恋姫無双〜黄鬚伝〜   作:ホークス馬鹿

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45話です。


45話

陳留・玉座の間

 

 

 

 

楼杏の活躍から暫くが経ち、新たな情報が入った。それは、袁紹が劉備達のいる徐州の州境を越えたという情報だった。

 

華琳「そう。麗羽が。」

 

純「・・・。」

 

一刀「・・・あんまり驚かないんだな。」

 

純「可能性としてはありえたさ。・・・まさか本当にやるとは思わなかったがな。」

 

華琳「ええ、そうね。」

 

稟「袁術相手で手一杯の劉備を見て、好機と思ったのでしょうか?」

 

純「いや、違うと思う。」

 

華琳「ええ、袁術に徐州を一人占めされるのが、急に惜しくなったのでしょうね。」

 

一刀「惜しくなったって、そんな、子供じゃあるまいし・・・」

 

華琳「大して変わらないわよ。・・・風、お茶をもう一杯貰えるかしら?」

 

風「はーい。純様もいりますかー。」

 

純「ふっ、貰おうか。」

 

一刀「で、どうするんだ?これから。」

 

華琳「どうするも何も、それはこれから決める事よ。」

 

純「皆はどう考える?稟、言ってみろ。」

 

稟「はい。徐州の遠征軍には袁紹、文醜、顔良という敵の主力が揃っています。この機に南皮へ攻め入り、徹底的に袁紹を叩くべきではないでしょうか。」

 

燈「・・・賛成です。もしくは遠征軍の後背を断ち、浮き草となった袁紹軍本隊を叩くべきかと。血の巡りの絶えた頭脳も、頭脳を失った手足も、いずれも敵とはなりえません。」

 

といった意見も出た。すると、

 

桂花「反対です。袁紹も袁術も先見の明のない小物ゆえ、今は大軍でも、放っておけば勝手に根腐れを起こします。」

 

桂花「しかし、劉備はいずれ華琳様の前に立ち塞がるでしょう。これを期に、まずは徐州を攻め、劉備を討つべきかと。」

 

栄華「私も桂花さんの意見に賛成ですわ。面倒な種は先に省くに限りますわ。」

 

といった意見も出た。

 

一刀(おお、見事に意見が分かれたな・・・。)

 

華琳「純は?」

 

純「俺、ですか?」

 

華琳「ええ。我が軍を束ねているのはあなただし、最も戦に長けているのもあなたよ。あなたの意見を聞きたいわ。」

 

純「そうですね・・・」

 

すると

 

稟「袁紹と袁術を先に叩くべきですよね?」

 

桂花「劉備に決まってますよね!」

 

稟「袁紹です!」

 

桂花「劉備!」

 

と稟と桂花がそう言い合った。

 

一刀「待て待て待て!純が困るぞ!」

 

それを見た一刀はそう言って二人を止めた。

 

華琳「それで純、どうなのかしら?」

 

純「・・・難しい事を考えるのは苦手なので、上手く言えるか分かりませんが・・・」

 

華琳「構わないわ。遠慮なく言ってみなさい。」

 

純「・・・麗羽と袁術を叩くべきっていう意見も劉備を討つべきという意見はどちらも正しいです。」

 

純「ここは・・・劉備と同盟って手はどうかなと思いまして・・・」

 

華琳「同盟?」

 

純「はい。劉備は恐らく、徐州から出る気はないと思います。だったら、同盟を組めばそっちを警戒する必要はなくなるかと。」

 

純「それに状況次第では、俺達が麗羽や袁術と戦う時にもう一方の勢力を足止めしてくれるかもしれませんし。」

 

華琳「成程。麗羽と袁術を討伐した後に併合すれば、ちょうど良いわね。」

 

一刀「いやいやいや・・・なんでそういう方面に考えが行くんだよ。別に純はそこまで言ってないだろ。」

 

純「別に併合したからって、状況は変わんねーと思うぞ。」

 

華琳「ええ。豫州の最初の頃のように、実質の支配は彼女に任せるという手もあるのだし。」

 

一刀「けど、向こうから仕掛けてこないなら呂布みたいに放っておけば良いだろ。・・・風はどう思う?」

 

しかし、

 

風「・・・ぐー。」

 

・・・寝ていた。

 

桂花「寝るなっ!」

 

風「・・・おおっ。寝てませんよ?」

 

一刀「いや、どう見ても寝てただろ。」

 

風「でー。劉備さんをよってたかって袋叩きにするんですか?それとも、袁紹さんの所に火事場泥棒に入るんですか?」

 

風「あとは、えーと・・・劉備さんをだまし討ちでしたっけ?」

 

稟「・・・。」

 

桂花「・・・。」

 

栄華「・・・身も蓋もない言い方をなさいますのね。」

 

華琳「けれど、それが世間の風評でしょうね。・・・私にも前科がある以上、同盟の話も向こうは危うく思うのではないかしら?」

 

燈「あら、私のせい?」

 

一刀「豫州は、燈から差し出したんだろ?」

 

華琳「事実はそうだけれど、世間がちゃんとその話通りに取るかはまた別問題だわ。あれは真実よりも、えてして盛り上がりのある方を好むものだから。」

 

純「ふむ・・・。」

 

華琳「いずれにしても、私は弱い者虐めをする気も、火事場泥棒をする気もないわ。今は次の動きで最善手を打てるよう、力を溜める時でしょう。」

 

こうして、袁紹の対策が決定したのだった。

 

 

 

 

徐州・琅邪

 

 

 

 

袁紹「おーっほっほっほ!おーっほっほっほ!」

 

文醜「進め進めー!目指すは劉備の本拠地だー!」

 

顔良「麗羽様ぁ・・・。ホントに良かったんですか?」

 

袁紹「何がですの?」

 

顔良「だって、劉備さん達、袁術様と戦ってて大変なのに・・・。」

 

袁紹「そんなの私の知ったことではありませんわ!そもそも、美羽さんなんかに必死になっている劉備さんが悪いんですのよ。ねぇ真直さん!」

 

田豊「ええ・・・まあ、流石に火事場泥棒感が半端ない気はしますけど、そうですね。」

 

文醜「そうそう。所詮この世は焼肉定食・・・空しいぜ。」

 

田豊「それ、何か違わない?」

 

文醜「・・・そうだっけ?」

 

顔良「文ちゃん・・・そんな所カッコ良く言っても、全然カッコ良くないよぅ。」

 

袁紹「それに、こんな広い土地を美羽さんに一人占めさせるなんて・・・この間お夜食を食べていたら、だんだん腹が立ってきましたの!」

 

顔良「はぁ・・・。」

 

文醜「結局は思いつきなんすね・・・。」

 

袁紹「閃きと言って欲しいですわね。」

 

田豊「そうは言っても、策を考えるのは私なんですから・・・少しは気を使って欲しいです。・・・しかもどうせ聞いてくれないのに。」

 

袁紹「ともかく、南にかかりっきりの劉備さんのお城はスッカスカのがらっがらに決まってますわ!今のうちに私達の物にしてしまいますわよっ!」

 

文醜「おー!」

 

袁紹「声が小さいですわっ!」

 

三人「「「おーっ!」」」

 

田豊(・・・七百の城を落とすのは渋るくせに、ガラガラの城を落とすのは平気なんだもの。我が主ながら、ホント読むのが面倒くさいわね。)

 

 

 

 

 

一方、淮陰の袁術は、

 

 

 

 

 

袁術「はぁ!?麗羽が攻めてきたのかえ!?」

 

魯粛「はい。密偵から連絡があって、もう徐州の州境あたりにいるみたいなんですよー。」

 

袁術「し・・・信じられんのじゃ!普通、そんな火事場泥棒のような真似はせんであろ!?」

 

孫策(・・・あなたがいつもしてる事じゃない。)

 

袁術「孫策!何か言うたかや?」

 

孫策「べっつにー。」

 

袁術「とにかくこのままチンタラしていては、徐州の良い所は全部麗羽に取られてしまうのじゃ!」

 

袁術「せめて七割・・・いや、八割は制圧せねば攻め損じゃぞ!包、策を考えよ!」

 

魯粛「ひゃわわ。策を考えろって言っても、美羽様包の話とか全然聞いてくれないじゃないですかぁ!」

 

魯粛「それに向こうの軍師、将軍達の連携の隙とか包の指示の合間とか、遠慮ナシに突いてきて・・・こっちが見透かされてるみたいでむちゃくちゃ怖いんですけどー。」

 

張勲「包ちゃん。何か仰いました?」

 

魯粛「・・・うぅ、何でもないです。」

 

魯粛(・・・ひゃわわ。仕官先、間違えたかなぁ。)

 

孫策(・・・ここの軍師も大変そうねぇ。)

 

袁術「ええい、役に立たんやつめ。・・・ならば孫策、おぬしらの部隊で総攻撃を掛けるのじゃ。それで劉備をやっつけて、徐州を一気に妾のものにしてみせるのじゃ!」

 

孫策(・・・言うだけなんだから、楽なものよねぇ。)

 

袁術「返事は!」

 

孫策「はいはい。」

 

袁術「はいは一度でよいのじゃ!」

 

孫策「はーい。」

 

魯粛(・・・て言っても、ここの将も大変そうなんですよねぇ。)

 

 

 

 

 

劉備軍

 

 

 

 

 

趙雲「・・・袁術も本気の様子か。」

 

張飛「さっきの戦いで、もうみんなヘトヘトなのだ。・・・ここでさっきよりも多い相手が来たら、きっと持ち堪えられないのだ。」

 

趙雲「それに、城の事をある。風鈴殿や詠がいるとは言え、今の城の兵だけでは袁紹は防ぎきれまい。」

 

すると

 

諸葛亮「・・・うーん。」

 

龐統「やっぱり、あれかなぁ・・・。」

 

諸葛亮「・・・でもあれは厳しいし、あれも無理があるし。」

 

龐統「だよねぇ。あっちが立てば、こっちが立たなくなるし。」

 

と諸葛亮と龐統が、何か策があるのか、話し合っていた。それを見た趙雲は

 

趙雲「何か良い策があるのか?朱里、雛里。」

 

と尋ねた。

 

諸葛亮「ないわけでは・・・ないのですが。」

 

龐統「朱里ちゃん・・・。」

 

諸葛亮「ううん、やっぱりダメです。この策を実行すれば、きっと沢山の犠牲が出ちゃいます。」

 

趙雲「しかし・・・この窮地を乗り切るためには、多少の犠牲はやむを得んのではないか?」

 

張飛「星!」

 

趙雲「分かっているさ。心優しい桃香様は、一人の犠牲も出したくないのだとな。」

 

張飛「けど・・・!」

 

趙雲「しかしな、鈴々よ。そのような超常の一手、そうそう打てるものではない。故に我々は、出来る限りの最良手を打つしかないのだ。」

 

そう趙雲は冷静に返した。

 

張飛「むぅ・・・。」

 

趙雲「朱里。その策、私に授けてみせよ。この趙子龍、見事果たしてみせようではないか。」

 

張飛「星・・・。」

 

趙雲「大丈夫だ鈴々。私一人ならどうとでもなる。桃香様をしかと守るのだぞ。」

 

その時

 

劉備「・・・ダメだよ。」

 

劉備「そんなのダメ!絶対ダメ!みんな無事に生き残るの!」

 

劉備の声が、全体に響き渡った。

 

趙雲「しかしですな、桃香様。他に方策がない以上、打てる手を打たねばなりません。それに、世の中には出来る事と出来ぬ事が・・・」

 

劉備「・・・あるよ。一つだけ。」

 

趙雲「まさか・・・降伏ですか?」

 

劉備「ううん。降参はしないよ。・・・袁紹さん達のやり方は絶対間違ってると思うから・・・。」

 

趙雲「だったら何を・・・?」

 

劉備「朱里ちゃん、前に言ってたよね・・・」

 

諸葛亮「・・・はい?」

 

この決断に、皆は猛反対したのだが、

 

劉備「皆が生き残るため。」

 

と強引に事を進めたのであった。




投稿できました。

そろそろ官渡の戦いの足音が・・・。

それでは、また。
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