FGO+スクライド Fate Grateful Olderman  −ある偉大な兄貴の物語−   作:なんJお嬢様部

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とりあえず導入部分。

設定として、クーガーの兄貴はアニメ版の最後のシーンで死亡している、つまり小説版「アフター」に派生してない状態です。FGO的に言うと剪定事象の世界線です。


一人の漢の夢の終わり

ーーロストグラウンド。

 

 21世紀初頭に起きた、《大隆起現象》によって日本の首都圏に生まれた新たな大地(フロンティア)。日本本土からの支援を受けて復興した市街と、隆起により建造物や地形が崩壊したまま放置された崩壊地区に分かれたロストグラウンドにおいて、その格差故に、双方を住処とする人間たちの対立が起きるのは必然といえた。

 しかも、都合の悪いことに、ロストグラウンドにはその対立を激化させる一つの要素が存在した。

 

ーーアルター能力。

 

 それは、ロストグラウンド生まれの新生児の約2%に生まれつき備わった特殊能力。自分の意思の力(せいしんりょく)によって、周囲の無機物を原子レベルで分解、自分にとって都合のいい形態に再構成する力である。

 

 そんな、ロストグラウンドの空を二人の(おとこ)が翔ぶ。それはもちろん彼らのアルター能力によるものだ。

 二人は常人では光の軌跡にしか見えない速度で交差する度弾き合い、しかしまた光の速さでぶつかり合う。まるでお互の身をぶつけ合うことこそが、自分が今ここに存在する唯一の証であるかのように。

 互いを喰らい合う獣のように、あるいは競い合う歓びに咽ぶ戦士のように、二人の交差は終わるところを知らない。

 

 そして、そこから遥か離れた地上から、漢たちを眺める一つの影があった。高台に刺したパラソルの下、サイドテーブルに本を広げ、優雅に椅子の背に身体を預ける長身の男。男の目には二人のやり取りが、光の線ではなくはっきりとした動きで見えていた。

 

「わー、すっげー!」

「アルター使いってあんなこともできるんだー!」

「もっと近くで見ようよ!」

 

 男のいる高台の下を、恐らく彼らもアルター使いなのであろう子どもたちが駆け抜けていく。その背に向かって、男は「おーい、坊主ども」と声をかける。

 

「あそこで闘ってる二人な、一人は俺の同僚で、もう一人は俺の弟分なんだ。中々頑張っちゃいるが、俺から言わせればまだまだ半人前だな」

 

 その言葉に、子どもたちは目を輝かせながら男の下へ駆け寄る。ロストグラウンドに、特に崩壊地区に住む、子どもたちにとってはアルター能力者は憧れのヒーローなのだ。

 

「お兄さんそんなに強いアルター使いなの!?」

「えーっ、うっそだぁー!」

「嘘じゃねぇよ、俺は世界を縮める男だからな」

 

 期待と疑いの混ざった眼差しを向ける子どもたちに、男は不敵な笑みで応えてみせる。子どもたちはそこから男に宿る強者のオーラを感じたのか、「わっ」と歓声をあげる。

 

「ホントに!? なら、アルター能力の上手な使い方教えてよ!」

 

 子供からの質問に、男が「ああ」と答えようとした瞬間、一陣の風がその間を駆け抜けた。どうやら、空を舞う漢たちが、一度仕切り直しをするために距離をとって飛んだらしい。

 

「あっ、向こうにいっちゃう!」

「早く行こうぜ!」

 

 先程までの、やり取りは何処へやら。子どもたちは、漢たち(あこがれ)の描く軌跡を追いかけて駆け出していく。

 その背中を見送りながら、男は「やれやれ」と肩をすくめてから、再び椅子の背に深く身体を預けた。視線の先には、先程よりも遥か遠くに輝く2つの光が見える。もう、そのやり取りは男の目にも映らない。変わりに男の目に浮かぶのは、何かを成し遂げた者特有の充足感と、些かの羨望だ。

 男も、かつてはアルター使いの一人だった。しかし、強敵との死闘を潜り抜けた男の体は、もはやアルター能力の使用に耐えられる状態ではなくなっていた。文字通り、命を削っての闘いだったのだ。

 それでも、男は自分がやるべきことを成し遂げた。自分が勝つことこそ叶わなかったが、その想いを熱い漢たちに託し、彼らの勝利までの道を切り拓いた。

 

 そして、護るべき者を確かに守り抜いてみせた。

 

 だが、それでも未練というものはあるもので。

 男がもう駆け抜けることができなくなった未来を、全速力で駆け抜ける漢たち。眩しいものでも見るかのように、男はその姿を目を細めて眺めていた。

 

「カズマぁ、お前は限界を超えちまったんだなぁ。だったら進め、徹底的になぁ」

 

 男はまず、自分が最も目をかけていた弟分に激励の言葉を贈る。もちろん、こんなことは言わずもがな、弟分はその熱い魂一つで行き着くところまで行くのだろう。それでも、その道を切り拓いた男として、最期に一つ言葉を贈らずにはいられなかった。

 それから、男はもう一人の漢にも言葉を贈る。弟分と同じくらい真っ直ぐで、不器用なその漢も彼のお気に入りの一人だった。

 

「劉鳳、少しくらい時間ができたら戻ってやれよ」

 

 そこまで言ってから、男は左手でトレードマークのサングラスをかける。

 漢たちの放つ眩い光に目を灼かれぬように。

 そして、これから光を失う自分の目を見られぬように。

 普段はサングラスをかけるたびに引っかかる、前髪の癖毛を人差し指で弾くのだが、今日の男は前髪が引っかかるに任せたままだ。

 もはや、前髪を弾く力すら男には残っていなかった。

 なんとかサングラスをかけ終えた男は、最期の力を振り絞り、残る言葉を呟いた。

 

水守(みもり)さんの、ところへ……」

 

 それは、男が命を賭して護り抜いた(ひと)の名前。男が見出しながら、終ぞ手にすることのなかった《文化の真髄》。

 

 彼女の名を呟いてから、男が下ろした左手は、椅子の肘掛けに収まることなく、だらりと地面に垂れ下がった。

 

 ーー世界を縮める最速の漢。

 

 漢は、その称号に相応しく、その人生を最速で駆け抜けていった。




???「こんなのクロスオーバーじゃないじゃない! ただのスクライド第二十六話よ!」
???「だったら、(続きを)書けばいいだろ!」

邪竜百年戦争オルレアン以降の特異点に、本来のストーリーで登場するサーヴァント以外がいてもいいか?

  • どんとこい、超常現象。(いてもいいよ!)
  • ヴェルターズオリジナル派(原作重視!)
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