恋姫無双〜黄鬚伝〜   作:ホークス馬鹿

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50話です。


50話

一刀「皆にも負担掛けっぱなしだなぁ。・・・さて。後は、何があったかな。」

 

官渡の戦いで勝利した華琳は、河北四州に加え徐州に馬一門の涼州を新たに手に入れその広大な領地を支配下に置いた。

しかし、その反動で直面した緊急の課題は、兵力不足であった。その課題解決のために、凪と沙和にはいつも以上の強行ペースで新兵の育成を任せたのだったが、二人には警備隊の仕事もあるため、その疲労を一刀は心配した。しかし

 

凪『私達に出来ることは任せて下さい。ただ、時々で良いから、隊長も詰所に顔を出して下さい。』

 

沙和『なの!真桜ちゃんも、もうひと月くらい詰所に隊長が来てないってぼやいてたの。』

 

と言った。

 

一刀(ここまで勢力が拡大したんだ。周りも警戒するわけだ。翠達馬一門がいなかったら、もっと負担が掛かっていただろうな・・・。)

 

そんなことを考えていると、

 

香風「お兄ちゃん。」

 

香風が一刀の服を引っ張っていた。

 

一刀「そっか、香風の遠征の話を聞くんだったな。この前は栄華の護衛で并州に行ってたんだっけ?」

 

香風「・・・うん。凪達のお話が終わるの、待ってた。」

 

一刀「だったら・・・ご飯食べながらで良い?香風もお昼、まだだよな。」

 

香風「それでいい。ご飯もいっしょー。」

 

そして、一刀は香風と一緒に食堂へ向かおうとしたその時、

 

霞「何やっとんねん!」

 

真桜「せやかて、これだけは譲られへん!」

 

霞と真桜の言い争いの声が聞こえた。

 

一刀「・・・。」

 

香風「・・・お兄ちゃん。」

 

一刀「・・・ああ、うん。放っておくわけにも、いかないかぁ。」

 

そう言って、一刀と香風は声のする方へ向かったのだった。

 

一刀「・・・何やってんの?二人とも。」

 

真桜「ん?ああ、隊長と香風か。」

 

香風「ケンカ?」

 

霞「二人ともええ所に来た!ちょっとウチの話、聞いてくれへん?」

 

一刀「別に良いけど・・・霞、朝の軍議で、お昼には稟と幽州の州境警備に出ると言ってなかった?」

 

香風「うん。向こうで、稟が準備してた。」

 

霞「それにも必要な事なんや!稟の奴は待たしとったらええ!」

 

一刀「え、何?そんなに大事な事なの?」

 

すると

 

霞「せや!これ、見てみ!」

 

霞がいつも使っている偃月刀を一刀に見せた。

 

香風「おー。ぴかぴか。」

 

一刀(そうだ。言われて見れば新しくなってるような・・・。)

 

霞「せや。こないだの遠征で折れてもうたから、真桜に新調してもろてん!」

 

一刀「成程なぁ。このところ遠征ばっかりだし、そりゃ武器だって傷むよな。」

 

真桜「柄も刃も材料ぜーんぶ一から見直して、組み合わせ方も強度が出るように工夫しとる。姐さんが少々乱暴に使うたかて、絶対に壊れたりせぇへんよ!」

 

一刀「この間から工房に籠もってたのは知ってたけど、相変わらず器用だな。」

 

一刀(そういえばいつものドリル槍も自分で作ったって言ってたし、純が呂布と一騎打ちした時に使ってた偃月刀も、愛紗の青龍偃月刀をモデルに作ったらしいし、官渡では投石機も作ってたもんな。)

 

一刀「でも、何か問題があったの?武器がパワーアップしたなら良い事じゃない。」

 

香風「・・・重くなった?」

 

霞「んー。ちっと重うなった気はするけど、そこは不満やない。勢いも付くし、振り回した時の釣り合いも取れるしな。具合は前よりええくらいや。」

 

霞「こんだけ回せるようになりゃ、それこそ空かて飛べるかもな。」

 

香風「ほんと!?」

 

霞「え、なんや?そこ、そないに食いつくとこか?」

 

香風「空が飛べるの・・・だいじ。ホントに飛べる?」

 

霞「い、いや・・・ホンマに飛べるんかは、よう分からんけど。」

 

香風「・・・ざんねん。」

 

霞「まあそれはええ・・・ええけどな!」

 

一刀「・・・けど?」

 

霞「ここの龍の角が一本増えとるのはどないなっとんねん!説明してもらおか!」

 

一刀「・・・はぁ?龍の角?」

 

霞「せや!せっかく愛紗と純の偃月刀と並べてエエ具合になるようにしとったのに、台無しやないか!どないしてくれるんや!」

 

一刀「・・・え、そんなこだわりがあったんだ。いつから!?」

 

霞「純が恋と一騎打ちしたときと、この軍に参入して、愛紗と話したときからや!ホンマおもろい奴やで!」

 

霞「元々ウチも似たような武器使うてたから、ならちっと合わせてみようかって言うてやってみたんやけど・・・」

 

一刀(なんだそりゃ。お揃いの携帯ストラップを付けて喜ぶ学生みたいだな。)

 

霞「ごっつお気に入りやったのに、それをなー!まだ半年も経ってへんのに、お前なー!真桜ー!」

 

真桜「せやかて強化したんやから、角増やさんと強そうに見えんやろ!」

 

霞「何が強そうにや!いじらんでも十分強いやねんから関係ないやろ!はよ直しや!」

 

真桜「直さへん!十倍強うなったら、十倍強う見えんとアカンやろ!どうしてもそこ直せっちゅうんなら、牙の数を倍にさせてもらうで!」

 

霞「アホかーっ!そんなん直すて言わんわ!もっと台無しやろ!」

 

一刀「あの・・・一つ、聞いて良い?」

 

霞・真「「何や!」」

 

一刀「・・・それは武器としての機能に、どんな問題があるの?」

 

霞・真「「ないで!」」

 

一刀「・・・すまん何が問題なのか分からん。」

 

霞・真「「何やて!」」

 

香風「こだわり、大事。」

 

霞「せやろー!ほら、分かる奴は分かってくれるんや。真桜、さっさと直し!」

 

真桜「こだわりだけならウチかて同じや!香風はウチの事を応援してくれとんのやろ?」

 

香風「うー。お兄ちゃん・・・。」

 

その時

 

風「あー。お兄さん、こんな所でご休憩ですかー。」

 

稟「あのー、一刀殿。霞を見ませんでしたか・・・?」

 

稟と風がやって来た。

 

一刀「んー・・・見ての通り。」

 

真桜「見ての通りあるかい、誤魔化さんといて!隊長、強化の極意っちゅうもんをたっぷり教えたるさかいな・・・!」

 

霞「ならウチかて、恋との一騎打ちで純がどんだけ凄かったか、そして河北四州の平定ん時の愛紗の活躍がどんだけ凄かったかがっつり聞かせたるわ!」

 

一刀「いやちょっと待って!出撃は!」

 

稟「・・・まあ、暫くなら構いませんよ。純様は曹操殿の面会に同席してますし。」

 

一刀「面会?そういえば朝廷の使者が来るとか言ってたっけ。」

 

風「いえ、それは先程済みまして・・・。今は趙雲さんにお会いしてますよー。」

 

と言った。とまあそんなこんなで、霞達もその面会に向かったのだった。

 

 

 

 

 

玉座の間

 

 

 

 

 

霞「・・・おお、ホンマや。ホンマに趙雲がおる。」

 

燈「静かに。挨拶中よ。」

 

その玉座の間には、趙雲の他に厳顔と魏延がいた。

 

趙雲「曹孟徳殿。先日は大変お世話になりました。」

 

華琳「到着の報は純と燈、そして霞から聞いていたし、こんなに早く礼状を寄越さなくても良かったのよ。まだ旅装も解き終わっていないでしょうに。」

 

趙雲「無事な到着を、きちんとした形で報告したいという、桃香様の強いご意志でしたので。」

 

華琳「相変わらず劉備には甘いのね、趙雲。」

 

趙雲「周りが厳しいですから、少しくらいは。それでは・・・焔耶。」

 

魏延「はっ。こちらが我が主、劉玄徳からの親書となります。」

 

そして、魏延は親書を渡した。

 

華琳「・・・そう。」

 

一刀「・・・あの副官達、見ない顔だな。」

 

燈「片方は厳顔。益州州牧、劉璋殿の部下ね。恐らく劉備様が華琳様に使者を出すと言うから、お目付役として付けられたのでしょうね。」

 

一刀「劉備も益州に入ったばっかりだしな。そのくらいされても仕方ないか。」

 

一刀(というか、他州の太守と散々悪巧みしまくってた怪しい人が言うと、説得力半端ないな・・・。)

 

燈「もう一人は・・・確か、荊州を通っていた頃に押しかけて加わった将の筈よ。・・・純様。」

 

純「確か魏延だったな。結構劉備に夢中になってたな。」

 

霞「せやったなぁ・・・。」

 

真桜「・・・大将、それどのくらいや?」

 

純「んー。春蘭と桂花を足して二で割ったくらいかなぁ。」

 

一刀(・・・うわぁ、それは。)

 

真桜「・・・あかん奴やないの。」

 

その間、華琳は手紙の封を切り、紙に記された文に内容を目で通していく。十分な時間をかけ、劉備の手紙を読み終えた後

 

華琳「返事は数日中にしたためるから、今日は退がりなさい。部屋は城内に用意させているけれど・・・」

 

趙雲「お心遣い、痛み入ります。ですが急な訪問でしたし、既に城下に宿を取らせましたので・・・本日は、これにて。」

 

華琳「そう。ならば、手紙を用意したら使いを向かわせるわ。」

 

そして、趙雲達は悠然と礼をしてその場を後にした。すると、華琳は頭を抱えて疲れたような表情をしていた。

 

純「姉上、大丈夫ですか?」

 

華琳「ええ、いつもの頭痛だから、大丈夫よ。」

 

純「まあ、なんでかは察しがつきますが・・・。」

 

風「おやおや。お医者様をお呼びしましょうか?」

 

真桜「それとも、そんな手紙やったん?」

 

華琳「医者は結構よ。手紙は・・・興味があるなら好きに見ても構わないけれど。」

 

そう言って、華琳は小さく溜息をついて、紙にしたためられたそれを純達に渡した。

 

純「これは・・・何というか・・・」

 

真桜「ホンマに何やこれ・・・」

 

一刀「流石の俺でも言いづらい内容だな・・・」

 

純「城下に宿を取ったという事は、視察のためだろうな。」

 

華琳「そうね。けど、別に構わないわ。見られて困る物はないし。」

 

純「そうですね。それより稟、霞、これから幽州だろう?早く行きな。」

 

霞「せやったわー!そんじゃあ、行って来るわ!」

 

稟「では純様、行って参ります。」

 

純「うむ。」

 

そう言って、稟と霞はその場を後にした。

 

華琳「・・・ふぅ。」

 

香風「華琳様、まだ頭痛い?」

 

一刀「だったら無理しないでよ?」

 

華琳「そうも言ってられないわ。」

 

真桜「あのよう分からんお手紙の返事をどうするかか?」

 

華琳「そちらも頭が痛いけれどね。先程、都の大長秋から使者が来たのよ。」

 

純「司隷をあげるでしたね。」

 

華琳「ええ。」

 

一刀「・・・は?」

 

真桜「くれるって、はぁあ・・・っ!?司隷って、あの朝廷のお膝元かいな。」

 

華琳「正確には、司隷の警護と維持管理の権限だけれどね。」

 

純「まあいずれにしても、これを受ければ司隷に公然と兵を入れられるようになるな。」

 

一刀(そこまで権限があるなら、実質領地になるのと一緒だよなぁ。)

 

一刀「・・・受けるの?」

 

華琳「勿論。反対?」

 

一刀「反対というか、何というか・・・」

 

燈「・・・人は今よりもっと足りなくなるわね。」

 

真桜「それに、周りからめっちゃ警戒されると思うんですけど。」

 

風「朝廷には新たな天子様がおりますが、その天子様を好き勝手にするとか、専横を働くとか、都を陳留に移すんじゃないかとか、色々言われる可能性も出て来ますねー。」

 

一刀(・・・凄い。びっくりするほどメリットがないぞ。)

 

一刀「流石に・・・遷都はしないよな?」

 

華琳「するわけ無いでしょう。守ってあげる分には構わないけれど、権力争いはあの壁の中でしていて欲しいわ。」

 

華琳「・・・あのいざこざに付き合うくらいなら、劉備の文通相手でもしていた方がいくらかマシよ。」

 

真桜「どんだけ都嫌いやねん、華琳様。」

 

純「あはは・・・。それでは姉上、俺は例の件がありますので、これにて。」

 

華琳「ええ、分かったわ。」

 

そう言って、純はその場を後にした。

そして一刀も、自身の仕事に戻ったのであった。




投稿できました。

いやはや、拠点フェイズより書くペースが進む複雑さ・・・。そりゃ、ゲームと自身が投稿した前の作品をベースに書いてるから当然か・・・。

文才が欲しいなぁ・・・。

そ、それでは、また。
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