恋姫無双〜黄鬚伝〜   作:ホークス馬鹿

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23話です。


23話

砦内

 

 

 

春蘭「おりゃああああああああっ!」

 

季衣「てりゃああああああああああああ!」

 

春蘭「ちっ。やるな、季衣!」

 

季衣「春蘭様こそ!でも、今度こそ負けませんよーっ!」

 

春蘭「それはこちらの台詞だ!あの時の勝負は純様のお声で水入りになったが、今度こそカタを付けてくれる!」

 

春・季「「やああああああああああああっ!」」

 

 

 

 

 

 

純「はあっ!」

 

愛紗「でりゃあぁああっ!」

 

純「ほお!やるじゃねーか、愛紗!」

 

愛紗「純様こそ!黄鬚の異名に相応しいお力です!」

 

純「へっ!まだまだ俺は強くなる!愛紗、お前も強くなれ!そして、俺と一緒に天下一の将軍になろうぜ!」

 

愛紗「はい!」

 

そう言って、純と愛紗は果敢に敵に突っ込んだ。そして、二人の通った道には死体の道が出来ていた。

 

 

 

 

 

 

凪「華侖様!はああああああああっ!」

 

華侖「・・・へっ!?」

 

その時凪は、華侖に後ろから襲いかかろうとしている黄巾兵に向かって、気弾を放った。

 

華侖「あ・・・っ。」

 

柳琳「ね、姉さんっ!!」

 

黄巾党A「うわぁあぁぁぁぁぁぁぁあ・・・っ!」

 

そしてそれは、華侖の脇を抜け、黄巾兵を吹き飛ばしたのだった。

 

凪「大丈夫ですか、華侖様!」

 

華侖「ほへー。びっくりしたっす・・・。」

 

一刀「・・・凪。」

 

凪「はい?」

 

一刀「それ・・・何?」

 

凪「何と言われましても・・・ただの気ですが。」

 

一刀「ただのって・・・いやまあ、そんなもんなのか?」

 

一刀(何しろ中国四千年だもんな・・・。・・・いや、この時代じゃまだ四千年も経ってないのか。)

 

凪「?」

 

凪「良く分かりませんが・・・いずれにしても、ここからでは追い付けそうにありませんね。」

 

一刀「春蘭達も本気出してるからなぁ。」

 

そう言って凪に続いて城壁の上を見上げていると、楼閣の屋根を走っている、春蘭や季衣達の姿があった。

春蘭達の前じゃ、賊達は敵ではない。制圧戦は早々にカタが付き、今は誰が砦の一番高い所に旗を立てられるかの勝負に移っていた。

その横で、

 

柳琳「もぅ・・・姉さん、危ないからやめてって言ったのに!」

 

華侖「大丈夫っすよー。柳琳は心配性っすねぇ。」

 

柳琳「心配もするよぅ!」

 

華侖と柳琳はそう言ったやり取りをしていた。すると、

 

華侖「それより凪!今の何すか?」

 

華侖「ばーってなって、ずばーってなって、どかーんって・・・とにかくすごかったっすー!あれ、どうやるんすか?あたしにも出来るっすか?」

 

凪「ええっと、その・・・それは・・・」

 

妹の心配を余所に、華侖は凪が放った気弾に興味津々だった。

 

 

 

 

 

 

香風「うーん。」

 

真桜「やっぱ、上手くいかへんなー。」

 

凪達から離れた一刀は庭の方の様子を見に行くと、真桜と香風がいた。

 

一刀「何やってるの、二人とも。」

 

香風はその辺りから剥がした戸板を一枚ずつ手に取って、それをパタパタしていた。

 

香風「・・・飛べるかなって。」

 

一刀「飛べる・・・」

 

香風「ここからぴゅーって飛べば、一番高い所にもすぐ行ける。」

 

そう言って、持っている戸板で楼閣を指し

 

香風「そうなったら、大逆転!」

 

と言った。

 

一刀「・・・ああ。確かに空が飛べたら季衣と春蘭にも勝てそうだな。」

 

真桜「香風にそう言われたから、何かエエ方法ないか思うて考えとったんやけどなー。」

 

一刀「・・・それで戸板を羽根代わりにしてるのか。」

 

真桜「お、見て分かるんか。隊長、中々見所あんで。」

 

香風「真桜は、これで鳥さんみたいに飛べるかもって。」

 

一刀「そうかー。」

 

そして、一言二言交わした後、一刀はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

沙和「あ、隊長ー。大丈夫だったのー?」

 

一刀「凪と一緒だったからな。沙和は大丈夫だったか?」

 

沙和「ん、平気なのー。」

 

沙和は少し疲れた顔に見えたが、すぐに笑顔を見せた。

すると、

 

秋蘭「火を放て!糧食を持ち帰ること、まかりならん!持ち帰った者は厳罰に処すぞ!」

 

庭の中央で、秋蘭の指示によって糧食が集められ、火をかけていた。

 

沙和「あーあ。やっぱり、もったいないの。」

 

栄華「まったくですわ・・・。これだけの糧食があれば、我が軍が何日食べ繋げる事か。」

 

一刀「けど、華琳と純の基本方針に反するし、あの街に持って行くわけにもいかないしなぁ。」

 

沙和「みゅうう・・・。」

 

栄華「それを理解するのと、もったいないと思うのは別問題ですわ。それとも北郷さんは、この光景を見て何とも思いませんの?」

 

一刀「思うに決まってるだろ。・・・今の俺達だって、ただでさえ糧食が足りないんだから。」

 

沙和「もしかして、食料が足りないのって街の人の所に色々置いてきちゃったからなの?沙和がもっと出せませんか、って聞いたから・・・」

 

栄華「あれは、あの場では必要な行いでしたわ。それにそれを責めるなら、三日分は置いて良いと判断した私の責任でしてよ、沙和さん」

 

一刀「そうだよ。元々慌てて出てきたから、ギリギリの糧食しかなかったんだし。」

 

栄華「・・・そう考えると、やっぱり勿体ないですわねぇ。」

 

一刀「だよなぁ・・・。」

 

そして、最終的に一番高い所に旗を立てたのは季衣であり、春蘭は二番目だった。純は、正殿の天井に刺さり、本人曰く

 

純「投げたらそこに刺さった。」

 

と発言し、周囲を唖然とさせたのだった。そして、純達が本陣に戻ると、沛から急な知らせが来たのだった。

 

 

 

 

 

本陣

 

 

 

 

 

華琳「沛の城が襲われたですって?」

 

沛国兵士A「はい。黄色の布を巻いた集団が大軍を率い、我らが沛国の都を・・・」

 

沛国兵士A「包囲が完了するまでの僅かな時間で、自分は陳珪様の命を受け、この地に出陣しておられる曹孟徳殿と曹子文殿に助けを求めるようにと出されたのです。」

 

純「分かった。ひとまず、お前は控えていろ。向こうに飯と寝床を用意させてある。」

 

沛国兵士A「・・・感謝致します。」

 

そう一礼し、不眠不休でここまで来たのかふらつく足取りで、その場を後にした。

 

華琳「しかし・・・大変な事になったわね。」

 

純「はい。しかも、陳登もちょうど沛に戻っているはず。状況としては最悪ですね。」

 

一刀「一番ヤバいな・・・。」

 

真桜「けどさっきの遣い、陳留やのうて出陣しとるこっちに行くよう言われたて、どないなっとんの?沛の都からここと陳留じゃ、方角が全然違うで?」

 

真桜の疑問に、

 

桂花「こちらの動きは把握済みだったんでしょ。あの女狐の事だから、それくらいの情報収集はしてても不思議でもなんでもないわ。」

 

栄華「もっとも、それを知られるのは向こうにとっても本意ではないはず。・・・それだけ余裕がなかったとも取れますわ。」

 

稟「しかし、罠の可能性もあります。」

 

桂花「そうね。」

 

風「嘘とも言い切れませんが、かといって本当のことだとは言い難いです。」

 

一刀「ここでか?」

 

桂花「ええ。まさかと思う所ほど、罠の置き場所に適したところはないもの。さっきの使者が本当の情報を伝えていない可能性もあるしね。」

 

一刀(あれだけボロボロの姿でここまで来たのが、芝居や演技とは思えないけど・・・。)

 

秋蘭「どうなさいますか、純様。沛に向かうのですか?」

 

純「ああ。陳珪には借りも多いし、陳登はこれからの陳留に欠かすことの出来ない人材だからな。」

 

華琳「ええ。純の言う通りだわ。」

 

桂花「反対です。我が軍は既に連戦に連戦を重ね、疲弊の極みにあります。何より行軍に必要なだけの糧食がありません。」

 

稟「私も桂花の意見に賛成です。一度陳留に戻り、準備をしてから出陣すべきかと。」

 

風「風も同じ意見です~。」

 

栄華「私も、お三方の意見に賛成ですわ。」

 

桂花「陳珪は朝廷との癒着の証拠も多く見つかりましたし、罠の可能性も否定出来ません。ここから無理に兵を動かす事も計算の上で、どこかで待ち伏せている可能性すらあります。」

 

春蘭「・・・まさか、黄巾党と戦っている官軍と結託しているなどとは言わんよな?」

 

稟「流石にそこまではないと思いますが・・・せめて、沛城襲撃の裏付けを取ってからの出陣を提案致します。」

 

華侖「んー。でもそんな事してて、間に合うんすか?」

 

香風「・・・たぶん、無理。」

 

一刀(だよな。陳留からここに来るだけでも結構な時間が掛かったんだ。)

 

一刀(ここから沛国に直行するだけでも何日も掛かるのに、陳留経由で大回りしたらそれこそ二倍や三倍の日数が掛かってもおかしくない。)

 

華侖「え、それじゃ意味がないっす・・・。」

 

華琳「意味がないわけではないわ。少なくとも、救出に向かったという事実は出来るもの。・・・間に合うかどうか別としてね。」

 

一刀「華琳は・・・それで良いのか?」

 

華琳「良いわけがないでしょう。」

 

華琳「あれにはまだ対価の支払いも済んでいないのよ。踏み倒すには、少し額が多すぎるわ。」

 

季衣「だったら・・・!」

 

華琳「ただ、私達も万能ではないの。届く手の長さは決まっているし、手で掬える大きさにも限りがある。」

 

そう言って、華琳は少し離れている純に向けて手を伸ばしたが、純の所には届かなかった。

 

純「姉上・・・。」

 

純も手を伸ばしたが、指先さえ触れる事は出来なかった。

その時、

 

季衣「なら、華琳様、純様・・・お願いがあります。」

 

季衣が華琳と純に声を掛けた。

 

華琳「何?」

 

純「どうした?」

 

すると、

 

季衣「僕を、沛国に行かせて下さい。」

 

そう言った。

 

春蘭「・・・季衣。お前、またか!」

 

季衣「あの砦の一番高い所に旗を立てたら、ご褒美があるんですよね?だったら僕、あの人達を助けに行きたいです。」

 

華琳「・・・。」

 

純「・・・。」

 

季衣「華琳様と純様の手が届かないなら、僕が一緒に伸ばします。」

 

そう言って、季衣は華琳の手を取り、自身も一杯まで手を伸ばし、純に、反対側の手を伸ばしてきた。

 

季衣「華琳様と純様に掬えないものは、僕もお手伝いします。」

 

その時、純は季衣に手を伸ばした。すると、季衣はしっかりと純の手を握りしめたのだった。

 

季衣「ほら。これなら華琳様の手は、純様に届きます。だから・・・」

 

しかし、

 

桂花「ダメよ。季衣だって、ここに来るまでどれだけ戦ったと思ってるの。それにいくら黄巾の連中が雑魚ばかりでも、季衣一人が行ったところで・・・」

 

栄華「何より、もう食料がありませんのよ。せめて、こちらに向かっている輸送部隊と合流して、補給を済ませてからでないと。」

 

桂花と栄華が反対したのであった。しかし季衣は、

 

季衣「それじゃ間に合わないかもしれないんでしょ!それに、その食べ物はあの街の人達のものなんだから。」

 

そう言ったのだったが、季衣の腹が鳴り

 

栄華「・・・ほら。今の私達は、その空腹を満たすのが精一杯ですのよ。」

 

と栄華が言った。

 

季衣「だ、大丈夫だよ。お腹が空いてるのも、絶対に我慢するから!うぅ・・・お腹なんか減ってない、減ってない・・・。」

 

一刀「・・・華琳、どうするんだ?華琳が決めないと、結論なんて出ないままだぞ。」

 

一刀(どちらの言い分にも一理あるんだ。勿論心情的には季衣を応援したいけど、現実を見据えてる桂花達軍師と栄華の意見を無視する事も出来やしない。)

 

華琳「いいえ、一刀。これを決めるのは私じゃないわ、純よ。」

 

一刀「え?」

 

純「俺ですか?」

 

華琳「この軍を率いているのはあなたよ。将兵は勿論、私もあなたの命令に従う。あなたの判断に任せるわ。そしてその判断を、私は信じるわ。」

 

その発言に

 

純「そうですな・・・。」

 

純はそう言って、腕を組んで目を閉じた。すると、

 

季衣「純様、助けに行きましょう!」

 

桂花「ここは公正な判断を・・・純様!」

 

稟「何とぞ、純様!」

 

風「・・・。」

 

栄華「お兄様!」

 

柳琳「お兄様!」

 

春蘭「純様!」

 

香風「純様。」

 

華侖「純兄!」

 

一刀「・・・純。」

 

皆が一斉に純に目を向けた。

 

純「・・・。」

 

そして、純は沈黙の後、目を開き、こう言った。

 

純「沛国の救援に向かう!皆、強行軍となるから、大至急出撃の準備をせよ!ついて来れなかった者は置いていくぞ!」

 

全員「「「はっ!!」」」

 

純「それと、移動する際、武器鎧は、傷めてるのを装備しろ!栄華、お前は本隊から先行して、沛国に向かう進路上にある郡や県に声を掛け、糧食を貸して貰ってこい!」

 

栄華「承知致しましたわ!」

 

稟「なるほど。その為に武器鎧を・・・。流石は純様です。」

 

純「よし!!各自、行動を開始せよ!!」

 

全員「「「はっ!!」」」

 

そうして、陳珪救出のための準備を始め、出撃したのであった。




投稿できました。

今回もアレンジしてみました。やっぱり、戦闘描写って難しいですね・・・。

次回は、沛国救援です。

それでは、また。
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