僕は何故か3対3という変則ルールに則ったテニス勝負に出ることになってしまった。まぁ、テニス勝負は、はっきり言ってどうでもいい。問題なのは僕が注目されているということだ。ここで勝つことなど造作もない。3分と掛からずに終わる楽な仕事だ。だが、そんなことをすれば僕は一躍ヒーローとなり注目の的となってしまう。なんせ、クラスの人気者である灰呂が僕を選んだんだ。そうなってしまってもおかしくないだろう。とはいえ、何もせずに負ければ灰呂が僕に託したのにそれに答えられなかった、ということになっってしまい僕の好感度は下がってしまい違う意味で注目されるだろう。つまりだ、勝敗にかかわらずこれは僕がいかに目立たずに勝負を終わらせるか、そういう戦いなのだ。
ふむ、『53』か灰呂の僕が元テニス部部長発言によりやや上がったようだ。比企谷は『52』か。さっきの打ち合いのおかげで少し上がってるな。ちなみに、葉山は『87』か。偉い人気者だな。
ここでさっきから僕が言ってる数字について説明しておこう。この数字は“好感度パラメーター”という僕の超能力によって出したものである。これは“テレパシー”の応用能力で、周囲全員の心を読んで好感度を割り出し数値化したものである!!
僕の目標は『50』だ。そのためには、僕のところにボールが来た時は確実に打ち返す。と、いきなり僕狙いか。僕は、ネットをちゃんと越えられるようにほんの少しだけ力を入れて打ち返した。
ズシャン!
・・・・やっちまった。何が起こったかというとテニスボールがコートにめり込んだのである。僕は運動は出来るほうである。それこそオリンピックに出られるぐらいに。だからこそ名のだ。常人レベルに合わせるのはとても大変だ。今のだって軽めに打ったはずなんだがな。とはいえ、僕の好感度は『61』まで上昇した。どうやら、ギャラリー達はあのあたりはたまたま地面がぬかるんでたんだろうという結論に至ったようだ。
とはいえ、あんな球を打った僕にボールが飛んでくることはなくなったが由比ヶ浜さんが狙われ始めた。由比ヶ浜さんはまったく打ち返すことが出来ず比企谷がフォローしていたがそれでも点差はどんどん開いていた。僕が打たなくなったことで好感度が少しづつ下がってきてる。これはまずいな。僕は由比ヶ浜さんの前に出た。そして飛んできたボールを打った。今度は力を抜いて相手コートに入るように高めのフライでだ。だが、力を抜きすぎたせいでヒョロヒョロと相手コートに向かって落ちていく。
「ばか、何やってんだよ!」
黙ってみてろ、比企谷。今回は本気で力をいれたから大丈夫だ。
「よし!チャンスボール!」
そういって、葉山はスマッシュを打つ体制になった。だが、ラケットにボールが当たった瞬間ラケットがいきなり弾き飛ばされた。
「何がおきたんだ?」
葉山が驚いている。まぁ無理もない。ぼくは今回、回転に力をいれたのだ。これで僕の好感度は『74』だ。比企谷や由比ヶ浜さんには悪いが、あとは何もしなくてもいいだろう。どうせ、後は負けるだけだろうからな。そんなことを考えていると、いきなり由比ヶ浜さんがコートを離れて行った。そしてしばらくすると、
「この馬鹿騒ぎは一体なんなのかしら?」
由比ヶ浜さんが雪ノ下さんをつれて来た。雪ノ下さんの登場でギャラリーがさらに賑やかになっている。『72』か。かなり高いな。というか、僕の好感度が少しづつ減り続けている。間違いなく雪ノ下さんに吸収されているわけだが、ちょうど良かっただろう。あの状態から後は負けるだけだと考えていたんだ。そうしないと僕はかなりの人気者となって試合を終えてしまうだろう。それだけは避けたい。雪ノ下さんの参戦で勝ちが見えてしまった時はどうしようかと思ったが、何一つ問題ない。このまま雪ノ下さんの影に隠れるようにプレーしていけば確実に好感度はさがる。なら下げれるだけ下げればいい。微調整を加えながら『50』で終われるようにすればいいだけだ。なんて、考えているとゲームが再開された。
やれやれ、すごいな。あれからどうなったかというと簡単な話だ。雪ノ下さんが一人で次々得点を入れていくのだ。僕は何もしなくても好感度が下がっていった。いまや『53』まで下がってしまったな。このまま目標どおりかその近くで終われるだろうと安堵したのもつかの間いきなり流れが変わった。こっちがどんどん得点されていってる。どうやら、生まれつき何でも出来た雪ノ下さんは何でも真剣に取り組んだことがないから体力がまったくないそうなのだ。
なんということだ!このまま負ければ好感度がかなり下がってしまう。とはいえ、先ほどの手をもう一度使えば確実に怪しまれる。しかし今は相手のマッチポイントだ。このままではまずい。
すると、比企谷が打ったボールは誰も打てなかった。一体何が起こったのかと思えば、どうやら比企谷は毎日この場所にいるからこそ知っているこの場所特有の風の力によってボールを操作したのだ。
ふぅ、一時期はどうなるかと思ったが何とかなりそうだな。材木座のわけの分からない説明によって比企谷の高感度が『64』まで上がっていた。というか材木座がいたんだな。
あと2点だ。この調子なら比企谷が決めてくれそうだな。すると、比企谷がかなり高いフライを打った。
「あれこそ、メテオストライク!!」
材木座が変な技名をつけ、それがギャラリーに浸透していた。ちょっと材木座黙れ!ふぅ、なんにしてもこれで何とか勝てそうだな。葉山と三浦さんはボールをとりに行こうとしていたがいきなり立ち止まった。一体どうしたんだ?
パンッ!
なんだと!?ボールが打ち返された。戸部が比企谷の打ったボールの着地点に偶然にもいたのだ。
「よっしゃ~~~!魔球返し!」
打たれたボールは雪ノ下さんに向かって飛んでいた。雪ノ下さんは体力切れで動けない。それだけならまだいい。だが実は僕は雪ノ下さんの後ろにいる。そして、ボールの軌道から見て間違いなく雪ノ下さんが打てなければ僕に向かってくる道筋なのだ。この一番最後の大事な場面ではずしでもしたら確実に僕の好感度はかなり下がってしまう。これだけは避けなくてはならない。・・・・仕方がない。・・・本気を出すしかないか。
次回決着です。