呉軍本陣
孫権「何・・・こんな時間に騒がしいわね。不寝番の兵が喧嘩でもしているの?」
辺りの騒がしい声に、孫権は目を覚ました。すると
陸遜「蓮華様、大変です。敵の奇襲ですよぉ!」
陸遜から奇襲を受けたとの知らせを受けた。
孫権「な・・・今頃になって!?」
これには、孫権は驚きを隠せなかった。
陸遜「奇策と曹彰さんの噂に振り回されすぎました・・・。うぅ、申し訳ありません。」
孫権「謝るのは後になさい。状況は!」
陸遜「もう思春ちゃんも明命ちゃんも出てます。魏延さんも、さっき出ましたぁ。」
孫権「なら、前に出た皆が攻撃を止めている間に、本隊も態勢を整えましょう!」
陸遜「はいっ!」
孫権「うぅ・・・孫呉の領地を取り戻す戦いならともかく、どうしてこんな所で振り回されて・・・!」
これには、孫権はそう言って悔しさを滲ませたのだった。
合肥
呉軍兵士A「うわああああっ!曹彰だあああ!」
呉軍兵士B「『黄鬚』が来た、『黄鬚』曹彰が来たぞぉぉぉっ!」
呉軍兵士C「こっちは張遼だあああ!」
呉軍兵士D「張遼が来た、張遼が来たぞぉぉぉっ!」
純「んだよ、つまんねーな!うおりゃああっ!」
霞「ホンマや!こいつら、腰抜けだらけか!がーっ!」
大混乱の呉軍に、純と霞は雄叫びを上げたら
呉軍兵士E「わああああ!お助けぇぇぇっ!」
更に混乱してしまった。
純「やはり、敵の士気はダダ下がりだったか。しかも、俺と霞の名前聞いて逃げ出す程か!」
霞「純、そうやけど深追いはアカンで!」
純「分かってるよ!こんだけ引っ掻き回しゃ、十分だろ。戻んぞ!」
そう言って、純は霞と一緒に引き上げた。
愛紗「・・・凄いな、純様は。」
楼杏「相手は完全に混乱しているようね。・・・悲鳴しか聞こえないわ。」
朝焼けの中で逃げ惑う敵兵の姿は、地獄絵図そのものだった。
翠「純殿は、歯応えがなさ過ぎて、霞以上にキレてるだろうぜ・・・。」
愛紗「翠か・・・。どうだった?」
翠「ああ。回りには伏兵や、そういう兵力はいなかったぞ。魏延も孫権の部隊の立て直しに追われてるようだしな。」
稟「なら愛紗、号令を。」
愛紗「ああ。」
そして、愛紗は自身の馬を前に出し、
愛紗「聞けえ!既に敵陣は純様のお陰で混乱の極みにある!敵兵の数は我らの倍だが、そこから生まれる混乱は、それを遙かに超えるだろう!それはこちらのつけ込む隙となる!」
愛紗「私達の先には、我らが主、曹子文がおる!純様に遅れを取るな!」
愛紗「総員、突撃ーっ!!」
黄鬚隊に号令を出したのだった。
純と霞の方も、呉軍に猛攻撃を仕掛けた。対する呉軍も、魏延と一緒に迎撃していたのだが、完全に押されてしまい
純「ハッハッハッ!正面から戦っても、こっちの方が上のようだな!」
霞「ホンマやなぁ!ハハハ!」
呉軍兵士F「うわぁあっ!『黄鬚』曹彰が来たぞーっ!」
呉軍兵士G「こっちは張遼だ!張遼が来たぞーっ!」
逃げる兵がどんどん増えていった。
魏延「こら!逃げるな!戦え!」
魏延も必死に止めたが止まらなかった。
陸遜「うぅん・・・敵への恐怖が広がって止まりませんねぇ。」
孫権「訓練気分で、数を頼みにしたのが仇となったか・・・!」
呉軍は、完全に大混乱に陥り、一方的に屠られてしまうのだった。
純「うおりゃああっ!邪魔すんじゃねぇっ!」
呉軍兵士「「「グハッ!!」」」
霞「邪魔すんやったら、容赦せんでぇっ!」
呉軍兵士「「「ギャアアッ!!」」」
純「ちっ!数ばっかり多くて進めねーな!お前ら、足止めんじゃねーぞ!回り込んで斬り込むぞ!」
霞「ヨッシャー!純に続くでーっ!!」
黄鬚隊兵士「「「おおーっ!!」」」
その時
魏延「うおおおおおっ!曹子文、覚悟ぉぉぉぉぉっ!」
魏延が横から純を攻撃しようとした。しかし
ギンッ
霞「じゃかああしい!純の邪魔すんなや!」
ガギンッ
魏延「が・・・っ!?一撃・・・だとっ!?」
霞にあっさりと止められた。
霞「そないな大振り、分かりやすいに決まっとるやろド阿呆!」
霞「純!コイツの相手はウチに任せて、早く呉の本陣へ!」
純「頼んだぞ!」
それを聞いた純は、馬を加速させたのだった。
魏延「ま、待てっ!曹子文!・・・ぐっ!」
霞「お前の相手はウチや!」
魏延「・・・ちぃっ!どいつもこいつも、私の邪魔ばかり!」
翠「うおりゃああっ!どきやがれーっ!」
呉軍兵士H「う、うわあああ!コイツもつえーぞ!!」
呉軍兵士I「俺、知ってるぞ!錦馬超だ!」
呉軍兵士J「うわーっ!錦馬超もいるなんてーっ!逃げろーっ!」
この姿に
翠「・・・。」
翠は逆に驚いてしまった。
愛紗「どうしたのだ、翠?」
翠「い、いや・・・あたしの名は、江南まで広がってたのかと思ってな。」
愛紗「まあ、お主の勇名は天下に轟いていたからな。」
楼杏「ええ。西涼の錦馬超と言ったら、中央でも有名でしたもの。」
翠「そ・・・そうなのか。」
愛紗「それより、戦ってるときも思ったのだが、此奴ら皆新兵だな?」
楼杏「ええ。恐らく十万というのは、新兵の訓練も兼ねた構成だったのでしょう。」
翠「何か、新兵で純殿が敵って、災難だな。」
愛紗「・・・だな。この先、兵として使い物になるか否か・・・。」
楼杏「けど、今のところ動きが鈍いのも事実ね。私達で手分けして、中をかき回したら隙だらけよ。」
翠「そうだな。」
すると
呂蒙「見つけました!敵の将軍と思われます、包囲して下さい!」
呂蒙の部隊が現れた。
翠「・・・ん?新兵らしくない奴が来たぞ。」
呂蒙「こちらの主力を新兵と見抜きましたか・・・。」
呂蒙「ですが、三日会わざれば刮目して見よ。新人と侮ってばかりでは、痛い目を見ますよ。」
翠「・・・ふん。お前、面白い奴だな!」
愛紗「しかし、言う事は間違っていないぞ。油断するなよ、翠!」
楼杏「ええ、行くわよ!」
そう言って、愛紗達は呂蒙の部隊と交戦した。
華侖「久し振りの攻勢っすよ!総員、突撃ーっ!」
「「「おおーっ!!」」」
柳琳「姉さん達の切り開いた所をこじ開けて下さい!敵に立ち直る隙を与えないように!」
栄華「周辺を警戒なさい!お二人の攻撃を邪魔させてはなりません!」
その時
曹操軍兵士A「グハッ!」
曹操軍兵士B「ぎゃあっ!」
誰かに曹操軍の兵士が斬り殺された。
栄華「華侖さん、誰かいますわ!」
華侖「二人はやらせないっすよ!てやぁーっ!」
ガギンッ
周泰「・・・っ!私を止めるとは、やりますね!」
華侖「そのくらい朝飯前っす!朝ご飯は食べてきたっすけど!」
柳琳「姉さん、気を付けて!」
栄華「ええ!そちらの方、お出来になりますわよ。」
華侖「任せるっすよ!」
呉軍本隊
甘寧「左右の亞莎と明命も苦戦していますね。」
これには
孫権「そんな・・・十万の兵が、半数ほどしかいない兵にこうも容易く・・・」
孫権はショックを受けていた。
甘寧「完全にしてやられました。成程、河北の袁紹や西涼の韓遂ら関中軍閥、そして羌族を打ち破ってきたのは、伊達ではないという事か。」
その時
呉軍兵士K「うわぁあーっ!」
呉軍兵士L「そ、曹彰だーっ!『黄鬚』曹彰が来たぞーっ!」
呉軍が純が来たと大混乱になった。
甘寧「・・・曹彰だと!?弓隊、前へ!我らの部隊を抜けてきた所を集中攻撃せよ、味方に当てるなよ!」
その前方には
純「うらぁぁっ!」
純が先頭で馬を走らせて呉の兵士をなぎ倒していた。
甘寧「撃てーっ!」
それを見た甘寧は弓隊に命令し、矢を放たせたが
純「そんなヘロヘロ矢が当たるかボケェェッ!」
と言いながら
ズバッ!ザシュッ!
飛んでくる矢を捌き、そして
ガシッ!ガシッ!ガシッ!
純「これでも喰らいなっ!」
と一気に三本の矢を掴んで太刀を納刀し、背中に背負っていた弓に矢をつがえ、放った。
呉軍兵士「「「ガハァッ!!」」」
すると、その矢は三本とも呉の兵士に命中し、射殺した。
甘寧「な・・・何という奴だ!近衛、前へ!」
これに甘寧は、慌てて近衛隊を前に出したが
純「でやあああああっ!」
ズバッ!ザシュ!
呉軍兵士「「「がぁあっ!!!」」」
一気に数十人が純に斬り殺されたのだった。
甘寧「ぐっ、踏ん張れ!この先に、何としてでも届かせるな!」
その時
呉軍兵士M「我らが主よ、この戦線はもう駄目です!ここは我らに任せて、一度お退き下さい!」
と呉の兵士がそう必死に孫権に言った。
孫権「お前達・・・。」
その兵士の後方では
純「ほうっ!近衛っつー事は、守ってる奴は偉い奴か!なら、もっかい行かせて貰うぞーっ!」
と純はその存在に気付き、再び斬り込み始めた。
甘寧「・・・蓮華様。彼等の言う通りです。後方には穏もおります。ここは我らに任せて・・・」
しかし
孫権「何を言っているの、思春。この軍の指揮官は私よ?そんな私が最初に逃げ出すなど・・・」
と聞かなかったが
甘寧「ここで貴女を失っては、それこそ雪蓮様や小蓮様に申し開きが出来ません。ほら、行けっ!」
孫権「し・・・思春っ!思春!」
甘寧は孫権の馬を強引に走らせて、孫権を逃がしたのだった。
甘寧「蓮華様・・・どうかご無事で。」
純「うらぁぁぁぁっ!」
ズバッ!ザシュッ!
呉軍兵士「「「グハァッ!!!」」」
呉軍兵士N「ぐぅっ!か、甘寧様ぁっ!」
甘寧「お前達、良く時間を稼いだな!その見事な散り様、この甘興覇、生涯忘れはせんぞ!」
そして
純「成程ねー。次の時間稼ぎはこの前俺にビビって泣いたテメーか!」
純がそう言って現れた。
甘寧「あの時とは違う!それに、貴様の時間が止まってもなお、そのような減らず口が叩ければ良いな。」
純「ハハハ!面白ー!それに、良い目してんな、アンタ!相手してやるから、名は何て言う?」
甘寧「我が名は甘寧!字は興覇!曹子文、貴様を黄泉路へと案内する者だ!」
それを聞き
純「良く言ったな!なら、この『黄鬚』をやれるもんならやってみな!でやあああああっ!」
甘寧「はあああああっ!」
純と甘寧は馬を走らせて激突した。
魏延「ちいぃっ!強い!」
霞「当たり前や!お前は・・・そうでもないみたいやな。」
魏延「うるさいっ!私の腕が未熟な事くらい、私が一番良く知っている!だからこそ・・・!」
すると
孫乾「焔耶様、遅くなりました。こちらはお任せを。」
孫乾達がやって来た。
魏延「ああ、頼んだぞ、美花!」
そう言って、魏延はその場を離れた。
霞「待ちやがれ!・・・っ!」
孫乾「申し訳ありませんが、行かせるわけには参りません。」
霞「ちっ・・・回り込まれたか。」
孫乾「皆様、倒そうとはせず結構ですわ。足止めに集中して下さいませ。・・・敵から、引き離すように。」
劉備軍兵士A「ハッ!」
霞「面倒やなぁ・・・。」
船着場
陸遜「蓮華様!」
孫権「穏!本隊は!」
陸遜「もう亞莎ちゃんと明命ちゃんにも撤退の指示を出しています。蓮華様も、早くこちらの船に。」
これには
孫権「そんな・・・!我ら孫家の者がどうして部下より先に逃げられるというの!」
そう言って孫権は反論したが
陸遜「んー。思春ちゃん達孫家の将や兵も、多分同じ事を言うので・・・そうなると、どっちも逃げられなくなっちゃうんですよぉ。」
陸遜の言葉に
孫権「・・・。」
孫権は悔しさに顔を歪ませた。
陸遜「まずは蓮華様がお逃げになれば、残る皆さんも安心して逃げられるんです。ですから、ね?」
そして
孫権「・・・分かったわ。けれど、この悔しさは絶対に忘れないから。」
と言い、船に乗った。
陸遜「はい。それは大事な事だと思います。船を出して下さーい。」
呉軍兵士O「はっ!出港、出港せよー!」
華侖「・・・はぁ、はぁ。中々やるっすね!」
周泰「そちらこそ!」
華侖「やあああっ!」
周泰「きええええいっ!」
一方の華侖と周泰は、一進一退の一騎打ちをしていた。
柳琳「うぅ・・・姉さん、大丈夫かしら。」
栄華「華侖さんは大丈夫ですわ!それより、自分の事を心配なさいまし!柳琳!」
柳琳「わ、分かってますけど・・・っ」
栄華「上の動揺は兵にも伝わりますわよ。いくら虎豹騎が優秀と言っても・・・」
しかし
虎豹騎A「曹純様が怯えておられる!」
虎豹騎B「おのれ!お前ら、我らが曹純様をお守りするぞ!」
虎豹騎C「曹仁様の応援に集中していただくのだ!」
虎豹騎「「「おおーっ!!」」」
動揺どころか逆に一つになったのだった。これには
栄華「ああ・・・例外もありますのね。」
と栄華は逆に引いてしまった。
周泰「・・・ぐっ!私の速さに付いてくるなんて・・・。」
その時
呂蒙「明命!穏様から、撤退の命令が!」
呂蒙がそう伝えに来た。
周泰「わ、分かりましたっ!・・・この勝負、お預けします!」
そう言って、周泰は呂蒙と一緒に撤退した。
華侖「え!?もう終わりっすか!待つっすー!」
柳琳「姉さん、その人の相手はもう良いわ!敵兵の追撃に移りましょう!」
そして、途中で愛紗達と合流し、呉軍の追撃に移ったのだった。
渡し場
ズバッ!
甘寧「ぐっ!」
一方の甘寧は、純との一騎打ちをしていたが、実力差は圧倒的であらゆる所を怪我し、遂に脇腹に大きな深傷を負ってしまった。
純「やるなぁ・・・甘寧。けど、今のでテメーはもう終わりだ。」
甘寧「ぐっ・・・!この程度、大した事ではない!」
純「強がんじゃねーよ。今のはかなりの深傷だ、もう動くのもキツいだろう。楽にしてやる。」
甘寧「ふんっ!まだ私は死ねない!この辺りにさせて貰おう!・・・はっ!」
そう言って
純「な・・・身投げしただと!?」
甘寧は水中に飛び込み、孫権達が乗っている船へ向かって泳いだのだった。
純「あの傷でもまだ泳げるとはな、何て奴だ。」
そう言って、甘寧が泳いだ後には血が流れてるのを見ていた。
純「さてと、残りはどうなってるかな・・・。」
そして、渡し場を後にしたのだった。
呉軍
呉軍は船で撤退し、その途中
陸遜「蓮華様、あそこです、あそこに!」
孫権「思春!捕まりなさい、手を伸ばして!」
甘寧「蓮華様・・・!」
甘寧を船に上げた。
甘寧「・・・申し訳ありません、遅くなりました。」
孫権「いえ、無事で良かっ・・・」
しかし
グチュ
孫権「・・・え?」
孫権の手には大量の血がこびり付いており、甘寧を見ると
甘寧「・・・ぐっ!」
甘寧の身体には至る所に傷があり、中でも脇腹の裂傷は誰が見ても重傷だと分かるものだった。
孫権「どうしたの思春、この傷は!」
甘寧「・・・どうという事はありません。・・・どれもかすり傷です。ぐっ・・・。」
しかし、甘寧は主を心配させないためそう言ったのだが、見る見る顔色が悪くなっていき、そのまま倒れてしまった。
孫権「思春!穏、すぐに軍医を!」
陸遜「わ、分かりましたぁ!!」
甘寧「蓮華様・・・。」
孫権「思春、今の私がいるのは貴女のお陰よ!!決して貴女を死なせはしないわ!」
そう言って、孫権は甘寧の手を握って涙を流しながら言った。
孫権(曹子文・・・この屈辱、絶対に忘れないわよ。次こそは、必ずあなたを討って見せる!!)
そう思いながら、甘寧の手を強く握ったのだった。
そして、合肥攻めは、呉軍は四万の死傷者を出す大敗北を喫したのであった。
投稿できました。
長くなってしまいましたが、お許し下さい(土下座)
それでは、また。