陳留
合肥から戻った純は、建業攻めのための準備をしていた。その息抜きで、少し外の空気を吸いに外出していた。
純「この前会ったアイツ・・・元気にしてっかなぁ・・・。」
その時、ふと合肥の近くで会った少女を思い出していた。
純(あれから、結局それっきりになっちまったんだよなぁ・・・。それにあの女子、もしかしたら孫堅の娘なのかもしんねーな。何か似てるし・・・。)
純(まあ、似てるってだけでそれの娘と判断するのも良くねーんだけどな・・・。)
そんな事を思っていると後ろから人の気配がしたので振り返ると
純「あっ・・・。」
??「あ・・・えっと・・・ごめんなさい、また驚かせちゃって。見覚えのある後ろ姿だったから、もしかしたらと思って。私の事、覚えてますか?」
以前合肥で会った少女がいた。
純「ああ、久し振り!息災だったか。」
??「ええ。」
そして、二人で街を歩き、近況報告をしていた。
純「・・・そっか。あの仕事は、失敗しちったのか。」
??「ええ。その後・・・担当を外されてね。姉様から、次はこちらに行くように言われてしまって。」
純「そっか・・・。」
??「あなたが羨ましいわ。しっかり結果を残して、姉の信頼に応えるんだから。」
純「俺は大した事してねーよ。俺の周りの者が支えてくれたら何とかなったんだ。俺一人の力じゃねーよ。」
??「そう・・・。それに比べて私は・・・」
すると、自分と比べたのか、元気が無い雰囲気になった。
純「・・・けどさ。」
??「え?」
純「担当替えしてまで外回りを続けるなんて・・・アンタ、姉に大切にされてるんだな。」
??「そうかしら?正直、顔も見たくないのだと・・・」
純「んー。前の仕事が向いてないと思われたんだと思う。けど、本当に見限られたなら、元の部署に戻されて終わりなんじゃねーのか。」
??「元の部署に・・・そうね。」
純(その姉、ウチの姉上に似て、不器用そうだな・・・。)
純「多分アンタの姉は、アンタに色んな物を見て来て欲しいんだと思うぜ。前は中の仕事って言ってたし、陳留は初めてなんだろ?」
??「ええ・・・。揚州を出た事も、数える程しか。」
純「・・・この後はどこに行くんだ?揚州に戻んのか?」
??「いいえ。都に寄ってから、陸路で益州に向かうようにと・・・。それも・・・もしかしたら?」
純「今は色々思う所があるかもしんねーけどさ。その積み重ねが、この先役に立つ事もあると思うぜ。俺はその姉を知らねーし、難しい事も分かんねーから、断言出来ねーけど。」
それを聞いて、少女は
??「・・・ううん。なんだか、そんな気がしてきたわ。」
と少し表情が晴れた様子になった。
純「そう前向きに捉えた方が、良いんじゃねーのかな?」
??「・・・ふふっ。貴方と話していると、世の中には色んな考えがあるのだとびっくりするわ。」
純(・・・少し元気になったようだな。)
純「でも・・・都に寄ってから陸路で益州って事は、漢中を通って成都に行くんだよな?」
??「こちらの地理はそこまで明るくないのだけれど・・・そうなのかしらね?それが何か?」
純「今漢中や陽平関辺りは、前の戦であね・・・曹操の領地になって劉備と完全に相対する事になってきなクセーんだよ。遠回りになるけど、都を出た後は、荊州から回って成都に行く方が安全かもな。」
純(っぶねー、思わず姉上って口にしそうだった。流石に彼女の前で姉上って呼ぶわけにはいかねーよな。俺が曹孟徳の弟の曹子文だってバレたらメンドクセーしな。)
??「そうなの・・・。詳しいのね。」
純「ま、仕事柄な。」
??「そう・・・。」
その時
一刀「純ー!」
純の後ろから一刀の声が聞こえた。
純「ああ!」
??「・・・と、ごめんなさい。また長話に付き合わせてしまったわね。」
純「気にすんなって。俺もアンタの事気になってたから、今日は会えて良かったよ。」
??「ありがとう。それじゃ、またどこかで。」
純「ああ。良い旅を。」
純はそう言って拱手した後、その場を後にしたのだった。
純「悪い、一刀。」
一刀「いや、大丈夫。それより、さっきの女の子は?」
純「ああ。前合肥の近くで会った者だ。」
一刀「合肥で?」
純「うん。それで、少しぼかした内容で話をしたんだけど、仲良くなってな。」
一刀「そうなんだ・・・。」
純「あ、名前聞き忘れちった・・・。」
一刀「まあ、いつかそのうち会えると思うよ。」
純「そうだな。それより、何か用か?」
一刀「ああ。華琳が呼んでた。多分、建業攻めの事だと思う。」
純「・・・分かった。」
純(やっぱあの子、孫堅に似てんなぁ・・・。穏やかそうな雰囲気だけど・・・。)
孫権「物言いはともかくあの雰囲気からして、やはりどこかの豪族の御曹司ね。それに、あの時はよく見てなかったけど、結構腕の立ちそうな感じだったわ。」
孫権(でも、土地に詳しいのはともかくとして、曹操の所で言い間違えたのって・・・?それと、さっき彼の名を呼んだのは真名のようね。確か曹操の弟の曹彰の真名は、確か・・・)
その時
黄蓋「おや、蓮華様。このような所でどうなさいました?」
孫権の護衛に付いていた黄蓋が片手に酒瓶を持って現れた。
孫権「何をって・・・貴女を探していたのよ、祭。買物に出ると言って、いつまで経っても帰ってこないんだから。」
黄蓋「ははは。ですが、陳留の良い酒を手に入れましたぞ。いくつか試し呑みもしましたが、安酒ながらこれがなかなか。」
そう言って、黄蓋は酒瓶を揺らしていた。
孫権「はいはい。なら宿に戻りましょう。明命や美花達も待ちくたびれているわよ、きっと。」
黄蓋「無論です。蓮華様も是非お付き合い下され。・・・蓮華様?」
孫権「そ・・・そうね。帰ったらね。」
すると、少し嬉しそうな表情で孫権は言った。それを見た黄蓋は
黄蓋「はて。以前合肥の近くでお会いした者でもお考えか?」
と言った。
孫権「・・・!い、いえ、そんな事!?」
黄蓋「ははは、蓮華様も良いお年だ。そのくらいの浮いた話があっても誰も驚きはせぬよ。・・・して、どこの輩ですかな?」
孫権「前も言ったでしょ。一度会って、少し話しだだけであって、どこかの豪族の御曹司のようだったって・・・。」
孫権「それに・・・結構腕の立ちそうな感じだったし・・・」
黄蓋「ふむ。豪族の御曹司であって、尚且つ腕の立ち、恐らく兵も持っているはず。いっその事、召し抱える手もありますが・・・」
孫権「だ・・・だから、そういうのじゃないってば!」
黄蓋「ならば、そろそろ帰りましょうか。・・・そう睨まずとも、明命達には黙っておきますとも。」
そう黄蓋は言ったのだった。
孫権「全くもぅ・・・。」
孫権(しまった。またあの人の名前、聞きそびれちゃった。)
孫権(けど、何だろう・・・?彼に会うと、胸が熱くなって・・・。この気持ちって・・・?)
そんな事を思い、宿に向かった孫権だった。
投稿できました。
ちょっとゲームでもあったお話を少しアレンジしてみました。
それでは、また。