揚州・皖城
呂蒙「皖城が見えてきましたね・・・。」
孫尚香「・・・むー。本当に魏の旗が立ってるわね。」
陸遜「どうしますかぁ、小蓮様。兵は十分な数がいますし、このまま攻城戦に入っても良いですけど。」
孫尚香「そんなんじゃ、曹彰が来るまで取り返せないわよ。もう二、三日しかないんだし・・・日が昇るまでには何とかしたいわね。」
この発言に
甘寧「朝までにですか?それはまた強引な。」
と甘寧は言ったが
孫尚香「そのくらいしないと間に合わないわよ。城を落とした後は、曹彰を迎え撃つ準備だってしなくちゃいけないんだし。」
孫尚香「濡須口は負けない戦いをすれば良かっただろうけど、ここは勝ちに行かなきゃ勝てないんだからね!誰か、良い策はない?」
周泰「そうですね・・・。日が昇る前に城壁を登って、忍び込むというのはどうでしょう?」
孫尚香「良い考えだけど・・・出来るの?」
周泰「あの壁を見る限り、そんなに難しくはないですよ。」
孫尚香「良し。出来るならそれでいきましょ。なら、行くのは明命と、シャオと・・・」
しかし、孫尚香も攻め手に入ろうとしたので
甘寧「お待ち下さい小蓮様!指揮官が敵の城に率先して忍び込むなど、危険過ぎます!」
と甘寧が止めた。
孫尚香「皆が命を懸けて戦ってるのに、シャオだけ安全な所になんていられないよ。ただでさえシャオは経験も実力も足りてないんだから、このくらいはしなきゃ。」
甘寧「そこまで御自覚いただいているなら、そのお気持ちだけで十分です。・・・明命、城に忍び込むのは、私とお前だ。」
周泰「分かりました!」
呂蒙「でしたら、私と小蓮様で陽動をすれば成功率も上がるかと。穏様は我々の後詰めと支援をお願い出来ますか?」
陸遜「大丈夫ですよぉ。小蓮様、それで宜しいですか?」
孫尚香「むむむ・・・仕方ないわね。」
孫尚香「なら、作戦はそれで良いわね!皆、行動開始よ!」
そして、孫尚香率いる部隊は、皖城奇襲作戦を始めたのだった。
皖城近く
純「皖城が奇襲されたと。」
合肥を出て、皖城へと向かっていた時に、皖城の守備兵がその報告をした。
皖城守備兵A「はい!気が付いたら城壁の中に忍び込まれまして・・・関羽様と皇甫嵩様が応戦しておりますが・・・」
純「・・・悩んでも仕方ねーな。後続は護衛と共にこのまま進軍、前衛は俺に続け!秋蘭!」
秋蘭「はっ!攻撃部隊は、全速で進め!」
そして、皖城に向かって、全速力で進軍した。
皖城
愛紗「純様、申し訳ありません!」
純「皆は無事か?」
純達が到着した時、愛紗達は皖城から撤退し、合流した所だった。
楼杏「皆、何とか脱出出来たわ・・・。」
稟「とりあえず状況を聞かせて下さい。」
愛紗「ああ。夜明け前に奇襲があり、いつものように籠城で応戦したんだが・・・そっちは陽動で」
楼杏「気が付いたら、城門を乗り越えてきた兵に門を開けられた後だったわ・・・。」
秋蘭「成程・・・。門を開けられては、数刻と持つまい。」
翠「確かに・・・。」
愛紗「ああ。使いの兵を出した後、何とか敵を追い出そうと粘ってはいたのだが・・・日が昇る頃には城を追い出されてしまった。面目次第もありません。」
愛紗「敗因はひとえに、孫権の堅実な戦いぶりに慣れきっていた我々の慢心です。この処罰は、如何様にも。」
そう言って、愛紗は自らの首を差し出した。
風「とはいえ・・・この場合は、兵に損害がない事を評価すべきですねー。愛紗ちゃん達でなかったら、ここには誰も立ってないかもしれません。」
純「取られたものはまた取り返せば良い。それに、この大事な時期に俺にとって大切な仲間を二人失うわけにはいかねー。」
純「処罰は保留だ。この遠征が終わるまでに、今日の失策を取り返す手柄を立ててみせろ。・・・良いな?」
それを聞いた愛紗は感激し
愛紗「御意!」
と拱手し言った。
純「うむ。・・・さて、問題は敵の将が誰かだな。」
稟「純様のような展開速度と奇策を使う将ですね。孫権は濡須口でしょうし、孫策ならもっと力に任せて押し込んできますし・・・と言っても、純様も力ずくで攻めますが。」
純「おい、稟。」
愛紗「陽動側に立っていたのは・・・桃地に孫。少なくとも、合肥に攻めてきた将の中では見た事のないものでした。」
純「ふむ・・・確かにそのような旗は見てねーな。」
風「だとしたら、末娘の孫尚香さんかもしれませんねー。孫策さんに負けず劣らずの苛烈な性格だと聞いてますが。」
純「そうか・・・。」
その時
秋蘭「純様!城門が開いて、敵の将が出て来ました!」
皖城の城門が開き、孫尚香が出て来た。
純「噂をすればなんとやら・・・だな。」
秋蘭「如何なさいますか?」
純「俺が出る。皆も支度しろ。」
そう言い、純は馬を前に出し、孫尚香と対峙した。
純「・・・お前が、そちらの指揮官か?」
孫尚香「ええそうよ!我が名は孫尚香!江東の虎、孫堅の末娘よ!」
純「そうか・・・孫堅の娘か。成程ね、この皖城を一瞬で取り返した手並みを見れば、頷ける。」
孫尚香「ふふん・・・そうでしょ?この江東に攻め入ってきた事、骨の髄まで後悔させてあげるんだから!」
純「そうか・・・。しかし、『黄鬚』の力を侮らないで貰いたいな。」
孫尚香「ムキーッ!城を取り返されたくせに偉そうに!そんな異名、弱いから所詮格好つけたいだけの名前でしょ!」
純「・・・だとしたら、どうする?」
孫尚香「そんなの、決まってるでしょ!」
そう言うと、孫尚香は、合図を送った。すると、城から一匹の大きな虎が現れた。その虎は、通常の虎よりも一回り大きい虎だった。
純「ほお、随分デケー虎だな・・・。」
孫尚香「ふふん・・・そうでしょ?アンタなんか、この子に食い殺されちゃいなさい!」
そして
孫尚香「行きなさい!!」
そう虎に命令した。すると、虎は純達めがけて走り出した。
純「ふんっ!」
しかし、純はそれに動じる事なく虎めがけて馬を駆けた。
孫尚香「馬鹿ね!この虎は普通の虎よりも大きく、力も強いのよ!」
それを見た孫尚香は、鼻で笑いながら言い
孫尚香(それに明命と少し似てる剣を持ってるけど、明命と違って少し反ってるわね。けど、アイツはそれを抜いてない。やっぱり、所詮名前だけなのね・・・。)
蔑む感じで純を見ていた。
ガガガ
純めがけて爆走する猛虎に対し
ガガガ
馬を駆ける純。すると純は、馬の鬣を強く掴み、鞍に片足を掛けた。
そして、獲物目掛けて飛ぶ猛虎に、同時に純も馬を高く跳躍させた。
空中で純は鬣を引っ張り、馬の頭と猛虎の頭を激しく打ち付けた次の瞬間、純は鞍から跳躍し、
純「うおおおおっ!!」
ドシュッ!!
手刀を猛虎の背中に叩き込み、深々と突き刺さったのだ。
ドドオオン!!
そして、猛虎の体は、大地に激しく叩きつけられ、その猛虎の背中からは鮮血が迸った。
孫尚香「え!?」
これに、孫尚香は顔面蒼白となった。孫尚香だけじゃなく
甘寧「!?」
周泰「ひっ!?」
呂蒙「そんなっ!?」
陸遜「ありえないですよー!?」
皖城内の甘寧達も同じ顔をしていた。そんなのを余所に
純「じっとしてろ!」
背中に貫いた腕を笑いながらブチャ、グチャっとこねくり回して
純「今すぐ楽にしてやる!」
と言い、そして
ジュバッ
純は、その猛虎の背中から手を引っこ抜いた。その手には、何と猛虎の心臓が握られていたのだった。
これを見た孫尚香は
孫尚香「な、何アイツ・・・!?江東に住んでいるあの虎をこうも容易くなんて・・・!?何なのよアイツ・・・!?」
あまりにも現実離れした光景に呆然とし、恐怖の顔色を浮かべていた。一方
秋蘭「あれくらい当然だ。」
風「・・・ぐぅ。」
稟「寝ないで下さい!!」
風「・・・おぉ!?あまりにも現実離れした光景に遂・・・。」
稟「全く・・・。」
曹彰軍兵士A「流石曹彰様だぜー!!」
曹彰軍兵士B「御大将の膂力を舐めて貰ったら困るぜ!!」
曹彰軍兵士C「見たか、江東の者共!!」
純率いる軍は、皆賞賛の声で満ち溢れ、一部は現実逃避のあまり寝るほどだった。
それを余所に
純「どうした?」
純は不敵な笑みを浮かべながら立ち上がり
純「怖じ気づいたか、江東の虎の末娘!」
猛虎の心臓を、後方へと放り捨てた。それを見た孫尚香は
孫尚香「な、なら・・・こ、江東の兵の恐ろしさ・・・た、たっぷり教えてあげるんだから!」
怯え且つ涙目でそう言い、皖城に戻ったのだった。
それを見た純は、自軍に戻り
純「総員、攻撃準備!江東の連中を、遠慮なく叩き潰せ!」
純「夕刻までに、決着を着けるぞ!」
「「「おおーっ!!」」」
そして純達は、皖城へ総攻撃を開始したのだった。
投稿できました。
上手く書けたか分かりませんが、もしよく分かんなかったら、お許し下さい(土下座)
それでは、また。