超光速の軌跡 ~タキオンとモルモットの3年間~   作:Valid Bear

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前回のあらすじ・・・カラオケとマグロ


Allemande(メイクデビュー ~ ホープフルステークス)
11話 モルモットと Make debut!


 タキオンをプールで歩かせたり、桐生院さんや先輩方に頼み込んで併走トレーニングをさせてもらったり、タキオンの姉が大激戦の末にダービーを制覇するのを見届けたり。

 色々と忙しい日々を送っているうちに、気付けば早くも6月になっていた。

 

 と言うわけでメイクデビューの季節である。

 

 

 

 

 

 ……ある、のだが。

 

「ねぇタキオン。タキオンってMake debut!の練習ってした事あるの?あの授業って確か1月から2月辺りだったと思うんだけど」

「……そう言えばしていないな」

「まじですか」

 

 ここに来てちょっとした問題が発覚した。

 メイクデビューや未勝利戦からオープンまでのライブで使用される楽曲「Make debut!」は、学園に所属するジュニア級以上のウマ娘は全員が披露できる。

 ジュニア級になって早々に授業で叩き込まれるのだ。

 そう。

 そのタイミングで授業をサボりまくっていたタキオンは、一度も練習に参加したことがないらしく……。

 急遽ライブの練習をする事になった。

 

 残念ながら今日はスタジオが空いていなかった為、予定通りトラックでのゲート練習をして終わりとなった。

 そして今は明日からのライブの練習に向けて「Make debut!」の振付確認用動画を観ているのだが。

 

「全っ然覚えられる気がしない……」

 

 歌は数回で覚えたが、振付の方は教えられるレベルにはならない気がする。

 それにまだ2着と3着の分も残っている訳で。

 

「どうしよ」

「お困りですか?お嬢さん」

 

 ……どこから突っ込むべきか。

 いや、1回ぐらいはノってあげた方が良いかな?

 

「……だれ?」

「んなっ!?ちょっと!ボクの事知らないの!?」

「いや、知ってるけど……。そんなお嬢さんとか言うタイプだったっけ?あとその仮装どうしたの」

「変装だよ!!」

 

 いや目立ちすぎ……。

 そもそも正体バレバレなのは変装じゃないと思うのは私だけだろうか。

 

「で、その謎のウマ娘さんはこんな所に何のご用でしょうか?」

「……あ、そうだ。タキオンがどのレースに出るか探ってこいってトレーナーが」

 

 それで声かけて聞くのはどうなのよ。

 まぁ良いか。

 

「来週末のの阪神芝2000に出す予定だよ」

「え?良いの?教えちゃって」

「別に遅かれ早かれ分かる事でしょ?その代わりタキオンのライブの練習見てくれるとありがたいかな」

「……あとから言うのズルくない!?イイけどさ!!」

 

 よし、コーチ確保完了。

 

 

 

 

 

 謎のウマ娘にダンスレッスンを頼んだ翌日。

 トレーナールームで昼食の用意をしていると、予想通りのタイミングでタキオンが入ってきた。

 

「邪魔するよ、トレーナーくん。今日のメニューは何だい?」

 

 これはどっちを聞かれているんだろうか?

 昼食のメニューかトレーニングメニューか。

 

「今日はご飯、スープ、ニンジンハンバーグ、ダンスレッスンだよ。ちょっと待ってて、今よそっちゃうから」

 

 少し悩んだ結果、両方答えることにした。

 結局一言で済む話だし。

 

「1つ食べ物ではないものが混ざっていた気がするのだが。……もう覚えたのかい?」

「いや、見知らぬウマ娘がコーチ務めてくれるってさ。まぁどう考えても……」

 

 そこまで言ったところで、ちょうど扉がノックされた。

 

「……ほら来た。開いてるから入っちゃってー」

「失礼しまーす!……何それニンジンハンバーグ!?スゴい美味しそう!!一口ちょうだい!!」

 

 入ってくるなり食べ物をねだるのはどうなのよ。

 しかし随分と早い事。

 約束の時間まであと30分はあるのだが……。

 

「これは私の昼食だから、いくら無敵のテイオー様と言えども譲るわけには行かないな。食べたければそこのトレーナーくんに頼みたまえ」

 

 ちょい。

 

「一口ぐらいあげなさいよ……。ちょっと待って、私の分けてあげるから」

 

 

 

 

 

 自分の昼食用のニンジンハンバーグがテイオーのお腹の中に消え、その代わりに作ったピザモドキトーストもタキオンとテイオーに奪取され、結局カップ麺を食べる羽目になり。

 ようやく理解した。

 自分が食べたい時は家で作るべきだ、と。

 

 閑話休題。

 

 食事を終えた私達は練習用スタジオに来ていた。

 その目的は勿論、タキオンがダンスの練習をするためなのだが……。

 

「ほら早くー。早くボクとタキオンに──」

「逃げ場は無いんだよ?トレーナーくん。大人しく──」

 

「「ダンスを披露したまえ!」」

 

 何故かタキオンではなく私が追い詰められていた。

 

 テイオーの教え方は非常に上手く、タキオンは持ち前の集中力と頭脳を活かし、あっと言う間に振付と歌詞を覚えてしまった。

 そして最後に通しで振付と歌詞の確認をすることになったのだが……。

 

「本番では3人で披露するんだ。私とテイオーくん以外に1人加えるのが当然だとは思わないかい?」

「それはそうだけど……、見る人が居なきゃ踊れてるか確認できないでしょうに」

「動画撮って後で見返せば良いじゃないのさー」

 

 何故かやたら踊らせに来る。

 トレーナーのライブなんて前代未聞、……いや、歓迎会で先輩達が踊ってたな。

 スピカ、リギル、カノープスっていう、どこのG1?って言いたくなる豪華メンバーだったから覚えてる。

 トレーナーだけど。

 

「あと振付覚えてない」

「センター以外は、でしょ?」

「それだとタキオンがセンター出来ないんだけども。センターやる確率が一番高いのに」

 

 メイクデビューでの勝ちは間違いないと思われているウマ娘はタキオン以外にもいる。

 だが、いずれも既にデビューしていたり、デビューしていない子は距離が合わないため、デビュー戦で当たることはそうそう無いだろう。

 もっとも、距離を伸ばしてくる可能性はあるが……、それは考えなくても良い筈だ。

 わざわざ相手の土俵に乗り込む必要は無いのだから。

 何やらテイオーがニヤニヤしているが、その理由を聞く前に……。

 

「カフェさん助けて」

 

 ちょうど覗きに来たマンハッタンカフェに助けを求める。

 

「……またタキオンさんが、何かご迷惑を?」

「Make debut!を一緒に踊れって言って聞かないのよ。本番では3人で踊るんだから3人必要だろうって」

 

 そしてその理由はマンハッタンカフェが加われば使えなくなる。

 

「なるほど、私が踊れば解決というわけですか」

「お願いできますか……?」

「……わかりました」

 

 

 

 

 

 こうしてタキオンはMake debut!の振り付けを覚え、いよいよデビューの時がやって来る。




人はそれをフラグと呼ぶ。

ウマ娘未登場馬の名前ってどうしたらいい?

  • まぁ、私はそのままで良いと思うけどねぇ…
  • たわけ。名前くらい自分で考えたらどうだ
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