皖城はあっさりと陥落し、純達は城内に入った。
愛紗「伏兵の存在に気を付けろ!周辺を警戒しつつ、城内の制圧を急げ!」
楼杏「愛紗さん。」
愛紗「楼杏殿。どうでしたか?」
楼杏「一通り見てきたけど、罠はなかったわ。ただの空城だわ。」
愛紗「そうですか。別に空城の計ってわけではなかったか・・・。」
楼杏「ええ。細かいところも見ておくけど、恐らく大丈夫だと思うわ。」
すると
純「楼杏。罠はなかったか?」
と純が現れ、楼杏にそう尋ねた。
楼杏「ええ。特にそれらしい物は見当たらなかったわ。」
純「そっか。なら、予定通りここは前線基地として使わせて貰おう。皆にも、そう伝えろ。」
愛紗「御意!」
楼杏「分かりました。」
そう言われ、愛紗と楼杏はその場を後にした。
純「稟・・・敵は動揺してたとはいえ、敵は籠城する気はなかったのかな?引き際を見ても、あっさりと退いた感じだったし・・・。拠点を構えておけば、俺達の動きはある程度縛れる筈なのに・・・。」
稟「これは周瑜の策かと。恐らくですが・・・顔見せと実力を計るつもりだったのではないかと。」
純「そうか・・・。この後周瑜がどんな手を打ってくるか・・・!」
そう言いながら、純は稟と一緒に歩いた。それを見た稟は
稟(最近の純様は、益々覇気が強くなった気がしますね・・・。それも武人としての覇気だけじゃなく、実際に見たわけではないのですが、どこか西楚の覇王項羽に匹敵するかの如く・・・。)
稟(けれど、どのような道を歩もうと、私は貴方様の傍を離れるつもりはありません。例え悪鬼羅刹の道に落ちようとも、私はそれに付いていくまで・・・!)
そう思いながら純を見ていたのだった。
呉軍
甘寧「大丈夫か。皆、怪我はないか?」
陸遜「はい、大丈夫ですよー。ただ・・・」
そう言って、陸遜は後ろを振り返った。そこには
孫尚香「・・・うっ・・・ぐすっ。」
甘寧「小蓮様!?」
孫尚香が、涙を流し縮こまってしまっていた。
甘寧「やはり、先程の・・・」
陸遜「はい。冥琳様の作戦通りなのですが、小蓮様がこのように・・・。先程曹彰さんがあっさりと虎を倒してしまい、先陣を切って皖城を攻撃し我が軍の兵を斬り殺すその姿に恐怖を感じてしまったのでしょう・・・。」
甘寧「そうか・・・。やはり、『黄鬚』の異名は伊達じゃない・・・!」
呂蒙「穏様!後方部隊、合流しました!」
甘寧「穏・・・どうすれば良い?」
陸遜「私達にとって大事なのは、曹彰さんを長江に渡らせない事です。向こうに合わせて時間稼ぎをするのではなく・・・こちらがやりたいようにやるのが一番なんですよぉ。」
陸遜「それに、今の小蓮様では、籠城しても意味なかったと思いますよぉ。」
甘寧「・・・そうだな。撤退するぞ!」
そして、孫尚香率いる軍は、撤退した。そして、孫尚香の代わりに穏が指揮を取ったのだった。
益州・成都
魯粛「えっと・・・お初にお目に掛かります、劉玄徳殿。私の名は魯粛。我らが孫呉の主、孫策よりの書状を持って参りました。」
その頃、太史慈と魯粛は成都に到着しており、魯粛は使者としての挨拶の練習をしていた。
魯粛「いや、参上致しました、の方が良いですかねぇ。」
太史慈「おー。上手い上手い、やれば出来るじゃん。包。」
魯粛「もぅ・・・やれば出来るじゃん、じゃないですよー!梨晏様が堅苦しい挨拶はどうしてもイヤだって言うから、仕方なくやってるんですってばぁ。」
魯粛「包だってこういうの苦手なんですよ・・・。うぅ、ちゃんと練習しとかないと、絶対に噛むか頭の中真っ白になっちゃいますよぅ。」
そう言い、魯粛は泣き言を言うが
太史慈「別に大丈夫だって。蓮華様の話じゃ、劉備ってそんなに堅苦しい事言わない性格らしいし。」
と太史慈はそう言った。
魯粛「だからって初っ端から梨晏様みたいに馴れ馴れしくして良いわけないじゃないですかぁ!包がいなかったらどうするつもりだったんですか。」
そう言われ
太史慈「んー。・・・お初にお目に掛かります、劉玄徳殿。我が名は太史慈。我らが孫呉の主、孫策よりの書状を持って参上致しました。・・・こんな感じ?」
太史慈は挨拶をやってみたが、まさに完璧だったため
魯粛「ひゃわわ!ちゃんと出来るじゃないですかー!」
と魯粛はそう返した。
太史慈「そりゃ出来るよ。面倒くさいからイヤだっただけで。」
魯粛「あぅぅ・・・包、完全にハメられました・・・。もう世の中の全部が信じられません・・・何もかも滅びれば良いのに・・・。」
太史慈「向こうには包が代表って言ってあるから、頑張って♪」
すると
??「あのー。失礼します。」
太史慈「あ・・・。」
魯粛「・・・ひゃわわ!何ですか!?」
一人の少女が部屋に入ってきた。
??「一応、謁見の間の準備が出来たんですけど・・・。どうしましょう?」
魯粛「す、すいません。謁見の間に行く前に、もう一回だけ練習させてもらって良いですか?この人がアテにならないんで、あなたで。」
??「はぁ・・・練習。」
魯粛「え、えーっと・・・お初にお目に掛かります、劉玄徳殿。私の名は魯粛。我らが孫呉の主、孫策よりの書状を持って参りました。」
魯粛「ああ・・・とりあえず何とかなりそうですよ。本番の劉備さんも、あなたくらいホワッとしてお話ししやすそうな感じだと楽なんですけど。」
??「あ、あはは・・・だったら大丈夫じゃないかなーと思うんですけど。」
魯粛「そうですかねぇー。」
劉備「えーっと、私がその劉玄徳なんです。」
少女のカミングアウトに
魯粛「・・・はい?」
魯粛は一瞬考えが追い付かなかったが
魯粛「ひゃわわー!?」
理解した瞬間、驚いてしまった。
劉備「お二人は堅苦しい場所が苦手って聞いたので・・・お話はこちらと謁見の間、どっちが良いかなって聞きに来たんですけど。」
魯粛「な、ななな、なんで一国の王がわざわざそんな侍女みたいな事してるんですかー!包、完全に侍女だと思ってましたよ!!」
太史慈「え、でも雪蓮もよくやるよね。」
魯粛「ああもう、ホントに何もかもが信じられませんよー!」
こうして、魯粛達は劉備に出会えたのだった。
揚州・濡須口
魏延「これが・・・呉の大船団。凄まじい規模ですね。」
孫策「ええ。この濡須口から目的地までは、まだまだ掛かるけれどね。」
周瑜「・・・しかし、梨晏達とは入れ代わりになってしまったな、諸葛亮。」
諸葛亮「そうですね。ですが、結果的には良かったと思います。」
諸葛亮「成都は詠ちゃんに任せていますし・・・周瑜さんと私達の考えが同じと分かりましたから、既に向こうも動き始めているでしょう。」
周瑜「・・・ふむ。そうだな。」
孫策「ま、曹彰の軍は神速だけどそれはあくまで地上での話。今回は水軍のためゆっくり来るだろうから、そこまで慌てなくても良さそうだけどね。」
孫権「姉様。船団はこのまま長江を遡るのですか?」
孫策「今のところ、荊州あたりの水軍が封鎖しているという話も聞かないしね。早い内が良いでしょ。」
孫策「荊州の水軍なんか物の数じゃないけど・・・相手が相手だし、余計な戦いをしないに越した事はないもの。」
孫権「そうですか。しかし、諸葛亮と冥琳の作戦は分かりましたが・・・曹彰は乗ってくるでしょうか?」
孫権の懸念に
諸葛・周「「はい。/ええ。」」
と諸葛亮と周瑜はそう返事をした。
孫権「・・・。」
孫策「私も乗るに賛成よ。・・・実際に直接相まみえた事も話した事もないけれど、母様から話を聞いてた限り、あれはそういう子でしょ。」
周瑜「いずれにしても、このまま正面対決をすればこちらは押し負けてしまいます。戦力に余裕があり、蜀との同盟が成っているうちに、背水の陣を敷くのも策の一つかと。」
諸葛亮「そして・・・それを背水の陣にしないのが、私達の役目です。」
これに
孫権「・・・分かりました。」
孫権はそう答えた。
孫策「なら蓮華。分かったついでにシャオを迎えに行ってあげて。濡須口は粋怜に任せたので良いわ。」
孫策「それに・・・シャオの様子が気になるし・・・。」
魏延「情報では、皖城には張遼こそいないものの、曹彰は来ているとか。」
孫権「分かったわ。・・・諸葛亮、魏延を借りても構わない?」
諸葛亮「はい。こちらの護衛は必要ありませんから・・・焔耶さんが良いのであれば。」
魏延「勿論お供します!是非同行を、孫権殿!」
そして、孫権は魏延と一緒に出陣したのであった。
投稿できました。
赤壁へ向けての足音がどんどん近付きましたね。
それでは、また。