FGO+スクライド Fate Grateful Olderman  −ある偉大な兄貴の物語−   作:なんJお嬢様部

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そして、スクライド漫画版が電子書籍化決定のニュースにも震える。マーティン・ジグマール、設定年齢19歳、蟹座のB型ッ!!!、が電子書籍で読めるぞみんな!(ダイレクトマーケティング)


世界に刻む最速の轍

「さてと、移動をするのはいいけれど、行くあてが無いというのは少し問題ね」

 

 霊脈から移動してしばらく、立香たちが市街地に侵入しようとする前にオルガマリーが呟いた。

 

「確かに、敵と遭遇するリスクを考えると闇雲に動くのはなるべく避けたいところです」

 

 オルガマリーの言葉にマシュも同意する。彼女の場合は、襲撃を受けたときに咄嗟に立香たちを守る必要がある。毎回警戒態勢を取るだけでも、盾の維持に回す魔力は馬鹿にならない量だ。補給の効かないこの《特異点》での無駄な消耗を避ける上でも、適切なルート設定ができるか否かは死活問題だった。

 

「その辺り、観測者側から見て何かわかることはないですか、Dr.ロマニ?」

 

 立香がそう問いかけると、ロマニが「うーん」と唸り声を上げる。

 

「詳しい反応は探れていないんだけど、どうも大橋を渡った対岸に膨大な魔力を垂れ流してる何者かがいるようだね」

「あからさまに、そこが元凶ね……こちらを誘っているのかしら」

 

 ロマニからの返答に、オルガマリーが渋面を作る。お互いの位置が割れていない状況を作れる中で、あえて魔力を垂れ流してるのは、位置がバレて先手を取られたとしても勝てるという自信の表れに他ならない。

 つまり、それだけの力量の持ち主がこの《特異点》の元凶であるわけで、彼女がそのような表情をするのも無理のない話だった。

 

「誘っているのは俺たちとは限らないんじゃないですかぁ、オリガさぁん」

「オルガよ! でも、その可能性はあり得るわね」

 

 相変わらずの名前の間違いにツッコミつつも、クーガーの意見自体にはオルガマリーは賛同した。

 

「つまりそれは、この《特異点》の元凶と敵対する勢力が自分たち以外にもいる、ということですか?」

「ええ、そうよ。《英霊の座》というものはね、人類の未来を脅かすような存在に対して、それ自体がカウンターとして英霊を召喚することがあるのよ。それで喚ばれるのは、大概その場所やトラブルを起こしている元凶と因縁のある英霊になるわ」

 

 立香の言葉をオルガマリーが肯定すると、マシュが手を叩いて喜んだ。

 

「じゃあ、その英霊の方と協力ができればこれ以上ない戦力強化になりますね!」

「ええ、現地協力者としての仮契約にはなるけれど、一時的にでも駒を増やせるのはありがたいわ。ただ、これも手放しにはいかなくてーー」

「ーー『敵の敵は味方』とはいかない奴らがいるわけですね」

 

 言うはずだった言葉を拾ったクーガーに、オルガマリーは頷く。

 

「そう、英霊の中には人格が破綻してる連中もいるわ。だから、慎重に出方を窺わないと、フレンドリーに話しかけたら、正面からバッサリってこともあるわ。気をつけなさい、立香」

 

 その流れから、オルガマリーによるキラーパスを受けることになった立香があからさまに狼狽える。

 

「えっ!? そういうときは所長が交渉に行ってくれるのでは!?」

「いやよ! 私は《カルデア》のトップなの、本来ならこんな現場になんて軽々と出てこない立場の人間なのよ!」

「いや、でも、もう出てきてるんですし、ここはトップである所長が礼を尽くすことが、英霊の皆様の心を打つのではないでしょうか!」

 

 そう言って立香が「どーぞ、どーぞ」とポーズを取れば。

 

「契約するのは貴方なのだから、貴方が行くべきよ!」

 

 オルガマリーもそれに負けじと立香に人差し指を突きつける。

 その指先に一瞬たじろいだ立香だったが、すぐにじとーっとした視線でオルガマリーを見つめる。

 

「最初は、『強い英霊なら私が契約するわ』、なんて言ってたのに……所長、クーガーさんの件で『契約するの嫌だな〜』ってなってませんか?」

「そっ、んなことないわよ?」

「嘘だー! 絶対そうだー!」

 

 あからさまに怯んだオルガマリーを見て、ここぞとばかりに追撃をかける立香に、しかしそこは《魔術師たちの伏魔殿》と揶揄される、ロンドンの《時計塔》でロードの一角を担うオルガマリー。この程度でやり込められてなるものですかと、完全に開き直った態度で再び立香に人差し指を突きつける。

 

「お黙り! さっきジャンケンで負けた立香に発言権は無いわ!」

「あのジャンケン、あの時一回きりの有効じゃないんですか!?」

「あ〜ら、ジャンケンしたとき誰が『この一回だけ有効です』って言ったかしら~?」

 

 細かい条件を指定してこなかったそちらの落ち度と言わんばかりに仰け反って勝ち誇るオルガマリー。それを見た立香は地面に崩れ落ちると悔しさから握り拳で地面を叩いた。

 

「き、汚い! 大人は汚い!」

「なんとでも言いなさいな! だてにこの歳で《時計塔》で足の引っ張り合いをやってきたわけじゃないのよ!」

「さ、流石所長です! 悪党ではないけど素晴らしい悪人っぷりです!」

 

 そんな二人のやり取りを見たマシュの口からは、感心しているのかこき下ろしているのか分からないような発言も飛び出した。

 結局、それ以上言い返せなかった立香は、地面に崩れ落ちたまま、がっくりと項垂(うなだ)れた。

 

「うう……僕は悔しいよマシュ、いいように所長にやり込められて……」

 

 そう言って、「よよよ……」と泣き真似をする立香にマシュがそっと駆け寄り背中に手を添える。

 

「先輩、大丈夫です! 何かあったときは私が必ず先輩をお守りします!」

「ああ、マシュの優しさがあったかいなぁ……」

 

 そう言いながらマシュの手を借りて立ち上がる立香。

 そのやり取りを見たオルガマリーは、再び癇癪の虫を叩き起す。

 

「あ、ズルいわよ立香! マシュは私の護衛よ!」

「え〜、所長はクーガーさんに護ってもらえばいいんじゃないですか~?」

 

 立香がそう言うや否や、クーガーがオルガマリーの前にひとっ飛びで現れる。

 

「まっかせてください、オリガさ〜ん! この俺にかかれば英霊の一人や二人が相手でも貴女をお護りいたしますとも!」

「嫌よ! だって貴方攻撃はできても、防御は苦手そうだもの。マシュの盾の方がよっぽど信頼できるわよ。何より護衛対象の名前を間違える人間に、命を預けられないわ」

 

 ずいっと自分の方に踏み込んで有能さをアピールしてくるクーガーから身を反らし、ついでに視線も逸らすオルガマリーを見てクーガーは「はーっはっはぁ、こいつは一本取られた!」と高笑いをしてみせる。

 しかし、クーガーはすぐにいつもの不敵な笑みの浮かんだ顔で、オルガマリーが逸らした視線の先に回り込む。

 

「そうですか、なら、早速俺が貴女の護衛に足ることをお見せいたしましょう」

「『お見せいたしましょう』って、相手もいないのにどうやって見せるのよ……」

 

 オルガマリーが両手を広げ、向けて呆れたような視線を送ると、クーガーはそれに対して、いよいよニヤリと不敵に笑ってみせる。

 

「おやぁ、お気づきでない? 先程、霊脈を離れてからずっと、俺たち、()()()()()()()()()()

「えっ」

「……っ! 付近に魔力反応! さっきのスケルトンの比じゃないぞこれは!」

 

 ロマニからの通信が入った次の瞬間、ロマニが「上だ!」と叫ぶよりも速く、立香たちの隣に建つビルの屋上にあった人影が、ビルの壁面を駆け抜けてオルガマリーへと迫る。

 

「あっ……」

 

 重力の助けを受けて壁面を走るその凶刃を、オルガマリーは為す術もなく見つめるしかない。何か対策を打つにはそれは余りにも速すぎた。凶刃がビルの壁面を蹴り、彼女へ向かって跳ぶ。その残像は振り下ろされるギロチンの刃に似ていた。

 

 駄目だ。こんなところで、終わっちゃう。私、まだなにもできてないのに。私、まだ、誰からもーー

 

 そんなことをオルガマリーが考えた刹那。

 

「ーー《ラディカル・グッドスピード》脚部限定ぃ! はぁっ!」

 

 オルガマリーの目の前に起こった薄紫色の旋風が、彼女の顔面まで僅か1センチまでの距離に迫った凶刃を、ビルの壁面へと叩きつけていた。

 

「所長! 大丈夫ですか!?」

「お護りします! 私の後ろに!」

 

 立香がオルガマリーの側へ駆け寄ると、後ろに崩れ落ちそうになる彼女の体を抱き止め、凶刃との間にマシュが滑り込んで盾を構える。

 

 助かった? 私、助かったの?

 

 自分の命がまだ繋がっている。

 そう認識した途端、オルガマリーの体は震え始めた。それは、自分を襲った者への畏れと自分が生きていることへの安堵に他ならない。

 こんなみっともない姿をいつまでも立香たちに見せられない。そう思って、体の震えを止めようとすればするほど、却って震えは大きくなる。その度に彼女の体を抱く立香の手に力が入る。

 普段なら「痛いわよ!」と悪態をつくところなのだろうが、今はその痛みが、手から伝わってくる熱が、オルガマリーに生を実感させてくれた。だから、彼女は立香が体を支えるに任せて、マシュの盾、そしてクーガーの背中越しに自分を襲った凶刃の姿を見た。

 

 それは、英霊(サーヴァント)の形をした影法師(シャドウ)だった。

 恐らく、女性なのだろう、髪を長く伸ばし、体にピッタリと吸い付くようなデザインの服を着ていることがシルエットから判る。

 その手には、鎖鎌の鎌の部分を杭にも似た短剣に差し替えたような武器が握られている。あんなものを顔面に振り下ろされていたら、今頃オルガマリーの頭は熟れた柘榴(ざくろ)のように弾けていたに違いなかった。

 

「シャドウサーヴァント……!」

「ほう……なんです、それは?」

 

 オルガマリーが影法師の名を呟き、クーガーがその仔細を訊ねる。

 シャドウサーヴァントは、何らかの形で常世に呼び出された英霊が無念の内に斃れたとき、その漆黒の意思や、魔術などによって汚染され再び立ち上がった姿だ。

 英霊が本来持つ、宝具や魔術などは行使できないものの、その身体能力は英霊のそれであり、おおよそ戦いに於いて凡百(ぼんびゃく)の人間が太刀打ちできる存在ではない。

 震える体に鞭打って、オルガマリーがそのことをクーガーに伝えると、クーガーは不敵な笑みを浮かべた。

 

「つまりあれは英霊(かげほうし)の影法師ってことですか。なるほど、スケルトンよりは(ほね)が有りそうだ」

「比べものにならないわ……曲がりなりにもあれは英霊なのよ」

 

 オルガマリーが心配そうな声をあげる。それは自分の身を案じたものか、あるいはクーガーのためか。

 しかし、それでもクーガーは余裕の表情を崩さない。

 

「わかってますよ。でも、やはり俺の敵じゃあない。あいつが俺たちに勝つには、さっきの不意打ちを決めるより他にはなかった」

 

 クーガーが一歩踏み出す。影法師は姿勢を低く構え、攻撃に対していつでも飛び出せる態勢をとる。

 

「重力を利用して壁を駆け降りてのリーダー狙いの突進、スピーディで悪くはない選択だ。だが、お前の唯一にして最大の間違いは、俺がパーティにいることを勘定に入れなかったことだ。常人なら知覚できない速さでも、()()()()()()()()()()

 

 更に一歩進んでクーガーも姿勢を低くする。ここがお互いの必殺の距離。これ以上一歩でも踏み込めば、次の瞬間には生き残るのはどちらか一騎だけとなる。

 

「つまり、何が言いたいかっていうとな……スロウリィなんだよ、お前はぁ!」

 

 先に動いたのはクーガー。言葉を言い終える前に脚甲で思い切り大地を蹴ると、次の瞬間には既に影法師に肉薄していた。

 しかし、影法師も棒立ちでは終わらない。ゆらりと横に倒れるような動作で、しかし確実にクーガーの突進を躱すと、お返しとばかりに武器の鎖を投げ放ち、クーガーの脚へと食い込ませる。それを見た立香の「クーガー!」という叫びが響く。

 だが、当のクーガーは脚に絡みつく鎖を解こうともしない。それを確かめた影法師は、この好機を逃してはならないと、クーガーの態勢を崩すために巻き付けた鎖を思い切り手元へ手繰り寄せる。

 

「残念、そいつぁ悪手だぜ」

 

 次の瞬間、クーガーの脚に巻き付いた鎖が虹色に変色して消し飛んだ。クーガーが、アルター能力を使って原子レベルまで分解したのだ。

 そして、本来なら返ってくるはずの手応えを頼りに鎖を引いた影法師は、仰け反るように態勢を崩す。それは《世界を縮める男》を前にして、余りにも大きな隙だった。

 

「受けろよ、俺の速さを!」

 

 クーガーはそのまま影法師に肉薄、脚甲を利用しての膝蹴りで再び影法師をビルの壁面に沈める。音を置き去りにするような速さの攻撃をまともに喰らった影法師は、緩慢な動作で壁から離れようとするが、その眼前に広がったのはクーガーの靴底だった。

 そのまま、クーガーの飛び蹴りによって顔面を打ち抜かれた影法師は、苦悶の叫び声を絞り出す暇もなく泥のように融けて消えた。

 

 

 




仕事がしんどくて書きながら寝落ちしてましたわ!

これでは文化的二枚目半と言わざるを得ませんわ!

邪竜百年戦争オルレアン以降の特異点に、本来のストーリーで登場するサーヴァント以外がいてもいいか?

  • どんとこい、超常現象。(いてもいいよ!)
  • ヴェルターズオリジナル派(原作重視!)
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