禁城
一刀「ここが・・・禁城・・・。」
それは、以前一刀が華琳達と一緒に訪れた時とはあまりにも変わり果てていた。
真桜「もう殆ど制圧も終わっとるなぁ。どうすんの、隊長。」
一刀「どうするって、それは勿論・・・」
一刀(勿論・・・何を、どうするつもりなんだ?今董卓を探したところで、俺は・・・どうしたいんだ?)
沙和「・・・どうしたの?隊長。」
凪「隊長?」
一刀「いや・・・何でもない。」
一刀(そうか。まずは、会って、事情を聞いて・・・。聞いてもないのにその先の事を悩んでも仕方ない。)
一刀(もし本当に、あの時の董卓が別人なら。)
一刀(そして、本当の意味で禁城をこんな姿にした元凶だというなら、その時は・・・。)
一刀「・・・うん。」
一刀「まずは、城内に誰か残ってないか探そう。出来るだけ傷付けずに、捕らえて捕虜にしてくれ。・・・それが向こうの要人なら情報も集められる筈だ。」
凪「はっ!」
真桜「了解。」
沙和「分かったのー!」
一刀「・・・はぁ。」
三人に指示を出し、散らばっていくその姿を見届けた一刀は、全身からどっと力が抜けるのを感じた。
一刀(この先・・・歴史が俺の知る通りに動くなら、反董卓連合で顔を合わせた面々と何度も戦う事になる。)
一刀(今日まで董卓達と戦ってきたのと、同じように。)
一刀「知らない方が幸せって・・・こういう事か、華琳。」
そう青い空を見上げて呟いたのだった。そして一刀達は華琳達と合流したのだが、その前に何と天子様を見つけたのだった。
洛陽
一刀「もう復興が始まってるのか・・・。」
あの激しい戦いから一夜明けて、華琳は兵を城内に入れて、道路や倒壊した建物を片付けさせ始めていた。
一刀「でも、勝手にこんな事して良いの?許可っているんじゃないの?」
華琳「古い知り合いに言って、既に貰ってあるわよ。」
一刀「・・・また桂花?それとも、燈?」
桂花「またとか言わないでよ!」
燈「私達ではないわよ。」
純「姉上、それって・・・」
華琳「ええ。あなたが察した通りよ。」
一刀「華琳と純にも都の知り合いなんていたんだな。情報収集で、そういう自分の繋がりは使わないのに。」
華琳「出来る事ならあまり使いたくなかったのだけれどね。非常時なら、そうも言っていられないわ。」
一刀「そっか・・・。」
その時
袁術「あーっ!いたのじゃ麗羽姉様!」
袁紹「見つけましたわっ!華琳さん!あら純さん、ご機嫌よう♪」
華琳「・・・またうるさいのが。」
純「あはは・・・。」
季衣「あ、いっちー!元気ー?」
文醜「おー。きょっちーも流琉も元気そうで何よりだ。」
顔良「こんにちは、曹彰さん、北郷さん。」
純「うむ。」
一刀「こんにちは。」
袁紹「そんなことより何ですの、この工事は!また私達に無断で・・・!」
華琳「大長秋から許可はいただいてあるわよ。問題があるようなら、確認して貰っても構わないけれど?」
その発言に、
袁紹「な・・・っ!大長秋・・・!?」
袁紹は驚いたが、
袁紹「ま、真直さん。確認なさい。その書類、偽物ではなくて?」
脇に控えている田豊に命令し、書類を持っている燈から受け取り、確認をさせると、
田豊「・・・いえ。間違いなく本物です。この通り、大長秋の璽印もしっかりと。」
本物だった。
袁術「なんでおぬしのような奴が大長秋と繋がりを持っておるのじゃ!」
華琳「私と純の祖父が何代か前の大長秋だったのよ。」
袁術「ずるいのじゃ!それを言うたら、妾達とて三公を輩出した名門袁家の出身じゃぞ!」
華琳「あらそう。なら、今の三公に許可を取っておけば良かったのではなくて?」
袁紹「く~・・・っ!点数稼ぎも良いところですわ!」
華琳「私は必要なことをしているまでよ。文句を言われる筋合いはないわ。」
その横で
一刀「大長秋って何だ?文醜。」
文醜「大中小って何だ?斗詩。」
顔良「・・・ええっと、確か・・・」
燈「皇后府を取り仕切る宦官の最高位よ。華琳様と純様のお爺様は、以前その地位にあったの。」
文・季・一「「・・・ふぅん。」」
顔良「分かってないふぅんだね、三人とも・・・。」
燈「今は天子様も相国以下の官職も軒並み不在だから・・・都の事を取り仕切っているのは、健在なあの辺りの方々になるようね。」
季衣「・・・とりあえず、凄く偉いって事だけは分かったよ。」
文醜「だな。それだけ分かりゃ十分だ。」
顔良「いいんだ・・・。」
といった話をしていた。
袁紹「ええい、猪々子さん、斗詩さん、真直さん!こんな所にいる場合ではありませんわっ!行きますわよっ!」
袁術「木を見て瓶なのじゃ!」
文醜「ひゃ、ちょっと、麗羽様ー!」
顔良「きゃーっ!引っ張らないでー!」
田豊「そもそもどこに行くんですか!まずそれを決めないと!」
袁紹「走りながらお決めなさい!」
田豊「いくらなんでも無茶言わないで下さいよーっ!麗羽様ーっ!」
そして、袁紹は振り返って
袁紹「それでは純さん、またどこかで♪華琳さんっ!」
華琳「・・・ん?」
袁紹「この、タマ無しーっ!」
純には良い笑顔で対応したが、華琳にはコメントしづらい言葉を言い残したのだった。・・・袁家のお嬢様が何言ってるか。
華琳「・・・。」
純「・・・。」
顔良「ちょっと麗羽様、下品ですよぅ!」
そして、その場を後にした。
純「そりゃそうだ・・・。姉上にあるわけねーだろ。」
華琳「本当よね、全く・・・。」
一刀「何だったんだ、あいつら。」
一刀(っていうか、女の子が玉とか言うな。)
華琳「さあ?・・・あら?」
純「如何なさいました?」
一刀「華琳?」
華琳に続いて、皆も視線を追った。すると
流琉「あれ・・・?」
季衣「あ、ちびっ子!」
劉備「はいっ!まだありますから、慌てなくて良いですよー!」
張飛「星ー!ご飯、足りないのだ!もっと持って来て欲しいのだ!」
趙雲「鈴々。お主、自分で食べているのではなかろうな!」
劉備「二人とも、手伝って。」
劉備達一行が、民に炊き出しをしていた。
純「あれは劉備達ですな。」
一刀「そうだね。」
華琳「彼女達も早いうちから城に入っていたと聞いたけれど・・・あの趙子竜が炊き出しね。」
華琳「けれど、何をおいてもまず民のため・・・か。」
一刀「それは華琳も一緒だろ?公共の道や橋を優先的に直させてるの、知ってるぜ?」
これには
華琳「・・・。」
華琳は顔を真っ赤にしたのだった。
純「姉上、照れなくても良いのでは?」
季衣「ホントだー!華琳様、顔真っ赤ー!」
華琳「・・・うるさいわね。」
一刀(からかいすぎたかな?そっぽ向かれちゃった。)
華琳「けれど、劉備か・・・。その名、心に留めておきましょう。燈、栄華に言って、劉備にこちらの予備の糧食を届けるよう手配しておきなさい。」
桂花「しかし華琳様。あの劉備という輩、いずれ華琳様の覇業の障害に・・・」
華琳「でしょうね。けれど、その時は正面から叩き潰せば良いだけよ。違うかしら?」
桂花「・・・御意。」
そして、ある程度街を回っていると
春蘭「ここにいらっしゃいましたか。華琳様。」
秋蘭「純様も。」
春蘭と秋蘭がやって来た。
季衣「あ、春蘭様!」
流琉「秋蘭様も!」
華琳「言われた通り、ちゃんと季衣と流琉を連れている文句はないでしょう?」
春蘭「それは構いません。それと、華琳様に会わせたい輩がおります。」
そう言って春蘭は、
霞「・・・どもー。」
霞を華琳の前に出した。
華琳「・・・そう。見事純に言われた役目を果たしたわね。」
純「良くやったな、春蘭。」
春蘭「はっ!」
純「それで秋蘭、後ろにいる者は?」
秋蘭「純様に会いたいと申す者です。前に。」
そう言って、秋蘭は一人の女の人を前に出した。その者は
楼杏「曹彰さん・・・!」
皇甫嵩だった。
純「やはり皇甫嵩殿も参戦していたのか・・・。」
楼杏「はい。けど、私は曹彰さんとは戦いたくなかった・・・。」
楼杏「もっと穏やかな場所で再会したかった・・・!」
純「皇甫嵩殿・・・。けど、我らに降るという事は・・・」
楼杏「ええ。私は、あなたの軍に加わるわ。」
純「えっと・・・俺に、ですか?」
楼杏「ええ、そうよ。」
純の疑問に、皇甫嵩はハッキリと述べた。
純「姉上、宜しいですか?」
華琳「それで構わないわ。純のために働くと言うならね。」
純「分かりました。それでは皇甫嵩殿、俺の真名は純です。今後とも宜しく頼みます。」
華琳「私の真名は華琳よ。」
楼杏「私の真名は楼杏よ。けど純さん、私に敬語や敬称は不要よ。」
純「しかし、俺にとってあなたは尊敬する理想の武人なのです。流石に・・・」
楼杏「良いの。あなたは主、私は臣下よ。そこは弁えなさい。」
それを聞いた純は
純「・・・分かった。なら、これからも頼む、楼杏。」
楼杏「ええ、宜しく。」
華琳「楼杏殿、あなたの事は弟から聞いているわ。人格と実力を兼ね備えた非常に優れた武人であると。今後とも、弟の事をよく支えるように。」
楼杏「当然です!純さんのため、この身全てを捧げます!」
そう言って、楼杏は拱手したのだった。
こうして、大陸の諸侯達を巻き込んだ反董卓連合の戦いは終わりを告げたのであった。
投稿できました。
これにて、反董卓連合は終了です。
楼杏を加えるという考えは、ずっと持っていました。本当は前作でもこの時点で入れる予定だったんですけどね・・・。
天子様ですが、この二人は小説の都合上完全に登場させないかもしれません。もしあの二人が好きだという方がいたらお許し下さい(土下座)
それでは、また。