FGO+スクライド Fate Grateful Olderman  −ある偉大な兄貴の物語−   作:なんJお嬢様部

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FGOサイド導入でーす。

ちょっとオルガマリー所長の活躍するシーンがありますが、ただの趣味でーす(正直)


燃え落ちる人類の夢

ーー絶望。

 

 それはこういう状況を指すのだろうと、藤丸立香は未だどこかぼんやりとした頭で思う。

 2016年、何者かの手によって突如として人類史が焼却され、悪意ある者の過去への介入によって、人類の歴史は容易に捻じ曲げられてしまうようになった。

 人類社会の未来を保障する国連承認の研究機関、人理継続保障機関《フィニス・カルデア》は、その性質から人類史の焼却を地球上で唯一回避できた組織となった。《カルデア》は、本来の未来を取り戻すために、本来の人類史では発生しなかった事象、いわゆる《特異点》を探し出し、それを破壊することで未来の改編を防ぐ計画《グランドオーダー》を実行。所長であるオルガマリー・アニムスフィアの指揮の下、カルデアに集められた《特異点》に移動できる《レイシフト》の才能を持つ魔術師たちの中でも、選りすぐりの7名を集めたAチームがつい先程、1つ目の特異点へと《レイシフト》するところだったのだ。

 

 それがどうしたことだろう。

 

 《カルデア》内に潜入していたスパイの手によって、Aチームを含む48人魔術師たちはほぼ壊滅、職員も半数近くを失った。

 半ば壊滅状態になった《カルデア》で、偶然にも生き残ったAチームの一人、マシュ・キリエライトと、48人の魔術師の48番目である立花、そして、所長のオルガマリーだけが《レイシフト》によって、《特異点》と化した2004年の冬木の街へ逃げ出すことに成功したのである。

 立花たちは今、自分たちの手足となって戦う忠実なる過去の英霊、《サーヴァント》を召喚するために魔力に満ちた冬木の霊脈に向かって歩いている最中なのだ。

 

「ああ、もう! なんでこんなことに!」

 

 安全のために隊列の真ん中を歩くオルガマリーが、先程から何度目になるか分からない苛立ちの言葉を漏らして、銀の髪を掻きむしる。普段なら人目を惹きつけて止まないであろう銀糸のように美しいその髪は、今は《カルデア》で起こった爆発と、冬木でのこれまでの戦闘によって煤けてしまっていた。

 

「一体、どうなっているっていうのよ……」

 

 オルガマリーの疑問に、立花は答えるすべを持たない。いや、《カルデア》で生き残った誰もこの件について答えなど持っていないのだろう。

 人理を守るため、選びぬかれた人材が集められた《カルデア》、当然中に入る人間の素性など、親兄弟どころか、学生なら学校で一度「やぁ」と声を交わした人間レベルの情報まで把握されている。

 つまり、スパイなど入り込む余地のないような状況で今回のテロは起きたのだ。そんなこと誰も想定していないだろう。

 

「とりあえず、所長が言うとおり霊脈で戦力を喚びましょう。今は、何が起きたのか原因を探るよりも、この状況を切り抜ける方がいいですから」

「そんなことはわかっているわよ! ああ、もうこんな時にレフがいてくれれば……」

 

 マシュの気遣いの言葉にも悪態をつき、オルガマリーは頭を抱える。

 それも無理もないな、と立花は思う。

 多くの人間の上に立つ責任ある立場で今回の事故だ。自分なんかは、まだ状況が掴めずに浮ついた気分でいるからなんとか耐えられているのだ。現実が自分よりもよく見えている所長は、自分なんかには想像もつかないような重圧を感じているのだろう。

 立花の前を歩く所長の背中は小さい。彼女だって、所長という立場がなければ自分と変わらない女の子なのだ。その心細さはいかばかりだろうか。

 立花はそれに思いを巡らせようとしてすぐにやめた。恐らく、これは今の自分には決して理解できない気持ちだろうから。

 ただ、それでも少しでも何かをしたくなって、立花はオルガマリーに「頑張りましょう、所長。自分も頑張りますから」と声をかけた。

 

「そんなことっ……言われなくてもわかっているわよ……」

 

 再び悪態をつこうとしたオルガマリーだったが、立花の顔を見て、その剣幕を引っ込めた。人の上に立つ者としての矜持と、立花の心からの気遣いが彼女を踏み留まらせていた。

 それから、立花たちは無言で火の手をあげる冬木の街を歩き続けた。《カルデア》も《特異点(ここ)》も、大差ないと思えるような風景がしばらく続いたあとに、先頭を歩くマシュが足を止めて、瓦礫の影へと身を隠す。それを見た立花とオルガマリーも無言で別の瓦礫の影へと入り込んだ。

 立花たちが影に入ったことを確認したマシュが、辺りをはばかる小声で二人に話しかける。

 

「所長、先輩、敵性存在を視認しました。目視できる範囲で、スケルトン2体、ゴースト1体が確認できます。これ以上接近すると生体反応を探知されて交戦状態になると推測されます。いかがしましょう?」

 

 マシュの言葉に、所長は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 

「典型的なアンデット……霊脈の魔力に惹かれたのね。まともに戦えるのがマシュだけの現状を考えると、交戦は避けたいのだけど、霊脈の確保が目的な以上それは無理ね。交戦状態に入ることを許可します。藤丸、あなたは私と援護するのよ。いくら補欠とはいえ、《ガンド》ぐらいは撃てるでしょう?」

 

 オルガマリーの言葉に立花は力強く頷く。

 本当なら、立花もマシュを一人で戦わせるなんてことはしたくない。だが、デミ・サーヴァントとなった彼女と立花の間には、それこそ存在のレベルが違うほどの戦力差があるのだ。

 並び立って戦えば、自分は必ずマシュの足を引っ張る。そう現状を正確に認識した立花は、せめて足止めはしてみせると、自分の魔術回路に火を(とも)す。

 

「……よし、3数えて交戦(エンゲージ)に入るわ。マシュが突入したら視界を広く取って。索敵を密にしなさい」

「わかりました、所長」

 

 立花が応え、マシュが盾を引き寄せて頷く。

 

「いくわよ……3、2、1、GOGO!」

「マシュ・キリエライト、吶喊(とっかん)します!」

 

 オルガマリーの合図を受け名乗りと同時に、マシュが盾を振りかぶり突入する。スケルトンの内、一体だけがこちらに素早く気付いたが、マシュは躊躇いなくそのスケルトンに盾を振り抜いて無数の骨片に変えた。

 このような複数を相手取る戦闘の場合、不意打ちできる相手よりも、反応が早い相手を先に倒した方が負傷するリスクは低い。マシュの判断力は素晴らしかった。

 

「ゴーストは私がやる! はぁっ!」

 

 加えて、オルガマリーの援護も見事なものだった。《ガンド》を立て続けに3発、ゴーストに向けて撃ち込む。ゴーストは苦悶の声をあげ、その姿を揺らめかせる。マシュの(ぶつり)に対して、ゴースト(れいたい)は相性が良くないと判断しての牽制がかっちりと嵌った形になった。

 

「マシュ、右後ろからスケルトン! 鉄パイプで武装してる!」

「っ! はい、先輩! はあぁぁ!」

 

 立花の指示を受けて、マシュは振り返る動きそのままに、背後から鉄パイプを振り下ろそうとするスケルトンを盾で吹き飛ばす。鉄パイプが騒々しい音を立てて地面を転がり、その上にスケルトンだったものの欠片が降り注いだ。

 

「スケルトン撃破! ゴーストの撃破を掩護します!」

 

 スケルトンが復活しないことを確かめ、ゴーストの方に向かおうとするマシュ。その背後の瓦礫の奥で何かがうごめくのを立花は見逃さなかった。

 

「マシュ! 後ろの瓦礫の奥に何かいる!」

「えっ!?」

 

 マシュが振り返るのと、瓦礫の奥からハンマーのような形をした鉄筋コンクリートを振り上げた3体目のスケルトンが飛びかかってくるのは、ほぼ同時の出来事だった。マシュはまだ、盾を構えていない。

 やれるのは自分だけだ。

 立花は、指を銃のように見立てて構え、魔力回路に灯した火を、その先端から呪いの弾丸として出力する。

 

「はあっ!」

「ギイッ!?」

 

 立花の指先から放たれた《ガンド》は、飛びかかるスケルトンの持つ鉄筋コンクリートに当たり、スケルトンは仰け反るように撃ち落とされる。

 

「……これで、終わりです!」

 

 そのスケルトンが立ち上がるより先に、マシュが上から叩きつけた盾が、スケルトンの墓標になった。

 

「所長!」

「まったく、危なっかしいわね……」

 

 スケルトンを倒し終えたマシュがオルガマリーの方を確かめると、そこでは丁度消えゆくゴーストを背にしたオルガマリーが立花たちの方へと歩いてくるところだった。

 

「す、すみません。何分経験不足なもので……」

「ふん、これから嫌というほど経験するんだから大丈夫よ」

 

 周辺確認を怠った自分の迂闊さに恥じ入るマシュに、オルガマリーがいつもの調子で声をかける。

 しかし、その言葉にはオルガマリーなりの労いが込められていることを立花は感じ取っていた。

 

「お疲れ様です、所長。ゴーストを一人で倒してしまうなんて流石ですね」

「……! べ、別にこの程度のこと、アニムスフィア家の当主ならできて当然のことよ」

 

 立花の言葉に腕を組んでそっぽを向くオルガマリーだったが、その頬には僅かながら朱がさしているのは傍から見ても明らかで、それを見た藤丸とマシュは顔を見合わせて微笑んだ。

 褒められて、照れていることに気付かれたオルガマリーは、先程までどこかになりを潜めていた癇癪の虫を再び呼び覚まし、その場で地団駄を踏んだ。

 

「あー、もう、何なのよあなた達! そ・れ・よ・り・も! マシュ、盾を貸しなさい。霊脈が確保できたのだから、それを触媒にして召喚サークルを作って、正式なサーヴァントを喚ぶわよ!」

「あっ、は、はいっ!」

 

 慌ててマシュが盾を地面に置くと、そこを中心として魔術回路に似た模様が青い壁を走る、円柱状の空間が展開される。と、次の瞬間。

 

「あ!? 通信回復してる! マシュ、立花くん! 無事かい!?」

「その声は、ロマニ・アーキマンじゃないの! 医療チームのトップがなぜそこにいるの!?」

「うぇえ!? オルガマリー所長!? 所長こそなんでそちらにいるんですか!?」

 

 久しぶりに回復した通信に出たDr.ロマンにオルガマリーが食って掛かり、サーヴァントの召喚にはそれからしばらくの時間を要することになった。

 通信越しにでも明らかに怯んでいるDr.ロマンと、先程の鬱憤の矛先をこれでもかと彼に向けるオルガマリーを眺めて、絶望の中にあって微かな希望を感じずにはいられない立花なのだった。

 

 




次でいよいよ兄貴が合流しまーす。

人理修復したのは数年前だし、スクライドは十年近く前だし、ところどころ設定があやふやなところあるけど多めに見てクレメンス!

邪竜百年戦争オルレアン以降の特異点に、本来のストーリーで登場するサーヴァント以外がいてもいいか?

  • どんとこい、超常現象。(いてもいいよ!)
  • ヴェルターズオリジナル派(原作重視!)
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