ルディ(♀)、体液魔法を開発する   作:範婆具

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後編です。女性同士のキス描写があるのでご注意を。


ルディ(♀)とロキシー(♀)の魔術試運転のお話(後編)

「それで、なんですか?この魔術は…」

 

「はい、その…」

 

ロキシーのお説教は少しばかり長くなったが、思ったよりは軽く済んだ。

観念した俺は魔術を学んだ事で興味が湧いて、魔術を作成してみたかったと

子供のような言い訳をしてしまったが、それが結果的に功を奏した。

 

「子供が、それもまだ魔術を習ったばかりの子供だから魔術を探求したくなる気持ちはわかる」

 

「だが理論と実践方法を書くだけとはいえ、魔術は攻撃系のものが多い、

何かの間違いで暴発したら大変なことになっていた」

 

「今後は気を付けて魔術を扱うように、

そして新しい魔術を作成するというのは一朝一夕に出来るようなものではないため、

もし作成するにしても監督出来る魔術師についてもらう事。」

 

内容としてはこのような感じのお説教を受けた。

確かに自分が攻撃系魔法でも開発して、条件の緩いものであったら大変な事になっていた。

そこは深く反省しよう。

しかし強くうなだれていた俺を見て一通りお説教の終わったロキシーは、

慰めるように俺の頭の撫でながらあることを言い出した。

 

「ですがあなたの作った魔術、という物には興味があります。

もし魔術が不完全であったとしても、新しい魔術を作るというのは並大抵の事ではないし

もし良ければ見せてほしいのですが…」

 

はい、急にもじもじしながらこんな事を言い始めた。

 

(さてはちょっと俺が作った魔術について気になっているな…?)

 

普段なら作った魔術の内容的にも見せられるようなものではないので、

適当言ってお茶を濁していた所だったのだろうが今日の俺は違う。

説教された後だからかどこかやけっぱちな気分で、

作った経緯は誤魔化して詠唱や発動方法についてぶちまける事にした。

 

「あの、その…実は夜聞こえてくる音が気になってしまって、

どうしても抑えきれず…これを作ってしまいました。」

 

そう言って詠唱方法や発動方法、効果などを書いた紙を全てロキシーに手渡した。

年齢的に知ってはまずい部分は書かず、あいまいな表現にしているため、

ロキシーになぜこんなに性知識が豊富なのかと思われることはないだろう。

そう思いながら少しロキシーが魔術書を読み終わるのを待つと…

 

「………へ、へぇ。こういうのですか、なるほど…

ありがとうございました。参考に出来る部分も多そうです、ええ。」

 

何がなるほど、なのか。一通り読み終わった後、耳を真っ赤にして

ぷるぷると手を震わせながら俺に魔術書を手渡してきた。

すっげぇ動揺しているのが手に取るように分かってしまう。

いやいくらなんでも動揺しすぎだろう。正直かなりかわいい。

 

「あの、師匠…それでこの魔術書の事は…」

 

「あ、ああ…そうですね。正直私が危惧していた攻撃系の魔術ではなかったですし

問題はないとは思いますが…この魔術、まだ一度も試してないですよね?」

 

こくり、と首を振って頷く。当たり前だ。

この魔術はまともに相手がいないと出来ない。

一応相手が魔術師でなくとも発動できる設計ではあるが、

相手がいなければ絶対に使うことが出来ない。

無論魔術書を書いていた時の俺にそんな伝手はなく、一度も使用していないのである。

 

「ですよね…ええ、ある意味よかったですよ本当…

あの、こういう事は大事な人とやるものですからね?

仮に完成したとしても気軽にやりすぎてはいけませんよ?」

 

「はーい。」

 

ううむ、結局最後までお説教をされてしまった。

だが恥ずかしがるロキシーの様子が見れたし、ある意味収穫はあったとも言えるか――

 

「…それで魔術の試運転…どうしますか?」

 

「え?何言ってるんですか師匠。そもそもこれは相手がいないと出来ないと書いて…」

 

「ええ、そうですね。ルディの周りで大人であり、魔術関係に明るく、

この魔術書の内容を知った上で多少のトラブルにも対応出来る人でなければ危ないでしょう。」

 

「…うん?」

 

耳まで真っ赤にしたロキシーが早口で話を進めている。

こ、これはもしかして…

 

「私と、あなたで、魔術の試運転をしましょう。」

 

一つ一つ、区切るようにゆっくりと言葉を繋ぐロキシー。

顔は真っ赤に染まっていたが、目はいたって真剣そのものだった。

 

 

「……マジですか、師匠」

 

「ええ、マジです。」

 

 

拝啓、どうやら俺はいきなり師匠とキスをすることになりそうです。

 

 

 

 

 

 

 

俺の部屋の中に、ロキシー師匠が少しだけかがんで俺を見ている。

これがキス待ちという奴だろうか、前世で全くなかったイベントだが

まずこんなシチュエーションでやるものではなかった気がする。

大体、いくら1年も一緒に過ごしたとはいえ恋人にするような行為を…

いくら今同性にするといっても、さすがにするのは憚られる。

前世ではどうしようもなかった俺でも、こんな形でするのは良くないのではないか、

という最後のストッパーのようなものがかかっていた。

 

「…あの、師匠。」

 

「なんですか」

 

「いえ、今一度考え直すという事は…」

 

「何を言っているんですか?考えは変わりませんよ。

この魔術の試運転を出来ずにまたルディが別の魔術を作ったりしたら大変ですし、

もしかしたらこの経験がラノア魔法大学で役に立つかもしれません。

それにたかが同性同士のキス、それも子供相手なんですから全然抵抗なんてありませんよ。」

 

ストッパーの導きに従い一応ロキシーにやめないかという提案を送るも結果は御覧の通り。

先程より頬の赤みは引いて冷静に見えるが青い髪の間から見える耳は真っ赤。

そしてこの早口でまくし立てる口調。すごく覚えがある。

間違いなく今のロキシーは冷静ではない。

 

「い、いえ。ですから、こういうのは…」

 

やはり一度断るのがいいか、そうしたら冷静になるかもしれない。

そう信じて口を開こうとした俺の目の前で、雫が床に落ちた。

 

「…私の残せる物はそう多くないかもしれない。

だから弟子の作った物を形にしてあげたいんです…」

 

ぽろぽろと、涙がロキシーから流れ落ちる。

師匠が師匠でいられる時間はあまり残っていないのかもしれない。

それは俺にも薄々分かっていて、だからこそ魔術を必死で学んだ。

でも、今俺はその人から涙を流させてしまっていて――

 

「…わかりました。試運転、やりましょう。」

 

ええい、もう構うか。女を泣かせる男は最低だ。

そうパウロも言っていたし、自分もそう思っている。

ロキシーに悲しそうに泣かれるのは嫌だし、どうせならうれしくて流す涙が見たい。

もし後で何かしっぺ返しが来ても知った事か!

しばらく俺は思考を放棄して、試運転に全力を挙げる事にしよう。

 

「…いいんですか。ルディ?」

 

「ええ。私が作った魔術…試運転さえ出来れば晴れて作成したと胸を張れます。

あまり誇れる物でもないですが…師匠が喜んでくれるなら、やらせてほしいんです。」

 

「…もう、まったくもう…

ほら、こっちに来てください。ルディ。試運転、始めましょう?」

 

「…はい。その…体液の交換、というのは初めてですので…

師匠、頑張りますね?」

 

「え、ええ。任せておいてください。

異性の男性ならともかく、女性の子供のルディですから。

私がしっかりサポートしてあげますよ。」

 

いつの間にかすっかり夜の帳が降りた中、二人が

短くも楽しい談笑をする。

女性の膝の上に座りにこりと笑いながら話す少女に対し、

青髪の女性は少しお姉さん風を吹かせながら落ち着かせるように少女の頭を撫でながら

苦笑も交えた会話をしていた。

途中からゆっくりと、しかし確実に口数は減り、その度に二人の頬は赤くなっていく。

やがて二人は吸い寄せられるようにお互いの顔を近づけると、

決して離さないようにお互いの手を握り合いながら詠唱を始める。

 

「~~~~~~~~~~~~~~~」

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~」

 

「……………し、しょう…」

 

「……………いきますよ、ルディ。」

 

詠唱が終わると、近かった二人の距離はさらに縮まる。

愛を囁くように目の前の女性の名前をつぶやくと、二人は瑞々しい唇を近づけ――

啄むように、おっかなびっくりと。

次第にゆっくり、深く食い込ませるように…唇を重ね合わせた。

 

「んっ…ちゅっ、ちゅぷっ…んぅ…」

(………やわらかい、師匠の唇…綺麗だなぁ)

 

「ふっ…うううん…ん、ちゅっ…」

(落ち着きなさい、私…これは練習…あくまで試運転…)

 

唇を重ね、お互いのとろとろになった液体を送り合う。

恋人ならおかしくない行為を、まだ小さく見える二人の――それも女性がするというこの光景は、

この情事を見ている者がいれば大いに背徳感を感じたかもしれない物だった。

その光景を作っていた二人が余裕を保っていられたのは最初だけ。

ぞくぞくと背中を駆け抜ける快感を二人は交わし合う液と唇の間で感じていた。

 

(あ、あれ?想定より明らかに、ふわふわして――)

 

(な、なにこれ…?こんなの、一人でする時よりも、ずっと…)

 

動揺する二人が見過ごしていたのは、魔術書にも書かれていなかった副次効果。

実際に試運転するところまで分からなかった、「行為中の快楽の強化」というバグによる物だった。

ディープキスをいきなりやってしまった二人の身体の中には、

明らかにディープキスだけでは会得出来ない、数倍に増幅されたのかと思うような快感が

一気に頭から下腹部に二人の中を突き抜けて――

 

「~~~~~~~~~っ、う、あっ…!?」

 

「んっ!?んううううう~~~~~~っ!!??」

 

身体の中に広がり、未だに増幅を続ける快感に襲われた二人。

一方は女性の快楽は「初体験」までは済ませていないが自分で快感を得る機会はあり、

もう一方は異性としての自分で快感を得た経験はあれど、今の身体で快楽を得る機会はなかった。

経験値の差は総合的にあまりない二人であったが、

下手をすれば二人の総合的な快楽を超えるような気持ちよさが、

二人の脳を焼き切るようにして快楽を前にしても、

お互いを見つめたまま決して唇は離さなかった。

 

(ししょう、ししょう…っ!!)

 

(だいじょうぶ、です…っるでぃ、平気ですからねっ…!)

 

初めての女の快楽に戸惑うルディも、

快楽に戸惑うルディを快楽の波の中でも必死に意識を繋ぎ留めながら頭を撫でるロキシーも。

お互い唇を決して離さないまま、時間は過ぎていき――――

 

 

「はぁ、はぁ、はぁっ…」

 

「んっ…ぅ、ふぅ…っ…」

 

十数分か、三十分か。二人にとっては時間の感覚が狂ったまま時は過ぎ、

お互いが快楽に耐えきれず床に崩れ落ちた所で、試運転は終わった。

 

二人とも肩で息をしながら、必死に息を整える。

しかしそこに苦痛はほとんどなく、試運転が終わった後も細かく震える膝、

そしてルディとロキシーの唇と唇を未だに繋ぐ白い糸のような液体がそれを証明していた。

 

 

そして――

 

「…その、せんたく…しましょうか?ルディ。」

 

「そ、そうですね…お風呂も、入らないと…べたべた、しますし…」

 

ロキシーは置いていた帽子を目深に被り赤く染まった顔を必死に隠し、

ルディはロキシーの方を見れないのか、ロキシーの服をぎゅっと掴んで離さず。

二人は少しだけ明るくなってきた家の中でこっそりと、

服を洗い、二人でお風呂に入る事になったのだった…

 

 

(魔術書を書いて寝るはずだったのに…どうしてこうなった?)

(なんで、こんな事になったんでしょう…?)

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