廃棄された砦か・・・良い場所を見つけたものだな。」

 

華琳「ええ、そうね。」

 

沙和達の地道な調査で敵の拠点を見つけ、山奥に残されていた砦跡に辿り着いた。

 

凪「敵の本隊は近くに現れた官軍を迎撃しに行っているようです。残る兵力は一万がせいぜいかと。」

 

一刀「官軍が来てるの?っていうか、官軍って動いてたんだ。」

 

純「ふん。だから砦を捨てて逃げようとしてんだろうな。」

 

春蘭「はい。そうでしょうね。」

 

一刀「でも、折角作った拠点を捨てるのも勿体ない気がするな。」

 

栄華「正直、ここまで使い捨てられると良い気分ではありませんわ。砦をひとつ建てるのに、一体いくらかかると思っていますの。」

 

一刀「・・・まあ、栄華ならそっちに考えが行くよな。」

 

春蘭「その身軽さと神出鬼没が連中の強みなんだから、仕方ないな。」

 

純「ああ。もう少し遅かったら、この砦はもぬけの殻だったな。」

 

純「まあいずれにしても、厄介極まりねー相手に一当てする絶好の機会だ。・・・それで凪、こちらの兵は?」

 

凪「我ら義勇軍と併せて、八千と少々です。向こうはこちらに気付いていませんし、絶好の機会かと。」

 

純「そうだな。なら、一気に攻め落とすか。」

 

華琳「ええ、そうね。」

 

すると、

 

桂花「純様。それに際して、ひとつご提案が。」

 

純「何?」

 

桂花「戦闘終了後、全ての隊は手持ちの軍旗を全て砦に立ててから帰らせて下さい。」

 

と桂花が提案したのであった。

 

稟「私も桂花の意見に賛成です。軍旗を立てた方が今後のために良いと思います。」

 

華侖「え、置いて帰るんすか?なんで?」

 

桂花「この砦を落としたのが、我々だと示す為よ。」

 

純「なるほど。黃巾の本隊と戦っているという官軍も、狙いはおそらくここだ。ならば、敵を一掃したこの城に曹旗が翻っていれば・・・」

 

稟「はい、そういうことです。」

 

一刀「完全に嫌がらせだな、それ。」

 

純「けど、面白ーな。良いだろう、軍旗を持って帰った隊は厳罰に処す。」

 

栄華「まったくもぅ・・・砦もですけれど、軍旗もタダではありませんのよ?」

 

純「ふっ、栄華は反対か?」

 

栄華「・・・いいえ。今後のために必要な策だと理解していますから、結構ですわ。そういう意見がある事だけ、お心に留め置いてくださいまし。」

 

そう言って、栄華はため息をつきながら言った。すると

 

真桜「せやったら、誰が一番高いところに旗を立てられるのか、競争やな!」

 

と真桜はそう言った。

 

凪「こら、真桜。不謹慎だぞ。」

 

華侖「面白そうっすー!あたしもやるっす!」

 

春蘭「ふん。新入りどもに負けるものか。季衣、お前も負けるんじゃないぞ!」

 

季衣「はいっ!もちろんですっ!」

 

香風「いちばん高い所・・・。シャンも頑張る。」

 

凪「・・・むぅ。」

 

純「そうだな。一番高いところに旗を立てられた者には、何か褒美を考えておこう。それでどうでしょう、姉上。」

 

華琳「ふふっ。ええ、良いわよ。全て任せるわ。」

 

一刀「おいおい、華琳まで・・・」

 

純「ただし、作戦の趣旨は違えねー事。狙うは敵の守備隊の殲滅と、糧食を残らず焼き尽くすことだ。良いな。」

 

春蘭「はっ!」

 

すると、

 

沙和「あの・・・純様?」

 

純「どうした?沙和。」

 

沙和が純に質問をしたのだった。

 

沙和「その食料って・・・さっきの街に持って行っちゃ、ダメなの?」

 

純「ダメだ。糧食は全て焼き尽くせ。俺達の糧食とする事も禁じる。」

 

沙和「どうしてなの・・・?」

 

桂花「我が軍は今まで、どこからも略奪を行わずに戦ってきたのよ。」

 

稟「もし盗賊ごときの糧食をかすめ取るような真似をしてしまえば、今まで築いてきた評価が台無しになってしまいます。」

 

純「街に施しを行って手持ちの糧食が心許ないのは事実だが、かといって目の前の賊に売って貰う訳にもいかない。・・・ならば、焼くしかねーんだ。」

 

沙和「けど・・・!」

 

華琳「・・・それに、奪った糧食を村に持って行けば、今度はその街が黃巾党の復讐の対象になるかもしれない。規模は前回とは比較にならないでしょうね。」

 

これには華琳がそう言ってフォローした。

 

沙和「・・・あ。」

 

栄華「あの街には既に、警護の増援と糧食を手配していますわ。それで復興の準備は整うはず。お姉様はあの村を見捨てるような事はしませんから、安心なさい。」

 

純「そういうことだ。糧食は全て焼け。米一粒たりとも持ち帰ることは許さねー。それが奴らの怒りを全てこちらで引き受け、村を守る手段だと理解するんだ。いいな?」

 

沙和「・・・分かったの。」

 

華琳「なら、これで軍議は解散とするわ。先鋒は純と春蘭が務めなさい。」

 

純「はっ。」

 

春蘭「お任せ下さい!」

 

華琳「ならば、この戦をもって、大陸の全てに曹孟徳の名を響き渡らせるわよ。我が覇道はここより始まる!各員、奮励努力せよ!」

 

全員「「「はっ!!」」」

 

華琳「純、いつも通り各部隊の配置と全軍の指揮、任せたわよ。」

 

純「御意。」

 

そして、それぞれ各部隊の配置を決めたのだった。

 

 

 

 

北郷隊

 

 

 

 

一刀「・・・暇だ。」

 

義勇軍の指揮は凪達三人が分担してやってくれているため、一刀は進捗報告を聞くぐらいになった。

 

一刀「うぅ、今までずっと報告をしたり取り纏めたりする側だったからな・・・。」

 

凪「隊長。楽進隊、布陣完了しました!」

 

一刀「お疲れさん。なあ、凪・・・」

 

凪「・・・何でしょう?」

 

一刀「沙和の事だけど・・・さ。」

 

凪「沙和が何か不手際でも・・・?・・・まさか!」

 

そう言って、凪は拳を構えた。

 

一刀「いや、ない!凪が考えてる事は大体予想付くけど、それはないっ!」

 

凪「・・・そうですか。」

 

それを聞いた凪は、構えを解いた。

 

一刀「そうじゃなくってさ、何であんな優しい子が、義勇軍に入ったのかなって・・・」

 

凪「沙和の事は沙和に聞いてみないと分かりません。」

 

一刀「・・・まあ、そうなんだけどさ。付き合い、長いんだろ?」

 

凪「長くはありますが、自分はそういう・・・空気を読むとか察するとかいう事が、どうも苦手で・・・。いつも二人に注意されてばかりなのです。」

 

一刀「・・・そっか。」

 

凪「ですが、ただ一つ言えるのは・・・沙和が決めた事なら、沙和は後悔しないだろう、という事です。」

 

一刀「信頼してるんだな。沙和を。」

 

凪「長い付き合いですから。」

 

そして、真桜と沙和が隊の準備完了の報告をし、少し馬鹿騒ぎをしたのだった。

 

 

 

 

本陣

 

 

 

 

春蘭「・・・何をしているのだ、あの馬鹿共は。騒がしい。」

 

純「さあな?戦の前に気合でも入れ直してるんじゃねーの?」

 

華琳「ふふっ。そうかもしれないわね。」

 

愛紗「純様。黄鬚隊、布陣完了しました。」

 

香風「純様ー。夏侯淵隊、準備できたー。」

 

季衣「夏侯惇隊も準備完了ですっ!」

 

純「分かった。」

 

華琳「なら、行くわよ。」

 

そして、華琳は純と春蘭に目配せをした。

 

純・春「「御意!」」

 

純「銅鑼を鳴らせ!鬨の声を上げろ!追い剥ぐことしか知らぬ盗人と、威を借るだけの官軍に、我らの名を知らしめてやれ!」

 

純「総員、奮闘せよ!突撃ぃぃぃぃっ!」

 

純の覇気の籠もった声で、曹操軍は奮い立ち、砦の総攻撃を始めたのであった。




投稿できました。

何とかアレンジしてみました。読みにくかったらお許し下さい(土下座)

それでは、また。
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