FGO+スクライド Fate Grateful Olderman  −ある偉大な兄貴の物語−   作:なんJお嬢様部

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いよいよセイバーが本格的に登場します!



黒き王との謁見

 ーー夢を、夢を見ていた気がする。

 

 それはとても大切な夢だ。遠い昔に、置き去りにしてきた何かをつかみとったような。

 

 あるいは、それはごくありふれた、夕食後に食卓を囲んで行う団欒のような、とてもささやかで温かな幸せを感じる、そんな夢だったと思う。

 

 だが、それはあり得ざる幻想に過ぎない。

 

 なぜなら、私はそれを選定の剣を引き抜いたその時に、全て過去に置き去りにしてきたのだから。

 

 ブリテンの未来を護るために、そこにある人々の笑顔を護るために。私は人ではなく《 守護者(システム)》となったのだ。

 

 故に、(わたし)幸福(ゆめ)などに意味はなく。

 

 あの瞬間から、私の幸福(ゆめ)は、きっと人々の幸福(ゆめ)でできていたのだーー

 

「GRUUUUUuu……」

「ーーむ、少し微睡(まどろ)んでいたか」

 

 側に控える巌のような男の影法師が上げる唸りが、意識を覚醒させる。聖剣によって切り裂かれたビルの残骸、それが作る小高い丘の上に載せた肘掛け椅子の上で私は目覚めた。

 

「AAAAGGGGURRUAAaaa!!」

「……ふむ、思う様暴れて来るといい狂戦士(バーサーカー)よ」

「AAAGUUuu……!!」

 

 私の声で、狂戦士は黒い疾風のように丘を下り、私が聖剣によって切り裂いた道を駆け抜けて行く。それが視界から消えると、私はゆっくりと肘掛け椅子に体を預けた。今となっては、この身を預けることができるのは最早あの黒い疾風とこの椅子だけだ。

 

我が息子(モードレッド)のように私を終わらせに来るか、英霊とそのマスター(有象無象)ども」

 

 そう、ここが今の私にとっての《カムランの丘》に他ならない。我が息子によって命脈を立たれた彼の地に、私は再び蘇ったのだ。

 

「だが、今度の私に敗北はない。ここから聖杯の力により、再び私のブリテンは甦るのだ」

 

 そうだ。あのとき、私はその弱さから、命も忠実な騎士たちもブリテンも、そこに暮らす民の笑顔すらも失った。守護者(システム)に徹しきれなかった人の部分が、王としての判断を狂わせたのだ。

 だが、その弱さは全て聖杯に満ちた汚泥が私の中から洗い流してくれた。

 我々7騎のサーヴァントとそのマスターが欲して止まなかった、万能の願望機たる冬木の大聖杯は、何者かの悪意によってその魔力を汚染されていた。そして、私は大聖杯を汚染した者とは別の何者か(・・・・・)の手によってその汚泥を一身に浴びることとなった。

 自らの願いを込めるはずの大聖杯が、既に汚染されていたことへの絶望は、その汚泥と私が一つになるに連れて歓喜へと変わっていった。大聖杯に満ちた汚泥によって、私は大聖杯と一つになったのだ。

 今や、大聖杯の無限に等しい魔力は、全て私の手中にあるといっていい。後は、これをうまく出力できるまで私の能力(キャパ)を引き上げるのだ。汚泥という肉を得た私にはそれができる。できるのだ。

 

「そして、今度はこの《カムランの丘》より始めよう。私の新たなブリテンを! 一部の隙も許さぬ完全なる世界を!」

 

 さぁ、ブリテンの終焉たる《カムランの丘》から時計の針を巻き戻そう。そうして、理想のブリテンを現実に引き寄せよう。私にはもうすぐそれができる。

 今の私はこの世でもっとも合理的な守護者(システム)だ。

 

 決して狂わず。

 決して誤らず。

 決して違わず。

 

 私の中の理想の王はついにここに完成した。

 故に、次のブリテンは決して果てを迎えたりはしない。あの過ちを二度と繰り返すことは無いのだ。

 

 そうして私は椅子から立つと、丘へ王の証たる剣を突き立て仁王立つ。最早、小細工をするまでもなく、私の刃は叛逆者たちの首を断つ。この威風堂々たる姿こそが、私の求めた王の姿。

 そして、私の双眸は聖剣の切り拓いた道の先、叛逆者が来るであろうその先を見据える。

 

 キャスターか、あるいはアーチャーか。いずれにしろ最早私の敵ではなーー

 

 ーーその道が。今までの自分が、間違っていなかったって信じている。

 

「……っ!?」

 

 不意に頭部を殴られたような痛みを覚え、気が付くと私は丘に片膝をついていた。

 

 なんだ、今の言葉は。私はまだ、夢を見ているのか。

 

 それは、あり得ざる記憶の中のあり得ざる言葉。私という完璧(システム)を狂わせる、幸福(ゆめ)という名の異分子(バグ)

 

 あり得ない。これは夢だ。悪い夢だ。さぁ、目覚めのときだアルトリア・ペンドラゴン。もうあの光景を繰り返したくないから、お前は完璧になったのだろう。

 

 そう言い聞かせ、私は再び立ち上がる。どれほどの時間が経っていたのか、私の眼前には一人の男が立っていた。白を基調とした制服をまとった背の高い気障な男だ。顔に浮かんだその笑みが、軽佻浮薄な印象をより強めている。

 

「おやぁ、随分と調子が悪そうですなぁ。これは、俺が本気を出すまでもないですかなぁ」

 

 こちらの神経を逆撫でするような軽薄な台詞と態度。しかし、私にはその奥に潜む狼の牙が見える。

 

「……不遜である。王の御前であるぞ、控えよ道化」

「道化師扱いとは心外ですなぁ。心中穏やかでないあなたの為に、わざわざそうしてみせたんですよ、こっちはね」

 

 両手を広げて戯けてみせた男は、すぐに脚を肩幅に開いた構えを取る。すると、いかなる原理か、男の周囲の瓦礫が虹色の煌めきに変わってその脚に巻き付き、次の瞬間には薄紫の脚甲が現れていた。

 

「野良犬風情が、私を下に見るか」

「そっちこそ、見下してんじゃねぇよ」

 

 剣を抜き放つ私に向けて、男が隠していた牙を剥き出しに咆える。

 それは競争に負けて野に解き放たれた野良犬のそれではない。自ら荒野で生きることを選んだ獣の咆哮だ。

 

 なるほど、この男が私の最後の試練ということか。

 

 私には分かる。この男は私とは違う、別の合理性に衝き動かされて生きているということが。

 故にここで斃さねばならぬ。私の完璧が正しいことを示すために。

 

「では、序列というものをその身に叩き込んでやろう。完全たる王、アルトリア・ペンドラゴンの力その身に刻んで果てるといい!」

「上等! サーヴァント・ライダー、ストレイト・クーガー! 世界の果てまでお前をぶっ飛ばす男の名だ!」

 

 極限まで高まった互いの魔力が触れ合ったその瞬間、()()の力を中心に、間違いなく世界が揺れた。

 




次回、戦闘パートですわ~!

邪竜百年戦争オルレアン以降の特異点に、本来のストーリーで登場するサーヴァント以外がいてもいいか?

  • どんとこい、超常現象。(いてもいいよ!)
  • ヴェルターズオリジナル派(原作重視!)
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