恋姫無双〜黄鬚伝〜   作:ホークス馬鹿

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47話です。


47話

劉備と交渉を終え、道案内を純に任せたその帰り道

 

一刀「・・・大層な悪役ぶりだったなぁ。」

 

華琳「あら、そうかしら?」

 

一刀「でも・・・本当に劉備さんのために言ったんだよね?」

 

春蘭「お前、華琳様の大きな愛が分からんのか!」

 

一刀「分かってるよ。だから、劉備さんにああいう厳しい事を言ったんだろ?」

 

華琳「・・・この時代を徳と理想だけで乗り切ろうなんて、余程の世間知らずか頭のおかしな賢人だけよ。彼女がどこまで行けるのか、見て見たいじゃない?」

 

春蘭「華琳様。また悪い癖が・・・」

 

華琳「まあ、南方の呂布や南蛮を何とかしてくれるというのだから、こちらにもちゃんと利はあるわよ。・・・純が併合しやすくなるかもしれないしね。」

 

一刀「え?ホントに純に攻めさせる気なの?」

 

華琳「当たり前でしょう。冗談だと思ったの?それとも、純の実力を疑っているのかしら?」

 

春蘭「北郷・・・まさか・・・」

 

一刀「い、いや・・・そういう意味で言ったわけじゃ・・・!」

 

一刀(たまに、華琳のどこまでが本気なのか分からなくなる・・・。)

 

桂花「華琳様!お帰りなさいませ!」

 

風「交渉はどうなりましたか~?」

 

華琳「劉備達は自領の民を連れ、私達の国を抜けて益州へ向かう事になったわ。道案内は純に任せているわ。麗羽の追撃は我々が引き受ける。」

 

華琳「桂花、兵の配置は?」

 

桂花「対袁紹用の布陣で完了しております。」

 

華琳「ふふ、流石ね。皆も、桂花の指示に従ってちょうだい。」

 

春蘭「はっ!」

 

季衣「分かりましたー!」

 

すると

 

桂花「しかし、良かったのですか、華琳様?」

 

華琳「どうかしたの、桂花?」

 

桂花「純様に道案内をさせて。確かに我が軍は精鋭ですが、純様がいるといないのでは兵の士気に関わります。」

 

と桂花は、華琳にそう言った。

 

華琳「そうね。でもね、桂花。私の精鋭が、純がいないから戦に負けるなんて事があってはいけないの。確かに純は呂布を倒した程の実力でもあるから、大陸一の武将よ。だけど、我が軍には優秀な将が大勢いる。いつまでも純、純と純に甘えるわけにはいかないの。分かった?」

 

桂花「はい。浅はかな事を言って申し訳ございません。」

 

華琳「別に良いわ。その代わり、この戦必ず勝つわよ。」

 

桂花「はっ!あなた達、急ぎなさい!袁紹は短気だから、劉備達の撤収の報を受けた途端に動くわよ!」

 

そして、作戦が始まった。

 

 

 

 

袁紹本陣

 

 

 

 

文醜「麗羽様麗羽様麗羽様ー!」

 

袁紹「むにゃ・・・何ですの、明日になさい・・・。」

 

文醜「二度寝してる場合じゃありませんよ!大変です!劉備達が陣の撤収を始めたって報告が入ったんですよ!このままじゃ逃げられちゃいますよー!」

 

それを聞いた袁紹は

 

袁紹「・・・なぁんですってぇ!真直さん!真直さんはもう起きていらっしゃいますの!?」

 

目が覚めて田豊を呼んだ。

 

田豊「もちろんですよ。今斗詩に追撃部隊を編成させています。・・・なんですが」

 

袁紹「何ですの?」

 

文醜「何か劉備達とあたいらの間に、曹操の軍が割り込んできてるみたいなんですよね・・・。」

 

袁紹「はあああああ!?何ですの、火事場泥棒がもう一人増えましたの!?」

 

田豊「いえ。曹操は劉備を守るように動いているようですし・・・劉備が救援を出したのではないかと。」

 

袁紹「許せませんわ!!猪々子さん、向こうが陣の展開を終える前にさっさと追撃をお掛けなさい!」

 

文醜「だから今準備させてますってば!あ、美羽様はどうしましょ。」

 

袁紹「起きてこなければ放っておくだけですわ!劉備の首級はこちらで一人占めですわよ!」

 

文醜「うっわ。ここに来てそこまで・・・」

 

袁紹「何か言いまして?」

 

文醜「いーえ、別にー。」

 

田豊「ほら猪々子、さっさと行くわよ。向こうの軍師はどうせ桂花でしょうから、こちらもあの穴掘り小娘の性格を元に作戦を立てておいたわ。」

 

文醜「あー。あの男嫌いのー。」

 

田豊「そうそう。あいつの性格からするとね・・・」

 

 

 

 

曹操軍

 

 

 

 

桂花の指示で一刀が合流したのは、凪と香風の率いる部隊だった。

 

一刀「・・・この人数で大丈夫なのか?凪。」

 

凪「桂花様は大丈夫だと仰っていましたが・・・」

 

一刀「桂花がぁ・・・?不安だな。」

 

香風「凪ー。敵の先鋒が見えたー。」

 

凪「数はどのくらいいる?」

 

香風「・・・分かんない。多分、多い。」

 

一刀「ざっくりだなぁ・・・。」

 

凪「桂花様からは、数が分からなくても問題ないと言われましたが・・・。純様がいない分、私達がしっかりしなければなりません。」

 

一刀「そうだな。」

 

凪「総員、攻撃準備!」

 

凪の声と同時に、部隊の全員が弓矢を構えた。すると、月明かりの中、夜の中を動く袁紹軍らしき集団が見えた。

 

凪「連中の掲げた松明を狙え。・・・撃てっ!」

 

相手に気取られないように、号令は小さなものであったが、振り下ろした腕に合わせて、数百の矢と凪の気弾が天に放たれ、一斉に敵陣へと降り注いだ。

 

 

 

 

 

袁紹軍

 

 

 

 

 

文醜「ん、どしたー?夜なんだから、静かに動けー。」

 

袁紹軍兵士A「文醜様!敵の奇襲ですっ!敵の数は不明!ただし降り注ぐ矢の数からするに、かなりの大人数の様子!」

 

文醜「どこの軍だよ!まさか曹操か!?」

 

顔良「文ちゃん。もしかして、曹操さんに待ち伏せされたんじゃ・・・。」

 

文醜「待ち伏せって、真直の言った通りか!」

 

顔良「だったら文ちゃん、真直ちゃんの作戦通り、一気に突撃する?」

 

文醜「んー。・・・でもこれ、いつもみたいに突撃ーってやったら、思いっきり反撃食らうやつじゃね?」

 

顔良「それはまあ・・・そんな気しかしないわね。でも、文ちゃんが珍しい。」

 

文醜「あたいだって戦場の空気くらい読むってば。それに兵がこんだけビビってりゃ、突撃したってたかがしれてるしなぁ。」

 

文醜「まあいいや。全軍転進!いちいち曹操なんか相手にすんな!別の所から劉備達を追い掛けるぞーっ!」

 

そして、袁紹軍は文醜の命令で撤退していった。

 

 

 

 

 

曹操軍

 

 

 

 

一刀「ホントに退いてったよ・・・。」

 

凪「凄いですね、桂花様の予測は・・・」

 

香風「夜の奇襲と突撃は、周りが見えないから怖い。」

 

一刀「そりゃそうか・・・。相手の数も分からなけりゃ、疑心暗鬼にもなるわなぁ。」

 

凪「では隊長。北郷隊は次の行動に移ります。」

 

一刀「ん、お願い。相手にこちらの動きを気取られないようにね。」

 

凪「はっ。」

 

一刀「桂花の予測が正しいとすると・・・次に文醜達が動くのは、沙和の所かな。」

 

 

 

 

沙和達

 

 

 

 

栄華「沙和さん。敵の追撃軍、確認出来ましてよ。」

 

沙和「ありがとなの!なら、皆弓の準備をするの!」

 

季衣「うー。弓って、苦手なんだけどなぁ・・・。」

 

栄華「季衣さんは、手近にある大きな岩を放り投げろと言われていませんでした?」

 

季衣「あ、そっちの方がいいや。・・・とりあえず、敵部隊の方に思いっきり投げたら良いんだよね?」

 

沙和「なの。今回は、矢もとにかく敵のいる方に飛ばせば良いって言われたのー。」

 

季衣「なら・・・よっと!」

 

栄華「・・・いつ見ても、そんな大きな岩をお兄様以外の人が抱えられるのが信じられませんわね。私、一番軽い弓を引くので精一杯ですのに。」

 

季衣「慣れたらどってことないよー。沙和ー、もう投げていい?」

 

沙和「もうちょっと待つの!」

 

曹操軍兵士A「敵陣の先端、射程圏内に入りました!」

 

沙和「よーし。それじゃ、総員、てーっ!なのー!」

 

そして、沙和の命令の下、一斉に矢が放たれた。

 

 

 

 

 

袁紹軍

 

 

 

 

 

袁紹軍兵士B「文醜様!また敵の矢です!それに、何やら巨大な岩まで飛んできて・・・!」

 

文醜「なんだそりゃ!?」

 

顔良「敵の新兵器とかじゃないの!?文ちゃん!」

 

文醜「だーもうっ!向こうは慌てるどころか万全じゃねえか。斗詩、別の道ってある?」

 

顔良「うん。多分、もう二箇所くらいなら・・・。」

 

文醜「じゃあそっちだ!総員、もっかい転進!矢と岩が飛んでくる前に急げーっ!」

 

 

 

 

 

曹操軍本陣

 

 

 

 

曹操軍兵士B「夏侯淵様から伝令です!曹純隊の一撃を受けて、袁紹の追撃軍が引き返したとのこと!夏侯淵様達は北郷殿達と合流、次の作戦に向かうそうです!」

 

華琳「これで三度目・・・見事な采配だわ、桂花。」

 

桂花「文醜の思考は単純ですから、あれの性格を知っていれば、動きを読む事は難しい事ではありません。」

 

桂花「それに軍師の田豊も机上の理屈を振りかざすばかりで、兵の心情を汲む事を知りません。」

 

桂花「闇の中を降り注ぐ矢の恐怖を理解して策を与えていれば、こうはならなかったでしょうけれど。・・・ふふっ。」

 

華琳「そう。それで次はどう動くのかしら?」

 

桂花「彼女の我慢に四度目はありません。次は相手を見ずに突っ込んで来るかと。」

 

華琳「・・・なるほどね。」

 

桂花「袁紹の主力はそれでカタが付くでしょう。後は秋蘭達が予定通りに動いてくれれば、今夜は上々かと。」

 

 

 

 

 

袁紹軍

 

 

 

 

 

文醜「だぁぁ・・・っ。もう、曹操の軍、どんだけ展開してるんだよぉ・・・!」

 

顔良「これだけ街道を封鎖してるんだから、十万はいるんじゃないかなぁ・・・。」

 

文醜「もういいっ。次は一気にぶち込む!真直も突っ込めって言ってたし、知らん!」

 

顔良「もう。文ちゃんってば、知らんじゃないよ!落ち着いてよぅ。」

 

文醜「元々あたいは、こういうチマチマしたのって大っ嫌いなんだよ。それにほら、意外と、相手は何百しかいなかったとか、そういうオチだったりさ。」

 

顔良「・・・流石に無いと思うけど。」

 

文醜「するかも知れないじゃん。だから、次は・・・」

 

袁紹軍兵士C「報告!前方に敵部隊を発見!」

 

文醜「よし!なら突撃するぞ!突撃ーっ!」

 

顔良「だから、ちょっと文ちゃぁんっ!」

 

 

 

 

 

曹操軍

 

 

 

 

華侖「敵部隊、撤退していくっすよ!」

 

春蘭「なんだ、もうか。まだひと当てしかしておらんぞ。」

 

すると、

 

華琳「ふふっ。次は嫌でも全力で戦ってもらう事にするわよ、春蘭。」

 

華琳が現れた。

 

春蘭「ああ、華琳様!このような所にまで・・・。」

 

華琳「袁紹もこの一撃で懲りたでしょうから、今日は攻めてこないはずよ。後は秋蘭だけれど・・・。」

 

桂花「華琳様。今伝令が来まして、袁術の陣への夜襲、成功したそうです。袁術軍は袁紹軍を追うように、徐州北方に逃亡したとのこと。」

 

華琳「そう。なら問題ないわね。春蘭。」

 

春蘭「はっ!こちらも撤収させます。」

 

真桜「総員、撤収や!さっさとずらかるでー!」

 

華琳「さて、ひとまず今夜は何とかなったけれど・・・。これに勝ち残れなければ後はないのは私達も同じ・・・か。結局純を頼ってしまうわね。」

 

と、華琳はそう呟いたのだった。




投稿できました。

官渡の戦いの前哨戦ですね・・・。

しかし、前作でもちょっと呟いたのですが、実際史実の官渡の戦いでは、曹操軍はかなりヤバイ状態で、所謂内憂外患だったようですね。
戦いも終始劣勢でしたし、許攸の投降がなければ、確実に終わってましたね。
荀彧の叱咤激励もありましたが、曹操とその幹部のメンタルと結束力は凄いですね・・・。

そ、それでは、また。
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