恋姫無双〜黄鬚伝〜   作:ホークス馬鹿

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42話です。


42話

反董卓連合が解散してしばらくの時が過ぎたが、諸侯の小競り合いが続き、乱世は収まることはなかった。ただ、それで華琳達の日常が劇的に変わったかというと、特にそういうわけでもなかった。ただそれは、この先に起こる嵐の前の静けさでしかなかった。

そんな中、純の元に新たな情報が入った。

 

 

 

 

純の部屋

 

 

 

 

純「そうか・・・孫堅が亡くなったか・・・。」

 

稟「はい。襄陽を包囲し、終始優勢だったのですが、劉表の部下である黄祖に射殺され、あえない最期を遂げたと・・・。」

 

純「・・・そうか。お前の言う通りになったな。」

 

稟「はい。」

 

純「それで、その後孫家はどうなったんだ?」

 

稟「孫策達は、袁術の下に入ったとの情報です。」

 

純「そうか。しかし、孫策の事だ。必ず父祖の地を取り戻すぞ。」

 

稟「はい。」

 

純「ご苦労だったな、稟。」

 

稟「ありがたきお言葉。」

 

純「そんじゃ、玉座に向かおうか。」

 

稟「はっ。」

 

そして、玉座の間に向かったのだった。その間、真桜が作った巨大な櫓の上で華侖が服を脱ごうとして柳琳や一刀が必死に止めたのは内緒である。

 

 

 

 

玉座の間

 

 

 

 

華琳「・・・呂布が見つかった?」

 

燈「はい。あの戦いの後、南方の小さな城に落ち延び、そこに拠点を構えることにしたようです。」

 

卓上の地図に置かれた碁石が示すのは、ここから遙か南西にある小さな城であり、周りに大きな勢力もない、殆ど空白地帯みたいな場所だった。

 

華琳「なるほど・・・。純、呂布が逃亡し同行していたわね。」

 

純「はい。華雄と副官の陳宮も、呂布と共に行動をしているという情報が届いてます。」

 

桂花「・・・どうしますか?少数とはいえ、呂布が本気になればこちらはかなりの損害を被る可能性もありますが・・・。」

 

その瞬間、誰かが息を飲んだ。確かに反董卓連合の戦の時は、純が激しい一騎打ちの末、倒したとはいえ、油断が出来ない相手だ。

 

華琳「・・・今は放っておきましょう。」

 

純「・・・。」

 

春蘭「何ですと!」

 

桂花「華琳様。それはいくらなんでも危険すぎます。」

 

華琳「・・・霞。呂布は、王の器に足る人物かしら?」

 

霞「・・・正直、よう分からん。」

 

霞が華琳に対しての質問にそう答えると、

 

春蘭「どういう意味だ?まさか、かつての味方だからといって・・・」

 

春蘭がそう言った。

 

霞「ンなわけあるかい。・・・恋が何を考えとるか、分からんっちゅうこっちゃ。純、正面からやりおうたアンタなら分かるやろ?」

 

純「・・・そうだな。」

 

霞「やろ。」

 

春蘭「だから、どういう意味なのだ?」

 

一刀「周りが変な知恵を付けない限り、こっちが手を出さなければ、襲いかかっては来ない、って事か?」

 

霞「そんな感じかなぁ。軍師の陳宮はそこそこ切れ者やけど、まだまだおこちゃまやしな。おまけに華雄は・・・」

 

そう言って、霞は春蘭を見た。

 

春蘭「ど、どうしてこちらを見るのだ・・・!」

 

霞「・・・別に。」

 

華琳「あの辺りは治安も悪いし、南蛮の動きにも気を配る必要があるわ。何かするにしても、しばらくは動けないでしょう。」

 

華琳「それとも、あの辺りの州牧とでも結びつく可能性がある?」

 

燈「益州州牧の劉璋は、さして軍事には明るくないわ。こちらとの州境にはたびたび偵察を入れているようだけれど・・・。」

 

一刀(積極的に仕掛けてくるって事は無さそうか。)

 

華琳「ならば西はそのようになさい。・・・ただ、監視だけは十分にしておくように。」

 

桂花「華琳様がそう仰るなら・・・」

 

華琳「それに今はもっと警戒すべき相手がいるわ。純、情報は集まっている?」

 

純「はっ。先日の麗羽と公孫賛の争いですが・・・予想通り、麗羽が勝ちました。公孫賛は徐州の劉備の所に落ち延びたようです。」

 

一刀「あれ、徐州って他の人の領地じゃなかった?連合では騒がしい双子を代理で寄越してた・・・」

 

燈「陶謙殿の事ね。」

 

一刀「そうそう。華琳みたいに、劉備も今回の活躍の褒美で領土を貰ったわけじゃないんだ?」

 

華琳の場合は今回の働きにより、豫州の西・・・荊州の北部辺りを朝廷から褒美として貰っていた。それは袁紹、袁術や公孫賛も同じだった。

 

桂花「あの後、平原の劉備を自身の後継者として迎え入れたのよ。」

 

一刀「そうなのか・・・。何か、思う所があったのかな。」

 

華琳「陶謙殿は、既に徐州での発言力も落ちていたと聞くわ。劉備の品定めをしていたのは、私達だけではなかったという事でしょうね。」

 

華琳「・・・劉備の何をもって自身の後継としたのか、興味はあるわね。」

 

燈「調べておきましょう。あちらにも、知己がいないわけではありませんので。」

 

桂花「・・・。」

 

華琳「任せるわ。」

 

華琳「・・・それにしても、劉備か。董卓を下らせた事といい、可愛い顔をしている癖に一筋縄ではいきそうにないわね。」

 

その言葉に

 

一刀「え・・・董卓って!?」

 

栄華「!?」

 

一刀と栄華は驚いてしまった。

 

華琳「あら。あなた達は知っているのではなかったの?劉備の元に董卓達がいると。」

 

一刀「知るわけないだろ・・・。」

 

華琳「さっき呂布の所で董卓の事を気にしなかったから、知っているとばかり思っていたのだけれど。あれの事を、随分と気に掛けていたでしょう?」

 

栄華「そ、それは・・・」

 

一刀(そこで見抜くか・・・。ほんと、こういう所はとんでもなく鋭いよな・・・華琳。)

 

霞「・・・スマン。見とられへんかったから、ウチが知っとる事だけこっそり教えたわ。」

 

華琳「そう。・・・今まで黙っていた事は、かつての主への忠義という事で、不問にしましょう。既にその情報も目新しいものではないしね。」

 

霞「・・・おおきに。」

 

一刀「・・・ごめん、霞。」

 

霞「ええけど、もうちょっと自分ら上手に嘘つけるようになりぃよ?損するで。」

 

栄華「そうしますわ・・・。」

 

華侖「でも華琳姉ぇ。なんで劉備の所に董卓がいるって分かったんすか?」

 

華琳「まだ予想よ。ただ、袁紹や袁術が董卓を手に入れたなら、喜々として朝廷に乗り込み、第二の何進になっているでしょうしね。」

 

栄華「それは間違いありませんわね。」

 

華琳「いずれにしても、呂布よりはずっと興味深い相手という事よ。それに・・・既に将の顔ぶれだけなら、私を凌ぐかもしれないものね、あの子は。」

 

春蘭「まさか!そのような筈はありません!」

 

華琳「ふふっ、冗談よ。・・・引き続き、劉備の調査は任せるわ。良いわね、燈。」

 

燈「かしこまりました。」

 

桂花「・・・。」

 

華琳「話が逸れてしまったわね。純、話の続きを。」

 

純「はっ。麗羽は青州や并州にも勢力を伸ばし、河北四州をほぼ手中に納まりました。後は南に下るだけです。」

 

一刀「・・・東は海だから分かるけど、北と西は?」

 

純「北は北狄の地だ。最早俺達の住む地ではねーよ。そして西にあるのは、司隷・・・天子様のお膝元だ。」

 

燈「今の大長秋や官僚が、新たな帝を擁立したというしね。最早名ばかりの帝とはいえ、それでも司隷に兵を入れれば逆賊の汚名は免れないわ。」

 

一刀「それで、次に狙われるのは劉備・・・か。」

 

華琳「さあ・・・。どうでしょうね。」

 

一刀「どういう事?」

 

華琳「純、麗羽が次に狙う相手は誰だと思うかしら?」

 

純「姉上もアレの性格を分かっておいででしょうに。麗羽が次に狙うのは、ここでしょう。あいつは派手好きです、大きな宝箱と小さな宝箱を出されてどちらか選ぶように言われたら、迷わず大きな宝箱を選ぶ奴ですよ。」

 

華琳「ふふ、そうね。あなたの言う通りだわ。」

 

流琉「領地の大きな我々が狙われるという事ですか?」

 

燈「そのうえ、喜雨のおかげで土地の開拓も盛んに行われているもの。徐州よりは、よほど豊かなはずよ。」

 

華琳「そういうこと。州境の各城には、万全の警戒で当たるよう通達しておきなさい。・・・それから、河南の袁術の動きはどうなっていて?」

 

桂花「特に大きな動きはありません。州境を偵察する兵は散見されますが・・・その程度です。」

 

華琳「あれも袁紹に負けず劣らずな俗物だけれど、動きがないというのも気味が悪いわね。警戒を怠らないようにしなさい。」

 

桂花「はっ。そちらにも既に指示は出しています。」

 

純「後で稟と風にも手伝わせるよ。稟、風、頼めるかな?」

 

稟「はい。お任せ下さい。」

 

風「はい~。」

 

桂花「はっ。ありがとうございます。」

 

華琳「他の皆は、いつ異変が起きても良いように準備を怠らないこと。そして何か起きた時は純に指示を仰ぐように。良いわね。」

 

そう言って、解散となった。その際、

 

純「姉上。」

 

華琳「何?どうしたのかしら?」

 

純「先程の話ですが、姉上でしたらどちらの宝箱を選びますか?」

 

といったのを聞いた。すると、

 

華琳「あら、あなたも私の性格を分かってて言ってるわね。決まってるじゃない、両方開けさせて、中の良いところを全てよ。」

 

華琳はそう答えた。

 

純「やはりそうですか。姉上らしいですね。」

 

華琳「ふふ。」

 

純「はは。」

 

そして、互いに笑ったのであった。




投稿できました。

孫堅の死ですが、結構簡略させてしまいました。大変申し訳ございません。

そろそろ官渡の戦いが近付いてきております。さてどうなるか・・・!

それでは、また。
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