曹彰軍本陣執務室
純「・・・ってわけだ。」
秋蘭「黄蓋が裏切るのは想定の範囲内でしたが、そのような策でこちらを縛るつもりでしたか。」
稟「先程黄蓋と一緒だった鳳雛ですが、恐らく蜀の鳳統の事でしょう。あまり表には出て来ませんが、臥龍・諸葛孔明と双璧を成す知将だと聞いています。」
純「稟。この先の向こうの手は先程言った通りか。」
稟「はい。恐らくそうだと思います。」
風「恐らくですが、黄蓋さんも計画の全貌は知らずに動いているのだと思います。鳳統さんの正体を知っているかどうかも、微妙かとー。」
純「すると、周瑜との亀裂もその後の懲罰も、阿吽の呼吸で打ち合わせなく演じた・・・という事か。」
風「はいー。そうだと思いますよー。」
純「それに、策を知っていれば、どうしてもそちらに意識が向く。その手がどんな一手となるかを知らずに専念すれば、俺達にその先を読まれる事はねーしな。」
純「例えるなら、春蘭のあれだな。」
秋蘭「はい、そうですね。」
稟「はい。韓非子にも三人にして迷う事なしとありますが・・・今回の三人は、呉と蜀の軍師達です。」
純「周瑜、諸葛亮、鳳統の三人か、確かに迷わねーな・・・。そしたら、昼間の縄で繋いだ舟は・・・」
稟「この辺りにそんな風習はありません。」
稟「もっと南方には、転覆を防ぐために張り出した浮きを付ける舟はありますが・・・その程度です。」
純「今夜の提案に信憑性を持たせるための誰かの策か・・・。手の込んだ事をする。」
秋蘭「如何なさいますか?」
純「鎖の出方は向こうの出方に任せる。罠を破ったと言外に伝えるのもつまんねーし、一度は乗ってみせねーとな。」
純「黄蓋の提案を受け入れ、罠に掛かったふりをして、罠を仕掛けた狩人を食い殺す方針で行く。」
稟「はい。それで宜しいかと。」
純「秋蘭は、黄蓋が動いたら対応しろ。正面は愛紗に任せる。」
秋蘭「はっ。」
純「風は火計の対策を。鳳雛との交渉も任せるが、くれぐれも正体を知っている事を気付かれねーようにな。」
風「分かりましたー。」
純「稟、お前は全軍の指揮を任せる。」
稟「お任せ下さい。それと純様も前線に出ると思いますが、どうかご無事で。」
純「無論だ。」
そのまま極秘の話し合いは終わった。
呉蜀連合軍
孫尚香「祭を見捨てるとは・・・どういう事!?説明して、冥琳!」
周瑜「聞いての通りです。今回の祭達の策は、必中の策であり危険。故に見捨てる事を決めました。」
周瑜「これは、諸葛亮も同意見です。」
諸葛亮「・・・はい。お辛いでしょうが。」
劉備「朱里ちゃん・・・。」
孫尚香「そもそも祭が敵陣にいるって・・・シャオ、そこから聞いてないわよ!?」
周瑜「敵に情報が流れるのを防ぐための策でしたからな。」
孫策「敵を欺くにはまず味方から・・・か。そのやり方は分かるけど、良い気分はしないわね。」
孫権「でも・・・本当に見捨てるしかないの?」
諸葛亮「はい。此度の策はまさしくこちらの起死回生の一手でありますが、あまりにも危険。誰かが行けば、死地に飛び込むも同然。必ず命を落とします。」
諸葛亮「それは・・・ここで決戦を挑む我らからすれば、敗北に他なりません。」
その時
諸葛亮「ゴホッ、ゴホッ・・・。」
諸葛亮が途中でむせた。
孫権「・・・諸葛亮?」
劉備「朱里ちゃん、大丈夫?」
それを孫権と劉備は気になって声を掛けたが
諸葛亮「大丈夫です。申し訳ございません。」
と言った。
孫尚香「それはそうかもしれないけど、祭だって見捨てられないわよ!」
その言葉に
劉備「私もシャオちゃんの意見に賛成だよ。」
と劉備も同調した。
趙雲「桃香様・・・。」
その時
鳳統「朱里ちゃん・・・。」
諸葛亮「雛里ちゃん!?どうしたの!」
黄蓋と一緒にいるはずの鳳統が戻ってきた。
鳳統「・・・黄蓋さんが、帰れって。この役目は老兵のやる事だって。」
鳳統「それと・・・孫策さんと周瑜さんに伝言です。」
周瑜「承ろう。」
鳳統「『我が孫呉の為に咲かせる徒花、踏みつけ進め。歩みを止めるな』・・・です。」
孫策「・・・祭。」
周瑜「咲いても意味なき花・・・か。」
孫策「・・・あの馬鹿。」
周瑜「我らは東南の風が吹き、祭達が曹彰の船に火を付けたその時、我らは一気呵成に突撃する。」
孫尚香「そんな事したら、祭は・・・」
周瑜「既に祭も覚悟の上です。・・・お辛いでしょうが。」
孫尚香「・・・。」
諸葛亮「でしたら皆さん。次の大きな動きは黄蓋さんが動いてからになります。それまで、しっかり準備を整えておいて下さい。」
劉備「・・・。」
こうして、呉蜀の作戦会議は終わった。
諸葛亮「ゴホッ、ゴホッ・・・。」
諸葛亮「ハア・・・ハア・・・。」
諸葛亮「私の身体・・・どうか・・・持って下さい・・・。」
諸葛亮「せめて・・・曹彰を倒し・・・桃香様の理想が叶うまで・・・。」
会議が終わった後、諸葛亮は皆がいない場所で手に付いた鮮血を見て、そう呟いたのだった。
しかし
鳳統「そんな・・・朱里ちゃん・・・。」
その様子を偶然見てしまった鳳統は、諸葛亮の病に気付き驚きを隠せなかったのであった。
投稿できました。
この赤壁ですが、本当に火攻めを食らって大敗を喫したのと、疫病が流行って厭戦気分になったため撤退しようと考えた曹操が、敵に利用されるのを恐れて燃やしたの二つの説がありますね。
前者が一般的ですが、果たしてどっちなんでしょうね・・・。
皆さんはどっちだと思いますか?
それでは、また。